257 / 265
第5章 アグトリア動乱
一点突破
しおりを挟む
8月1日 午後1時になった。
こちらはヌエドの部隊である。
ヌエドが部下と話をしていた。
「ヌエド様、ご指示通りガブロの部隊の後方を塞ぎました。ガブロとドロメの両部隊を包囲下に置く事に成功しました。」
ヌエドが部下に言った。
「ああ、よくやってくれた。」
部下がヌエドに尋ねた。
「しかし宜しかったのですか?ガブロをドロメと合流させてしまって?」
ヌエドが部下に言った。
「あの状況では仕方ない、あのまま挟撃されるよりはましだ。」
部下がヌエドに尋ねた。
「なるほど、ではヌエド様?作戦方針は同じままで宜しいのですか?」
ヌエドが部下に言った。
「ああ、このまま包囲攻撃を続ければいい。ガブロが救援に来たと言っても兵数はまだこちらが上だ。」
部下がヌエドに言った。
「はっ!承知しました。」
一方のガブロの部隊はドロメ団長の部隊との合流に成功していた。
ガブロはすぐにドロメ団長の元に駆けつけた。
ガブロが大声でドロメ団長に尋ねた。
「ドロメ様!!ご無事ですか!!」
ガブロがドロメ団長との合流を果たした時、ドロメ団長は数十箇所の矢傷負っていた。
体力は大きく消耗しており、立っているのがやっとの状態だった。
ドロメ団長が小さな声でガブロに言った。
「ガブロ引くぞ。ミレピオの部隊を突破して橋から退却する。」
ガブロがドロメに頷きながら言った。
「はっ!!ドロメ様!」
ヌエド軍はドロメ団長との近接戦闘を回避し続けてドロメ団長を消耗させる作戦をとっていた。
さすがのドロメ団長も消耗が大きくなってくると怒りも消えていった。
ここに至って自軍の不利を痛感したドロメ団長であった。
ミレピオの部隊を前面突破して脱出しようと考えていた時にガブロが合流してきたのである。
ドロメ団長が小さな声でガブロに言った。
「ガブロ、突破口を開くのだ。」
ガブロがドロメ団長に言った。
「はっ!」
するとガブロが部下達に大声で怒鳴った。
「いいか!!ドロメ様のために死ぬ気で戦え!!」
ガブロの部下達が大声で言った。
「おおー!!」
一方のヌエドはこのまま包囲攻撃を続けてガブロとドロメの両部隊を殲滅しようと考えていた。
するとヌエドの所に部下が報告にやってきた。
部下がヌエドに言った。
「ヌエド様、ガブロの部隊がミレピオの部隊を集中攻撃しております。」
ヌエドが言った。
「ちっ、ドロメの野郎、ミレピオの部隊を突破して逃げるつもりだな。」
部下がヌエドに尋ねた。
「どうされますか?」
ヌエドが部下に言った。
「ガブロの相手はミレピオでは厳しいだろうな。よし至急マグリオに伝令を送ってくれ。」
部下がヌエドに言った。
「はっ!では私がマグリオ様に伝えてまいります。それで何とお伝えすれば?」
ヌエドが部下に言った。
「こちらでガブロを引き受ける、その間にミレピオと共にドロメの野郎を討ち果たしてくれと伝えてくれ。」
部下がヌエドに言った。
「承知しました。」
そしてその部下は馬に乗ってマグリオのいる所に向かった。
別の部下がヌエドに尋ねた。
「しかしドロメもガブロも逃げようとしています?どのようにして引き付けようというのですか?」
ヌエドが部下に言った。
「なに、方法は簡単だ。」
一方ガブロはミレピオの部隊を集中攻撃して突破口を切り開きつつあった。
ガブロが大声を張り上げた。
「死ねー、裏切り者が!!」
ガブロがヌエド軍の兵士に鉄槌を振り下ろした。
骨が砕ける音と共にそのヌエド軍の兵士は倒れた。
ガブロの部下達もその後を進んでいった。
すると後方から大きな声が聞こえてきた。
ガブロがその声に気づいて後ろを振り向いた。
そこにはヌエドの部下達がおり大声で叫んでいた。
「弱いガブロは逃げろ逃げろ!!ガブロごときではヌエド様には勝てないんだよ!!」
「ガブロがヌエド様にびびって逃げてくぞ!!!」
「ガブロ弱すぎ!!はっはっは!!」
ヌエドの部隊の兵士達が大声でガブロの悪口を言っていた。
これを聞いたガブロが大声で怒鳴った。
「なんだと??てめら!!!」
だがヌエド軍の兵士達は悪口を言い続けた。
「弱いガブロ!!弱いガブロ!!」
「ガブロ!!弱すぎ!!」
ガブロが大声で怒鳴った。
「てめらの頭!!!かち割ってやる!!!」
ガブロはキレてしまい悪口を言っていたヌエドの部隊に向けて走っていった。
この様子を見ていたガブロの部下達は困っていた。
「ガブロ様が突っ込んでいかれたが、どうする?」
「ガブロ様を追いかけるしかないだろう。説得して戻ってもらうしかない。」
「そうだな。」
ガブロの部下達もガブロを説得するためにガブロを追いかけていった。
ヌエドはガブロを挑発して逃げるのを阻止しようとしたのだった。
そしてヌエドが部下に指示を出した。
「よしガブロの前進に合わせて後退するぞ!」
