上 下
9 / 25

人々の困惑

しおりを挟む
私はクラインと一緒に頭を抱えていました。

宿屋の主人が魔導灯をスイッチをいじりながら困惑していました。

「魔導灯が一切つかなくなっちゃったよ。宿屋に設置してる魔導灯が一斉に故障とか勘弁しておくれよ。」

クラインが宿屋の主人に尋ねました。

「ご主人??釜の修理はできたんですか?」

主人がクラインに言った。

「釜はまだ直ってないんだよ。一通り故障してそうな所を見たんだけど、どこが壊れてるのかさっぱりでね。」

主人がクラインに言った。

「そうなんですか。」

「ああすまないね。」

クラインが宿屋の主人に言いました。

「魔導灯(まどうとう)が一切つかないとなるとこのまま暗くなると危なくなりますね。暗くなる前に松明かランプを用意した方がいいでしょう。ご主人?松明用のまきかランプはありますか?」

主人がクラインに言った。

「村はずれの小屋にあるけど。」

クラインが主人に言った。

「では暗くなる前に取りに行ってきます。」

主人がクラインに言った。

「そうかい、すまないね。」

私はクラインに言いました。

「なら私も手伝いますよ。」

私達はすぐに村はずれにある小屋へと向かいました。

私達は少し歩いて村はずれにある小屋の中に入ると中に積まれていたランプや薪を外に出しました。

私は手にランプの入った箱を持ちながら移動しました。

そしてクラインは薪を背負って移動しました。

クラインが私に言いました。

「しかしここで君と会えるとは思ってなかったよ。本来なら一泊せずにそのまま帝国に戻る予定だったからね。」

私はクラインに尋ねました。

「そうなんですか?交渉が難航していたんですか?」

クラインが私に言いました。

「いやそうではなくて移動に思いのほか時間を取られてね。来る時に使ったルートで何か所も通行止めになっていて予定より遅れてしまっていた。」

私は気になってクラインに尋ねました。

「そうなんですね。ところでその通行止めになっていた理由は分かりますか?」

クラインが私に言いました。

「トンネルでは照明装置が突然壊れたと言っていたし、橋は突然開閉できなくなったと言っていたけど。どっちも魔導装置の故障みたいだったけど?それがどうかしたかい?」

私はクラインに言いました。

「いえ?少し気になったもので。」

どうしましょう。かなり深刻な事態になりつつあります。

私はこの事態に心当たりがあったのです。

私達は離れた小屋からランプと薪を持って宿屋の前へと戻ってきました。

私は周囲を見渡してみました。

もうすぐ日暮れだというのに街灯がつく気配はありませんでした。

クラインが不思議そうな顔で言いました。

「うーん。どういう事だ??町の魔導灯も灯る気配がないな。」

私がクラインに言いました。

「ビリーの町の街灯がつかなくてみなさん慌てているみたいですね。町の人達も私達と同じように慌ててランプや薪を準備しているみたいですね。」

ビリーの町の人々は慌ただしそうにランプの準備をしていました。

クラインは頭をかしげて言いました。

「一体どうなっている?宿屋だけではなくビリーの町全体がこうなのか。」

どうやら間違いない。

私はこうなった原因に心当たりがあり、そして今その原因を確信しました。

私はこの状況を解決するために、ビリーの町の人々にこうお願いしました。

「すいません、町で使っている魔法石を宿屋前の広場に集めてもらえませんか?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私たち、殿下との婚約をお断りさせていただきます!というかそもそも婚約は成立していません! ~二人の令嬢から捨てられた王子の断罪劇

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「私たち、ハリル王子殿下との婚約をお断りさせていただきます!」伯爵家の姉妹フローラとミルドレッドの声がきれいに重なった。王家主催の夜会で、なんとハリル王子に対し二人の姉妹が婚約破棄を申し出たのである。国王も列席する場で起きた前代未聞の事態に、会場はしんと静まり返る。不貞を働いたことを理由に婚約破棄を申し渡したはずのフローラと、心から愛し合っていたはずの新しい婚約相手ミルドレッドからの婚約破棄の申し出に、混乱するハリル王子。しかもそもそもフローラとの婚約は受理されていないと知らされ、ハリルは頭を抱える。そこにハリルの母親であるこの国の側妃アルビアが現れ、事態は運命の断罪劇へと進んでいく。 一風変わった婚約破棄からはじまる断罪ざまぁストーリーです。 ※この作品は小説家になろう、カクヨム等他サイトでも掲載中です。

婚約破棄でも構いませんが国が滅びますよ?

