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1章 目を開けたらそこは異世界でした
荒れ果てた教会
しおりを挟むマンティスクイーンを倒した僕は、クロエになんでこんな無茶をしたのか聞いた。
ローラから聞いた通りこの教会の辺りの花摘みがしたくて、これまで何度も来ていたという事だった。
確かに教会の周りは一面の花畑だった。
僕はクロエに尋ねた。
「でもクロエよくここまで来れたね?ここに来るまで魔物と沢山戦ったけど。」
ああそれはとクロエは腕輪を見せながら僕に話した。
「この魔物よけのブレスレットのおかげです。さっきのカマキリの魔物には効きませんでしたけど。」
僕はクロエに言った。
「まあクロエが無事で良かったけど。」
僕は改めて教会を見返した。
その教会は丘の上にひっそりと建っていた。
しかもあちらこちらが傷んでおり、荒れ果てていた。
クロエが僕に言った。
「少し前まではこの教会ぐらいまでは安全に来れていたんです。ここで昔は良くお母様と花摘をしていたんです。」
僕は少し迷いつつもクロエに聞いてみた。
「もしかしてクロエのお母さんって?」
クロエが少し間をおいて答えた。
「はい、魔物に殺されました。」
僕がクロエに言った。
「その、変な事聞いちゃってごめんね。」
クロエが改まって僕に言った。
「いえ、それより勇者様、本当にありがとうございました。」
僕がクロエに言う。
「それじゃ村まで帰ろうか。」
クロエがはいと答える。
するとクロエが倒れてしまった。クロエが答える。
「すいません、足をくじいてしまったみたいで。」
僕がクロエに言った。
「分かった、じゃあ僕がクロエをおぶっていくよ。」
クロエが顔を真っ赤にして答える。
「ええ!えっと、はいじゃあお願いします。」
僕はクロエを背中に背負って歩きはじめた。
クロエは少し恥ずかしそうに言った。
「ありがとうございます勇者様。勇者様もケガをされてるのに。」
そうだった、そういえばクロエを庇ってマンティスクイーンの攻撃をもろに受けてたんだった。
「そうだった、どうしようかな?」
クロエが僕に聞いてくる。
「どうなさいましたか?勇者様。」
僕がクロエに言った。
「メニュー画面つまり光の鍵盤を確認したいと思ってね。」
クロエは僕の考えを察したらしく、僕に言った。
「それでしたら私が光の鍵盤を操作致します。」
僕はクロエに言った。
「ごめんねクロエお願いできる?」
クロエがはいっと答えた。
僕はメニュー画面を呼び出すと、クロエに手で操作して貰った。
クロエが前に乗り出す度に、クロエの胸が背中に当たった。
うああ僕から頼んでなんだけど、かなり恥ずかしい。
クロエが僕に尋ねた。
「これで宜しいですか?勇者様。」
僕はクロエに言った。
「ああ、ありがとうクロエ。」
クロエが僕に尋ねた。
「どうなさいましたか?勇者様。」
僕はクロエに慌てて答えた。
「いやいや何でもない。」
とにかくクロエは助けたし、すぐ村に帰ろう。
「さあ早くヤード村に帰ろう。」
クロエが僕に答えた。
「はい!」
とは言ったもののクロエを背負ってとなると戦うのは厳しい。
なるべく物音をたてずに来た道を帰りはじめた。
かなり歩いてきたが、一度も魔物は出てこない。
「なんで魔物が出てこないのかな?」
クロエが後ろから僕に言った。
「もしかしたら、まだ魔物よけのブレスレットが効いているのかもしれません。」
僕はクロエに言った。
「なるほどね。でもマンティスクイーンに効かなかったのは?」
クロエが僕に言った。
「う~ん、強い魔物には効かないという事でしょうか?」
僕はクロエに答えた。
「なるほどね。ありがとうねクロエ。」
まあ魔物が襲って来ないないなら、その方が助かる。
この際理由なんてどうでもいい。
その後も慎重に進んだが結局魔物は出てこなかった。
ようやくデリール大森林を抜けて、もうすぐヤード村という所でクロエが満面の笑顔で話しかけてきた。
「勇者様、今日は本当にありがとうございました。勇者様が来てくれた時本当に嬉しかったです。」
僕がクロエに言った。
「うん、僕もクロエが無事で本当に嬉しいよ。」
僕達はその後、たわいもない話をしながら、ヤード村へ帰った。
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