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第5章 アグトリア動乱
激闘
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ミルゲの戦いが始まって一時間が経過し午前11時になった。
ミルゲ砦の南西側ではジフロル軍の右翼部隊とドロメ盗賊軍の左翼部隊が激闘を繰り広げていた。
この戦いでもジフロル軍のアルガスとドロメ盗賊軍のガブロが直接戦っており激しい激闘を繰り広げていた。
ガブロが大声で言った。
「これでも食らえ!!!仮面野郎!!」
ガブロが鉄槌を振り上げてアルガスの頭上に振り下ろそうとした。
だがアルガスは体を右に反らしてこれをかわした。
ガブロが再びアルガスに向けて鉄槌を振り上げる。
だがまたしてもガブロの鉄槌はアルガスには当たらず空を切った。
その後何度も鉄槌をアルガスに振り下ろしたが、その都度かわされてしまった。
ガブロが大声で怒鳴った。
「くそ!!ふざけやがって!!仮面野郎!!ちょこまか動きやがって!!」
「これでどうだ!!」
ガブロはそう言うと鉄槌を大きく回しながらアルガスに向けて空高く投げた。
鉄槌が回転しながら大きく宙を飛んでアルガスのいる場所に飛んでいった。
アルガスは悠々とこれをかわした。
だがアルガスがかわした場所にガブロが待ち構えていた。
「食らえ!!仮面野郎!!」
ガブロはそう言うと素手でアルガスの脇腹を殴りつけた。
アルガスは予想外の攻撃を受けて、数メートル吹き飛ばされて地面に倒れた。
アルガスは口から血を少し吐き出しながら、すぐに地面より立ち上がった。
そんなアルガスの姿を笑いながらガブロが大声で言った。
「いい様だな。仮面野郎!!」
ガブロはアルガスに続けて大声で言った。
「これがガブロ様の実力よ!!どうだ思い知ったか!!!」
すると今度はアルガスがガブロに一気に近づいた。
そしてにやけているガブロの顔面に左手に装備している盾を強く押し付けた。
今度はガブロが顔面に攻撃を受けて体勢を崩した。
その後アルガスはすぐにガブロから距離をとった。
顔面から出血したガブロが大声で怒鳴った。
「仮面野郎!!調子のるんじゃねーぞ!!」
アルガスがガブロに答えた。
「調子に乗っているつもりはないが?」
ガブロが大声で怒鳴った。
「はっ!このガブロ様はな、お前ごとき簡単に潰せるんだ!!勝つのはこのガブロ様って決まってんだ!!!」
アルガスがガブロに言った。
「そうはいかん、こちらも負けられんのだ!」
するとガブロが笑みを浮かべながらアルガスに言った。
「へっへっ仮面野郎、これならどうだ?」
ガブロはそう言うとアルガスに向かって全力で駆け出した。
アルガスがこれをかわそうと右側に体をそらした。
だがガブロはアルガスがかわした後も一切方向を変えなかった。
そのまま全力突進を続けた。
アルガスはガブロの意図が分かり大声をあげた。
「逃げろ!!ジオ!!」
ガブロはアルガスの近くにいた部下のジオを攻撃しようとしていたのだ。
ジオは別の相手と対峙していたので気づくのが遅れた。
ガブロはジオの前までやってくると鉄槌を大きく振り上げた。
ガブロが鉄槌を振り下ろす。
だがアルガスがジオの前に飛び込んできて、両手でガブロの鉄槌を防ごうとした。
だがアルガスはガブロの鉄槌を防ぎきる事ができず、攻撃をもろに食らってしまいその場に倒れこんだ。
倒れ込んだアルガスを見ながらガブロが大きな声で言った。
「ギャハハ!いい光景だな。仮面野郎!!てめえには地べたで倒れてるのがお似合いだ!!」
するとすぐにアルガスの部下達が駆けつけてきてアルガスの前に立ちふさがった。
立ちふさがったアルガスの部下達がジオに大声で言った。
「おい、ジオ!アルガスを連れて後ろに下がれ。」
