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【13 skit5 リアクション】
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・【13 skit5 リアクション】
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また長い回廊を歩いている僕とリーエ。
ふと、リーエが喋り出した。
「服ってめっちゃ大事なモノだからさ、服に手を出したらもう終わりだからね!」
「ゴメン、ゴメン、それは本当にダメだったよね」
「服が無きゃ人間、お猿さんだからね。柿泥棒になっちゃう」
「柿泥棒になるわけじゃないけども、柿泥棒の人間もいるし」
「いやいやお猿さんイコール柿泥棒だよ、そこに異論はナシで!」
「何でお猿さんにそんな柿泥棒のイメージがあるんだ、そこまで強固な公式じゃないでしょう」
リーエは僕の肩を叩きながら、
「まっ、ヒロの本当の目的は分かっていた、けどね!」
そう言ってクスクス笑ったリーエ。
いや!
「だからそういうよこしまなことじゃないから!」
「おっきな声を出しちゃって、お猿さんを追いかける警察官じゃないんだから」
「そうだね、僕は警察官だからそんなことはしないよ」
と答えると、リーエが目を丸くしているような演技をしながら、
「えっ? そんなことって何? アタシ全然分かんないから、ヒロが思ったそんなことの説明してよっ!」
「いやいや、そういうこと言うことは同性にも異性にも言っちゃいけないんだからね、今の時代」
「チェー、ヒロって結構上手く逃げるんだからなぁー!」
そう言って両腕を後ろ頭に置いたリーエ。
いちいちオーバーリアクションだなぁ、と思って見ていると、
「えっ、ヒロってワキノシタとか気になる系? 見たかったら見てもいいけど」
と言ってニヤニヤしてきたリーエ。
「いや全然そういうのじゃないから、ただリーエってオーバーリアクションだなぁ、と思ってさ」
「オーバーじゃないよ、アタシはむしろ尖ってるほうだから、尖った笑いのほうだから」
「リーエはそんな尖った笑いみたいな言い返ししてないよ、ずっと泥臭い感じだよ、下世話だよ」
「いやいや、アタシは尖ってるから、めっちゃシュールだから、シュールのワードセンスしてるから、お猿さんとか」
「お猿さんは全然シュールな単語じゃないよ、ゴリラくらいベタだよ」
リーエは少し不満げに口を尖らせながら、
「お猿さんはかなりのシュールワードだよ、ゴリラと一緒にしないで、全然違うんだからっ」
「いやまあお猿さんもゴリラも類人猿でそっくりだけどね」
「全然違うよ、お猿さんは俊敏だし、ゴリラはゴリラーって感じじゃない」
「ただ伸ばされても、全然伝わらないけどね、その違い」
「いやもうゴリラー、ぬぼーっとした感じで、全然ベタ、お猿さんはシュッとしているから全然シュール」
「まあこの辺は個人の見解だから突き詰めてもしょうがないけどね」
と僕が言うと、リーエが深い溜息をついてから、
「ハイハイ、論破されて逃げたってところねっ」
と言ったので、僕は淡々と、
「こんなどうでもいい水掛け論、本当にどうでもいいと思っただけだからさ」
と言うと、リーエが、
「ちょっとぉ! そういう諦める感じは良くないよ! 諦めるとか絶対ダメなんだからね!」
と声を荒らげたので、
「まあそれは、うん、そうだね。二人っきりで諦めてゴメン」
「じゃあこれからもどんどんアタシと対話してくれる?」
「勿論、リーエとはもっといろんなことを喋りたいよ、ほら、この世界のこととか」
ちょっとした間。
でもすぐにリーエが笑いながら、
「いいじゃん、それはー、アタシはヒロの味方だからね、何でも命令してくれればいいからね」
「命令って、もっと柔らかい言い方しているじゃないか」
「ううん、別に命令でいいんだよ」
「ダメだよ、僕とリーエは対等だから」
「そんなこと言っちゃってぇー、ありがとう、ヒロ。大好きだよっ」
そう言って満面の笑みを浮かべたリーエに、つい、ドキっとしてしまうと、
「あっ、恋に落ちた落ちた? 落ちてくれると嬉しいねぇ!」
と言って口に手を当ててクスクスと笑ったリーエ。
いや、
「僕で遊ばないで!」
・【13 skit5 リアクション】
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また長い回廊を歩いている僕とリーエ。
ふと、リーエが喋り出した。
「服ってめっちゃ大事なモノだからさ、服に手を出したらもう終わりだからね!」
「ゴメン、ゴメン、それは本当にダメだったよね」
「服が無きゃ人間、お猿さんだからね。柿泥棒になっちゃう」
「柿泥棒になるわけじゃないけども、柿泥棒の人間もいるし」
「いやいやお猿さんイコール柿泥棒だよ、そこに異論はナシで!」
「何でお猿さんにそんな柿泥棒のイメージがあるんだ、そこまで強固な公式じゃないでしょう」
リーエは僕の肩を叩きながら、
「まっ、ヒロの本当の目的は分かっていた、けどね!」
そう言ってクスクス笑ったリーエ。
いや!
