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次の日さらにマルステイン王国を揺るがす大問題が発生したのです。
王宮の大広間では国王が深刻な様子でみなに状況を説明していた。
「さきほどマレルに駐屯する兵士達より報告がきた。昨日の夜半から王国を守っていた結界が完全に消失してしまった。さらに魔物達を払うベリスの加護も全ての効力が無くなってしまったようだ。」
集められた人々は困惑した様子を浮かべていた。
「結界が消失??」
「ベリスの加護の効力がなくなった??」
「それでは魔領との国境線はどうなっているのです?」
「恐らく魔物達が多数なだれ込んできているだろう。」
魔領というのは魔物達がとてもたくさん住んでいる地域の事で、マルステイン王国の国境は大半がこの魔領に接しておりこの魔領からの魔物の侵入を防ぐために結界を張る必要があったのです。
国王がスザンヌに尋ねた。
「スザンヌ??これはどういう事だ??」
スザンヌが国王に言いました。
「私はちゃんとやりましたよ。」
王妃がスザンヌに言いました。
「つまり、結界の維持をしてくれたという事ですか?」
スザンヌが王妃に言いました。
「違いますそんな事するわけないじゃないですか、大聖女の仕事をしてたんです。ずっと寝っ転がってゴロゴロしてました。」
王妃がスザンヌに尋ねた。
「なぜ結界の維持をしなかったんですか?結界を維持させるために、強力な魔法石をいくつも渡したでしょう。」
スザンヌが王妃に言いました。
「だって、私結界を維持させる方法なんて知らないし。」
王妃が驚いてスザンヌに言いました。
「なんですって??スザンヌさん??あなたは結界魔法の訓練はしてないという事ですか?」
スザンヌが王妃に言いました。
「魔法の勉強とか訓練とかそんなめんどくさい事するわけないじゃないですか。」
王妃がスザンヌに尋ねた。
「ベリスの加護の効果がなくなったのはどういう事ですか?」
「さあ?分かりません??」
「スザンヌさん?あなたちゃんと女神べリス様に祈りを捧げたのですよね?」
「女神に祈りを捧げた??そんな事するわけないじゃないですか?私は大聖女になったんです。つまり高貴な人間になったんです。それなのになんで女神なんかに祈らなければならないんですか?」
「スザンヌさん。どうやらあなたは加護を与えるという事が分かっていないようですね。」
「加護を与えるってなんですか?」
「加護を与えるというのはこの世界を司る女神ベリス様に祈りを捧げる事でベリス様からのお力をお借りして魔物を追い払う力を付与する事をいいます。ベリス様のお力があれば魔物を追い払う事ができるのです。私が身に着けているこの首飾りにもベリス様の力を付与してありますから、これを身に着けていれば魔物は寄ってこなくなるんです。ですから魔物を払うお守りであるべリスの加護を作るのは、大聖女の大きな仕事の一つなんです。」
スザンヌは他人事のように感心するのだった。
「へえー??そうなんですね。」
「スザンヌさん??あなた加護を与えることもできないんですか??」
「はい、その加護を与えるっていうのもできませんね。」
「結界の維持方法も展開方法も分からない、加護の与えることもできない。治癒院の仕事は放棄する。スザンヌさん??それでよく女神ベリス様から信託を授かる事ができましたね。」
「信託なんて授かってませんよ。」
「信託を授かってない???だったらなんで大聖女を名乗ったんです!!あの人にも大丈夫お任せくださいと言ったのでしょう!!」
「だってマリーみたいな悪役令嬢でも大聖女が務まったんですよ。私みたいな有能な人間なら目をつぶっててもできるはずですよ。それに大聖女になってみんなからチヤホヤしてもらいたかったんです。だって大聖女ってゴロゴロし放題でチヤホヤしてもらえるじゃないですか。」
国王と王妃はスザンヌで頭を抱えたのだった。
二人は大きくため息をついた後で、王妃セリーナが国王に言いました。
「あなた申し訳ありません、スザンヌさんをフォローすれば何とかなると思っていた私が浅はかでした。すぐに結界を張り直しに向かいます。」
国王が王妃に言いました。
