最強勇者の物語2

第5章 アグトリア動乱

急襲

一方のジフロル軍は7月25日午前6時には出撃準備を完了させていた。

そして午前6時過ぎにミルゲ砦救援の為にバルムスを留守居に残してバトロア鉱山より出発して東に向かった。

ジフロル軍はジフロル団長を先頭におよそ八千五百人であった。

ジフロル団長が率いる三千人が先鋒であった。

続いてアルガス率いる二千五百人が続いた。

その後ろにレイドス率いる三千人が続いた。

そしてロイとガブロが布陣していた場所は出発前にバトロア鉱山から目視で確認されていた。

ジフロル軍はロイの部隊を急襲するため東に進んで行った。

午前8時、ロイの別動隊にジフロル軍が迫っていた。

ロイはこの時まだ休息を取っていた。

ロイの部隊は周囲警戒をしていなかったので、ジフロル軍の接近に気づくのが遅れた。

そして午前8時、ジフロル団長率いる先鋒の部隊がロイの部隊に攻めかかった。

突然の急襲によってロイの部隊は大混乱になった。

ロイはこの時、座ってくつろいでいた。

そこにロイの部下が慌ててやって来た。

そしてロイに報告した。

「た、大変です！偽善者共が攻めてきました。」

ロイは驚いて部下に尋ねた。

「な、なんだと？本当か？」

部下がロイに言った。

「はい、本当です！！しかもかなりの大軍のようです。」

するとロイが部下に尋ねた。

「大軍だと？どのくらいだ？？」

部下がロイに言った。

「おそらく五千以上はいるかと。」

ロイが部下に言った。

「五千以上だと？？くそ！！なんでこんなに早く偽善者共が来てるんだ？！」

ロイの部下が答えた。

「分かりません。」

ロイが部下に尋ねた。

「おいまさかガブロの野郎が攻め込んだんじゃないだろうな？」

部下がロイに言った。

「分かりません。」

ロイが大声をあげた。

「ええい！くそ！！」

するとロイが大声で指示を出した。

「逃げるぞ！！」

部下がロイに聞き返した。

「はっ？？逃げるのですか？」

ロイが部下に言った。

「こんなもの勝負になるか。全員に逃げろと伝えろ！ガブロの部隊と合流するんだ！！」

部下がロイに言った。

「はっ！！」

部下はすぐに走っていった。

ロイも逃げるため陣の外に出て用意していた馬にまたがった。

だがそこにジフロル軍の盗賊達がなだれ込んできた。

ロイの部下達がすぐに応戦した。

「ちっ！もうここまで来たか！！」

ロイの部下がロイに言った。

「ロイ様、お逃げください！！」

ロイはその言葉通り、すぐに馬を走らせて南東の方角へ逃げていった。

そしてロイの部下達も続々と逃げていった。

戦闘は数十分で終わり、ロイの部隊は南東へと逃げていった。

そこから少し離れた所にジフロル団長がいた。

ジフロル団長にジフロル軍の一人が尋ねた。

「おやっさん、どうします？追撃しますか？」

ジフロル団長がその盗賊に言った。

「その必要はない。それよりも今はミルゲ砦のブロイク達と合流するのが先だろう。」

盗賊がジフロル団長に答えた。

「了解しました！」

こうしてジフロル軍はロイの部隊への追撃はかけずに、そのまま東へ進みミルゲ砦へと向かった。