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【08 のろい】
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・【08 のろい】
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扉があった。
でも暗号のようなモノはなく、ドアノブのついた普通の扉。
僕は意を決してそのドアノブを握って開け、中に入ると、そこは霧に囲まれた部屋だった。
もしかすると、と思って扉があった方向を振り返ると案の定、扉は無くなっていて、後方も霧に包まれていた。
やっぱり普通の建物じゃない。
完全に霧に囲まれた僕とリーエ。
僕はリーエのほうを見ながら、
「これはどういう部屋なのかな」
と言うと、リーエは、
「こー--こー--はー--っっってー--ー--えぇぇぇぇぇぇぇぇぇー--------」
と、やけに間延びした喋りでそう言った。
どうしたんだろうと思っていると、リーエはゆっくり歩きながら、
「ヒー--ロー--、アー--ター--シー--なー--んー--かー--………………ダー--メー--かー--もー--」
明らかにリーエは喋りも移動速度も遅くなっている。
まるでスローモーションの映像みたいだ。
「のー--ろー--いー--のー--ろー--いー--かー--もー--」
のろいのろい……のろい呪いということか?
リーエが呪いに掛かる? 僕じゃなくて?
いやそうだ、僕が解決するからリーエのほうが呪いに掛かったんだ。
あくまでこの世界は僕にクリアさせるために回っている。
だから僕はこのリーエをどうにかしないといけないんだ、と、思っていると霧の向こうから、また、あの鈍器を持った怪物が歩いてきた。
明らかにリーエの速度よりも速く。
ダメだ、リーエは怪物をかわせない。
だから僕は真っ先に怪物の前に飛び出して、僕を追いかけるように仕向けた。
でも怪物は僕に見向きもせず、リーエのほうへ向かって歩き出した。
「たー--すー--けー--てー--------」
怪物がリーエの前で止まると、怪物は鈍器を振りかざしたので、僕は急いでリーエの近くに行き、
「危ない!」
と言いながらリーエのことをドンと押した。
するとリーエは勢い良く飛ばされながら、倒れ込み、怪物の一撃は間一髪でかわしたようになった。
怪物は鈍器を振りかざしたあと、少し沈黙というか動かなくなるので、そのうちに逃げないといけない。
「リーエ!」
「いー--たー--いー--」
受け身も取れず、倒れ込んだリーエはゆっくりと僕のほうの顔を見た。
一体どうすればいいんだ。
どうやら外的要因から押される分には、今まで通りに動くらしい。
ということは僕がリーエを運べばいいのでは?
僕はリーエをいわゆるお姫様抱っこすると、
「あー--りー--がー--とー--うー--」
と言ったリーエ。
僕はどちらかと言えば非力なので、歩く速度がとてつもなく遅くなったが、それでも怪物よりは早く、霧がまだ薄いほうへ進んでいくと、そこに扉があり、近付くと開いたので、入ると、また何も無い回廊になり、振り返ると壁になっていて、もう怪物が来るような感じではなかった。
「リーエ、大丈夫?」
と話しかけると、リーエはゆっくりと口角を上げながら、こう言った。
「まー--だー--ダー--メー--かー--もー--………………」
まだステージはクリアしていないということか、じゃあこのままリーエをお姫様抱っこで、と思ったところで、リーエが、
「ちょー--っっっとー--くー--びー--がー--いー--たー--いー--」
「じゃあおんぶに変えようか」
と僕はリーエをおんぶに変えて、持ち直した。
さて、この回廊を普通に歩くだけ……のはずがない、絶対何かしらの仕掛けがあるはずだ。
何故ならリーエが元に戻っていないから。
このままずっとリーエがこういう状態というわけはないだろう。
ということはこの、今までと同じような回廊も何かあるはずだ、と思いながら慎重に歩いていると、急に壁に違和感を抱き、バッとそっちを見た時だった。
「わっ!」
なんと壁から鈍器が出現し、僕に対して振り下ろしてきたのだ。
でもその鈍器は直線的で、うまくかわして歩けば、通り過ぎれる感じ。
つまり鈍器が完全に下に下がったタイミングで、その前を素通りするという、アクションゲームみたいだ。
まあゲームじゃなくて、現実だと思って、危機感を持って行動しよう、と思った矢先、また目の前で鈍器が振りかざされた。
本当に間一髪、目と鼻の先でビュンと鈍器が動き、切った風が僕の顔に当たった。
でもなんとか、第六感というか何らかの機能でかわすことができた……いや違う、きっと僕は、僕の体は、何か違和感を抱いて、反射的に立ち止まったんだ。
一体どうして僕は立ち止まったのだろうか。
このことを意識的に分からなければ、きっとどこかのタイミングでケガをするだろう。
何かヒントが、きっとどこかに何かヒントがあるはずなんだ。
何でリーエが呪いに掛かっているのか、僕の動きを制限したいから? いやそれ以上に何かあるはずだ。
さっきの怪物エリアをクリアしたということは、確実に僕がリーエを運んでいる状態だと、世界側は知っているはず。
つまり僕がリーエを運んでいることがヒントということか?