亜綺羅もも
恋愛
シルビア・マックイーナは神によって選ばれた聖女であった。 ソルディッチという国は、代々国王が聖女を娶ることによって存続を約束された国だ。 だがシェイク・ソルディッチはシルビアという婚約者を捨て、ヒメラルダという美女と結婚すると言い出した。 シルビアは別段気にするような素振りも見せず、シェイクの婚約破棄を受け入れる。 それはソルディッチの終わりの始まりであった。 それを知っているシルビアはソルディッチを離れ、アールモンドという国に流れ着く。 そこで出会った、アレン・アールモンドと恋に落ちる。 ※完結保証

婚約破棄してきた王子、我が父に復讐される。~彼はすべてを失いました……意外な形で~

四季
恋愛
婚約破棄してきた王子、我が父に復讐される。

え、幼馴染みを愛している? 彼女の『あの噂』のこと、ご存じないのですか?

水上
恋愛
「おれはお前ではなく、幼馴染である彼女を愛しているんだ」 子爵令嬢である私、アマンダ・フィールディングは、婚約者であるサム・ワイスマンが連れて来た人物を見て、困惑していた。 彼が愛している幼馴染というのは、ボニー・フルスカという女性である。 しかし彼女には、『とある噂』があった。 いい噂ではなく、悪い噂である。 そのことをサムに教えてあげたけれど、彼は聞く耳を持たなかった。 彼女はやめておいた方がいいと、私はきちんと警告しましたよ。 これで責任は果たしました。 だからもし、彼女に関わったせいで身を滅ぼすことになっても、どうか私を恨まないでくださいね?

【短編】側室は婚約破棄の末、国外追放されることになりました。

五月ふう
恋愛
「私ね、サイラス王子の  婚約者になるの!  王妃様になってこの国を守るの!」 「それなら、俺は騎士になるよ!  そんで、ラーニャ守る!」 幼馴染のアイザイアは言った。 「そしたら、  二人で国を守れるね!」   10年前のあの日、 私はアイザイアと約束をした。 その時はまだ、 王子の婚約者になった私が 苦難にまみれた人生をたどるなんて 想像すらしていなかった。 「サイラス王子!!  ラーニャを隣国フロイドの王子に  人質というのは本当か?!」 「ああ、本当だよ。  アイザイア。  私はラーニャとの婚約を破棄する。    代わりにラーニャは  フロイド国王子リンドルに  人質にだす。」  

義妹に婚約者を奪われて国外追放された聖女は、国を守護する神獣様に溺愛されて幸せになる

アトハ
恋愛
◆ 国外追放された聖女が、国を守護する神獣に溺愛されて幸せになるお話 ※ 他の小説投稿サイトにも投稿しています

【4話完結】聖女に陥れられ婚約破棄・国外追放となりましたので出て行きます~そして私はほくそ笑む

リオール
恋愛
言いがかりともとれる事で王太子から婚約破棄・国外追放を言い渡された公爵令嬢。 悔しさを胸に立ち去ろうとした令嬢に聖女が言葉をかけるのだった。 そのとんでもない発言に、ショックを受ける公爵令嬢。 果たして最後にほくそ笑むのは誰なのか── ※全4話

婚約破棄、果てにはパーティー追放まで!? 事故死を望まれた私は、第2王子に『聖女』の力を見出され性悪女にざまぁします

アトハ
恋愛
「マリアンヌ公爵令嬢! これ以上貴様の悪行を見過ごすことはできん! 我が剣と誇りにかけて、貴様を断罪する!」  王子から突如突き付けられたのは、身に覚えのない罪状、そして婚約破棄。  更にはモンスターの蔓延る危険な森の中で、私ことマリアンヌはパーティーメンバーを追放されることとなりました。  このまま私がモンスターに襲われて"事故死"すれば、想い人と一緒になれる……という、何とも身勝手かつ非常識な理由で。    パーティーメンバーを追放された私は、森の中で鍋をかき混ぜるマイペースな変人と出会います。  どうにも彼は、私と殿下の様子に詳しいようで。  というかまさか第二王子じゃないですか?  なんでこんなところで、パーティーも組まずにのんびり鍋を食べてるんですかね!?  そして私は、聖女の力なんて持っていないですから。人違いですから!  ※ 他の小説サイト様にも投稿しています

処理中です...