ヌエドの部隊はガブロの前進に合わせて後退していった。
この様子を見ていたマグリオが指示を出した。
「よし、数が減った今が好機だ。一気にドロメを討討ち果たすぞ!!」
マグリオの部下達が答えた。
「おおー!」
マグリオの部隊がドロメ団長の部隊に激しい攻撃を仕掛けた。
一方のドロメ団長は満足に戦う事ができなくなっていた。
代わりにドロメ団長の部下達が必死の防戦を行っていた。
「壁をつくってドロメ様を守れ!!」
ドロメ団長の部下達がドロメ団長を囲むように壁を作った。
この様子を見ていたマグリオが言った。
「全くしぶとい連中だな。」
マグリオの部下が尋ねた。
「どうしますか?」
マグリオが部下に指示を出した。
「弓矢での攻撃を加えながら一人づつ倒していけ。」
マグリオの部下が答えた。
「はっ!」
一方ガブロの部下達は必死にガブロを追いかけて大声で説得しようとしていた。
「ガブロ様!!お戻りください!!ヌエドの挑発に乗ってはなりません!」
だがガブロは部下の制止を聞かずに進んでいく。
再び部下の一人がガブロに大声で言った。
「ガブロ様!!今はここより脱出することが最優先です!!」
だがガブロは部下の制止を聞かずに進んでいく。
「ガブロ様お戻りください!!ガブロ様抜きでは突破は不可能です!!このままドロメ様を死なせるおつもりですか?!!」
これを聞いたガブロは足を止めた。
「ド、ドロメ様!!」
ガブロようやく冷静さを取り戻し慌てて来た道を戻り始めた。
その間にもマグリオの部隊の攻撃によってドロメ団長の部下達はどんどん倒されていった。
そしてあとはドロメ団長が残るだけとなっていた。
マグリオが大声で言った。
「よし、あとはドロメだけだ。このままドロメを討ち果たせ!!」
するとドロメ団長が雄叫びをあげた。
「おおーー!!!」
マグリオの部下達はそれに一瞬ひるんでしまった。
するとマグリオの部下の一人が前に出て剣でドロメ団長に斬りかかった。
ドロメ団長はバトルアックスで何とかこれを受け止めようとした。
そして力を振り絞りその剣を振り払おうとした。
だがその攻撃を振り払う事はできずにその兵士の攻撃を食らってしまった。
そしてドロメ団長は深手を負いその場に倒れた。
そこにガブロが駆けつけてきた。
「ドロメ様!!」
ガブロはドロメ団長の姿を見るや、凄まじい勢いで暴れ始めた。
ガブロが大声で叫んだ。
「この裏切り者が!!」
ガブロがドロメ団長の前に立っていたマグリオの部下の一人に背面から鉄槌を食らわせた。
その部下は何が起こったかもわからずに吹き飛ばされた。
そしてそのまま絶命してしまった。
マグリオの部下達が大声で言った。
「ガ、ガブロだ!」
マグリオの部下達が慌ててガブロに向きを変えた。
だがそれでもガブロを止める事はできなかった。
ガブロが大声で怒鳴ちらす。
「この裏切り者が!!」
そして鉄槌を怒りに任せてマグリオの部下達に振り下ろしていく。
マグリオの部下達は何の抵抗もできずに倒されていった。
ガブロは一人でドロメ団長の周囲にいたマグリオの部下達をあらかた倒してしまった。
するとガブロの部下も駆けつけてきて、ドロメ団長を取り囲み壁を作った。
ガブロの部下がドロメ団長の様子を確認して、ガブロに言った。
「ガブロ様!ドロメ様は深手を負っていますが、まだ息をしておられます。急げばお助けできるかもしれません。」
別の部下がガブロに言った。
「ガブロ様、我々はドロメ様をお運びしながらガブロ様の後をついていきます。ガブロ様は先頭に立って突破口を切り開いて頂けないでしょうか?」
ガブロがその部下に怒鳴った。
「それでドロメ様を救えるんだろうな?!!」
その部下がガブロに言った。
「はい、必ずお助けしてみせます。」
ガブロが大声で怒鳴った。
「よし、このガブロ様についてこい!!何としてもドロメ様を守れよ!!」
部下達がガブロに言った。
「はっ!」
一方のマグリオは悔しがっていた。
「くそ!!せっかくヌエド様にドロメを討つ絶好の好機を作って頂いたというのに!!」
部下がマグリオに言った。
「ガブロがドロメを庇いながらミレピオ様の部隊を再び攻撃を始めました。恐らく突破を試みているものかと?いかがいたします?」
マグリオが頭を抱えながら部下に言った。
「こうなったらグレッグに任せるしかあるまい!!」
マグリオとしてはもちろんガブロの突破を阻止するために動きたかった。
だがそれはできなかった。
この時ガブロの部隊はマグリオの部隊には見向きもせずにミレピオの部隊への突入を開始していた。
マグリオの部隊までガブロを追って突入させれば混戦は必死であり、それは脱出を図っているガブロ達を利するだけであったからだ。
またマグリオはガブロの突破阻止をミレピオの部隊では厳しいとも考えていた。