リーエを運んでいる時の僕の利点って何だ?
そんなことを考えて、立ち止まっていると、リーエが、
「なー--んー--かー--くー--るー--しー--くー--なー--っっってー--きー--たー--」
と、か細い声でそう言った。
苦しい? おんぶされていると胸が圧迫されて苦しいということか? いやそういう感じではない、もっと真に迫るような感じ。
もしかするとリーエの脈拍もゆっくりになっているのでは、と思った時、早くここをクリアしなければ、と思った。
でも闇雲に走り出したら、鈍器の餌食になってしまう。
ちゃんと正解を出さなければ。
まず今あったことを反芻する。ヒントを脳内から探る。
そう言えば、リーエは遅くなってから、快活な声の大きさが出ていないような気がする。
それは遅くなって元気がなくなっただけかもしれないけども、何か違和感もある。
遅くなることと小さくなることはイコールじゃないから。
そうだ、リーエを運んでいる時の利点、確かにある。
それは足音が僕だけになるということ、つまり音がクリアのヒントだ!
きっと鈍器が振りかざされる直前、音が鳴っているんだ。
だから僕も反射的に、無意識に、音へ反応して立ち止まれていたんだ。
僕は忍び足で歩いていくと、一瞬『カチッ』という音が聞こえた。
そのタイミングで立ち止まると、僕の前方で突然鈍器が出現し、振りかざされた。
鈍器が下までいくと怪物の時と同様、止まるので、その間に抜ける。
それを繰り返していくと、また扉があり、そこをくぐった瞬間にリーエが、
「やったぁ! 元に戻った! 呼吸もしやすい!」
と僕の背中の上で快活にグイグイと動き出したので、僕はリーエをおろした。
・【08 のろい】
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扉があった。
でも暗号のようなモノはなく、ドアノブのついた普通の扉。
僕は意を決してそのドアノブを握って開け、中に入ると、そこは霧に囲まれた部屋だった。
もしかすると、と思って扉があった方向を振り返ると案の定、扉は無くなっていて、後方も霧に包まれていた。
やっぱり普通の建物じゃない。
完全に霧に囲まれた僕とリーエ。
僕はリーエのほうを見ながら、
「これはどういう部屋なのかな」
と言うと、リーエは、
「こー--こー--はー--っっってー--ー--えぇぇぇぇぇぇぇぇぇー--------」
と、やけに間延びした喋りでそう言った。
どうしたんだろうと思っていると、リーエはゆっくり歩きながら、
「ヒー--ロー--、アー--ター--シー--なー--んー--かー--………………ダー--メー--かー--もー--」
明らかにリーエは喋りも移動速度も遅くなっている。
まるでスローモーションの映像みたいだ。
「のー--ろー--いー--のー--ろー--いー--かー--もー--」
のろいのろい……のろい呪いということか?
リーエが呪いに掛かる? 僕じゃなくて?
いやそうだ、僕が解決するからリーエのほうが呪いに掛かったんだ。
あくまでこの世界は僕にクリアさせるために回っている。
だから僕はこのリーエをどうにかしないといけないんだ、と、思っていると霧の向こうから、また、あの鈍器を持った怪物が歩いてきた。
明らかにリーエの速度よりも速く。
ダメだ、リーエは怪物をかわせない。
だから僕は真っ先に怪物の前に飛び出して、僕を追いかけるように仕向けた。
でも怪物は僕に見向きもせず、リーエのほうへ向かって歩き出した。
「たー--すー--けー--てー--------」
怪物がリーエの前で止まると、怪物は鈍器を振りかざしたので、僕は急いでリーエの近くに行き、
「危ない!」
と言いながらリーエのことをドンと押した。
するとリーエは勢い良く飛ばされながら、倒れ込み、怪物の一撃は間一髪でかわしたようになった。
怪物は鈍器を振りかざしたあと、少し沈黙というか動かなくなるので、そのうちに逃げないといけない。
「リーエ!」
「いー--たー--いー--」
受け身も取れず、倒れ込んだリーエはゆっくりと僕のほうの顔を見た。
一体どうすればいいんだ。
どうやら外的要因から押される分には、今まで通りに動くらしい。
ということは僕がリーエを運べばいいのでは?
