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25話 追放のツケ
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勇者クレシーはおおきな馬車に乗って移動をしていた。
その馬車を取り巻くように冒険者達は移動していた。
クレシーはたくさんの冒険者達に自分の荷物持ちをさせていた。
クレシーが集めている武器や鎧のコレクションをわざわざ冒険者達に運ばせていたのだった。
するとクレシーのコレクションの一つであるヒスイの鎧を運ばされていた冒険者の一人がクレシーに言ったのだった。
「大勇者クレシー様、クレシー様の装備をアイテムボックスにしまわれてはどうでしょうか?」
すごい重さのヒスイの鎧を背中に背負って運ぶのは重労働でとても大変だったので、この冒険者は収納魔法の一つであるアイテムボックスを使って運ぶ事を提案したのだった。
これを聞いたクレシーは大声でその冒険者に怒鳴りつけた。
「ばかものが!!この大勇者クレシー様のコレクションをあんな場所にしまえと言うのか!!!いいかこの大勇者クレシー様のコレクションをお前たち特別に運ばせてやってるんだ!!だからありがたく運べ!!分かったか!!」
勇者クレシーは収納魔法であるアイテムボックスを使う事を嫌っていた。
アイテムボックスを使ってしまったら、部下の冒険者達に自分のコレクションを見せびらかす事ができないからだった。
クレシーは冒険者達に自分の装備コレクションを見せびらす為に、わざわざアイテムボックスを使わずに運ばせているのだった。
このふざけた理由によって荷物持ちにされた冒険者達はとてつもない重労働を強いられたのだった。
もちろん無理矢理持たせているコレクションを落としたり、傷つけてしまった冒険者はクレシーから例外なく激しい暴行を受けたのだった。
そんなこんながあったが、この遠征隊はさらなる困難に見舞われたのだった。
今回の目的地は迷いの森であったが、遠征隊はなぜか洞窟の前にやってきてしまっていた。
クレシーが大声で怒鳴り散らす。
「おい!!!洞窟の前に来たぞ!!ここで本当にあっているのか?」
「大勇者クレシー様申し訳ありません。どうやらここではないようです。」
「そんなもん見ればわかるわ!!」
それから遠征隊は道に迷ってしまい、あちこちをウロウロする事になってしまった。
何度も同じ場所をグルグル回ってしまっていた。
先導していた冒険者がクレシーに言った。
「大勇者クレシー様、申し訳ありません。どうやら迷ってしまったようです。」
「この役立たずが!!いつまでウロチョロする気だ!!道案内一つできないのか!!このカス冒険者が!!」
それから長い時間をかけてようやくクレシー率いる遠征隊は目的地である迷いの森の前に到着したのだった。
「ここが迷いの森です。」
「やっと着きやがったか。このカス冒険者が!!」
「すぐに大勇者クレシー様の装備をご用意いたします。本日のご装備はなんにいたしますか?」
「ああっ!!馬鹿言ってるんじゃねえ!!!迷いの森の探索なんてするわけないだろうが!!!」
「えっ、大勇者クレシー様の雄姿を見せて頂けるのでは?」
「そんなもんやめに決まってるだろうが!!!こんだけ大勇者クレシー様の貴重な時間を無駄使いさせといてこれ以上さらに無駄使いさせる気か!!テメエらだけでさっさと行ってこい!!」
これを聞いた冒険者数十人が慌てて準備を済ませると、駆け足で迷いの森の中へと入っていた。
クレシーは馬車の中で報告を待っていた。
昼を過ぎるとどんどん気温が上がっていった。
クレシーのいる馬車の中は蒸し風呂のような暑さになっていた。
「はーあ、以外に暑いなここは。」
同じ馬車に乗っていたマスタングがクレシーに言った。
「この近くに火山があるのかもしれません。」
するとクレシーが外で待機していた冒険者達にこう命令したのだった。
「おい、氷魔法のフリーズを唱えて俺の上空に放て!!!この大勇者クレシー様の周りの空気を冷やすんだ。」
たくさんの冒険者達がクレシー一人のために氷魔法のフリーズを唱えた。