ミレピオの部隊はヌエドやマグリオの部隊と比べると新参者も多く戦闘力が劣っていた。
更に橋にいるドロメ軍の足止めの役目も担っていた為に他の部隊よりも負担が大きかった為である。
ゆえにワイツ砦のグレッグに任せるしかないと考えたのであった。
一方こちらワイツ砦である。
ワイツ砦を任されたグレッグは外壁の上にいた。
ワイツ砦からは戦況が手に取るように把握できた。
そしてグレッグが部下達に指示を出していた。
「ドロメを逃がすな!!弓を射かけよ!!」
突破しようとしているガブロ達の頭上に矢を降らしたのだった。
ガブロの部下達はドロメ団長の数人で担いで運び、その周りを他の部下達が囲みながら移動していた。
だがこの攻撃によってドロメ団長を囲んでいた部下が一人また一人と倒れていった。
そしてこの攻撃によってガブロの足が完全に止められてしまった。
ガブロ自身はこの攻撃を何とか凌いでいた。
だが激しい矢の攻撃が繰り返し行われ凌ぐだげで精一杯となり移動ができなくなってしまった。
ガブロが大声で怒鳴った。
「くそ!!あと少しだってのに!!!」
ワイツ砦にいるグレッグが言った。
「よしー、いいぞ!このまま全員倒してしまえ!!」
すると突然グレッグの頭上に矢の雨が降りそそいだ。
グレッグはとっさに矢をかわして難を逃れた。
だが突然の弓矢での攻撃に対応できずに何人ものワイツ砦の兵士が倒されてしまった。
弓矢攻撃が止むとグレッグはすぐに部下に尋ねた。
「おい!!何が起こった?!」
グレッグの部下がグレッグに言った。
「攻撃です!ドロメより攻撃を受けました。」
グレッグが部下に尋ねた。
「どこからだ?!!どこから攻撃された?!!」
部下がグレッグに言った。
「ワイツ橋です。ワイツ橋から放たれたようです。」
グレッグが聞き返した。
「橋からだと?」
グレッグが身を乗り上げてワイツ橋を確認した。
するとそこにはグロッケンの姿があった。
グロッケンはまず橋の上に残っていたドロメ団長の本隊を後退させた。
次に自分の部隊を率いてワイツ橋の中央部分まで前進した。
そして弓を装備した盗賊達を前方に集中的に配置してワイツ砦に弓矢での攻撃を始めたのだった。
グロッケンが大声で言った。
「ふんヌエド!弓矢攻撃ができるのはてめえらだけじゃねえんだ!」
グッロッケンが部下に指示を出した。
「さあもっと矢の雨を降らせてやれ!!構え!!」
グロッケンの部下達が一斉に矢を構えた。
グロッケンが大声で指示を出す。
「放て!!」
ワイツ橋からたくさんの矢がワイツ砦めがけて飛んでいった。
グロッケンの部隊による激しい弓矢攻撃が始まった事で、ワイツ砦からのガブロへの攻撃が止まってしまった。
ガブロの部下はこの好機をガブロに伝えた。
「攻撃が止みました。今です!!」
ガブロが再び大声を上げながら進み始めた。
「どけー!!裏切り者共!!!」
ガブロが鉄槌でミレピオの部下達を倒しながら進んでいく。
一方のミレピオの部隊はガブロに対して有効な反撃を行う事ができずにいた。
ミレピオの部下達はガブロに怯えてしまっていたのだ。
そしてガブロ達に中央突破を許してしまった。
ガブロ達は橋の東岸まで到達するとすぐにグロッケンの部隊と合流した。
ガブロがグロッケンの所までやって来た。
するとグロッケンがガブロに尋ねた。
「おい、ドロメ様は無事か?」
ガブロは何も言わずにグロッケンを睨みつけた。
グロッケンが大きな声で言った。
「くそっ!」
するとグロッケンは小さな小袋を持ってきてとガブロに渡した。
ガブロはグロッケンを睨みながらその小袋を受け取った。
グロッケンがガブロに言った。
「その中にポーションが入ってる。すぐに後ろに下がってドロメ様を回復させろ!」
ガブロがグロッケンに尋ねた。
「ここで回復すりゃいいだろうが?」
グロッケンがガブロに怒鳴った。
「あっ?ここは最前線なんだぞ!!こんな危険な所で救護作業ができる訳ないだろうが!!」
ガブロが小さな声でグロッケンに尋ねた。
「ポーションはどう使うんだ?」
グロッケンが大声で怒鳴った。
「んなもんてめえの部下にでも聞けばいいだろうが!!ったく!!」
するとグロッケンが部下に指示を出した。
「おいドロメ様を地面に寝かせろ!!」
部下達が急いでドロメ団長を地面に寝かせた。
グロッケンがガブロに怒鳴った。
「おいガブロ!!矢が飛んできたらてめてが体を張って防げ!!いいな!!」
グロッケンは小袋から青い瓶を取り出した。
この青い瓶の中には液体のポーションが入っており、傷を癒す事ができた。
グロッケンは青い瓶の蓋を開けて、ポーションをドロメ団長の傷口にふりかけた。
すると振りかけたポーションの液が輝き始めた。
数十秒後にその発光現象が終わった。
グロッケンがドロメ団長の傷口を確認した。
ドロメ団長の傷口は完全に治っていた。