「セリーナ、お前は昨日から一睡もせずに頑張っておるのだ。ここは余が体を張ればすむ話だ。」
国王が皆に言いました。
「これより余が自ら出撃して国境線に現れた魔物の討伐に向かう。騎士と兵士達はすぐに出撃の準備を始めよ!!!」
大広間に集まっていた者たちが一斉に答えた。
「はっ!!」
国王がフェルドに言った。
「フェルド??すぐに準備を済ませるのだ。」
フェルドが国王に言った。
「何を行ってるんですか父上?私は行きません。」
「なんだと??」
「私はこの国を継ぐ王子で価値ある人間なのです。私のような高貴な人間が下賤な連中の為に命を張るなどありえません。」
「フェルド??お前今の状況が分かっておるのか?お前が新しい大聖女として連れてきたスザンヌが大聖女としての役割を果たせずに失敗してしまったのだ。お前のせいで多くの民たちが危険に晒されておるのだぞ!!」
「父上!!それは違います。スザンヌはよくやっています。マリーと違ってよく大聖女としての役目を果たしています。大聖女としても私の婚約者としても申し分ない女性ですよ。」
「お前の目はふし穴か?マリー殿が大聖女を務められていた時は、こんな事は一度もなかったぞ!!だがスザンヌが聖女に就いた途端に未曾有の危機が起こっておるのだ。スザンヌは聖女としてもお前の婚約者としても不適格だと言わざるおえんだろうが!!!」
「なんといわれようとスザンヌは大聖女に適任なのです。」
「ええい!!とにかくフェルド!!今は出撃の準備をせよ!!良いな!!」
「断ります!!このフェルドは下賎な連中と違ってこの王国で一番有能で価値ある人間なのです。その私がかすり傷でも負ったらどうするつもりなんですか?」
国王様は大きな声でフェルドに言いました。
「もうよいわ!!勝手にせよ!!!」
ですがフェルドは話を続けました。
「お待ちください父上!!話はまだ終わっていません!!王国軍の半分を王城に残していってください!!」
国王が呆れた様子で聞き返しました。
「なんだと?」
「いいですか私は王国で一番有能な人間です。もしこのフェルドの身に何かあったらどうするのですか?下賤な連中にはこのフェルドとスザンヌの為に命を張らなければならないのです。騎士や兵士そして下賎の連中には私とスザンヌを守る義務があるのですから。」
するとスザンヌが国王様に言いました。
「あっ国王様!!もっとたくさんの兵士を置いて行ってもらえませんか?」
フェルドがスザンヌにその理由を尋ねた。
「どうしてだい??スザンヌ??」
スザンヌがフェルドに言いました。
「せっかく大聖女になってフェルド王太妃にもなるんだから、たくさんの使用人や兵士達をあごで使って、ゴージャスな夕食を食べたいんですよ。たくさんの使用人共を立たせておかないとその醍醐味がないじゃないですか。兵士達がいないんじゃ華やかでなくなちゃうじゃないですか。」
フェルドがスザンヌに言いました。
「うん、たしかにその通りだな。スザンヌは本当に物事を理解しているな。」
フェルドがスザンヌに言いました。
「それほどでもあります。」
フェルドが国王に言いました。
「父上、兵士達の出撃は不要にございます。スザンヌが使用人や兵士達をあごで使うために王国軍の全員をこの王城に残していかなければなりません。魔物の討伐には王国軍を代表して父上たった一人で行ってきてください!!」
スザンヌが国王に言いました。
「国王様たった一人でがんばってきてくださいね!!」
怒りに震えている国王は大きな声でフェルドとスザンヌの二人にこう言いました。
「フェルドとスザンヌの二人に謹慎を申し付ける!!フェルド!!スザンヌと共に自室で謹慎しておれ!!よいな!!!」
国王がみなに言った。
「この二人をフェルドの自室に閉じ込めておけ!!!余が帰ってくるまでこの二人の命令は何一つ聞く必要はない!!!良いな!!」
フェルドとスザンヌ以外の全員が返事をした。
「はっ!!」
フェルドは訳が分からない様子で国王に尋ねた。
「父上どういう事ですか?」
国王がフェルドに言った。
「お前と話している時間すら惜しい。」
王妃が国王に言った。
「あなた気をつけて。」
「無論だ。では出撃する。」
