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【15 砲丸勝負】
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・【15 砲丸勝負】
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「次は砲丸投げだぁぁぁあああああああああああああ!」
咆哮と種目名を同時に合わせたなぁ、と思っていると、力也くんはこんなことを言い出した。
「砲丸は一個しかないからな、オマエらはオマエらで砲丸を用意しな!」
私はさすがに、と思って、
「地面に線書いてそれを記録にすればいいじゃん」
「いや! オマエらは何らかの不正をするかもしれないからな!」
「その場合、自分で砲丸を用意したほうが不正っぽくない?」
「それはもういいとする! 俺様は俺様の砲丸を使う!」
「というか力也くんの砲丸に何か不正があるかもしれないし」
「無い! それは絶対に無い!」
いや嘘くさいなと思っていると、トースくんが、
「じゃあ俺が風のスピードを利用してすぐに砲丸を体育館から持ってきますよ」
と言ったその時だった。
力也くんがデカい声でこう言った。
「ダメだ! 一人でもこの場からいなくなったら逃げたとみなしてオマエらの負けにする!」
「何で、っていう……」
私がポツリと呟くと、壁太郎くんが首を横に振ってから私に向かってこう言った。
「能力にはフィールド型の能力というものがあって、仮に力也がそういった能力を使っていた場合、本当にそういうことになってしまい、力也が負けたとは思わなくなるんだべ。一種の自己暗示だべが、そうなってしまうと多分今日中にどうにかすることは不可能だべ」
トースくんは腕を組みながら、
「まあ力也にそんな能力が使えるかどうかは分からないですけどね。ただそういう可能性もある以上、迂闊には動けなくなってしまいましたね」
ガガくんは悔しそうに、
「我が圧勝だったのに! 砲丸が無くて闘えないなんてつまらないぜ!」
ガガくんは単純に勝負を楽しんでいたんだ、と思ったところで、一つ、案が浮かんだ。
「じゃあ私たちで砲丸を作ればいいんじゃないの?」
壁太郎くんはなるほどといった感じに感嘆の息を漏らしてから、
「なるほど、じゃあ僕がオブジェの時の要領で丸い壁を作るべ」
壁太郎くんが丸みの帯びた壁を出現させた。
ガガくんは「おっ」と言ってから、
「これを完全な球体に磨いてやるぜ!」
と言って早速その球体をすごい速度で磨き始めた。
みるみるうちに砲丸のような球体を作り上げた私たち側。
これで完璧と思っていたら、力也くんがひょいっと私たちの砲丸を取り上げて、
「いや、ちょっと軽いなぁ、もっと重いだろ。砲丸って」
と言ったので、すぐさまトースくんがその力也くんが持っている私たちの砲丸に手をかざして、
「発想を飛ばします! これから投げる勝負するのにゴンゴンと重くします!」
「わわわわわっわっ」
力也くんは私たちの砲丸を持っているほうの肩を脱臼させるくらいの勢いで腕を下にさげた。
それに対してトースくんが、
「そんなリアクションしてしまうほど重くしたんだからいいですよね!」
と言うと力也くんはトースくんのことを睨みながら、
「まあいいだろう、ここまで重ければな」
と言って、私たちの砲丸を地面に転がした。
すると私たちの砲丸は地面にめり込むように止まった。
トースくん、もしかすると重くし過ぎたのでは、そんなことを思っていると、力也くんがセットポジションに入り、砲丸を投げた。
その砲丸は結構飛んで、地面に接地した時、ポスンと何だかすごく軽い音がして、コロコロと転がっていった。
いや全然あの砲丸重くない……果たしてガガくんは大丈夫かなと思ったけども、全然余裕だった。
ガガくんの投げた私たちの砲丸は力也くんの砲丸が転がった先以上に飛んでいったのだ。
さすがに負けは認めるかなと思ったその時だった。
力也くんは膝から崩れ落ちて、こう言った。
「うわぁぁあああああああ! 砲丸が一つしかないと卑怯なことしてしまったぁぁああああ! 正々堂々しないとダメなのにぃぃいいいいい! こんなん負け過ぎるだろぉぉおおおおおおお! あぁぁぁぁあああああああああああ!」
体全体、地面に倒れ込み、そのまま眠るように気絶してしまった。
いや砲丸が一つ以外も卑怯なことしていたけどもな、そんなことを考えているとどこからともなく声がした。
「全く、全然使えないなぁ、力也は……仕方ない、アタシが相手になろう」
すると急に目の前に禍々しい、黒と紫のマーブル模様のようなオーラを纏った大人の女性が出現した。
えっ、どうしよう、という思う暇も無く、私はそのオーラに包み込まれた。
何だか息ができない。
視界も何も見えない。
もしかするともう負け?
このまま終わり?
ふと気付けば落下しているような感覚。
地獄に落ちているの?
何なの一体。
急に尻もちをついたと思ったら、目の前になんと転校してしまったはずのあの幼馴染が立っていた。
・【15 砲丸勝負】
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「次は砲丸投げだぁぁぁあああああああああああああ!」
咆哮と種目名を同時に合わせたなぁ、と思っていると、力也くんはこんなことを言い出した。
「砲丸は一個しかないからな、オマエらはオマエらで砲丸を用意しな!」
私はさすがに、と思って、
「地面に線書いてそれを記録にすればいいじゃん」
「いや! オマエらは何らかの不正をするかもしれないからな!」
「その場合、自分で砲丸を用意したほうが不正っぽくない?」
「それはもういいとする! 俺様は俺様の砲丸を使う!」
「というか力也くんの砲丸に何か不正があるかもしれないし」
「無い! それは絶対に無い!」
いや嘘くさいなと思っていると、トースくんが、
「じゃあ俺が風のスピードを利用してすぐに砲丸を体育館から持ってきますよ」
と言ったその時だった。
力也くんがデカい声でこう言った。
「ダメだ! 一人でもこの場からいなくなったら逃げたとみなしてオマエらの負けにする!」
「何で、っていう……」
私がポツリと呟くと、壁太郎くんが首を横に振ってから私に向かってこう言った。
「能力にはフィールド型の能力というものがあって、仮に力也がそういった能力を使っていた場合、本当にそういうことになってしまい、力也が負けたとは思わなくなるんだべ。一種の自己暗示だべが、そうなってしまうと多分今日中にどうにかすることは不可能だべ」
トースくんは腕を組みながら、
「まあ力也にそんな能力が使えるかどうかは分からないですけどね。ただそういう可能性もある以上、迂闊には動けなくなってしまいましたね」
ガガくんは悔しそうに、
「我が圧勝だったのに! 砲丸が無くて闘えないなんてつまらないぜ!」
ガガくんは単純に勝負を楽しんでいたんだ、と思ったところで、一つ、案が浮かんだ。
「じゃあ私たちで砲丸を作ればいいんじゃないの?」
壁太郎くんはなるほどといった感じに感嘆の息を漏らしてから、
「なるほど、じゃあ僕がオブジェの時の要領で丸い壁を作るべ」
壁太郎くんが丸みの帯びた壁を出現させた。
ガガくんは「おっ」と言ってから、
「これを完全な球体に磨いてやるぜ!」
と言って早速その球体をすごい速度で磨き始めた。
みるみるうちに砲丸のような球体を作り上げた私たち側。
これで完璧と思っていたら、力也くんがひょいっと私たちの砲丸を取り上げて、
「いや、ちょっと軽いなぁ、もっと重いだろ。砲丸って」
と言ったので、すぐさまトースくんがその力也くんが持っている私たちの砲丸に手をかざして、
「発想を飛ばします! これから投げる勝負するのにゴンゴンと重くします!」
「わわわわわっわっ」
力也くんは私たちの砲丸を持っているほうの肩を脱臼させるくらいの勢いで腕を下にさげた。
それに対してトースくんが、
「そんなリアクションしてしまうほど重くしたんだからいいですよね!」
と言うと力也くんはトースくんのことを睨みながら、
「まあいいだろう、ここまで重ければな」
と言って、私たちの砲丸を地面に転がした。
すると私たちの砲丸は地面にめり込むように止まった。
トースくん、もしかすると重くし過ぎたのでは、そんなことを思っていると、力也くんがセットポジションに入り、砲丸を投げた。
その砲丸は結構飛んで、地面に接地した時、ポスンと何だかすごく軽い音がして、コロコロと転がっていった。
いや全然あの砲丸重くない……果たしてガガくんは大丈夫かなと思ったけども、全然余裕だった。
ガガくんの投げた私たちの砲丸は力也くんの砲丸が転がった先以上に飛んでいったのだ。
さすがに負けは認めるかなと思ったその時だった。
力也くんは膝から崩れ落ちて、こう言った。
「うわぁぁあああああああ! 砲丸が一つしかないと卑怯なことしてしまったぁぁああああ! 正々堂々しないとダメなのにぃぃいいいいい! こんなん負け過ぎるだろぉぉおおおおおおお! あぁぁぁぁあああああああああああ!」
体全体、地面に倒れ込み、そのまま眠るように気絶してしまった。
いや砲丸が一つ以外も卑怯なことしていたけどもな、そんなことを考えているとどこからともなく声がした。
「全く、全然使えないなぁ、力也は……仕方ない、アタシが相手になろう」
すると急に目の前に禍々しい、黒と紫のマーブル模様のようなオーラを纏った大人の女性が出現した。
えっ、どうしよう、という思う暇も無く、私はそのオーラに包み込まれた。
何だか息ができない。
視界も何も見えない。
もしかするともう負け?
このまま終わり?
ふと気付けば落下しているような感覚。
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