「よし、とりあえずドロメ様のポーションでの措置は済んだ。傷口は塞がってる。このままドロメ様をビヘイブ村までお連れしろ。分かったな!!」
ガブロは小さな声で言った。
「ああ。」
午後2時になった。
ガブロの部隊はドロメ団長を伴って後退を始めた。
ドロメ団長の本隊とガブロの部隊は急ぎビヘイブ村まで後退していった。
グロッケンの部隊は橋の上に残ってヌエド軍の追撃に備えていた。
だがヌエド軍は追撃を仕掛けなかった。
その理由は二つあった。
ヌエド軍はワイツ砦周辺の地形を上手く利用して戦っていた。
だが追撃をしてしまうと有利な地形を自分の方から捨ててしまう事になってしまうからである。
もう一つの理由はドロメ盗賊軍はまだそれなりの戦力を残していたからである。
下手に追撃を仕掛けて思わぬ逆撃を被ってしまえば、せっかく手に入れた勝利が消えてしまう可能性もあった。
以上の理由からヌエドは追撃を行わなかったのだった。
そしてグロッケンはヌエド軍が追撃してこない事を確認するとワイツ橋から後退して、ビヘイブ村に退却していった。
一方こちらはヌエドである。
ヌエドとマグリオが話をしていた。
マグリオがヌエドに言った。
「ヌエド様、追撃をしなくても良かったのですか?」
ヌエドがマグリオに言った。
「ああ、欲張りすぎて勝利を逃すのも嫌だしな。」
マグリオがヌエドに言った。
「ヌエド様、申し訳ございません。せっかくドロメを討ち果たす好機を頂いたというのに!!」
ヌエドがマグリオに言った。
「いや、あれはガブロを少しの間しかひきつける事ができなかった俺の落ち度だ。気にするな。」
マグリオがヌエドに言った。
「ですが?」
ヌエドがマグリオに言った。
「それにお前自身が言っていたではないか?勝利が必要だと。このワイツでの戦いは我々の勝利だ。それで充分ではないか?」
もちろんヌエドにとってもドロメ団長を逃がした事は悔しくて仕方がなかった。
だがヌエドはマグリオを責めたくないと考えていた。
ヌエドがガブロをもっと長い時間引き付ける事ができていればこの作戦は成功していただろう。
自分の失敗のマグリオに押しつけたくない。
そう考えたヌエドは悔しがる素振りをみせなかったのであった。
またドロメ団長を逃したとはいってもこのワイツでの戦いはヌエド軍の勝利といって差し支えなかった。
このワイツの戦いのヌエド軍の戦死者がおよそ400人に対してドロメ盗賊軍の戦死者は二千人を越えていた。
マグリオがヌエドに言った。
「ええ、その通りです。」
ヌエドがマグリオに言った。
「さあ、我々の勝利をトリガード中に知らせよう!!」
マグリオがヌエドに言った。
「はっ!」
こうしてワイツの戦いはヌエド軍の勝利で終わった。
こちらはヌエドの部隊である。
ヌエドが部下と話をしていた。
「ヌエド様、ご指示通りガブロの部隊の後方を塞ぎました。ガブロとドロメの両部隊を包囲下に置く事に成功しました。」
ヌエドが部下に言った。
「ああ、よくやってくれた。」
部下がヌエドに尋ねた。
「しかし宜しかったのですか?ガブロをドロメと合流させてしまって?」
ヌエドが部下に言った。
「あの状況では仕方ない、あのまま挟撃されるよりはましだ。」
部下がヌエドに尋ねた。
「なるほど、ではヌエド様?作戦方針は同じままで宜しいのですか?」
ヌエドが部下に言った。
「ああ、このまま包囲攻撃を続ければいい。ガブロが救援に来たと言っても兵数はまだこちらが上だ。」
部下がヌエドに言った。
「はっ!承知しました。」
一方のガブロの部隊はドロメ団長の部隊との合流に成功していた。
ガブロはすぐにドロメ団長の元に駆けつけた。
ガブロが大声でドロメ団長に尋ねた。
「ドロメ様!!ご無事ですか!!」
ガブロがドロメ団長との合流を果たした時、ドロメ団長は数十箇所の矢傷負っていた。
体力は大きく消耗しており、立っているのがやっとの状態だった。
ドロメ団長が小さな声でガブロに言った。
「ガブロ引くぞ。ミレピオの部隊を突破して橋から退却する。」
ガブロがドロメに頷きながら言った。
「はっ!!ドロメ様!」
ヌエド軍はドロメ団長との近接戦闘を回避し続けてドロメ団長を消耗させる作戦をとっていた。
さすがのドロメ団長も消耗が大きくなってくると怒りも消えていった。
ここに至って自軍の不利を痛感したドロメ団長であった。
ミレピオの部隊を前面突破して脱出しようと考えていた時にガブロが合流してきたのである。
ドロメ団長が小さな声でガブロに言った。
「ガブロ、突破口を開くのだ。」
ガブロがドロメ団長に言った。
「はっ!」
するとガブロが部下達に大声で怒鳴った。
「いいか!!ドロメ様のために死ぬ気で戦え!!」
ガブロの部下達が大声で言った。
「おおー!!」
一方のヌエドはこのまま包囲攻撃を続けてガブロとドロメの両部隊を殲滅しようと考えていた。