ジオがその部下に言った。
「で、でも?」
その部下がジオに言った。
「早く行け!!アルガスを死なせたらおやっさんに何て言うつもりだ!!」
ジオがその部下に言った。
「分かった!」
ジオは駆けつけてきた部下が乗ってきた馬にアルガスを乗せると後方に逃げて行った。
ガブロはこのやり取りを見ながら駆けつけてきたジフロル軍の盗賊達に言った。
「ひゅーー!!弱い奴らで傷をなめ合う。偽善者共にはお似合いだな!!」
「さてともう一暴れするか!!!」
ガブロはそう言うと鉄槌を大きく振り上げた。
ジフロル軍の盗賊達ではガブロを止める事はできずに、ガブロの一方的な攻撃となった。
ガブロは手当たり次第に鉄槌を振り回してジフロル軍の盗賊達を倒していった。
ジフロル軍の盗賊達は成す術がなくガブロに次々と倒されていった。
ジフロル軍の右翼部隊はガブロの部隊に押され始めていた。
するとジフロル軍の盗賊の一人が大声で叫んだ。
「引け!引けー!後退しろー!!」
これを聞いたジフロル軍の盗賊達は後ろへと後退を始めた。
これを見たガブロが上機嫌となり大声で言った。
「はっはっ、こりゃいい眺めだ。」
するとガブロが近くに部下に大声で言った。
「おい!いい眺めだ!お前らも見ておけ!!」
ガブロの部下がすぐにガブロの周りに集まった。
「はっ!ガブロ様、いい眺めというのは?」
ガブロが上機嫌で部下達に言った。
「このガブロ様には敵わないとみて偽善者共は逃げ出してやがる!いい光景だろうが!」
ガブロの部下達がガブロに言った。
「はっ!さすがはガブロ様でございます。」
ガブロが部下達に言った。
「まあ当然だ。このガブロ様にかかれば偽善者共など一潰しよ。」
すると部下の一人がガブロに尋ねた。
「ガブロ様、すぐに偽善者共に追撃をかけた方が良いと思いますが?」
するとガブロが大声で怒鳴ってきた。
「あっ?てめえ、何言ってんだ?」
部下が少し怯えた声でガブロに言った。
「いえ、ここは偽善者共を追撃した方がいいかと思ったのですが?」
するとガブロが大声で部下に言った。
「バカ野郎!!ドロメ様の命令を忘れたのか?」
部下がガブロに尋ねた。
「と言われますと?」
ガブロが大声で怒鳴った。
「ミルゲ砦を攻撃しろだろうが!!追撃しろなんて言われてないだろうが!ドロメ様の命令は絶対だろうが!!!違うか?!!」
部下がガブロに慌てて言った。
「はっ!それはもちろんです。」
ガブロの部下達はそれ以上は何も言わなかった。
ガブロの部隊はアルガスの部隊には追撃をかけずに、ミルゲ砦に攻勢をかけるためにミルゲ砦に向かって進軍を始めた。
少し先の場所にアルガスの部下で副指令でもあるゼスタがいた。
ゼスタはアルガスが負傷したとの知らせを受けると、すぐに右翼部隊の指揮を引き継ぎ右翼部隊に後退を指示したのだった。
そしてゼスタ自身が右翼部隊を後ろに逃がす為に殿としてその場に残っていた。
ゼスタが部下と話をしていた。
部下がゼスタに言った。
「拍子抜けですね。激戦を覚悟してたんですが?」
ゼスタが部下に言った。
「ああそうだな、まさか追撃をかけてこないとはな。まあこちらとしてはその方が助かるがな。」
ゼスタが部下に尋ねた。
「それよりもアルガスは大丈夫なのか?」
部下がゼスタに言った。
「一命はとりとめました。今ポーションで怪我の回復をしている所です。」
ゼスタが部下に言った。
「そうか、良かった。」
部下がゼスタに尋ねた。
「ですが部隊を後退させてしまって良かったんですか?」
ゼスタが部下に言った。
「ガブロの部隊は勢いづいていたからな。現に我々はあちこちで押されていたし、あのまま戦っていてもどうせ支えきれなかっただろう。」
すると別の部下がやって来てゼスタに報告した。
「右翼部隊の退却が完了しました。」
するとゼスタが部下達に指示を出した。