王宮の大広間では国王が深刻な様子でみなに状況を説明していた。
「さきほどマレルに駐屯する兵士達より報告がきた。昨日の夜半から王国を守っていた結界が完全に消失してしまった。さらに魔物達を払うベリスの加護も全ての効力が無くなってしまったようだ。」
集められた人々は困惑した様子を浮かべていた。
「結界が消失??」
「ベリスの加護の効力がなくなった??」
「それでは魔領との国境線はどうなっているのです?」
「恐らく魔物達が多数なだれ込んできているだろう。」
魔領というのは魔物達がとてもたくさん住んでいる地域の事で、マルステイン王国の国境は大半がこの魔領に接しておりこの魔領からの魔物の侵入を防ぐために結界を張る必要があったのです。
国王がスザンヌに尋ねた。
「スザンヌ??これはどういう事だ??」
スザンヌが国王に言いました。
「私はちゃんとやりましたよ。」
王妃がスザンヌに言いました。
「つまり、結界の維持をしてくれたという事ですか?」
スザンヌが王妃に言いました。
「違いますそんな事するわけないじゃないですか、大聖女の仕事をしてたんです。ずっと寝っ転がってゴロゴロしてました。」
王妃がスザンヌに尋ねた。
「なぜ結界の維持をしなかったんですか?結界を維持させるために、強力な魔法石をいくつも渡したでしょう。」
スザンヌが王妃に言いました。
「だって、私結界を維持させる方法なんて知らないし。」
王妃が驚いてスザンヌに言いました。
「なんですって??スザンヌさん??あなたは結界魔法の訓練はしてないという事ですか?」
スザンヌが王妃に言いました。
「魔法の勉強とか訓練とかそんなめんどくさい事するわけないじゃないですか。」
王妃がスザンヌに尋ねた。
「ベリスの加護の効果がなくなったのはどういう事ですか?」
「さあ?分かりません??」
「スザンヌさん?あなたちゃんと女神べリス様に祈りを捧げたのですよね?」
「女神に祈りを捧げた??そんな事するわけないじゃないですか?私は大聖女になったんです。つまり高貴な人間になったんです。それなのになんで女神なんかに祈らなければならないんですか?」
「スザンヌさん。どうやらあなたは加護を与えるという事が分かっていないようですね。」
「加護を与えるってなんですか?」
「加護を与えるというのはこの世界を司る女神ベリス様に祈りを捧げる事でベリス様からのお力をお借りして魔物を追い払う力を付与する事をいいます。ベリス様のお力があれば魔物を追い払う事ができるのです。私が身に着けているこの首飾りにもベリス様の力を付与してありますから、これを身に着けていれば魔物は寄ってこなくなるんです。ですから魔物を払うお守りであるべリスの加護を作るのは、大聖女の大きな仕事の一つなんです。」
スザンヌは他人事のように感心するのだった。
「へえー??そうなんですね。」
「スザンヌさん??あなた加護を与えることもできないんですか??」
「はい、その加護を与えるっていうのもできませんね。」
「結界の維持方法も展開方法も分からない、加護の与えることもできない。治癒院の仕事は放棄する。スザンヌさん??それでよく女神ベリス様から信託を授かる事ができましたね。」
「信託なんて授かってませんよ。」
「信託を授かってない???だったらなんで大聖女を名乗ったんです!!あの人にも大丈夫お任せくださいと言ったのでしょう!!」
「だってマリーみたいな悪役令嬢でも大聖女が務まったんですよ。私みたいな有能な人間なら目をつぶっててもできるはずですよ。それに大聖女になってみんなからチヤホヤしてもらいたかったんです。だって大聖女ってゴロゴロし放題でチヤホヤしてもらえるじゃないですか。」
国王と王妃はスザンヌで頭を抱えたのだった。
二人は大きくため息をついた後で、王妃セリーナが国王に言いました。
「あなた申し訳ありません、スザンヌさんをフォローすれば何とかなると思っていた私が浅はかでした。すぐに結界を張り直しに向かいます。」
国王が王妃に言いました。
「セリーナ、お前は昨日から一睡もせずに頑張っておるのだ。ここは余が体を張ればすむ話だ。」
国王が皆に言いました。
「これより余が自ら出撃して国境線に現れた魔物の討伐に向かう。騎士と兵士達はすぐに出撃の準備を始めよ!!!」