するとヌエドの所に部下が報告にやってきた。
部下がヌエドに言った。
「ヌエド様、ガブロの部隊がミレピオの部隊を集中攻撃しております。」
ヌエドが言った。
「ちっ、ドロメの野郎、ミレピオの部隊を突破して逃げるつもりだな。」
部下がヌエドに尋ねた。
「どうされますか?」
ヌエドが部下に言った。
「ガブロの相手はミレピオでは厳しいだろうな。よし至急マグリオに伝令を送ってくれ。」
部下がヌエドに言った。
「はっ!では私がマグリオ様に伝えてまいります。それで何とお伝えすれば?」
ヌエドが部下に言った。
「こちらでガブロを引き受ける、その間にミレピオと共にドロメの野郎を討ち果たしてくれと伝えてくれ。」
部下がヌエドに言った。
「承知しました。」
そしてその部下は馬に乗ってマグリオのいる所に向かった。
別の部下がヌエドに尋ねた。
「しかしドロメもガブロも逃げようとしています?どのようにして引き付けようというのですか?」
ヌエドが部下に言った。
「なに、方法は簡単だ。」
一方ガブロはミレピオの部隊を集中攻撃して突破口を切り開きつつあった。
ガブロが大声を張り上げた。
「死ねー、裏切り者が!!」
ガブロがヌエド軍の兵士に鉄槌を振り下ろした。
骨が砕ける音と共にそのヌエド軍の兵士は倒れた。
ガブロの部下達もその後を進んでいった。
すると後方から大きな声が聞こえてきた。
ガブロがその声に気づいて後ろを振り向いた。
そこにはヌエドの部下達がおり大声で叫んでいた。
「弱いガブロは逃げろ逃げろ!!ガブロごときではヌエド様には勝てないんだよ!!」
「ガブロがヌエド様にびびって逃げてくぞ!!!」
「ガブロ弱すぎ!!はっはっは!!」
ヌエドの部隊の兵士達が大声でガブロの悪口を言っていた。
これを聞いたガブロが大声で怒鳴った。
「なんだと??てめら!!!」
だがヌエド軍の兵士達は悪口を言い続けた。
「弱いガブロ!!弱いガブロ!!」
「ガブロ!!弱すぎ!!」
ガブロが大声で怒鳴った。
「てめらの頭!!!かち割ってやる!!!」
ガブロはキレてしまい悪口を言っていたヌエドの部隊に向けて走っていった。
この様子を見ていたガブロの部下達は困っていた。
「ガブロ様が突っ込んでいかれたが、どうする?」
「ガブロ様を追いかけるしかないだろう。説得して戻ってもらうしかない。」
「そうだな。」
ガブロの部下達もガブロを説得するためにガブロを追いかけていった。
ヌエドはガブロを挑発して逃げるのを阻止しようとしたのだった。
そしてヌエドが部下に指示を出した。
「よしガブロの前進に合わせて後退するぞ!」
ヌエドの部隊はガブロの前進に合わせて後退していった。
この様子を見ていたマグリオが指示を出した。
「よし、数が減った今が好機だ。一気にドロメを討討ち果たすぞ!!」
マグリオの部下達が答えた。
「おおー!」
マグリオの部隊がドロメ団長の部隊に激しい攻撃を仕掛けた。
一方のドロメ団長は満足に戦う事ができなくなっていた。
代わりにドロメ団長の部下達が必死の防戦を行っていた。
「壁をつくってドロメ様を守れ!!」
ドロメ団長の部下達がドロメ団長を囲むように壁を作った。
この様子を見ていたマグリオが言った。
「全くしぶとい連中だな。」
マグリオの部下が尋ねた。
「どうしますか?」
マグリオが部下に指示を出した。
「弓矢での攻撃を加えながら一人づつ倒していけ。」
マグリオの部下が答えた。
「はっ!」
一方ガブロの部下達は必死にガブロを追いかけて大声で説得しようとしていた。
「ガブロ様!!お戻りください!!ヌエドの挑発に乗ってはなりません!」
だがガブロは部下の制止を聞かずに進んでいく。
再び部下の一人がガブロに大声で言った。
「ガブロ様!!今はここより脱出することが最優先です!!」
だがガブロは部下の制止を聞かずに進んでいく。
「ガブロ様お戻りください!!ガブロ様抜きでは突破は不可能です!!このままドロメ様を死なせるおつもりですか?!!」
これを聞いたガブロは足を止めた。
「ド、ドロメ様!!」
ガブロようやく冷静さを取り戻し慌てて来た道を戻り始めた。
その間にもマグリオの部隊の攻撃によってドロメ団長の部下達はどんどん倒されていった。
そしてあとはドロメ団長が残るだけとなっていた。
マグリオが大声で言った。
「よし、あとはドロメだけだ。このままドロメを討ち果たせ!!」
するとドロメ団長が雄叫びをあげた。
「おおーー!!!」
マグリオの部下達はそれに一瞬ひるんでしまった。
するとマグリオの部下の一人が前に出て剣でドロメ団長に斬りかかった。
ドロメ団長はバトルアックスで何とかこれを受け止めようとした。
そして力を振り絞りその剣を振り払おうとした。
だがその攻撃を振り払う事はできずにその兵士の攻撃を食らってしまった。
そしてドロメ団長は深手を負いその場に倒れた。