だがすぐには涼しくなる事はならなかった。
クレシーが外でフリーズを唱えている冒険者達を怒鳴りつけた。
「おい、全然涼しくならないぞ!!どうなってんだ!!」
冒険者達が汗だくになりながら必死にフリーズを唱え続ける。
そのかいもあってようやく涼しくなり始めたのだった。
だがクレシーは感謝などは一切せずにさらに罵声を浴びせたのだった。
「やっと涼しくなってきな!!ったく!!ろくに空気一つ冷やせないのか、この冒険者崩れ共が!!」
「大勇者クレシー様はこれから昼寝をする。いいかフリーズを唱え続けて空気を冷やし続けろ!!分かったな!!!」
クレシーはそう言うと眠りにつこうとした。
外の冒険者達は汗だくになりながらクレシーの命令通りにフリーズを唱え続けた。
すると今度はフリーズが効きすぎたらしく、凍えるような冷気がクレシーを襲ったのだった。
「ひえー!!なんだこの寒さは!!」
クレシーがまた外の冒険者達を怒鳴りつける。
「ふざけるな!!この大勇者クレシー様を氷漬けにする気か!!!!限度を考えろ、このアホ共が!!!ずーっとフリーズを唱え続けるとかお前ら馬鹿なのか!!一体何考えてやがるんだ!!!」
冒険者達に全く非はなかったが、冒険者達はクレシーに謝り続けるしかなった。
「大勇者クレシー様!!申し訳ございません。」
「すいませんでした、大勇者クレシー様。」
「大勇者クレシー様、迷いの森に入った冒険者達が戻ってまいりました。」
クレシーはすぐに戻ってきた冒険者を呼びつけたのだった。
そしてクレシーは戻ってきた冒険者達にこう言った。
「おい迷いの森の探索はどうなった。もちろんレアアイテムをたくさん見つけてきたんだろうな!!発見したアイテムは全てこの大賢者クレシー様に献上しろ!!!いいな。」
冒険者がダンジョンなどで見つけたものは当然その見つけた冒険者のものであったが、もちろんクレシーはそんな常識は持ち合わせていなかった。
クレシーは戻ってきた冒険者達からレアアイテムを巻き上げようと考えていたのだった。
だが戻ってきた冒険者達は大したアイテムをクレシーに差し出さなかったのだった。
クレシーがレアアイテムを献上しない事に激怒していた。
「なんだこれは!まんげつ草や獣の皮ばかりじゃないか!!迷いの森の最奥にある幻のレアアイテムがこんなちゃちいアイテムなわけないだろうが、さては貴様ら我が身かわいさに着服しやがったな!!この大勇者クレシー様から着服しようとはいい度胸だ!!」
すると慌てた冒険者達が弁明を始めたのだった。
「そうではありません大勇者クレシー様。迷いの森の攻略に失敗してしまったのです!!!迷いの森の中は自然の迷路になっているのです。とても入り組んでおり同じような風景がずっと続いていました。魔物達も中々に手強く、とてもではないですが最奥のエリアまで進む事ができなかったのです。ですのでほとんど探索が進んでいない状況で戻ってきたのです。」
「なんだと、それじゃあ盗賊達が隠した幻のレアアイテムは?」
「残念ながら発見できませんでした。」
「ふざけんな!!道に迷うわ!!!レアアイテムを持ち帰らないわ!!!テメエら何にもデキネエじゃねえか!このゴミ冒険者共が!!」
「大勇者クレシー様、迷いの森の攻略は諦めて王都に引き上げてはいただけないでしょうか?」
「引き上げろだと、ふざけるな!!この大勇者クレシー様がダンジョンの攻略に失敗したなどという事があってたまるか!!大勇者クレシー様の名誉が大きく傷ついてしまうだろうが!!新しく攻略メンバーを編成し直してもう一回行ってこい!!」
「大勇者クレシー様、お怒りを覚悟で申し上げます。これ以上迷いの森の攻略を続けるのは無謀にございます。どうか今回は攻略を諦めて王都にご帰還くださいますようお願いします。」
「何度も言わせるな、この大勇者クレシー様がダンジョン攻略に失敗する事などあってはならないのだ!!」
「そう言われましても、今回の失敗は大勇者クレシー様にも責任があるのですよ。大勇者クレシー様が竜騎士の方々を追放してしまったせいで彼らから無償でもらっていた地形情報が全く得られなくなったのです。そのせいで迷いの森の探索すらままならなくなったのです!!」
