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かつての私は結婚生活というのはもっと幸せで楽しいものだと思っていました。

でもそれは大きな間違いでした。

私が思い描いていた結婚生活などどこにもなくただただ辛く苦しいものでしかありませんでした。

私の名前はレイラ・ルイホルム20歳です。3年前にこのルイホルム公爵家であるユーゲルス・ルイホルムに嫁いできました。

あの人が私を抱いてくれたのは式を挙げてから数日だけでした。

それから彼は私を抱いてくれる事はありませんでした。

今の私はあの人からの理不尽に毎日ただただ耐え続けています。

貴族家同士の結婚だったので政略結婚ではありました。

毎日を笑って過ごしたい。そんなささやかな幻想すら政略結婚では持ってはダメなのでしょうか。

ある日の夕方、屋敷へと戻ってきたあの人はいつものように私を大声で怒鳴りつけました。

「レイラ!!貴様!!我がルイホルム家主催のパティーでよくもあんなしかめっ面をしたな。おかげで来賓者からいい笑い者だったぞ。ルイホルム家の婦人は応対一つできぬのかとな。」

「申し訳ございません。」

「ふん、本当にレイラ貴様は何もできない女よな。お前は光栄にも我がユーゲルスの妻になる事ができたのにお前はこのルイホルム家の名を汚し続けている。ちゃんとその事を自覚しているか?」

「私は至らない女で申し訳ございません。」

「全くだ。お前の顔にもその貧相な体にも公爵家夫人としてもお前は妻として何の役にも立っていない。」

「申し訳ございません。」

私は謝り続けた。まるで意思なき人形のようにただただ謝り続けた。

言い返したい事は山ほどあった。

まずルイホルム家の主催のパーティーはたしかにうまく応対できなかったのです。

ですがあの日は体調も悪かったので欠席させてほしいとお願いしていました。

私が体調が悪いと言ってあなたはこう言いましたよね。

「なに?体調が悪いだと??ふざけるな?王家主催のパティーが急遽中止になってしまって代わりに我がルイホルム家が執り行う事にしたんだぞ!!この私の評判を上げる絶好のチャンスなのだ。そんなもん気合でなんとかしろ!!!」

貴方が覚えているかは知りませんが私が体調が優れないのは知っていましたよね。それを知っていたにも関わらず私に無理を押してパーティに出席したんですよ。それで出席したらこの言われようです。

だったらパティーなど開催しなければよかったじゃないですか?

でも私はこの人に言い訳をしなくなりました。言い訳をしたところで余計に悪化するだけだからです。

「申し訳ありません。」

私は何度も何度もあの人に謝りました。

「貴様、いつも謝るばかりで何もできていないではないか!!!」

「少しは次にいかそうという考えは持っていないのか??」

そういうと私の着ている紫色のドレスの胸元を捕まれました。

ユーゲルスが私を締め上げました。

あの人の声が頭の中に響き渡ります。

「レイラ、貴様、次こんな失敗をしたらどうなるかわかっているだろうな!!!」

私は目に涙を浮かべながらただただこの人に謝り続けました。

「申し訳ございません。申し訳ございません。ユーゲルス様申し訳ございません。」

激高したユーゲルスは付き人に持たせているカバンをふんだくるとカバンを乱暴に開けて魔道杖を振りかざしたのでした。

この魔道杖は家宝の一つである魔道具です。雷の魔法をどこでも発生させる事ができる魔道具で、これであの人は気にいらない事があると私に電撃を浴びせてくるのです。

私はこれを何度も浴びせられており、その都度意識を失って倒れています。

あの魔道具によって雷が浴びせられてしまう。

私は目をつぶり恐怖に打ち震えました。

すると使用人のローザの声が響きました。

「旦那様、奥様も体調が悪かったのです。どうかそのあたりでお許しくださいませんか?」

目を開けると屋敷に仕えている使用人のローザが私を庇ってたのでした。



ユーゲルスは使用人であるローザを睨みつけます。

「なんだと??使用人の分際で、このユーゲルス様に意見するつもりか!!」

するとユーゲルスは私を手から放しました。

私は廊下の床に足をつけました。

「なら代わりに貴様に雷を浴びせてやろう。」

ユーゲルスのこの言葉を聞いてまた私は怖くなってきました。

お願いやめて。

ユーゲルスが使用人にローザを拳で殴りつけました。

何度も何度もユーゲルスはローザを殴りつけた。

すると他の使用人たちがこの人を止めにかかりました。

「ユーゲルス様、どうか落ち着きくださいませ!!!」

「公爵様、どうか心を落ち着けてくださいませ。」

「貴様ら!!このユーゲルス様に歯向かうつもりか!!!」

「いいだろう。お前ら使用人ごときに公爵家の家宝である雷帝の杖を使うなど本来ならありえんがそんなに雷が浴びたいなら浴びせてやろう!!!」

お願い止めて。

でも恐ろしくて声も何も出せずに震えていました。

するとそこに別の使用人がやってきていいました。

「ユーゲルス様、失礼します。」

「なんだ?」

ユーゲルスはその使用人を睨みつけます。

「王宮より国王様のご使者が参られました。」

するとユーゲルスの表情が緩みました。

「国王様からの使者だと??国王様はなんと?」

使用人がユーゲルスに言います。

「この前のパティーは大変見事であったと。国王様じきじきにユーゲルス様にお礼を申し上げたいとの事です。」

するとユーゲルスは満面の笑みを浮かべてその使用人に言いました。

「おお、そうか。分かった。ならば使者には直接余が会うとしよう。」

「承知いたしました。」

この人は上機嫌になり屋敷から応接室への向かっていきました。

「良かった。今日は電撃を浴びせられずにすみました。」

私は安堵のため息をこぼしました。

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