そこにガブロが駆けつけてきた。
「ドロメ様!!」
ガブロはドロメ団長の姿を見るや、凄まじい勢いで暴れ始めた。
ガブロが大声で叫んだ。
「この裏切り者が!!」
ガブロがドロメ団長の前に立っていたマグリオの部下の一人に背面から鉄槌を食らわせた。
その部下は何が起こったかもわからずに吹き飛ばされた。
そしてそのまま絶命してしまった。
マグリオの部下達が大声で言った。
「ガ、ガブロだ!」
マグリオの部下達が慌ててガブロに向きを変えた。
だがそれでもガブロを止める事はできなかった。
ガブロが大声で怒鳴ちらす。
「この裏切り者が!!」
そして鉄槌を怒りに任せてマグリオの部下達に振り下ろしていく。
マグリオの部下達は何の抵抗もできずに倒されていった。
ガブロは一人でドロメ団長の周囲にいたマグリオの部下達をあらかた倒してしまった。
するとガブロの部下も駆けつけてきて、ドロメ団長を取り囲み壁を作った。
ガブロの部下がドロメ団長の様子を確認して、ガブロに言った。
「ガブロ様!ドロメ様は深手を負っていますが、まだ息をしておられます。急げばお助けできるかもしれません。」
別の部下がガブロに言った。
「ガブロ様、我々はドロメ様をお運びしながらガブロ様の後をついていきます。ガブロ様は先頭に立って突破口を切り開いて頂けないでしょうか?」
ガブロがその部下に怒鳴った。
「それでドロメ様を救えるんだろうな?!!」
その部下がガブロに言った。
「はい、必ずお助けしてみせます。」
ガブロが大声で怒鳴った。
「よし、このガブロ様についてこい!!何としてもドロメ様を守れよ!!」
部下達がガブロに言った。
「はっ!」
一方のマグリオは悔しがっていた。
「くそ!!せっかくヌエド様にドロメを討つ絶好の好機を作って頂いたというのに!!」
部下がマグリオに言った。
「ガブロがドロメを庇いながらミレピオ様の部隊を再び攻撃を始めました。恐らく突破を試みているものかと?いかがいたします?」
マグリオが頭を抱えながら部下に言った。
「こうなったらグレッグに任せるしかあるまい!!」
マグリオとしてはもちろんガブロの突破を阻止するために動きたかった。
だがそれはできなかった。
この時ガブロの部隊はマグリオの部隊には見向きもせずにミレピオの部隊への突入を開始していた。
マグリオの部隊までガブロを追って突入させれば混戦は必死であり、それは脱出を図っているガブロ達を利するだけであったからだ。
またマグリオはガブロの突破阻止をミレピオの部隊では厳しいとも考えていた。
ミレピオの部隊はヌエドやマグリオの部隊と比べると新参者も多く戦闘力が劣っていた。
更に橋にいるドロメ軍の足止めの役目も担っていた為に他の部隊よりも負担が大きかった為である。
ゆえにワイツ砦のグレッグに任せるしかないと考えたのであった。
一方こちらワイツ砦である。
ワイツ砦を任されたグレッグは外壁の上にいた。
ワイツ砦からは戦況が手に取るように把握できた。
そしてグレッグが部下達に指示を出していた。
「ドロメを逃がすな!!弓を射かけよ!!」
突破しようとしているガブロ達の頭上に矢を降らしたのだった。
ガブロの部下達はドロメ団長の数人で担いで運び、その周りを他の部下達が囲みながら移動していた。
だがこの攻撃によってドロメ団長を囲んでいた部下が一人また一人と倒れていった。
そしてこの攻撃によってガブロの足が完全に止められてしまった。
ガブロ自身はこの攻撃を何とか凌いでいた。
だが激しい矢の攻撃が繰り返し行われ凌ぐだげで精一杯となり移動ができなくなってしまった。
ガブロが大声で怒鳴った。
「くそ!!あと少しだってのに!!!」
ワイツ砦にいるグレッグが言った。
「よしー、いいぞ!このまま全員倒してしまえ!!」
すると突然グレッグの頭上に矢の雨が降りそそいだ。
グレッグはとっさに矢をかわして難を逃れた。
だが突然の弓矢での攻撃に対応できずに何人ものワイツ砦の兵士が倒されてしまった。
弓矢攻撃が止むとグレッグはすぐに部下に尋ねた。
「おい!!何が起こった?!」
グレッグの部下がグレッグに言った。
「攻撃です!ドロメより攻撃を受けました。」
グレッグが部下に尋ねた。
「どこからだ?!!どこから攻撃された?!!」
部下がグレッグに言った。
「ワイツ橋です。ワイツ橋から放たれたようです。」
グレッグが聞き返した。
「橋からだと?」
グレッグが身を乗り上げてワイツ橋を確認した。
するとそこにはグロッケンの姿があった。
グロッケンはまず橋の上に残っていたドロメ団長の本隊を後退させた。
次に自分の部隊を率いてワイツ橋の中央部分まで前進した。
そして弓を装備した盗賊達を前方に集中的に配置してワイツ砦に弓矢での攻撃を始めたのだった。
グロッケンが大声で言った。