「貴様はアホか!!そんなもん探知魔法のサーチを使えばいいだろうが!!」
「大勇者クレシー様、探知系魔法というものが大幅に増幅された状態で使用しているという事をご存じないのですか?」
「なんだと。」
「大勇者クレシー様、探知系の魔法というものの威力や効果範囲というものは本来はもっと小さく狭い範囲にしか使えないものなのです。いつも我々が探知魔法の効果を存分に発揮できているのはジャンさん達が王国の至る所に発動補助結界を設置してくれているからなのですよ。」
「ですがこの迷いの森に設置されていた発動補助結界の効力がかなり落ちてきているのです。当然ですよね、大勇者クレシー様がジャン殿を追放してしまって発動補助結界をメンテナンスする人間がいなくなってしまったのですから。これだけ発動補助結界の力が落ちている状況では探知魔法の魔法の効果が大きく減少してしまいます。こんな状況ではとてもではないですが迷いの森の攻略などできる訳がありません。」
クレシーは怒り心頭の顔でその冒険者に言った。
「それじゃあ何か、この大勇者クレシー様のせいで迷いの森の攻略に失敗した、お前はそう言いたいのか!!」
「その意味で申し上げております。」
「いいかこら!!!よく聞きやがれ!!!ジャン・リヒターは竜にまたがるだけの無能な奴なんだ!!!他の連中も同様だ。つまりジャン・リヒターは何をする事もできない無能でしかないという事だ!!この大勇者クレシー様が言ってるんだ、だから間違いない事なんだよ!!」
「ですが現に迷いの森のクエストに失敗してしまいました。それに大賢者ラズバー様は竜騎士ジャン殿に倒されたとも聞きました。とてもではないですがジャン・リヒター殿が大勇者クレシー様の仰るような無能な連中とはとても思えません。認識を改めた方がいいと思いますよ。」
その冒険者は最もな意見をクレシーに言っただけであったが、クレシーは怒りに震えていたのだった。
「貴様なぜだ、ジャン・リヒターなんぞの、なぜあんな竜にまたがるだけの無能の肩など持つのだ?そうか分かったぞ貴様!!さては金を貰っているな!!!あの無能に買収されたか!!!そうだよな!!そうでなければこのあんな無能の肩を持つはずがないからな!!」
「そのようなものはもらっておりません!!!私はただ事実を述べただけです!!」
クレシーが大声で怒鳴りつけた。
「黙れ!!この大勇者クレシー様を裏切ったカス冒険者め!!」
そしてクレシーは差している剣を抜いてその冒険者の胸を貫いたのだった。
クレシーに何度も何度も胸を貫かれて、その冒険者は倒れ込み息絶えたのだった。
クレシーはその冒険者に吐き捨てた。
「竜にまたがる無能なんぞの肩を持つからだ!!このカス冒険者め!!」
他の冒険者たちが顔を青くしていると、クレーシがこう命令したのだった。
「おい、このカス冒険者をとっとと片づけておけ!!」
他の冒険者達が顔を蒼くしながら慌ててその冒険者の遺体を運び出していった。
クレシーはそれでも怒りが収まらないのだった。
「ええい!!!どいつもこいつもあんな無能を優秀だ優秀だと言いやがって!!!」
「おい35号!!やはりあの無能に罰を与えるぞ!!」
「と仰いますと?」
「ジャン・リヒターとそれに味方している連中に大きな忠罰を与える!!奴らに目にものをめせてやるのだ!!」
「はっ!!了解いたしました。それで大勇者クレシー様、具体的には何をすればよろしいでしょうか?」
「馬鹿野郎、35号!!大きな罰をどう与えるかはお前が考えるんだ!!さっさと考えろ!!分かったな!!」
「分かりました。では大勇者クレシー様、このような策はいかがでしょうか?」
そしてマスタングがクレシーにその考えを教えたのだった。
「うむ、いいな。あの竜にまたがるだけの無能がこの大勇者クレシー様に歯向かった事を後悔するに違いない!!待っていろよ、ジャン・リヒター!!」
その馬車を取り巻くように冒険者達は移動していた。
クレシーはたくさんの冒険者達に自分の荷物持ちをさせていた。