「よしならば我々も引こう。」
部下がゼスタに言った。
「はっ。」
こうしてゼスタ達も後方へと退却していった。
一方こちらはミルゲ砦である。
ガブロの部隊が接近中との報を受けてミルゲ砦の中は騒がしかった。
ブロイクが部下達に指示を出していた。
「ドロメの奴らはすぐそこまで来てるぞ!急いで配置についてくれ!!」
砦に残っていた守備隊が急いで防戦準備を整えていた。
するとブロイクの元に部下が報告にやって来た。
「どうやらアルガスは一命をとりとめたようです。」
ブロイクがその部下に言った。
「そうかアルガスは無事か。」
するとブロイクがその部下に言った。
「すまないがおやっさんにもこの知らせを伝えてくれないか?」
すると後ろの方から声が聞こえた。
「大丈夫だ、ブロイクその必要はない。」
ジフロル団長がブロイクの所にやって来たのだった。
ジフロル団長の姿を見たブロイクがジフロル団長に言った。
「おやっさん。」
そして周りにいたジフロル軍の盗賊達も手を止めた。
するとジフロル団長が皆を見渡しながら言った。
「ああ、みんな挨拶はいい。すまないな邪魔をしてしまって。そのまま続けてくれ。」
周りの盗賊達が言った。
「はい。」
防戦準備をしていた盗賊達が再び作業を始めた。
するとブロイクがジフロル団長に言った。
「アルガスは深手を負ったようですが、何とか回復できたようです。」
ジフロル団長がブロイクに言った。
「そうか、それは聞いて安心した。」
ブロイクがジフロル団長に言った。
「しかし困りましたな、敵の別動隊はまだ発見できていません。更には鉄槌のガブロの部隊がこのミルゲ砦に肉薄しております。」
ミルゲ砦の部隊も手をこまねいていた訳ではなく、ドロメ盗賊軍の別動隊を見つけるべく、見張りの数を増やして監視強化に努めていた。
するとジフロル団長がブロイクに言った。
「一方の我々はアルガスが負傷し右翼部隊は後退を余儀なくしている。レイドスが左翼部隊を率いて踏ん張っているが一進一退だ。状況は良くない。アルガスの救援に動きたい所だが、ドロメ盗賊軍の別動隊の位置が分からぬでは動くに動けん。」
するとそこにブロイクの部下であるベルスが報告にやって来た。
「失礼します。」
ブロイクがベルスに尋ねた。
「どうしたベルス?ガブロの部隊が攻勢を始めたのか?」
ベルスがブロイクに言った。
「あっいえ、そうでは無く、発見致しました。」
ブロイクは少し大きな声でベルスに言った。
「何?まさかドロメの別動隊を見つけたのか?」
ベルスがブロイクに言った。
「ドロメかは分かりませんが不審な一団を発見致しました。」
ブロイクがベルスに尋ねた。
「その不審な一団はどこにいる?」
ベルスがブロイクに言った。
「はっ、このミルゲ砦から東北東の位置におります。」
ブロイクは少し考えた後でジフロル団長に言った。
「我々は東側には展開しておりません。アルガスの予想していた通り、ドロメ盗賊軍の別動隊とみて間違いないでしょうな。」
するとジフロル団長がベルスに言った。
「ベルス良く見つけてくれた。礼を言う。」
するとベルスがジフロル団長に言った。
「あっいえ、見つけたのは中央監視塔担当のレガゲイドなのです。」
ジフロル団長がベルス言った。
「そうか、ではレガゲイドに伝えておいてくれるか。よく見つけてくれたと!ベルスもご苦労だった。」
ベルスがジフロル団長に言った。
「はっ!」
ブロイクがジフロル団長に尋ねた。
「それでどうしますおやっさん?」
ジフロル団長がブロイクに指示を出した。
「私が今から出撃して敵の別動隊を叩きに行く。ブロイク、千三百人をこの砦に残していく。この砦を頼むぞ!」
ブロイクがジフロル団長に言った。
「分かりました。必ずこの砦を守り抜いてみせます。」
こうしてジフロル団長は二千人を率いてミルゲ砦より出撃した。