僕はリーエをいわゆるお姫様抱っこすると、
「あー--りー--がー--とー--うー--」
と言ったリーエ。
僕はどちらかと言えば非力なので、歩く速度がとてつもなく遅くなったが、それでも怪物よりは早く、霧がまだ薄いほうへ進んでいくと、そこに扉があり、近付くと開いたので、入ると、また何も無い回廊になり、振り返ると壁になっていて、もう怪物が来るような感じではなかった。
「リーエ、大丈夫?」
と話しかけると、リーエはゆっくりと口角を上げながら、こう言った。
「まー--だー--ダー--メー--かー--もー--………………」
まだステージはクリアしていないということか、じゃあこのままリーエをお姫様抱っこで、と思ったところで、リーエが、
「ちょー--っっっとー--くー--びー--がー--いー--たー--いー--」
「じゃあおんぶに変えようか」
と僕はリーエをおんぶに変えて、持ち直した。
さて、この回廊を普通に歩くだけ……のはずがない、絶対何かしらの仕掛けがあるはずだ。
何故ならリーエが元に戻っていないから。
このままずっとリーエがこういう状態というわけはないだろう。
ということはこの、今までと同じような回廊も何かあるはずだ、と思いながら慎重に歩いていると、急に壁に違和感を抱き、バッとそっちを見た時だった。
「わっ!」
なんと壁から鈍器が出現し、僕に対して振り下ろしてきたのだ。
でもその鈍器は直線的で、うまくかわして歩けば、通り過ぎれる感じ。
つまり鈍器が完全に下に下がったタイミングで、その前を素通りするという、アクションゲームみたいだ。
まあゲームじゃなくて、現実だと思って、危機感を持って行動しよう、と思った矢先、また目の前で鈍器が振りかざされた。
本当に間一髪、目と鼻の先でビュンと鈍器が動き、切った風が僕の顔に当たった。
でもなんとか、第六感というか何らかの機能でかわすことができた……いや違う、きっと僕は、僕の体は、何か違和感を抱いて、反射的に立ち止まったんだ。
一体どうして僕は立ち止まったのだろうか。
このことを意識的に分からなければ、きっとどこかのタイミングでケガをするだろう。
何かヒントが、きっとどこかに何かヒントがあるはずなんだ。
何でリーエが呪いに掛かっているのか、僕の動きを制限したいから? いやそれ以上に何かあるはずだ。
さっきの怪物エリアをクリアしたということは、確実に僕がリーエを運んでいる状態だと、世界側は知っているはず。
つまり僕がリーエを運んでいることがヒントということか?
リーエを運んでいる時の僕の利点って何だ?
そんなことを考えて、立ち止まっていると、リーエが、
「なー--んー--かー--くー--るー--しー--くー--なー--っっってー--きー--たー--」
と、か細い声でそう言った。
苦しい? おんぶされていると胸が圧迫されて苦しいということか? いやそういう感じではない、もっと真に迫るような感じ。
もしかするとリーエの脈拍もゆっくりになっているのでは、と思った時、早くここをクリアしなければ、と思った。
でも闇雲に走り出したら、鈍器の餌食になってしまう。
ちゃんと正解を出さなければ。
まず今あったことを反芻する。ヒントを脳内から探る。
そう言えば、リーエは遅くなってから、快活な声の大きさが出ていないような気がする。
それは遅くなって元気がなくなっただけかもしれないけども、何か違和感もある。
遅くなることと小さくなることはイコールじゃないから。
そうだ、リーエを運んでいる時の利点、確かにある。
それは足音が僕だけになるということ、つまり音がクリアのヒントだ!
きっと鈍器が振りかざされる直前、音が鳴っているんだ。
だから僕も反射的に、無意識に、音へ反応して立ち止まれていたんだ。
僕は忍び足で歩いていくと、一瞬『カチッ』という音が聞こえた。
そのタイミングで立ち止まると、僕の前方で突然鈍器が出現し、振りかざされた。
鈍器が下までいくと怪物の時と同様、止まるので、その間に抜ける。
それを繰り返していくと、また扉があり、そこをくぐった瞬間にリーエが、
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