クレシーが集めている武器や鎧のコレクションをわざわざ冒険者達に運ばせていたのだった。
するとクレシーのコレクションの一つであるヒスイの鎧を運ばされていた冒険者の一人がクレシーに言ったのだった。
「大勇者クレシー様、クレシー様の装備をアイテムボックスにしまわれてはどうでしょうか?」
すごい重さのヒスイの鎧を背中に背負って運ぶのは重労働でとても大変だったので、この冒険者は収納魔法の一つであるアイテムボックスを使って運ぶ事を提案したのだった。
これを聞いたクレシーは大声でその冒険者に怒鳴りつけた。
「ばかものが!!この大勇者クレシー様のコレクションをあんな場所にしまえと言うのか!!!いいかこの大勇者クレシー様のコレクションをお前たち特別に運ばせてやってるんだ!!だからありがたく運べ!!分かったか!!」
勇者クレシーは収納魔法であるアイテムボックスを使う事を嫌っていた。
アイテムボックスを使ってしまったら、部下の冒険者達に自分のコレクションを見せびらかす事ができないからだった。
クレシーは冒険者達に自分の装備コレクションを見せびらす為に、わざわざアイテムボックスを使わずに運ばせているのだった。
このふざけた理由によって荷物持ちにされた冒険者達はとてつもない重労働を強いられたのだった。
もちろん無理矢理持たせているコレクションを落としたり、傷つけてしまった冒険者はクレシーから例外なく激しい暴行を受けたのだった。
そんなこんながあったが、この遠征隊はさらなる困難に見舞われたのだった。
今回の目的地は迷いの森であったが、遠征隊はなぜか洞窟の前にやってきてしまっていた。
クレシーが大声で怒鳴り散らす。
「おい!!!洞窟の前に来たぞ!!ここで本当にあっているのか?」
「大勇者クレシー様申し訳ありません。どうやらここではないようです。」
「そんなもん見ればわかるわ!!」
それから遠征隊は道に迷ってしまい、あちこちをウロウロする事になってしまった。
何度も同じ場所をグルグル回ってしまっていた。
先導していた冒険者がクレシーに言った。
「大勇者クレシー様、申し訳ありません。どうやら迷ってしまったようです。」
「この役立たずが!!いつまでウロチョロする気だ!!道案内一つできないのか!!このカス冒険者が!!」
それから長い時間をかけてようやくクレシー率いる遠征隊は目的地である迷いの森の前に到着したのだった。
「ここが迷いの森です。」
「やっと着きやがったか。このカス冒険者が!!」
「すぐに大勇者クレシー様の装備をご用意いたします。本日のご装備はなんにいたしますか?」
「ああっ!!馬鹿言ってるんじゃねえ!!!迷いの森の探索なんてするわけないだろうが!!!」
「えっ、大勇者クレシー様の雄姿を見せて頂けるのでは?」
「そんなもんやめに決まってるだろうが!!!こんだけ大勇者クレシー様の貴重な時間を無駄使いさせといてこれ以上さらに無駄使いさせる気か!!テメエらだけでさっさと行ってこい!!」
これを聞いた冒険者数十人が慌てて準備を済ませると、駆け足で迷いの森の中へと入っていた。
クレシーは馬車の中で報告を待っていた。
昼を過ぎるとどんどん気温が上がっていった。
クレシーのいる馬車の中は蒸し風呂のような暑さになっていた。
「はーあ、以外に暑いなここは。」
同じ馬車に乗っていたマスタングがクレシーに言った。
「この近くに火山があるのかもしれません。」
するとクレシーが外で待機していた冒険者達にこう命令したのだった。
「おい、氷魔法のフリーズを唱えて俺の上空に放て!!!この大勇者クレシー様の周りの空気を冷やすんだ。」
たくさんの冒険者達がクレシー一人のために氷魔法のフリーズを唱えた。
だがすぐには涼しくなる事はならなかった。
クレシーが外でフリーズを唱えている冒険者達を怒鳴りつけた。
「おい、全然涼しくならないぞ!!どうなってんだ!!」
冒険者達が汗だくになりながら必死にフリーズを唱え続ける。
そのかいもあってようやく涼しくなり始めたのだった。
だがクレシーは感謝などは一切せずにさらに罵声を浴びせたのだった。
「やっと涼しくなってきな!!ったく!!ろくに空気一つ冷やせないのか、この冒険者崩れ共が!!」