ミルゲ砦の南西側ではジフロル軍の右翼部隊とドロメ盗賊軍の左翼部隊が激闘を繰り広げていた。
この戦いでもジフロル軍のアルガスとドロメ盗賊軍のガブロが直接戦っており激しい激闘を繰り広げていた。
ガブロが大声で言った。
「これでも食らえ!!!仮面野郎!!」
ガブロが鉄槌を振り上げてアルガスの頭上に振り下ろそうとした。
だがアルガスは体を右に反らしてこれをかわした。
ガブロが再びアルガスに向けて鉄槌を振り上げる。
だがまたしてもガブロの鉄槌はアルガスには当たらず空を切った。
その後何度も鉄槌をアルガスに振り下ろしたが、その都度かわされてしまった。
ガブロが大声で怒鳴った。
「くそ!!ふざけやがって!!仮面野郎!!ちょこまか動きやがって!!」
「これでどうだ!!」
ガブロはそう言うと鉄槌を大きく回しながらアルガスに向けて空高く投げた。
鉄槌が回転しながら大きく宙を飛んでアルガスのいる場所に飛んでいった。
アルガスは悠々とこれをかわした。
だがアルガスがかわした場所にガブロが待ち構えていた。
「食らえ!!仮面野郎!!」
ガブロはそう言うと素手でアルガスの脇腹を殴りつけた。
アルガスは予想外の攻撃を受けて、数メートル吹き飛ばされて地面に倒れた。
アルガスは口から血を少し吐き出しながら、すぐに地面より立ち上がった。
そんなアルガスの姿を笑いながらガブロが大声で言った。
「いい様だな。仮面野郎!!」
ガブロはアルガスに続けて大声で言った。
「これがガブロ様の実力よ!!どうだ思い知ったか!!!」
すると今度はアルガスがガブロに一気に近づいた。
そしてにやけているガブロの顔面に左手に装備している盾を強く押し付けた。
今度はガブロが顔面に攻撃を受けて体勢を崩した。
その後アルガスはすぐにガブロから距離をとった。
顔面から出血したガブロが大声で怒鳴った。
「仮面野郎!!調子のるんじゃねーぞ!!」
アルガスがガブロに答えた。
「調子に乗っているつもりはないが?」
ガブロが大声で怒鳴った。
「はっ!このガブロ様はな、お前ごとき簡単に潰せるんだ!!勝つのはこのガブロ様って決まってんだ!!!」
アルガスがガブロに言った。
「そうはいかん、こちらも負けられんのだ!」
するとガブロが笑みを浮かべながらアルガスに言った。
「へっへっ仮面野郎、これならどうだ?」
ガブロはそう言うとアルガスに向かって全力で駆け出した。
アルガスがこれをかわそうと右側に体をそらした。
だがガブロはアルガスがかわした後も一切方向を変えなかった。
そのまま全力突進を続けた。
アルガスはガブロの意図が分かり大声をあげた。
「逃げろ!!ジオ!!」
ガブロはアルガスの近くにいた部下のジオを攻撃しようとしていたのだ。
ジオは別の相手と対峙していたので気づくのが遅れた。
ガブロはジオの前までやってくると鉄槌を大きく振り上げた。
ガブロが鉄槌を振り下ろす。
だがアルガスがジオの前に飛び込んできて、両手でガブロの鉄槌を防ごうとした。
だがアルガスはガブロの鉄槌を防ぎきる事ができず、攻撃をもろに食らってしまいその場に倒れこんだ。
倒れ込んだアルガスを見ながらガブロが大きな声で言った。
「ギャハハ!いい光景だな。仮面野郎!!てめえには地べたで倒れてるのがお似合いだ!!」
するとすぐにアルガスの部下達が駆けつけてきてアルガスの前に立ちふさがった。
立ちふさがったアルガスの部下達がジオに大声で言った。
「おい、ジオ!アルガスを連れて後ろに下がれ。」
ジオがその部下に言った。
「で、でも?」
その部下がジオに言った。
「早く行け!!アルガスを死なせたらおやっさんに何て言うつもりだ!!」
ジオがその部下に言った。
「分かった!」
ジオは駆けつけてきた部下が乗ってきた馬にアルガスを乗せると後方に逃げて行った。
ガブロはこのやり取りを見ながら駆けつけてきたジフロル軍の盗賊達に言った。