「だからそういうよこしまなことじゃないから!」
「おっきな声を出しちゃって、お猿さんを追いかける警察官じゃないんだから」
「そうだね、僕は警察官だからそんなことはしないよ」
と答えると、リーエが目を丸くしているような演技をしながら、
「えっ? そんなことって何? アタシ全然分かんないから、ヒロが思ったそんなことの説明してよっ!」
「いやいや、そういうこと言うことは同性にも異性にも言っちゃいけないんだからね、今の時代」
「チェー、ヒロって結構上手く逃げるんだからなぁー!」
そう言って両腕を後ろ頭に置いたリーエ。
いちいちオーバーリアクションだなぁ、と思って見ていると、
「えっ、ヒロってワキノシタとか気になる系? 見たかったら見てもいいけど」
と言ってニヤニヤしてきたリーエ。
「いや全然そういうのじゃないから、ただリーエってオーバーリアクションだなぁ、と思ってさ」
「オーバーじゃないよ、アタシはむしろ尖ってるほうだから、尖った笑いのほうだから」
「リーエはそんな尖った笑いみたいな言い返ししてないよ、ずっと泥臭い感じだよ、下世話だよ」
「いやいや、アタシは尖ってるから、めっちゃシュールだから、シュールのワードセンスしてるから、お猿さんとか」
「お猿さんは全然シュールな単語じゃないよ、ゴリラくらいベタだよ」
リーエは少し不満げに口を尖らせながら、
「お猿さんはかなりのシュールワードだよ、ゴリラと一緒にしないで、全然違うんだからっ」
「いやまあお猿さんもゴリラも類人猿でそっくりだけどね」
「全然違うよ、お猿さんは俊敏だし、ゴリラはゴリラーって感じじゃない」
「ただ伸ばされても、全然伝わらないけどね、その違い」
「いやもうゴリラー、ぬぼーっとした感じで、全然ベタ、お猿さんはシュッとしているから全然シュール」
「まあこの辺は個人の見解だから突き詰めてもしょうがないけどね」
と僕が言うと、リーエが深い溜息をついてから、
「ハイハイ、論破されて逃げたってところねっ」
と言ったので、僕は淡々と、
「こんなどうでもいい水掛け論、本当にどうでもいいと思っただけだからさ」
と言うと、リーエが、
「ちょっとぉ! そういう諦める感じは良くないよ! 諦めるとか絶対ダメなんだからね!」
と声を荒らげたので、
「まあそれは、うん、そうだね。二人っきりで諦めてゴメン」
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「いいじゃん、それはー、アタシはヒロの味方だからね、何でも命令してくれればいいからね」
「命令って、もっと柔らかい言い方しているじゃないか」
「ううん、別に命令でいいんだよ」
「ダメだよ、僕とリーエは対等だから」
「そんなこと言っちゃってぇー、ありがとう、ヒロ。大好きだよっ」
そう言って満面の笑みを浮かべたリーエに、つい、ドキっとしてしまうと、
「あっ、恋に落ちた落ちた? 落ちてくれると嬉しいねぇ!」
と言って口に手を当ててクスクスと笑ったリーエ。
いや、
「僕で遊ばないで!」
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