「大勇者クレシー様はこれから昼寝をする。いいかフリーズを唱え続けて空気を冷やし続けろ!!分かったな!!!」
クレシーはそう言うと眠りにつこうとした。
外の冒険者達は汗だくになりながらクレシーの命令通りにフリーズを唱え続けた。
すると今度はフリーズが効きすぎたらしく、凍えるような冷気がクレシーを襲ったのだった。
「ひえー!!なんだこの寒さは!!」
クレシーがまた外の冒険者達を怒鳴りつける。
「ふざけるな!!この大勇者クレシー様を氷漬けにする気か!!!!限度を考えろ、このアホ共が!!!ずーっとフリーズを唱え続けるとかお前ら馬鹿なのか!!一体何考えてやがるんだ!!!」
冒険者達に全く非はなかったが、冒険者達はクレシーに謝り続けるしかなった。
「大勇者クレシー様!!申し訳ございません。」
「すいませんでした、大勇者クレシー様。」
「大勇者クレシー様、迷いの森に入った冒険者達が戻ってまいりました。」
クレシーはすぐに戻ってきた冒険者を呼びつけたのだった。
そしてクレシーは戻ってきた冒険者達にこう言った。
「おい迷いの森の探索はどうなった。もちろんレアアイテムをたくさん見つけてきたんだろうな!!発見したアイテムは全てこの大賢者クレシー様に献上しろ!!!いいな。」
冒険者がダンジョンなどで見つけたものは当然その見つけた冒険者のものであったが、もちろんクレシーはそんな常識は持ち合わせていなかった。
クレシーは戻ってきた冒険者達からレアアイテムを巻き上げようと考えていたのだった。
だが戻ってきた冒険者達は大したアイテムをクレシーに差し出さなかったのだった。
クレシーがレアアイテムを献上しない事に激怒していた。
「なんだこれは!まんげつ草や獣の皮ばかりじゃないか!!迷いの森の最奥にある幻のレアアイテムがこんなちゃちいアイテムなわけないだろうが、さては貴様ら我が身かわいさに着服しやがったな!!この大勇者クレシー様から着服しようとはいい度胸だ!!」
すると慌てた冒険者達が弁明を始めたのだった。
「そうではありません大勇者クレシー様。迷いの森の攻略に失敗してしまったのです!!!迷いの森の中は自然の迷路になっているのです。とても入り組んでおり同じような風景がずっと続いていました。魔物達も中々に手強く、とてもではないですが最奥のエリアまで進む事ができなかったのです。ですのでほとんど探索が進んでいない状況で戻ってきたのです。」
「なんだと、それじゃあ盗賊達が隠した幻のレアアイテムは?」
「残念ながら発見できませんでした。」
「ふざけんな!!道に迷うわ!!!レアアイテムを持ち帰らないわ!!!テメエら何にもデキネエじゃねえか!このゴミ冒険者共が!!」
「大勇者クレシー様、迷いの森の攻略は諦めて王都に引き上げてはいただけないでしょうか?」
「引き上げろだと、ふざけるな!!この大勇者クレシー様がダンジョンの攻略に失敗したなどという事があってたまるか!!大勇者クレシー様の名誉が大きく傷ついてしまうだろうが!!新しく攻略メンバーを編成し直してもう一回行ってこい!!」
「大勇者クレシー様、お怒りを覚悟で申し上げます。これ以上迷いの森の攻略を続けるのは無謀にございます。どうか今回は攻略を諦めて王都にご帰還くださいますようお願いします。」
「何度も言わせるな、この大勇者クレシー様がダンジョン攻略に失敗する事などあってはならないのだ!!」
「そう言われましても、今回の失敗は大勇者クレシー様にも責任があるのですよ。大勇者クレシー様が竜騎士の方々を追放してしまったせいで彼らから無償でもらっていた地形情報が全く得られなくなったのです。そのせいで迷いの森の探索すらままならなくなったのです!!」
「貴様はアホか!!そんなもん探知魔法のサーチを使えばいいだろうが!!」
「大勇者クレシー様、探知系魔法というものが大幅に増幅された状態で使用しているという事をご存じないのですか?」
「なんだと。」
「大勇者クレシー様、探知系の魔法というものの威力や効果範囲というものは本来はもっと小さく狭い範囲にしか使えないものなのです。いつも我々が探知魔法の効果を存分に発揮できているのはジャンさん達が王国の至る所に発動補助結界を設置してくれているからなのですよ。」