「ふんヌエド!弓矢攻撃ができるのはてめえらだけじゃねえんだ!」
グッロッケンが部下に指示を出した。
「さあもっと矢の雨を降らせてやれ!!構え!!」
グロッケンの部下達が一斉に矢を構えた。
グロッケンが大声で指示を出す。
「放て!!」
ワイツ橋からたくさんの矢がワイツ砦めがけて飛んでいった。
グロッケンの部隊による激しい弓矢攻撃が始まった事で、ワイツ砦からのガブロへの攻撃が止まってしまった。
ガブロの部下はこの好機をガブロに伝えた。
「攻撃が止みました。今です!!」
ガブロが再び大声を上げながら進み始めた。
「どけー!!裏切り者共!!!」
ガブロが鉄槌でミレピオの部下達を倒しながら進んでいく。
一方のミレピオの部隊はガブロに対して有効な反撃を行う事ができずにいた。
ミレピオの部下達はガブロに怯えてしまっていたのだ。
そしてガブロ達に中央突破を許してしまった。
ガブロ達は橋の東岸まで到達するとすぐにグロッケンの部隊と合流した。
ガブロがグロッケンの所までやって来た。
するとグロッケンがガブロに尋ねた。
「おい、ドロメ様は無事か?」
ガブロは何も言わずにグロッケンを睨みつけた。
グロッケンが大きな声で言った。
「くそっ!」
するとグロッケンは小さな小袋を持ってきてとガブロに渡した。
ガブロはグロッケンを睨みながらその小袋を受け取った。
グロッケンがガブロに言った。
「その中にポーションが入ってる。すぐに後ろに下がってドロメ様を回復させろ!」
ガブロがグロッケンに尋ねた。
「ここで回復すりゃいいだろうが?」
グロッケンがガブロに怒鳴った。
「あっ?ここは最前線なんだぞ!!こんな危険な所で救護作業ができる訳ないだろうが!!」
ガブロが小さな声でグロッケンに尋ねた。
「ポーションはどう使うんだ?」
グロッケンが大声で怒鳴った。
「んなもんてめえの部下にでも聞けばいいだろうが!!ったく!!」
するとグロッケンが部下に指示を出した。
「おいドロメ様を地面に寝かせろ!!」
部下達が急いでドロメ団長を地面に寝かせた。
グロッケンがガブロに怒鳴った。
「おいガブロ!!矢が飛んできたらてめてが体を張って防げ!!いいな!!」
グロッケンは小袋から青い瓶を取り出した。
この青い瓶の中には液体のポーションが入っており、傷を癒す事ができた。
グロッケンは青い瓶の蓋を開けて、ポーションをドロメ団長の傷口にふりかけた。
すると振りかけたポーションの液が輝き始めた。
数十秒後にその発光現象が終わった。
グロッケンがドロメ団長の傷口を確認した。
ドロメ団長の傷口は完全に治っていた。
「よし、とりあえずドロメ様のポーションでの措置は済んだ。傷口は塞がってる。このままドロメ様をビヘイブ村までお連れしろ。分かったな!!」
ガブロは小さな声で言った。
「ああ。」
午後2時になった。
ガブロの部隊はドロメ団長を伴って後退を始めた。
ドロメ団長の本隊とガブロの部隊は急ぎビヘイブ村まで後退していった。
グロッケンの部隊は橋の上に残ってヌエド軍の追撃に備えていた。
だがヌエド軍は追撃を仕掛けなかった。
その理由は二つあった。
ヌエド軍はワイツ砦周辺の地形を上手く利用して戦っていた。
だが追撃をしてしまうと有利な地形を自分の方から捨ててしまう事になってしまうからである。
もう一つの理由はドロメ盗賊軍はまだそれなりの戦力を残していたからである。
下手に追撃を仕掛けて思わぬ逆撃を被ってしまえば、せっかく手に入れた勝利が消えてしまう可能性もあった。
以上の理由からヌエドは追撃を行わなかったのだった。
そしてグロッケンはヌエド軍が追撃してこない事を確認するとワイツ橋から後退して、ビヘイブ村に退却していった。
一方こちらはヌエドである。
ヌエドとマグリオが話をしていた。
マグリオがヌエドに言った。
「ヌエド様、追撃をしなくても良かったのですか?」
ヌエドがマグリオに言った。
「ああ、欲張りすぎて勝利を逃すのも嫌だしな。」
マグリオがヌエドに言った。
「ヌエド様、申し訳ございません。せっかくドロメを討ち果たす好機を頂いたというのに!!」
ヌエドがマグリオに言った。
「いや、あれはガブロを少しの間しかひきつける事ができなかった俺の落ち度だ。気にするな。」
マグリオがヌエドに言った。
「ですが?」
ヌエドがマグリオに言った。
「それにお前自身が言っていたではないか?勝利が必要だと。このワイツでの戦いは我々の勝利だ。それで充分ではないか?」
もちろんヌエドにとってもドロメ団長を逃がした事は悔しくて仕方がなかった。
だがヌエドはマグリオを責めたくないと考えていた。
ヌエドがガブロをもっと長い時間引き付ける事ができていればこの作戦は成功していただろう。
自分の失敗のマグリオに押しつけたくない。
そう考えたヌエドは悔しがる素振りをみせなかったのであった。
