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【12 部屋】
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・【12 部屋】
・
僕とリーエが部屋の中に入ると、またすぐさま階段は消えた。
部屋には窓が一つ、扉が一つあって、両方鍵が掛かっていて開かない。
箪笥や戸棚があって、特徴的なところは手洗い場と鏡があること。洗面台かな。
あとはダストシュートのようなモノがある。
この穴にゴミを入れるとそのまま地下のゴミ収集場まで繋がっているというヤツだ。
ただこのダストシュートはちょっと細いような気がする。あんまり大きなゴミは入らないだろう。
さて、というとこの密室から出ることが目標か。
それとも何かすることがあるのだろうか。
とりあえず箪笥や戸棚の中を見ても、鍵のようなモノはない。
そもそもこの扉に鍵穴が無いので、そう言ったモノを探し出して開けるわけではないらしい。
やることが尽きて、ちょっとボーッとしていると、徐々に寒くなってきたように感じたので、
「リーエ、寒くない?」
「確かに、ちょっと肌寒いかもしれないね、さっきのお湯が懐かしいわ」
「いやあのお湯も勢い良くて怖いけどね」
じんわり部屋が冷えてきているような感覚。
「とりあえず動こうか」
「そうだね、ヒロ、体を温めるには動くことが一番だから」
僕とリーエはその場で足踏みをしていると、徐々に僕とリーエの息が白くなってきた。
結構な勢いで冷えてきているのかもしれない。
ということは、
「この冷気を止めることがこのステージのクリア条件?」
と僕が呟くとリーエが、
「まあどっちにしろ止めないとこのまま凍えてしまうかもしれないね」
と言った。
ということはどこかから冷気がやって来ているということだ。
今一度、窓と扉の隙間をチェックした。
でもそこから冷気が来ている感じはしなかった。
手洗い場の蛇口を捻ると、普通に水が出てきた。
いやこの蛇口は赤と青がある。
試しに赤のほうを捻ると、なんとお湯が出てきた。
「これで温まれるよ、リーエ」
「ん? お湯が出てきたの?」
「そうそう、だからこれに触っている間は温かいよ」
「でもそのお湯を出しっ放しにしているだけじゃ、焼け石に水じゃない。まあ焼け石じゃなくて冷凍石みたいな状態だけども」
「確かにそうか……」
まあ一応、蛇口からは冷気が出ていないということが分かって良かった。
あとは、そうだ、ダストシュートだ、あまりにも不自然にあるダストシュートのことを確認していなかったと思って、ダストシュートを触るとすぐに分かった。
「ここから冷気が入ってきている……!」
「じゃあこのダストシュートをどうにかするだけだね~」
ダストシュートをどうにかするだけ、つまり、
「お湯をこの中に流し込めばいいんじゃないかな?」
「ヒロ、どうやってそっちにお湯を運ぶの? 手じゃ無理でしょ?」
確かに洗面台にはコップのようなモノは無い。
手じゃ非効率だし、何かコップのような形状が……ある。
「リーエ、箪笥の引き出しを取り外そう。この引き出しをコップ代わりにする」
「いいねぇ~、じゃあ二人で引き出しの中にお湯を入れようかっ」
僕とリーエで大きめの引き出しを取り出し、そこにお湯を溜めていった。
きっと同時にいっぱい流したほうがいいと思うので、僕の引き出しもリーエの引き出しもいっぱいに溜めてから、ダストシュートの中へお湯を流し込んだ。
さて、これでクリアかなと思って、扉のドアノブを回したんだけども、全然開く様子が無くて。
「もしかするとこれは間違い?」
「そうかもしれないね……」
リーエも僕も肩をガクッと落とした。
一体どうすればいいのだろうか、冷気の根源であるダストシュートにお湯を流し込む案は良いと思ったんだけども。
リーエが僕のほうを見ながら、こう言った。
「もしかすると、この部屋に冷気が来ることを止めないといけないのかもしれないねぇ~」
「ということは、ダストシュートにゴミを入れて、穴を埋めるということ?」
僕は改めて部屋を見渡したが、ゴミになりそうなモノは何も無い。
カーテンでもあればダストシュートにカーテンを詰めたかったが、いや、ある、服だ。僕たちの服ならダストシュートの中を埋めることができるかもしれない。
「リーエ、これから僕は服をダストシュートに入れてみようと思う」
するとリーエは鼻で笑ってから、こう言った。
「何それ、服が無くなったら寒いし、防御力も下がっちゃうよ。それとも何、脱いで何かえっちなことでもしたいの? ヒロらしくないなぁ」
「そういうよこしまなことじゃなくて!」
と僕が声を荒らげると、リーエは、
「服は違うんじゃないかなぁ、服だと繊維に隙間があるから冷気が通過してくると思うよ、よっぽどの密度が出せるほど服着てるの?」
「いや……そっかぁ……」
僕はつい俯いてしまった。
そうか、そうか、これは正解じゃないのか、じゃあどうやってこの冷気の穴を塞ぐんだ。
もう一度、この部屋の中にあるモノを整理しよう。
箪笥に戸棚、洗面台か、洗面台の鏡を割って、上手くダストシュートの形にして押し込む?
