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第5章 アグトリア動乱
ミルゲ砦
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7月25日午前9時過ぎ、一方こちらはジフロル軍のミルゲ砦である。
ミルゲ砦はミルゲ平原にある小さな砦である。
だが戦略的には重要な拠点であった。
このミルゲ砦はバトロア教区とストレア教区の境界近くに建てられていた。
ジフロル軍にとっては本拠地のストレアとバトロアを繋ぐ重要な拠点であった。
ミルゲ砦は小高い丘の上に建てられていた。
南北におよそ五十メートル東西にもおよそ五十メートルの広さで、ミルゲ砦の外壁は高さ5メートルを越える石造りの壁できていた。
ミルゲ砦の中央部分には石造りの高い監視塔が設けられており、周辺を一望する事ができた。
ミルゲ砦は外壁や監視塔も含めて全てが一つの建物になっていた。
この時ミルゲ砦には300人ほどが守備隊として残っていた。
そしてジフロル団長率いる増援部隊八千五百人がミルゲ砦に到着した。
ミルゲ砦の中の一室で大柄な体格の男がジフロル団長を出迎えていた。
この男がミルゲ砦の守備隊長を任されていたブロイクであった。
ジフロル団長がブロイクに言った。
「ブロイク!無事で何よりだ。」
ブロイクがジフロル団長に言った。
「おやっさん。わざわざ来てもらってすいません。」
ジフロル団長がブロイクに言った。
「そんな事は構わん、大事無かったか?」
ブロイクがジフロル団長に言った。
「ええ、大事ありません。」
するとそこにアルガスが入ってきた。
「おやっさん、失礼します。」
ジフロル団長が入ってきたアルガスに尋ねた。
「アルガス、敵の動きはどうだ?」
アルガスがジフロル団長に言った。
「敵は再集結しています。部隊の再編も行っているようです。」
さらにレイドスもやって来た。
するとレイドスはアルガスに尋ねた。
「なあアルガス?敵は仕掛けてくるつもりなのか?」
アルガスがレイドスに言った。
「ええ、恐らく。戦うつもりがないならば部隊の再編をしたりはしないでしょう。」
するとレイドスがアルガスに尋ねた。
「敵はなんで逃げないんだ?また兵数の勘違いしてくれてるのか?」
アルガスがレイドスに言った。
「いえ、今回は部隊を隠していません。おそらく我々の兵数もしっかり把握されているはずです。逃げる為に戦うつもりなのかもしれません。」
アルガスがレイドスに尋ねた。
「逃げる為?」
アルガスがレイドスに言った。
「逃げている所を後ろから追撃を受ければ大打撃です。攻撃を行いつつ撤退するつもりか。あるいは増援が来るまで時間稼ぎをするつもりか。それとも何か別に逃げられない事情でもあるのか。」
するとジフロル軍の盗賊の一人が報告にやってきた。
「ドロメ盗賊軍の左翼部隊が前進を始めました。」
ブロイクがその盗賊に尋ねた。
「そうか、敵の右翼部隊はどうだ?撤退の動きを見せていないか?」
その盗賊がブロイクに言った。
「いえ、そのような動きは全くありません。」
これを聞いたブロイクは首をかしげた。
「うん、敵の意図が分からんな?撤退するにしても、増援を待っているにしても時間を稼ぐべきだろうに?自分達から仕掛けてくるとはどういうつもりだ?」
するとアルガスがみなに言った。
「敵は逃げるつもりはないという事です。恐らく敵は何か策を講じているのでしょう。こちらも手を打った方がいいでしょうな。」
するとレイドスがアルガスに言った。
「手を打つっていっても敵はもうこっちに向かってきてるんだろう?迎撃しなきゃまずくないか?」
アルガスがレイドスに言った。
「ええその通りです。ですので、まず進撃してくる敵を迎撃する部隊とミルゲ砦に残り敵の策に対応する部隊とに分けるべきであると考えます。そうすれば敵の思惑にも対処できます。」
レイドスがアルガスに尋ねた。
「全軍で戦うのはだめなのか?」
アルガスがレイドスに言った。
「現状では全軍で動くのは危険です。それではこの砦を空にしてしまいます。ましてや敵は不可解な動きをしています。全軍で動くのは敵の意図が判明した後の方がいいでしょう。」
レイドスがアルガスに尋ねた。
「つまりどういう事だ?」
アルガスがレイドスに言った。
「敵が何か策を用意しており、その策から我々の目を反らす為に攻勢に出ていると考えれば合点がいくという事です。」
するとブロイクがアルガスに言った。
「つまり正面の部隊はおとりだと?」
アルガスがブロイクに言った。
「断言はできませんが、その可能性は高いかと。」
レイドスがジフロル団長に尋ねた。
「どうする、親父?」
ジフロル団長が大きな声で言った。
「よし、アルガスは右翼部隊をレイドスには左翼部隊を任せる。敵の迎撃に当たってくれ。」
アルガスがジフロル団長に言った。
「お任せください。」
レイドスがジフロル団長に言った。
「ああ、分かった。それで親父はどうするんだ?」
ジフロル団長がレイドスに言った。
「私はブロイクと共にこの砦に残る。敵の策に対応できるようにな。」
ジフロル団長がブロイクに言った。
「ブロイクも宜しく頼む。」
ブロイクがジフロル団長に言った。
「ええ、もちろんです。おやっさん。」
