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【03 入学式スタート】
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・【03 入学式スタート】
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僕は生徒会長からの挨拶があるので、先生側の席に座っていた。
桜さんは普通に六年二組の席に座っている。
ただ、ただ、校長先生がまだ席に座っていない……。
僕は教頭先生に静かに耳打ちした。
「あの、校長先生はまだですか……」
すると教頭先生から驚くべき答えが返ってきた。
「校長先生の世話を担当するのはそもそも生徒会長でしょう? 貴方がちゃんと連れてくるべきです」
えっ……そこまでしないといけないの? 生徒会長って……じゃあ早く校長室に行って連れてこないと、と思ったその時だった。
『新入生、入場!』
体育館にアナウンスが響いた。
そして体育館の扉が開くと、そこには……なんと! 先頭に校長先生がぁぁぁああああっ!
「いや隠れてない! バレバレの位置!」
ついデカい声でツッコんでしまい、隣に座っている教頭先生に睨まれてしまった。
さらに追い打ちをかけるように教頭先生が、
「去年までの生徒会長は優秀だったのに、今年の生徒会長には先が思いやられますなっ」
何でそんなことを言われないといけないんだ……なんて思っている暇は無い!
僕はコソコソと新入生の列に近付いていき、校長先生の隣に立ったら、校長先生の右腕をグイっと引っ張り、校長先生を列から引きはがした瞬間だった。
《いたぁぁぁぁぁあああああああああい! うわぁぁああああああああああああああああん!》
右腕の肩を左手で押さえながら、その場にしゃがみ込んで、泣き出してしまい、会場は騒然。
《こんな! こんな! 酷いことをした人は! 生徒会長の! 妻夫木氏政といいます! うわぁぁああああああああん!》
泣きながらも僕のことをハッキリと非難した校長先生。
あぁ、もう! こういう時は!
僕は校長先生の背広のポケットにごそごそと手を入れると、やっぱりあった。
ラップに包まれたおにぎりだ。
「校長先生、痛い時はおにぎり食べて下さい」
そう言いながらラップを外し、校長先生の口におにぎりを持っていった。
それを泣きながらモグモグ食べる校長先生は、みるみる泣き止んでいき、一言。
《痛み、無くなった……助かったぁ……》
安堵の表情を浮かべながら、その場にペタリとお尻を付けて座った。
そう、校長先生は何か食べるとケガが治るという、ゲームのような特異体質なのだ。
多分、腕を引っ張られた拍子に肩を脱臼したんだけども、おにぎりを食べることにより、それが完全に治ったのだ。
何だこの体質。
校長先生は息も絶え絶えでこう言ってきた。
《でも、でも……校長先生は……椿の花よりも優しく扱ってよ……》
「何でちょっと風流な言い方をしたんですか! というか早く席に着いて下さい!」
《分かったよぉ、分かったよぉ、おんぶしてよぉ》
「おんぶしないとダメなんですかっ! あぁっ! もう分かりましたよ! おんぶしますから!」
そして僕は校長先生をおんぶして運び、席に着かせて、ハッと周りを見渡すと、新入生たちは僕が校長先生を引っぺがした位置から動いていなかった。
えっと、あの……あぁ……僕は気が動転しながら、こんな言葉を口走った。
「新入生……Go」
会場は爆笑に包まれた。
やってしまった、犬のしつけみたいな言葉を出してしまった。
新入生は困惑しながらも歩き出したが、教頭先生の眼光は鋭いもので。
いやもう、校長先生の世話は基本先生方でやってほしいよ……。
入場も終わると、アナウンス体育館に響いた。
『新入生、Goありがとうございました。次は校長先生からの挨拶です』
くっ、このアナウンス……放送部の連中、僕のGoをいじってきやがって……って! 校長先生からの挨拶!