でもそんな方法で上手くいくだろうか。
きっと方法さえ分かれば失敗しない方法が答えだと思う。
そんな技術力のいる方法が答えではないはず。
誰でもできること、と思ったら、お湯を流し込んだことを思い出した。
そう、お湯を流し込むことならできる、既にできた、でもこれは正解じゃない、と思った時、答えが分かった。
「分かった、水だ、水を少しずつ流し込むんだ」
「つまりどういうことかなぁ~」
そう言ってニヤニヤし始めたリーエ。
やっぱり、僕の言っていることは既に通じ合っているのだろう。
まあちゃんと言葉にして説明しよう。
「水を少しずつ流し込んで、氷を作り、その氷で穴を塞ごう」
「いいねぇ~、それなら簡単にできそうだぁ~」
というわけで僕は引き出しに水を溜めて、その水をちょろちょろとダストシュートに流し始めた。
その間にリーエは引き出しに水を溜めてもらって。
それを交互に繰り返していったとあるタイミングで、急に扉がバンと勝手に開いた。
どうやら穴が塞がったということだろう。
「いこう、ヒロ」
「うん、リーエ」
僕とリーエは扉の向こうへ歩き出した。
・【12 部屋】
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僕とリーエが部屋の中に入ると、またすぐさま階段は消えた。
部屋には窓が一つ、扉が一つあって、両方鍵が掛かっていて開かない。
箪笥や戸棚があって、特徴的なところは手洗い場と鏡があること。洗面台かな。
あとはダストシュートのようなモノがある。
この穴にゴミを入れるとそのまま地下のゴミ収集場まで繋がっているというヤツだ。
ただこのダストシュートはちょっと細いような気がする。あんまり大きなゴミは入らないだろう。
さて、というとこの密室から出ることが目標か。
それとも何かすることがあるのだろうか。
とりあえず箪笥や戸棚の中を見ても、鍵のようなモノはない。
そもそもこの扉に鍵穴が無いので、そう言ったモノを探し出して開けるわけではないらしい。
やることが尽きて、ちょっとボーッとしていると、徐々に寒くなってきたように感じたので、
「リーエ、寒くない?」
「確かに、ちょっと肌寒いかもしれないね、さっきのお湯が懐かしいわ」
「いやあのお湯も勢い良くて怖いけどね」
じんわり部屋が冷えてきているような感覚。
「とりあえず動こうか」
「そうだね、ヒロ、体を温めるには動くことが一番だから」
僕とリーエはその場で足踏みをしていると、徐々に僕とリーエの息が白くなってきた。
結構な勢いで冷えてきているのかもしれない。
ということは、
「この冷気を止めることがこのステージのクリア条件?」
と僕が呟くとリーエが、
「まあどっちにしろ止めないとこのまま凍えてしまうかもしれないね」
と言った。
ということはどこかから冷気がやって来ているということだ。
今一度、窓と扉の隙間をチェックした。
でもそこから冷気が来ている感じはしなかった。
手洗い場の蛇口を捻ると、普通に水が出てきた。
いやこの蛇口は赤と青がある。
試しに赤のほうを捻ると、なんとお湯が出てきた。
「これで温まれるよ、リーエ」
「ん? お湯が出てきたの?」
「そうそう、だからこれに触っている間は温かいよ」
「でもそのお湯を出しっ放しにしているだけじゃ、焼け石に水じゃない。まあ焼け石じゃなくて冷凍石みたいな状態だけども」
「確かにそうか……」
まあ一応、蛇口からは冷気が出ていないということが分かって良かった。
あとは、そうだ、ダストシュートだ、あまりにも不自然にあるダストシュートのことを確認していなかったと思って、ダストシュートを触るとすぐに分かった。