「ひゅーー!!弱い奴らで傷をなめ合う。偽善者共にはお似合いだな!!」
「さてともう一暴れするか!!!」
ガブロはそう言うと鉄槌を大きく振り上げた。
ジフロル軍の盗賊達ではガブロを止める事はできずに、ガブロの一方的な攻撃となった。
ガブロは手当たり次第に鉄槌を振り回してジフロル軍の盗賊達を倒していった。
ジフロル軍の盗賊達は成す術がなくガブロに次々と倒されていった。
ジフロル軍の右翼部隊はガブロの部隊に押され始めていた。
するとジフロル軍の盗賊の一人が大声で叫んだ。
「引け!引けー!後退しろー!!」
これを聞いたジフロル軍の盗賊達は後ろへと後退を始めた。
これを見たガブロが上機嫌となり大声で言った。
「はっはっ、こりゃいい眺めだ。」
するとガブロが近くに部下に大声で言った。
「おい!いい眺めだ!お前らも見ておけ!!」
ガブロの部下がすぐにガブロの周りに集まった。
「はっ!ガブロ様、いい眺めというのは?」
ガブロが上機嫌で部下達に言った。
「このガブロ様には敵わないとみて偽善者共は逃げ出してやがる!いい光景だろうが!」
ガブロの部下達がガブロに言った。
「はっ!さすがはガブロ様でございます。」
ガブロが部下達に言った。
「まあ当然だ。このガブロ様にかかれば偽善者共など一潰しよ。」
すると部下の一人がガブロに尋ねた。
「ガブロ様、すぐに偽善者共に追撃をかけた方が良いと思いますが?」
するとガブロが大声で怒鳴ってきた。
「あっ?てめえ、何言ってんだ?」
部下が少し怯えた声でガブロに言った。
「いえ、ここは偽善者共を追撃した方がいいかと思ったのですが?」
するとガブロが大声で部下に言った。
「バカ野郎!!ドロメ様の命令を忘れたのか?」
部下がガブロに尋ねた。
「と言われますと?」
ガブロが大声で怒鳴った。
「ミルゲ砦を攻撃しろだろうが!!追撃しろなんて言われてないだろうが!ドロメ様の命令は絶対だろうが!!!違うか?!!」
部下がガブロに慌てて言った。
「はっ!それはもちろんです。」
ガブロの部下達はそれ以上は何も言わなかった。
ガブロの部隊はアルガスの部隊には追撃をかけずに、ミルゲ砦に攻勢をかけるためにミルゲ砦に向かって進軍を始めた。
少し先の場所にアルガスの部下で副指令でもあるゼスタがいた。
ゼスタはアルガスが負傷したとの知らせを受けると、すぐに右翼部隊の指揮を引き継ぎ右翼部隊に後退を指示したのだった。
そしてゼスタ自身が右翼部隊を後ろに逃がす為に殿としてその場に残っていた。
ゼスタが部下と話をしていた。
部下がゼスタに言った。
「拍子抜けですね。激戦を覚悟してたんですが?」
ゼスタが部下に言った。
「ああそうだな、まさか追撃をかけてこないとはな。まあこちらとしてはその方が助かるがな。」
ゼスタが部下に尋ねた。
「それよりもアルガスは大丈夫なのか?」
部下がゼスタに言った。
「一命はとりとめました。今ポーションで怪我の回復をしている所です。」
ゼスタが部下に言った。
「そうか、良かった。」
部下がゼスタに尋ねた。
「ですが部隊を後退させてしまって良かったんですか?」
ゼスタが部下に言った。
「ガブロの部隊は勢いづいていたからな。現に我々はあちこちで押されていたし、あのまま戦っていてもどうせ支えきれなかっただろう。」
すると別の部下がやって来てゼスタに報告した。
「右翼部隊の退却が完了しました。」
するとゼスタが部下達に指示を出した。
「よしならば我々も引こう。」
部下がゼスタに言った。
「はっ。」
こうしてゼスタ達も後方へと退却していった。
一方こちらはミルゲ砦である。
ガブロの部隊が接近中との報を受けてミルゲ砦の中は騒がしかった。
ブロイクが部下達に指示を出していた。
「ドロメの奴らはすぐそこまで来てるぞ!急いで配置についてくれ!!」