「校長先生、挨拶なので壇上に上がって練習した言葉を喋って下さい」
僕がそう校長先生に耳打ちをすると、校長先生が微笑みながらこう言った。
《何も覚えていないよ》
うっ! マジか! というか何でそれで笑えているんだ!
僕は仕方なく、校長先生にこう耳打ちした。
「とにかく頑張ってくださいみたいなことを言って下さいっ」
そう僕が言うと強く頷いてから校長先生は立ち上がり、歩き、壇上の階段に足をかけたその時だった。
《わわわわーっ!》
どってーん!
校長先生は階段に足をかけて転んでしまったのだ!
僕は慌てて校長先生に駆け寄る。
しかし校長先生はいつものこれだ。
《うわぁぁあああああああああああん! 足が折れたよぉぉおおおおおおおおおお!》
えっと、おにぎり、おにぎりは……あっ、さっきの場所に置きっぱなしだ!
しかもおにぎりを体育館の床に直置きだ!
早く持ってこないと!
僕は走っておにぎりの地点へ行ったその時だった。
「あとは私に任せて!」
この声は……桜さんだ!
なんと僕がおにぎりを拾って振り返ると、そこに桜さんが立っていたのだ。
いや。
「何で桜さんがいるんだ! というか私に任せてって何っ?」
「このおにぎりはバトンパスして! 私が走って校長先生に届ける!」
「いや距離も近いし、全然自分でやるよ!」
そう言って僕は桜さんを振り切って校長先生のところへ走って行くと、その僕を悠々と追い越した桜さんはこう言った。
「ファイト! ファイト! あと少し! あと少し!」
「いやマラソンランナーのコーチか!」
結局僕と桜さんで校長先生の元へ駆けつけ、僕は校長先生におにぎりを食べさせた。
すると、
《痛みが、癒えたんだ》
と言ったので、どうやら大丈夫らしい。
そして校長先生は階段に座りながら、
《とにかく頑張ってくださいみたいなこと》
そう言って、校長先生は立ち上がり、そのまま自分の席に戻った。
いや!
「壇上に上がって言うんだよ! というかその台詞何っ! そういったようなことを言って下さいって意味ですよ!」
《難しいことはまだ分からない、だから自分の成長が楽しみだ》
「そんな”のびしろですね”みたいなこと言われても!」
でも校長先生は完全に自分の席に座ってしまったので、もうこれで終わりなんだろう。
全然締まらないなぁ、と思っていると、桜さんが急に壇上へ上がり出したので、
「ちょっと! 桜さん! どうしたのっ!」
と叫ぶと、桜さんは僕に親指を立てて、グッドマークをし、こう言った。
「私、校長先生の代わりに挨拶ちゃんとするよ……!」
とカッコ良く言い放った。
壇上の照明に照らされて、いつもより煌めいて見えた。
いや、でも、それはどうなんだ……でも、これでうまくまとまれば……そんなことを思いながら僕は桜さんを見つめた。
そして桜さんは喋り出した。
「こんばんは……ぁっ、こんにちは、です、はい、あの……よろしく、だな! うん! よろしくだな! うん! というわけで、あの……一発ギャグします……!」
いや!
「ダメだよ! 早く降りてきて桜さん!」
そう言いつつ僕は急いで壇上に上がって、桜さんを抱き締めて止めた。
「桜さん! 戻ろう! とりあえず戻ろう!」
そして一旦離れて、桜さんに肩を貸して歩き出した。
桜さんは完敗といった面持ちで、ぐったりとしていた。
このまま六年二組の席に戻しても、悪目立ちすると思ったので、僕は先生側のほうへ隠すように床へ座らせた。
すると桜さんがポツリとこう呟いた。
「所詮私は床人間なのね……」
僕は仕方なく、僕の席に桜さんを座らせて、僕はその近くでしゃがんだ。
またアナウンスが響く。
『生徒会長もすごい指示を飛ばしますね、お次は生徒会長からの挨拶です』
いや僕そんな変な指示飛ばしていないからな……あとで放送部のヤツに怒っておこう。
とにかくまあ今は自分の役割を全うしないと。
僕は壇上に上がって、生徒会長の挨拶を始めた。
ここはつつがなく終了し、自分の席に戻ると、桜さんがもう元気になっていて、
「さすが! 妻夫木くん! 最高だったよ! ささっ、私の膝の上に座って!」
「いや、声が大きいし、膝の上には座らないよ、子供じゃないんだから」
そう言うと、校長先生がこう言った。
《じゃあワシの膝の上に座ればいいよ》
「いや校長先生は膝折れちゃうでしょ」
《そんなんじゃ折れないよ》
「いや折れますって、しゃがみますから大丈夫です」
とやり取りをしていると、教頭先生がこっちを睨みながら、
「ごちゃごちゃやってないで、座るなら座りなさい」
と言ってきたので、仕方なく、校長先生の膝に座ると、
《うわぁぁぁああああああああああああああん! 折れたぁぁぁああああああああああああ!》
と泣き叫んだので、もう何なんだよ、と思いながら僕は、既に拾っていたおにぎりを自分のポケットから出して、校長先生に食べさせた。
モチロン僕はその場に立って。
座っていると、治っては痛んで、治っては痛んでの無限ループだから。
《治った……おにぎり最高……》
この場合は、その特異体質最高だけどね、と思いながら僕はその場にしゃがみ込んだ。
すると桜さんが、
「妻夫木くんは床人間に相応しくないから、私が床に座るねっ」
と言ってイスからズルリと降りて、そのまま床にお尻をついた。
というか、
「床人間って何っ?」
結局、僕はそのまま床に座ることにした。
一人で床に座るよりも二人で床に座るほうがまだ悪目立ちしないと思ったから。
すると、桜さんの頭が僕の肩に乗ってきた。
「妻夫木くんと一緒、妻夫木くんと一緒」
そう嬉しそうに呟く桜さん。
何がそんなに嬉しいのだろうと思いながら、その後の入学式は滞りなく終わった。
・【03 入学式スタート】
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僕は生徒会長からの挨拶があるので、先生側の席に座っていた。
桜さんは普通に六年二組の席に座っている。
ただ、ただ、校長先生がまだ席に座っていない……。
僕は教頭先生に静かに耳打ちした。
「あの、校長先生はまだですか……」
すると教頭先生から驚くべき答えが返ってきた。
「校長先生の世話を担当するのはそもそも生徒会長でしょう? 貴方がちゃんと連れてくるべきです」
えっ……そこまでしないといけないの? 生徒会長って……じゃあ早く校長室に行って連れてこないと、と思ったその時だった。
『新入生、入場!』
体育館にアナウンスが響いた。
そして体育館の扉が開くと、そこには……なんと! 先頭に校長先生がぁぁぁああああっ!
「いや隠れてない! バレバレの位置!」
ついデカい声でツッコんでしまい、隣に座っている教頭先生に睨まれてしまった。
さらに追い打ちをかけるように教頭先生が、
「去年までの生徒会長は優秀だったのに、今年の生徒会長には先が思いやられますなっ」
何でそんなことを言われないといけないんだ……なんて思っている暇は無い!
僕はコソコソと新入生の列に近付いていき、校長先生の隣に立ったら、校長先生の右腕をグイっと引っ張り、校長先生を列から引きはがした瞬間だった。
《いたぁぁぁぁぁあああああああああい! うわぁぁああああああああああああああああん!》
右腕の肩を左手で押さえながら、その場にしゃがみ込んで、泣き出してしまい、会場は騒然。
《こんな! こんな! 酷いことをした人は! 生徒会長の! 妻夫木氏政といいます! うわぁぁああああああああん!》
泣きながらも僕のことをハッキリと非難した校長先生。
あぁ、もう! こういう時は!
僕は校長先生の背広のポケットにごそごそと手を入れると、やっぱりあった。
ラップに包まれたおにぎりだ。
「校長先生、痛い時はおにぎり食べて下さい」
そう言いながらラップを外し、校長先生の口におにぎりを持っていった。
それを泣きながらモグモグ食べる校長先生は、みるみる泣き止んでいき、一言。
《痛み、無くなった……助かったぁ……》
安堵の表情を浮かべながら、その場にペタリとお尻を付けて座った。
そう、校長先生は何か食べるとケガが治るという、ゲームのような特異体質なのだ。
多分、腕を引っ張られた拍子に肩を脱臼したんだけども、おにぎりを食べることにより、それが完全に治ったのだ。
何だこの体質。
校長先生は息も絶え絶えでこう言ってきた。
《でも、でも……校長先生は……椿の花よりも優しく扱ってよ……》
「何でちょっと風流な言い方をしたんですか! というか早く席に着いて下さい!」
《分かったよぉ、分かったよぉ、おんぶしてよぉ》
「おんぶしないとダメなんですかっ! あぁっ! もう分かりましたよ! おんぶしますから!」
そして僕は校長先生をおんぶして運び、席に着かせて、ハッと周りを見渡すと、新入生たちは僕が校長先生を引っぺがした位置から動いていなかった。
えっと、あの……あぁ……僕は気が動転しながら、こんな言葉を口走った。
「新入生……Go」
会場は爆笑に包まれた。
やってしまった、犬のしつけみたいな言葉を出してしまった。
新入生は困惑しながらも歩き出したが、教頭先生の眼光は鋭いもので。
いやもう、校長先生の世話は基本先生方でやってほしいよ……。
入場も終わると、アナウンス体育館に響いた。
『新入生、Goありがとうございました。次は校長先生からの挨拶です』
くっ、このアナウンス……放送部の連中、僕のGoをいじってきやがって……って! 校長先生からの挨拶!
「校長先生、挨拶なので壇上に上がって練習した言葉を喋って下さい」
僕がそう校長先生に耳打ちをすると、校長先生が微笑みながらこう言った。
《何も覚えていないよ》
うっ! マジか! というか何でそれで笑えているんだ!
僕は仕方なく、校長先生にこう耳打ちした。
「とにかく頑張ってくださいみたいなことを言って下さいっ」
そう僕が言うと強く頷いてから校長先生は立ち上がり、歩き、壇上の階段に足をかけたその時だった。
《わわわわーっ!》
どってーん!
校長先生は階段に足をかけて転んでしまったのだ!
僕は慌てて校長先生に駆け寄る。
しかし校長先生はいつものこれだ。
《うわぁぁあああああああああああん! 足が折れたよぉぉおおおおおおおおおお!》
えっと、おにぎり、おにぎりは……あっ、さっきの場所に置きっぱなしだ!
しかもおにぎりを体育館の床に直置きだ!
早く持ってこないと!
僕は走っておにぎりの地点へ行ったその時だった。
「あとは私に任せて!」
この声は……桜さんだ!
なんと僕がおにぎりを拾って振り返ると、そこに桜さんが立っていたのだ。
いや。
「何で桜さんがいるんだ! というか私に任せてって何っ?」
「このおにぎりはバトンパスして! 私が走って校長先生に届ける!」
「いや距離も近いし、全然自分でやるよ!」
そう言って僕は桜さんを振り切って校長先生のところへ走って行くと、その僕を悠々と追い越した桜さんはこう言った。
「ファイト! ファイト! あと少し! あと少し!」
「いやマラソンランナーのコーチか!」
結局僕と桜さんで校長先生の元へ駆けつけ、僕は校長先生におにぎりを食べさせた。
すると、
《痛みが、癒えたんだ》
と言ったので、どうやら大丈夫らしい。
そして校長先生は階段に座りながら、
《とにかく頑張ってくださいみたいなこと》
そう言って、校長先生は立ち上がり、そのまま自分の席に戻った。
いや!