「ですがこの迷いの森に設置されていた発動補助結界の効力がかなり落ちてきているのです。当然ですよね、大勇者クレシー様がジャン殿を追放してしまって発動補助結界をメンテナンスする人間がいなくなってしまったのですから。これだけ発動補助結界の力が落ちている状況では探知魔法の魔法の効果が大きく減少してしまいます。こんな状況ではとてもではないですが迷いの森の攻略などできる訳がありません。」
クレシーは怒り心頭の顔でその冒険者に言った。
「それじゃあ何か、この大勇者クレシー様のせいで迷いの森の攻略に失敗した、お前はそう言いたいのか!!」
「その意味で申し上げております。」
「いいかこら!!!よく聞きやがれ!!!ジャン・リヒターは竜にまたがるだけの無能な奴なんだ!!!他の連中も同様だ。つまりジャン・リヒターは何をする事もできない無能でしかないという事だ!!この大勇者クレシー様が言ってるんだ、だから間違いない事なんだよ!!」
「ですが現に迷いの森のクエストに失敗してしまいました。それに大賢者ラズバー様は竜騎士ジャン殿に倒されたとも聞きました。とてもではないですがジャン・リヒター殿が大勇者クレシー様の仰るような無能な連中とはとても思えません。認識を改めた方がいいと思いますよ。」
その冒険者は最もな意見をクレシーに言っただけであったが、クレシーは怒りに震えていたのだった。
「貴様なぜだ、ジャン・リヒターなんぞの、なぜあんな竜にまたがるだけの無能の肩など持つのだ?そうか分かったぞ貴様!!さては金を貰っているな!!!あの無能に買収されたか!!!そうだよな!!そうでなければこのあんな無能の肩を持つはずがないからな!!」
「そのようなものはもらっておりません!!!私はただ事実を述べただけです!!」
クレシーが大声で怒鳴りつけた。
「黙れ!!この大勇者クレシー様を裏切ったカス冒険者め!!」
そしてクレシーは差している剣を抜いてその冒険者の胸を貫いたのだった。
クレシーに何度も何度も胸を貫かれて、その冒険者は倒れ込み息絶えたのだった。
クレシーはその冒険者に吐き捨てた。
「竜にまたがる無能なんぞの肩を持つからだ!!このカス冒険者め!!」
他の冒険者たちが顔を青くしていると、クレーシがこう命令したのだった。
「おい、このカス冒険者をとっとと片づけておけ!!」
他の冒険者達が顔を蒼くしながら慌ててその冒険者の遺体を運び出していった。
クレシーはそれでも怒りが収まらないのだった。
「ええい!!!どいつもこいつもあんな無能を優秀だ優秀だと言いやがって!!!」
「おい35号!!やはりあの無能に罰を与えるぞ!!」
「と仰いますと?」
「ジャン・リヒターとそれに味方している連中に大きな忠罰を与える!!奴らに目にものをめせてやるのだ!!」
「はっ!!了解いたしました。それで大勇者クレシー様、具体的には何をすればよろしいでしょうか?」
「馬鹿野郎、35号!!大きな罰をどう与えるかはお前が考えるんだ!!さっさと考えろ!!分かったな!!」
「分かりました。では大勇者クレシー様、このような策はいかがでしょうか?」
そしてマスタングがクレシーにその考えを教えたのだった。
「うむ、いいな。あの竜にまたがるだけの無能がこの大勇者クレシー様に歯向かった事を後悔するに違いない!!待っていろよ、ジャン・リヒター!!」
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が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
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俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
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