砦に残っていた守備隊が急いで防戦準備を整えていた。
するとブロイクの元に部下が報告にやって来た。
「どうやらアルガスは一命をとりとめたようです。」
ブロイクがその部下に言った。
「そうかアルガスは無事か。」
するとブロイクがその部下に言った。
「すまないがおやっさんにもこの知らせを伝えてくれないか?」
すると後ろの方から声が聞こえた。
「大丈夫だ、ブロイクその必要はない。」
ジフロル団長がブロイクの所にやって来たのだった。
ジフロル団長の姿を見たブロイクがジフロル団長に言った。
「おやっさん。」
そして周りにいたジフロル軍の盗賊達も手を止めた。
するとジフロル団長が皆を見渡しながら言った。
「ああ、みんな挨拶はいい。すまないな邪魔をしてしまって。そのまま続けてくれ。」
周りの盗賊達が言った。
「はい。」
防戦準備をしていた盗賊達が再び作業を始めた。
するとブロイクがジフロル団長に言った。
「アルガスは深手を負ったようですが、何とか回復できたようです。」
ジフロル団長がブロイクに言った。
「そうか、それは聞いて安心した。」
ブロイクがジフロル団長に言った。
「しかし困りましたな、敵の別動隊はまだ発見できていません。更には鉄槌のガブロの部隊がこのミルゲ砦に肉薄しております。」
ミルゲ砦の部隊も手をこまねいていた訳ではなく、ドロメ盗賊軍の別動隊を見つけるべく、見張りの数を増やして監視強化に努めていた。
するとジフロル団長がブロイクに言った。
「一方の我々はアルガスが負傷し右翼部隊は後退を余儀なくしている。レイドスが左翼部隊を率いて踏ん張っているが一進一退だ。状況は良くない。アルガスの救援に動きたい所だが、ドロメ盗賊軍の別動隊の位置が分からぬでは動くに動けん。」
するとそこにブロイクの部下であるベルスが報告にやって来た。
「失礼します。」
ブロイクがベルスに尋ねた。
「どうしたベルス?ガブロの部隊が攻勢を始めたのか?」
ベルスがブロイクに言った。
「あっいえ、そうでは無く、発見致しました。」
ブロイクは少し大きな声でベルスに言った。
「何?まさかドロメの別動隊を見つけたのか?」
ベルスがブロイクに言った。
「ドロメかは分かりませんが不審な一団を発見致しました。」
ブロイクがベルスに尋ねた。
「その不審な一団はどこにいる?」
ベルスがブロイクに言った。
「はっ、このミルゲ砦から東北東の位置におります。」
ブロイクは少し考えた後でジフロル団長に言った。
「我々は東側には展開しておりません。アルガスの予想していた通り、ドロメ盗賊軍の別動隊とみて間違いないでしょうな。」
するとジフロル団長がベルスに言った。
「ベルス良く見つけてくれた。礼を言う。」
するとベルスがジフロル団長に言った。
「あっいえ、見つけたのは中央監視塔担当のレガゲイドなのです。」
ジフロル団長がベルス言った。
「そうか、ではレガゲイドに伝えておいてくれるか。よく見つけてくれたと!ベルスもご苦労だった。」
ベルスがジフロル団長に言った。
「はっ!」
ブロイクがジフロル団長に尋ねた。
「それでどうしますおやっさん?」
ジフロル団長がブロイクに指示を出した。
「私が今から出撃して敵の別動隊を叩きに行く。ブロイク、千三百人をこの砦に残していく。この砦を頼むぞ!」
ブロイクがジフロル団長に言った。
「分かりました。必ずこの砦を守り抜いてみせます。」
こうしてジフロル団長は二千人を率いてミルゲ砦より出撃した。
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ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
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