ジフロル団長がみなに言った。
「ではみな頼むぞ!」
ジフロル盗賊団の一同が言った。
「おお!」
ミルゲ砦はミルゲ平原にある小さな砦である。
だが戦略的には重要な拠点であった。
このミルゲ砦はバトロア教区とストレア教区の境界近くに建てられていた。
ジフロル軍にとっては本拠地のストレアとバトロアを繋ぐ重要な拠点であった。
ミルゲ砦は小高い丘の上に建てられていた。
南北におよそ五十メートル東西にもおよそ五十メートルの広さで、ミルゲ砦の外壁は高さ5メートルを越える石造りの壁できていた。
ミルゲ砦の中央部分には石造りの高い監視塔が設けられており、周辺を一望する事ができた。
ミルゲ砦は外壁や監視塔も含めて全てが一つの建物になっていた。
この時ミルゲ砦には300人ほどが守備隊として残っていた。
そしてジフロル団長率いる増援部隊八千五百人がミルゲ砦に到着した。
ミルゲ砦の中の一室で大柄な体格の男がジフロル団長を出迎えていた。
この男がミルゲ砦の守備隊長を任されていたブロイクであった。
ジフロル団長がブロイクに言った。
「ブロイク!無事で何よりだ。」
ブロイクがジフロル団長に言った。
「おやっさん。わざわざ来てもらってすいません。」
ジフロル団長がブロイクに言った。
「そんな事は構わん、大事無かったか?」
ブロイクがジフロル団長に言った。
「ええ、大事ありません。」
するとそこにアルガスが入ってきた。
「おやっさん、失礼します。」
ジフロル団長が入ってきたアルガスに尋ねた。
「アルガス、敵の動きはどうだ?」
アルガスがジフロル団長に言った。
「敵は再集結しています。部隊の再編も行っているようです。」
さらにレイドスもやって来た。
するとレイドスはアルガスに尋ねた。
「なあアルガス?敵は仕掛けてくるつもりなのか?」
アルガスがレイドスに言った。
「ええ、恐らく。戦うつもりがないならば部隊の再編をしたりはしないでしょう。」
するとレイドスがアルガスに尋ねた。
「敵はなんで逃げないんだ?また兵数の勘違いしてくれてるのか?」
アルガスがレイドスに言った。
「いえ、今回は部隊を隠していません。おそらく我々の兵数もしっかり把握されているはずです。逃げる為に戦うつもりなのかもしれません。」
アルガスがレイドスに尋ねた。
「逃げる為?」
アルガスがレイドスに言った。
「逃げている所を後ろから追撃を受ければ大打撃です。攻撃を行いつつ撤退するつもりか。あるいは増援が来るまで時間稼ぎをするつもりか。それとも何か別に逃げられない事情でもあるのか。」
するとジフロル軍の盗賊の一人が報告にやってきた。
「ドロメ盗賊軍の左翼部隊が前進を始めました。」
ブロイクがその盗賊に尋ねた。
「そうか、敵の右翼部隊はどうだ?撤退の動きを見せていないか?」
その盗賊がブロイクに言った。
「いえ、そのような動きは全くありません。」
これを聞いたブロイクは首をかしげた。
「うん、敵の意図が分からんな?撤退するにしても、増援を待っているにしても時間を稼ぐべきだろうに?自分達から仕掛けてくるとはどういうつもりだ?」
するとアルガスがみなに言った。
「敵は逃げるつもりはないという事です。恐らく敵は何か策を講じているのでしょう。こちらも手を打った方がいいでしょうな。」
するとレイドスがアルガスに言った。
「手を打つっていっても敵はもうこっちに向かってきてるんだろう?迎撃しなきゃまずくないか?」
アルガスがレイドスに言った。
「ええその通りです。ですので、まず進撃してくる敵を迎撃する部隊とミルゲ砦に残り敵の策に対応する部隊とに分けるべきであると考えます。そうすれば敵の思惑にも対処できます。」
レイドスがアルガスに尋ねた。
「全軍で戦うのはだめなのか?」
アルガスがレイドスに言った。
「現状では全軍で動くのは危険です。それではこの砦を空にしてしまいます。ましてや敵は不可解な動きをしています。全軍で動くのは敵の意図が判明した後の方がいいでしょう。」
レイドスがアルガスに尋ねた。
「つまりどういう事だ?」
アルガスがレイドスに言った。
「敵が何か策を用意しており、その策から我々の目を反らす為に攻勢に出ていると考えれば合点がいくという事です。」
するとブロイクがアルガスに言った。
「つまり正面の部隊はおとりだと?」
アルガスがブロイクに言った。
「断言はできませんが、その可能性は高いかと。」
レイドスがジフロル団長に尋ねた。
「どうする、親父?」
ジフロル団長が大きな声で言った。
「よし、アルガスは右翼部隊をレイドスには左翼部隊を任せる。敵の迎撃に当たってくれ。」
アルガスがジフロル団長に言った。
「お任せください。」
レイドスがジフロル団長に言った。
「ああ、分かった。それで親父はどうするんだ?」
ジフロル団長がレイドスに言った。
「私はブロイクと共にこの砦に残る。敵の策に対応できるようにな。」
ジフロル団長がブロイクに言った。
「ブロイクも宜しく頼む。」
ブロイクがジフロル団長に言った。
「ええ、もちろんです。おやっさん。」
ジフロル団長がみなに言った。
「ではみな頼むぞ!」
ジフロル盗賊団の一同が言った。
「おお!」
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