「壇上に上がって言うんだよ! というかその台詞何っ! そういったようなことを言って下さいって意味ですよ!」
《難しいことはまだ分からない、だから自分の成長が楽しみだ》
「そんな”のびしろですね”みたいなこと言われても!」
でも校長先生は完全に自分の席に座ってしまったので、もうこれで終わりなんだろう。
全然締まらないなぁ、と思っていると、桜さんが急に壇上へ上がり出したので、
「ちょっと! 桜さん! どうしたのっ!」
と叫ぶと、桜さんは僕に親指を立てて、グッドマークをし、こう言った。
「私、校長先生の代わりに挨拶ちゃんとするよ……!」
とカッコ良く言い放った。
壇上の照明に照らされて、いつもより煌めいて見えた。
いや、でも、それはどうなんだ……でも、これでうまくまとまれば……そんなことを思いながら僕は桜さんを見つめた。
そして桜さんは喋り出した。
「こんばんは……ぁっ、こんにちは、です、はい、あの……よろしく、だな! うん! よろしくだな! うん! というわけで、あの……一発ギャグします……!」
いや!
「ダメだよ! 早く降りてきて桜さん!」
そう言いつつ僕は急いで壇上に上がって、桜さんを抱き締めて止めた。
「桜さん! 戻ろう! とりあえず戻ろう!」
そして一旦離れて、桜さんに肩を貸して歩き出した。
桜さんは完敗といった面持ちで、ぐったりとしていた。
このまま六年二組の席に戻しても、悪目立ちすると思ったので、僕は先生側のほうへ隠すように床へ座らせた。
すると桜さんがポツリとこう呟いた。
「所詮私は床人間なのね……」
僕は仕方なく、僕の席に桜さんを座らせて、僕はその近くでしゃがんだ。
またアナウンスが響く。
『生徒会長もすごい指示を飛ばしますね、お次は生徒会長からの挨拶です』
いや僕そんな変な指示飛ばしていないからな……あとで放送部のヤツに怒っておこう。
とにかくまあ今は自分の役割を全うしないと。
僕は壇上に上がって、生徒会長の挨拶を始めた。
ここはつつがなく終了し、自分の席に戻ると、桜さんがもう元気になっていて、
「さすが! 妻夫木くん! 最高だったよ! ささっ、私の膝の上に座って!」
「いや、声が大きいし、膝の上には座らないよ、子供じゃないんだから」
そう言うと、校長先生がこう言った。
《じゃあワシの膝の上に座ればいいよ》
「いや校長先生は膝折れちゃうでしょ」
《そんなんじゃ折れないよ》
「いや折れますって、しゃがみますから大丈夫です」
とやり取りをしていると、教頭先生がこっちを睨みながら、
「ごちゃごちゃやってないで、座るなら座りなさい」
と言ってきたので、仕方なく、校長先生の膝に座ると、
《うわぁぁぁああああああああああああああん! 折れたぁぁぁああああああああああああ!》
と泣き叫んだので、もう何なんだよ、と思いながら僕は、既に拾っていたおにぎりを自分のポケットから出して、校長先生に食べさせた。
モチロン僕はその場に立って。
座っていると、治っては痛んで、治っては痛んでの無限ループだから。
《治った……おにぎり最高……》
この場合は、その特異体質最高だけどね、と思いながら僕はその場にしゃがみ込んだ。
すると桜さんが、
「妻夫木くんは床人間に相応しくないから、私が床に座るねっ」
と言ってイスからズルリと降りて、そのまま床にお尻をついた。
というか、
「床人間って何っ?」
結局、僕はそのまま床に座ることにした。
一人で床に座るよりも二人で床に座るほうがまだ悪目立ちしないと思ったから。
すると、桜さんの頭が僕の肩に乗ってきた。
「妻夫木くんと一緒、妻夫木くんと一緒」
そう嬉しそうに呟く桜さん。
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