上 下
8 / 9

08

しおりを挟む
襲撃者達が縛り上げられた後で、近くに隠れていたレイラ達が姿を現して襲撃者の前までやってきた。

襲撃者達が頭につけていた頭巾は全て外されていた。

アイザックが襲撃者のリーダーに尋ねた。

「さあ教え貰おうか?誰に頼まれた?」

襲撃者のリーダーが答えました。

「答えるわけないだろうが!!」

私は襲撃者のリーダーに尋ねました。

「誰に頼まれたのか教えて頂けませんかマスタングさん?」

「レイラこいつの事知ってるの?」

リーゼが私に尋ねてきました。

私がリーゼに答えました。

「あの人、いえユーゲルスの部下の人よ。ルイホルム公爵家に仕えていてマスタングって名前なの。」

すると襲撃者のリーダーはため息をついた後で私に答えてくれました。

「ルイホルム公爵です。ルイホルム公爵からレイラ様を殺せって指示を受けたんです。」

マロイが襲撃者のリーダーに尋ねた。

「なぜそんな事を?レイラさんは何もしていないんだぞ?」

リーゼが頷きながらリーダーに尋ねた。

「そうよ、なんでレイラが命を狙われなきゃいけないの?命を狙われる理由がないじゃない?」

マスタングがリーゼに言った。

「公爵が言うにはアンデッドとして操られたレイラ様がアンデッド達を率いて王都を襲撃を企んでいる。だからその前にレイラ様を殺して土に返さなければならないからだそうです。」

リーゼがマスタングに尋ねた。

「はあ何それ??全然意味分かんないんだけど??」

マロイがマスタングに尋ねた。

「なぜここでアンデッドという言葉が出てくるんだ?」

マスタングがマロイに言った。

「アンデッドなんて言葉じたいはレイラ様にはなんの関係もありませんよ。」

ソフィアがマスタングに言った。

「えっ??関係があるからあなた達はレイラの襲撃を命令されたんでしょ?」

するとマスタングがソフィアに言った。

「なるほど、あんた達みたいな善良に生きてきた人間には分からないかも知れませんな。まああっしも気がついたのはつい最近ですからね。いいですかユーゲルスという男の人間性を理解しておかなければダメなんです。ユーゲルスという男は心の底から腐り果ててるんですよ。」

リーゼがマスタングに言った。

「うんアイツがひどい奴だっていうのは理解してるけど、それがなんだっていうの?」

マスタングがリーゼに言った。

「普通は悪事を働いたり相手に酷い事をしたら反省したり後悔するでしょう。でもあの男にはそれがないんですよ。どれだけ悪事を働こうが酷い事をしようが反省したり後悔したりしないんです。だからどんな酷い事だって出来てしまうんですよ。」

リーゼがマスタングに聞き返した。

「だからそれとレイラが命を狙われる事とどう関係するの?」

マスタングがリーゼに答えた。

「アイツはこの前国王様にレイラ様が出っていった事を問いただされてこう答えたらしいですよ。レイラ様が何者かに殺されてしまったのだと。そしてレイラ様が襲撃者にアンデッドとして操られてしまったと。そしてこれから操られたレイラ様が他のアンデッド達を率いて王国を襲撃すると。だからその前にレイラ様を殺して土に返さなければならない。それがルイホルム公爵がレイラ様の命を狙う理由ですよ。」

ソフィアがマスタングに尋ねた。

「あのうやっぱり全然意味が分かんないんだけど?」

マスタングがソフィアに言いました。

「言ったでしょ??心が腐り果てていて自分を顧みない男だと、あの男はレイラ様が出っていったのをなかなか認めませんでした。そしてようやくレイラ様が出っていったのを認めたと思ったら今度はレイラ様が誘拐されたと言い出したんです。そして今度はアンデッドが襲ってくるとか言い出している始末です。もちろんレイラ様がご自身の判断で家を出ていかれと何度もあの男に伝えました。レイラ様の置手紙もちゃんとあの男に見せました。ですがあの男はレイラ様が出っていった現実を受け入れませんでした。結局あの男は自分のせいでレイラ様が出っていってしまったとは考えなかったんですよ。」