大広間に集まっていた者たちが一斉に答えた。
「はっ!!」
国王がフェルドに言った。
「フェルド??すぐに準備を済ませるのだ。」
フェルドが国王に言った。
「何を行ってるんですか父上?私は行きません。」
「なんだと??」
「私はこの国を継ぐ王子で価値ある人間なのです。私のような高貴な人間が下賤な連中の為に命を張るなどありえません。」
「フェルド??お前今の状況が分かっておるのか?お前が新しい大聖女として連れてきたスザンヌが大聖女としての役割を果たせずに失敗してしまったのだ。お前のせいで多くの民たちが危険に晒されておるのだぞ!!」
「父上!!それは違います。スザンヌはよくやっています。マリーと違ってよく大聖女としての役目を果たしています。大聖女としても私の婚約者としても申し分ない女性ですよ。」
「お前の目はふし穴か?マリー殿が大聖女を務められていた時は、こんな事は一度もなかったぞ!!だがスザンヌが聖女に就いた途端に未曾有の危機が起こっておるのだ。スザンヌは聖女としてもお前の婚約者としても不適格だと言わざるおえんだろうが!!!」
「なんといわれようとスザンヌは大聖女に適任なのです。」
「ええい!!とにかくフェルド!!今は出撃の準備をせよ!!良いな!!」
「断ります!!このフェルドは下賎な連中と違ってこの王国で一番有能で価値ある人間なのです。その私がかすり傷でも負ったらどうするつもりなんですか?」
国王様は大きな声でフェルドに言いました。
「もうよいわ!!勝手にせよ!!!」
ですがフェルドは話を続けました。
「お待ちください父上!!話はまだ終わっていません!!王国軍の半分を王城に残していってください!!」
国王が呆れた様子で聞き返しました。
「なんだと?」
「いいですか私は王国で一番有能な人間です。もしこのフェルドの身に何かあったらどうするのですか?下賤な連中にはこのフェルドとスザンヌの為に命を張らなければならないのです。騎士や兵士そして下賎の連中には私とスザンヌを守る義務があるのですから。」
するとスザンヌが国王様に言いました。
「あっ国王様!!もっとたくさんの兵士を置いて行ってもらえませんか?」
フェルドがスザンヌにその理由を尋ねた。
「どうしてだい??スザンヌ??」
スザンヌがフェルドに言いました。
「せっかく大聖女になってフェルド王太妃にもなるんだから、たくさんの使用人や兵士達をあごで使って、ゴージャスな夕食を食べたいんですよ。たくさんの使用人共を立たせておかないとその醍醐味がないじゃないですか。兵士達がいないんじゃ華やかでなくなちゃうじゃないですか。」
フェルドがスザンヌに言いました。
「うん、たしかにその通りだな。スザンヌは本当に物事を理解しているな。」
フェルドがスザンヌに言いました。
「それほどでもあります。」
フェルドが国王に言いました。
「父上、兵士達の出撃は不要にございます。スザンヌが使用人や兵士達をあごで使うために王国軍の全員をこの王城に残していかなければなりません。魔物の討伐には王国軍を代表して父上たった一人で行ってきてください!!」
スザンヌが国王に言いました。
「国王様たった一人でがんばってきてくださいね!!」
怒りに震えている国王は大きな声でフェルドとスザンヌの二人にこう言いました。
「フェルドとスザンヌの二人に謹慎を申し付ける!!フェルド!!スザンヌと共に自室で謹慎しておれ!!よいな!!!」
国王がみなに言った。
「この二人をフェルドの自室に閉じ込めておけ!!!余が帰ってくるまでこの二人の命令は何一つ聞く必要はない!!!良いな!!」
フェルドとスザンヌ以外の全員が返事をした。
「はっ!!」
フェルドは訳が分からない様子で国王に尋ねた。
「父上どういう事ですか?」
国王がフェルドに言った。
「お前と話している時間すら惜しい。」
王妃が国王に言った。
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「無論だ。では出撃する。」
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