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【18 もぬけの殻】
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・【18 もぬけの殻】
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一応学校には来ている。
でも以前のような元気が出ず、同じ三班のメンバーからはとても心配されている。
でも、だって、でもだって、なんて、言わなかったはずの寂しい言葉が溢れていく。
そんなある日、転校生が来るという話が急に出てきて、クラスメイトが浮足立っている。
その転校生が環奈ちゃんだったら救われるかもしれない、そんなことを考えていると、三人の見知らぬ男子が教室へ入ってきた。
いや知ってる、すごく知ってる三人だ、でもどうして、意味が分からない、でもうん、似すぎている、あの三人に似すぎているのだ。
その三人は右から順に自己紹介を始めた。
「僕は榊壁太郎だべ……少し人見知りだべけど、気軽に壁太郎と呼んでほしいべ……」
「俺は榊亨です! 結構自分の思ったことを通すほうなのでトースと呼んでほしいです!」
「我は榊ガガだぜ! 普通にそのままガガと呼んでほしいぜ! 趣味は自分磨きだぜ! よろしくだぜ!」
担任の先生は小さく拍手をしながら、
「壁太郎くん、亨……トースくん、ガガくんは三つ子だそうです。みんな仲良くしてあげてね。今日の一限目は自己紹介のホームルームにしてしまいましょう!」
何が何だか分からないといった感じに、一限目は終わり、間の休み時間に三人が私に近付いてきて、壁太郎くんがこう言った。
「あんまり大きな声で言えないべけど、良い行ないをしたということで神様から転生してもらえたんだべ」
「本当はすぐにでも逢いに来たかったんですが、神様からの授業もあって、やっと帰ってこれたんです」
「で、お願いがあるぜ、転生させてくれた条件が世の中の謎をいっぱい解決することが条件なんだぜ。それでその謎解決を緋色にも手伝ってほしいんだぜ」
そう言って頭を下げた三人。
三人の声は周りには聞こえていなかったみたいだけども、転校生が突然私に頭を下げたので、何事かと好奇の目でクラスメイトたちが見てきた。
私が今、思うことは。
……、……、……、
「めっちゃ嬉しい! 勿論一緒にこれから頑張っていこう!」
そう言うと笑顔になった三人、と、クラスメイトたちも。
するとクラスメイトたちが口々にこう言った。
「何か最近緋色が元気無かったけども、転校生が笑顔にさせたぞ!」
「緋色の元気な声久々に聞いたぁー!」
「えっ? 知り合い? 知り合いならもう一緒に遊べるって感じ?」
「まっ、緋色の元気が戻って良かったじゃんか」
あっ、私ってそこそこクラスメイトからも人望あったんだ。
全然違うじゃん、そうだそうだ、あれは闇に引き込むあやかしが適当に言っていた言葉なんじゃん、私には私の真実が今目の前にあって。
「この三人は私の……親戚の家の近くに住んでいた仲良い友達! この小学校への転校だったんだ! 改めてよろしくね!」
「よろしくだべ!」
「よろしくです!」
「よろしくだぜ!」
絶妙にユニゾンしない三人と共に、私のやりたいことはまだまだ続く。
(了)
・【18 もぬけの殻】
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一応学校には来ている。
でも以前のような元気が出ず、同じ三班のメンバーからはとても心配されている。
でも、だって、でもだって、なんて、言わなかったはずの寂しい言葉が溢れていく。
そんなある日、転校生が来るという話が急に出てきて、クラスメイトが浮足立っている。
その転校生が環奈ちゃんだったら救われるかもしれない、そんなことを考えていると、三人の見知らぬ男子が教室へ入ってきた。
いや知ってる、すごく知ってる三人だ、でもどうして、意味が分からない、でもうん、似すぎている、あの三人に似すぎているのだ。
その三人は右から順に自己紹介を始めた。
「僕は榊壁太郎だべ……少し人見知りだべけど、気軽に壁太郎と呼んでほしいべ……」
「俺は榊亨です! 結構自分の思ったことを通すほうなのでトースと呼んでほしいです!」
「我は榊ガガだぜ! 普通にそのままガガと呼んでほしいぜ! 趣味は自分磨きだぜ! よろしくだぜ!」
担任の先生は小さく拍手をしながら、
「壁太郎くん、亨……トースくん、ガガくんは三つ子だそうです。みんな仲良くしてあげてね。今日の一限目は自己紹介のホームルームにしてしまいましょう!」
何が何だか分からないといった感じに、一限目は終わり、間の休み時間に三人が私に近付いてきて、壁太郎くんがこう言った。
「あんまり大きな声で言えないべけど、良い行ないをしたということで神様から転生してもらえたんだべ」
「本当はすぐにでも逢いに来たかったんですが、神様からの授業もあって、やっと帰ってこれたんです」
「で、お願いがあるぜ、転生させてくれた条件が世の中の謎をいっぱい解決することが条件なんだぜ。それでその謎解決を緋色にも手伝ってほしいんだぜ」
そう言って頭を下げた三人。
三人の声は周りには聞こえていなかったみたいだけども、転校生が突然私に頭を下げたので、何事かと好奇の目でクラスメイトたちが見てきた。
私が今、思うことは。
……、……、……、
「めっちゃ嬉しい! 勿論一緒にこれから頑張っていこう!」
そう言うと笑顔になった三人、と、クラスメイトたちも。
するとクラスメイトたちが口々にこう言った。
「何か最近緋色が元気無かったけども、転校生が笑顔にさせたぞ!」
「緋色の元気な声久々に聞いたぁー!」
「えっ? 知り合い? 知り合いならもう一緒に遊べるって感じ?」
「まっ、緋色の元気が戻って良かったじゃんか」
あっ、私ってそこそこクラスメイトからも人望あったんだ。
全然違うじゃん、そうだそうだ、あれは闇に引き込むあやかしが適当に言っていた言葉なんじゃん、私には私の真実が今目の前にあって。
「この三人は私の……親戚の家の近くに住んでいた仲良い友達! この小学校への転校だったんだ! 改めてよろしくね!」
「よろしくだべ!」
「よろしくです!」
「よろしくだぜ!」
絶妙にユニゾンしない三人と共に、私のやりたいことはまだまだ続く。
(了)
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