「つまりあの男はレイラ様が自分を見限られたと認める事ができないから、レイラ様が誘拐されたとかアンデットとして操られているとか騒いでるわけですよ。レイラ様を殺そうとしているのも全て奴の心の狭さが原因なんです。」

リーゼが呆れた様子で言いました。

「まあ知ってた事ではあるけど、なんて心の狭い男なのかしら。」

ソフィアが頷きながらリーゼに言いました。

「本当ね、目の前の出来事すら受け入れられないなんて人として器の小さすぎでしょ。」

アイザックが言いました。

「呆れてものも言えないな。」

マロイがマスタングに言いました。

「マスタングさん?レイラ様を見逃してくれないか?」

マスタングがマロイに言いました。

「それは無理だ。」

マロイがマスタングに尋ねた。

「もしかしてレイラ様を恨んでいるのか?」

マスタングがマロイに言った。

「まさか、レイラ様の命を狙ったあっしの言葉なんて信用できないとは思いますが、あっしも含めてここにいる全員レイラ様には感謝しかありません。レイラ様はあっしらの事をいつも気にかけてくださいました。少なくともあんな頭のイカレた公爵なんぞよりはるかに感謝しています。」

するとリーゼがマスタングに言いました。

「だったらなんでよ?あなたもレイラが全然悪くないって分かってるじゃない?」

マスタングがリーゼに言いました。

「あの男は取り返しのつかない事をすでにしてしまっているんですよ?」

リーゼがマスタングに尋ねました。

「アイツが何をしたの?」

マスタングがリーゼに言いました。

「アイツはルイホルム公爵家に仕える使用人達をたくさん殺したんですよあっしの妹もアイツに殺されました。アンデットとして操られているとか意味不明な事を叫びながらね。たぶん100人以上の使用人達が殺されています。家族全員で公爵家に仕えている者がほとんどです。ここにいる者達は実質的に公爵に家族を人質に取られている状況なんですよ。」

私はマスタングに尋ねました。

「それじゃあマスタングさんも?」

マスタングが私に言いました。

「ええ年の離れたルーガという弟がまだ公爵の元にいます。もしレイラ様を始末しなければアイツが弟に何をしてくるか分かりません。」

マロイがアイザックに言った。

「これは直接問題を解決するしかなさそうだな。」

アイザックがマロイに言いました。

「そうだな。だがこれは中立組織である冒険者ギルドがやることではないのだろう。」

マロイがアイザックに言いました。

「やむを得ないだろう。このままレイラさん達を見過ごす事できない。」

アイザックはマロイに頷きながら言いました。

「うむ、そうだな。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が死んだあとの世界で

もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。 初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。 だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。

御機嫌ようそしてさようなら  ~王太子妃の選んだ最悪の結末

Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。 生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。 全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。 ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。 時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。 ゆるふわ設定の短編です。 完結済みなので予約投稿しています。

【完結】強制力なんて怖くない!

櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のエラリアは、十歳の時に唐突に前世の記憶を取り戻した。 どうやら自分は以前読んだ小説の、第三王子と結婚するも浮気され、妻の座を奪われた挙句、幽閉される「エラリア」に転生してしまったらしい。 そんな人生は真っ平だと、なんとか未来を変えようとするエラリアだが、物語の強制力が邪魔をして思うように行かず……? 強制力がエグい……と思っていたら、実は強制力では無かったお話。 短編です。 完結しました。 なんだか最後が長くなりましたが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

私だけが赤の他人

有沢真尋
恋愛
 私は母の不倫により、愛人との間に生まれた不義の子だ。  この家で、私だけが赤の他人。そんな私に、家族は優しくしてくれるけれど……。 (他サイトにも公開しています)

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

処理中です...