「ここから冷気が入ってきている……!」
「じゃあこのダストシュートをどうにかするだけだね~」
ダストシュートをどうにかするだけ、つまり、
「お湯をこの中に流し込めばいいんじゃないかな?」
「ヒロ、どうやってそっちにお湯を運ぶの? 手じゃ無理でしょ?」
確かに洗面台にはコップのようなモノは無い。
手じゃ非効率だし、何かコップのような形状が……ある。
「リーエ、箪笥の引き出しを取り外そう。この引き出しをコップ代わりにする」
「いいねぇ~、じゃあ二人で引き出しの中にお湯を入れようかっ」
僕とリーエで大きめの引き出しを取り出し、そこにお湯を溜めていった。
きっと同時にいっぱい流したほうがいいと思うので、僕の引き出しもリーエの引き出しもいっぱいに溜めてから、ダストシュートの中へお湯を流し込んだ。
さて、これでクリアかなと思って、扉のドアノブを回したんだけども、全然開く様子が無くて。
「もしかするとこれは間違い?」
「そうかもしれないね……」
リーエも僕も肩をガクッと落とした。
一体どうすればいいのだろうか、冷気の根源であるダストシュートにお湯を流し込む案は良いと思ったんだけども。
リーエが僕のほうを見ながら、こう言った。
「もしかすると、この部屋に冷気が来ることを止めないといけないのかもしれないねぇ~」
「ということは、ダストシュートにゴミを入れて、穴を埋めるということ?」
僕は改めて部屋を見渡したが、ゴミになりそうなモノは何も無い。
カーテンでもあればダストシュートにカーテンを詰めたかったが、いや、ある、服だ。僕たちの服ならダストシュートの中を埋めることができるかもしれない。
「リーエ、これから僕は服をダストシュートに入れてみようと思う」
するとリーエは鼻で笑ってから、こう言った。
「何それ、服が無くなったら寒いし、防御力も下がっちゃうよ。それとも何、脱いで何かえっちなことでもしたいの? ヒロらしくないなぁ」
「そういうよこしまなことじゃなくて!」
と僕が声を荒らげると、リーエは、
「服は違うんじゃないかなぁ、服だと繊維に隙間があるから冷気が通過してくると思うよ、よっぽどの密度が出せるほど服着てるの?」
「いや……そっかぁ……」
僕はつい俯いてしまった。
そうか、そうか、これは正解じゃないのか、じゃあどうやってこの冷気の穴を塞ぐんだ。
もう一度、この部屋の中にあるモノを整理しよう。
箪笥に戸棚、洗面台か、洗面台の鏡を割って、上手くダストシュートの形にして押し込む?
でもそんな方法で上手くいくだろうか。
きっと方法さえ分かれば失敗しない方法が答えだと思う。
そんな技術力のいる方法が答えではないはず。
誰でもできること、と思ったら、お湯を流し込んだことを思い出した。
そう、お湯を流し込むことならできる、既にできた、でもこれは正解じゃない、と思った時、答えが分かった。
「分かった、水だ、水を少しずつ流し込むんだ」
「つまりどういうことかなぁ~」
そう言ってニヤニヤし始めたリーエ。
やっぱり、僕の言っていることは既に通じ合っているのだろう。
まあちゃんと言葉にして説明しよう。
「水を少しずつ流し込んで、氷を作り、その氷で穴を塞ごう」
「いいねぇ~、それなら簡単にできそうだぁ~」
というわけで僕は引き出しに水を溜めて、その水をちょろちょろとダストシュートに流し始めた。
その間にリーエは引き出しに水を溜めてもらって。
それを交互に繰り返していったとあるタイミングで、急に扉がバンと勝手に開いた。
どうやら穴が塞がったということだろう。
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