またドロメ団長を逃したとはいってもこのワイツでの戦いはヌエド軍の勝利といって差し支えなかった。
このワイツの戦いのヌエド軍の戦死者がおよそ400人に対してドロメ盗賊軍の戦死者は二千人を越えていた。
マグリオがヌエドに言った。
「ええ、その通りです。」
ヌエドがマグリオに言った。
「さあ、我々の勝利をトリガード中に知らせよう!!」
マグリオがヌエドに言った。
「はっ!」
こうしてワイツの戦いはヌエド軍の勝利で終わった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
フェンリルさんちの末っ子は人間でした ~神獣に転生した少年の雪原を駆ける狼スローライフ~
空色蜻蛉
ファンタジー
真白山脈に棲むフェンリル三兄弟、末っ子ゼフィリアは元人間である。
どうでもいいことで山が消し飛ぶ大喧嘩を始める兄二匹を「兄たん大好き!」幼児メロメロ作戦で仲裁したり、たまに襲撃してくる神獣ハンターは、人間時代につちかった得意の剣舞で撃退したり。
そう、最強は末っ子ゼフィなのであった。知らないのは本狼ばかりなり。
ブラコンの兄に溺愛され、自由気ままに雪原を駆ける日々を過ごす中、ゼフィは人間時代に負った心の傷を少しずつ癒していく。
スノードームを覗きこむような輝く氷雪の物語をお届けします。
※今回はバトル成分やシリアスは少なめ。ほのぼの明るい話で、主人公がひたすら可愛いです!

愛しくない、あなた
野村にれ
恋愛
結婚式を八日後に控えたアイルーンは、婚約者に番が見付かり、
結婚式はおろか、婚約も白紙になった。
行き場のなくした思いを抱えたまま、
今度はアイルーンが竜帝国のディオエル皇帝の番だと言われ、
妃になって欲しいと願われることに。
周りは落ち込むアイルーンを愛してくれる人が見付かった、
これが運命だったのだと喜んでいたが、
竜帝国にアイルーンの居場所などなかった。
【完結】愛猫ともふもふ異世界で愛玩される
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
状況不明のまま、見知らぬ草原へ放り出された私。幸いにして可愛い三匹の愛猫は無事だった。動物病院へ向かったはずなのに? そんな疑問を抱えながら、見つけた人影は二本足の熊で……。
食われる?! 固まった私に、熊は流暢な日本語で話しかけてきた。
「あなた……毛皮をどうしたの?」
「そういうあなたこそ、熊なのに立ってるじゃない」
思わず切り返した私は、彼女に気に入られたらしい。熊に保護され、狼と知り合い、豹に惚れられる。異世界転生は理解したけど、私以外が全部動物の世界だなんて……!?
もふもふしまくりの異世界で、非力な私は愛玩動物のように愛されて幸せになります。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/09/21……完結
2023/07/17……タイトル変更
2023/07/16……小説家になろう 転生/転移 ファンタジー日間 43位
2023/07/15……アルファポリス HOT女性向け 59位
2023/07/15……エブリスタ トレンド1位
2023/07/14……連載開始

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。

婚約者を親友に盗られた上、獣人の国へ嫁がされることになったが、私は大の動物好きなのでその結婚先はご褒美でしかなかった
雪葉
恋愛
婚約者である第三王子を、美しい外見の親友に盗られたエリン。まぁ王子のことは好きでも何でもなかったし、政略結婚でしかなかったのでそれは良いとして。なんと彼らはエリンに「新しい縁談」を持ってきたという。その嫁ぎ先は“獣人”の住まう国、ジュード帝国だった。
人間からは野蛮で恐ろしいと蔑まれる獣人の国であるため、王子と親友の二人はほくそ笑みながらこの縁談を彼女に持ってきたのだが────。
「憧れの国に行けることになったわ!! なんて素晴らしい縁談なのかしら……!!」
エリンは嫌がるどころか、大喜びしていた。
なぜなら、彼女は無類の動物好きだったからである。
そんなこんなで憧れの帝国へ意気揚々と嫁ぎに行き、そこで暮らす獣人たちと仲良くなろうと働きかけまくるエリン。
いつも明るく元気な彼女を見た周りの獣人達や、新しい婚約者である皇弟殿下は、次第に彼女に対し好意を持つようになっていく。
動物を心底愛するが故、獣人であろうが何だろうがこよなく愛の対象になるちょっとポンコツ入ってる令嬢と、そんな彼女を見て溺愛するようになる、狼の獣人な婚約者の皇弟殿下のお話です。
※他サイト様にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる