カラダラッパー！

【俺たちは前進あるのみ】

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・【俺たちは前進あるのみ】
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　完成した曲は、早速昼休みのライブで歌うことにした。
　いつも通り集まってくれる生徒たち。
　でももしこの中に、俺たちに対して誹謗中傷しているヤツがいたらと思うと、急にゾッとしてきた。
　みんな好意の目で見てくれていると思ったら、実は悪意の目も多くて。
　粗探しのために見に来ている人達が結構いるのでは、と思ってしまったら、少し足がすくんできた。
　いやいや、辞めるんだ。
　そんなネガティブなことばかり考えちゃダメだし、喉も閉まってしまう。
　声をハツラツと出すには、そんなこと考えないこと。
　というかちゃんと声が出なければ、悪く書かれてしまう……って、悪意がいる前提で考えるな俺！
　心の中で自分に喝を入れ、ライブはスタートした。
　紗栄子はやる気が漲っているような瞳をし、アタルも準備万端といった感じだ。
　俺だけこんな内心じゃダメだ。
　俺も頑張ろう。
　アタルがまずライブＭＣをし始めた。
「今日もみんな集まってくれて嬉しいぜ！　僕たちの全力の新曲！　『こっちだけを見てくれ！』を聞いてくれ！」
　俺はトラックを流し始めると、すぐさまマイクを持って所定の位置へついた。

《フック（翔太）》
違う言葉に騙されるな　振り回されるな
こっちだけ見てくれ　後悔はさせない
違う言葉に騙されるな　振り回されるな
こっちだけ見てくれ　さぁ、新しい船出の旅へ

《アタル》
よくある誰かにデマが拡散　聞けば出てくるエラーたくさん
怖い話にカラダも縮こまる　口も開けなくなり、意味終わる
そんなんじゃダメだ、変えるんだ　ペガサスのよう自由に羽は駆けるんだ
飛び出せ、元気な肩甲骨　誰かがフタした、つまらない天井とる
誰の声か分からない文章より　僕らだけを見て、変な紛争折り
そして僕は降りない、勝負からさ　調子は落ちない、丈夫カラダ
僕たちを信じてほしいんだ　常に真面目に紳士で濃い進化
絶対楽しませることを誓う　大きなカラダと心になる

《フック（翔太）》
違う言葉に騙されるな　振り回されるな
こっちだけ見てくれ　後悔はさせない
違う言葉に騙されるな　振り回されるな
こっちだけ見てくれ　さぁ、新しい船出の旅へ

《紗栄子》
回転寿司なら、よりどりみどり　いろいろ楽しめて濃い濃い憩い
でも関係無いモノは見ないで　見るにしても悪口以外で
魚はいいね、野菜もいいよ　肉寿司もまあいいけど、爆弾はｓｈｉｔ
いらないきっと、正直嫉妬　そういう娯楽は黙ってよ、じっと
寿司やカラダが楽しい事実　フローラルな香りに一途
瑞々しくて新鮮な香りをヘイおまち！　純白な言葉は正（せい）の味
腐った言語とはバイバイしたい　二度とソイツとは再会しない
楽しい私たちだけクルクル見て　お腹いっぱいにさせる、続く食い気

《フック（翔太）》
違う言葉に騙されるな　振り回されるな
こっちだけ見てくれ　さぁ、船で航海へ
違う言葉に騙されるな　振り回されるな
こっちだけ見てくれ　楽しい日々を公（おおやけ）に公開

　盛り上がっている会場。
　大丈夫だ。
　俺たちのこと悪く言う人はこの中にいないはず。
　改めて気合を入れ直し、二曲目に入る。
　アタルが叫ぶ。
「二曲目は『とにかく前進で』という曲だぁ！　僕たちは進み続けるよ！」
　このトラックもシンプルな作り。
　自分たちの言葉でリズムを作っていくような曲だ。

《フック（翔太）》
とにかく前進で、全神経　楽しいことを牽引で、真剣
歩みを止めない　止まるはずない
とにかく前進で、全神経　楽しいことを牽引で、真剣
時には走る　もっともっと先へ

《アタル》
とにかく前進で、全神経　楽しいことを牽引で、真剣
新鮮なカラダ、ただただ宝　リズミカルなあかさたな肌
水を弾いて、言葉弾いて　持ち続ける力強い大志で
足を一歩一歩、先をリードＨｉｐＨｏｐ　漆黒にはならない、元気しつこく
明るく腕も振っていこう　おいしい寿司も食っていこう
体内から健康、体内から洗浄　腸内洗浄したら食べる超旨い弁当
寿司弁を推薦、勿論国へ　歌って届ける、濃い音符ｙｅａｈ
ｙｅａｈ，ｙｅａｈ，平成越え令和　おいしい日々の制定を決定だ

《フック（翔太）》
とにかく前進で、全神経　楽しいことを牽引で、真剣
歩みを止めない　止まるはずない
とにかく前進で、全神経　楽しいことを牽引で、真剣
時には走る　もっともっと先へ

《紗栄子》
とにかく前進で、全神経　楽しいことを牽引で、真剣
寿司のことサンキュー　時には緩急、言葉を反芻
休むことも大切で解決　時には進みたいカラダと対決
でも和解で笑い合い　簡単に壊れない、硬い愛
つまり魚唐揚げ軍艦に敬服　つまりカラダ宝で文壇に提出
カラダ最高論文を発表　輝く発光、味噌味あって発酵
休んだらまた進みだす颯爽　元気にみんなと歌いだす合唱
開いた口へたまに寿司投げ込む　上昇気流には韻を踏み上げ乗る

《フック（翔太）》
とにかく前進で、全神経　楽しいことを牽引で、真剣
たまには休んで　リフレッシュする
とにかく前進で、全神経　楽しいことを牽引で、真剣
自分なりのペースで　行けるところまで

　ライブは勿論盛り上がった。
　でもどこか心に残る怖さもあって。
　本当に味方だけのライブのはず、と何度も反芻してしまう。
　ライブは最高だったはずなのに、自分の弱さが強く響いた。