最強勇者の物語2

しまうま弁当

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第5章 アグトリア動乱

独断専行

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バルゲア歴752年7月24日の深夜バトロワ村よりドロメ盗賊軍およそ四千五百人の部隊が出撃していた。

ロイの指揮のもと夜陰に紛れてジフロル軍の後方にあるミルゲ砦に向けて大きく迂回しながら進んでいた。

馬に乗ったロイの元に同じく馬に乗ったガブロが近くまでやってきた。

 そしてロイに大声で言った。

「おい、ロイ!本当なんだろうな??これは本当にドロメ様の命令なんだな?!!」

ロイがガブロに言った。

「ああ、そうだ。ドロメ様から直接俺に指示を貰ったんだ!ガブロと共に別動隊を指揮してミルゲ砦へ進軍せよとな!」

するとガブロがロイを怒鳴った。

「もし間違ってたら、てめえの頭を叩き割るからな!!!覚悟しとけよ!!!」

ロイがガブロに言った。

「そんなに心配ならば、ドロメ様に確認すれば良かっただろう?」

ガブロがロイに言った。

「ヘマをした俺にドロメ様を叩き起こすなんてできる訳ねえだろうが。」

するとロイがガブロに言った。

「それよりガブロ絶対に灯りをつけるんじゃねえぞ!偽善者共に気づかれるからな。」

ガブロがロイに言った。

「うるせえな!つけてねえだろうが!!」

ガブロはロイに文句を言い終わると、ロイの所から離れていった。

ガブロはロイの指示通りに部隊を進めていった。

翌7月25日の早朝バトロワ村の集会所ではドロメ団長の部下達が集まり慌ただしくしていた。

カスパーが部下達に尋ねた。

「どうだ?ロイとガブロはいたか?」

部下がカスパーに言った。

「駄目です。村の中にはいないようです。」

すると村の周囲を見てきたグロッケンが集会所の中に入ってきた。

そしてカスパーに言った。

「ロイの部隊とガブロの部隊もいなくなってるぞ。あいつら一体どういうつもりだ?」

カスパーは困った表情でグロッケンに言った。

「ロイとガブロが夜中の間に部隊を率いて出撃したという事だろう。これはまずいな。」

するとカスパーが大きな声で部下達に尋ねた。

「誰か、ロイ達が出撃するのを見かけた者はいないか?」

だが誰も答えなかった。

カスパーが部下達に言った。

「誰も見ていないのか?とても大事な事なんだ。見ていた者は是非教えて欲しい!」

すると部下の一人がカスパーに言った。

「ロイ様とガブロ様が出撃していく所を見ました。」

カスパーがその部下に尋ねた。

「なぜすぐに報告をしなかったんだ?」

その部下がカスパーに言った。

「ロイ様がドロメ様よりの極秘の指示との事で、口外するなと言われたのです。」

集会所にいたグロッケンがその部下に言った。

「ドロメ様の極秘の指示か。それじゃあ仕方ねえな。」

カスパーが部下に言った。

「そうか分かった。」

するとカスパーがグロッケンに言った。

「グロッケン、すぐに我々でドロメ様に確認しに行こう。」

するとグロッケンがカスパーに言った。

「おいおい、カスパー?俺まで巻き込む気か?さっき行った時は、ドロメ様はまだ寝てたぞ?ドロメ様を起こしに行くんだったらお前一人で行け!!俺はドロメ様を叩き起こすなんて真似恐くてできねえからな!!」

カスパーがグロッケンに言った。

「ああ分かった、ドロメ様が起きてくるまで待とう。」

カスパーが部下に尋ねた。

「ミルゲ砦の方角から黒煙はまだ上がっていないか?」

部下がカスパーに言った。

「はっ、まだ上がっておりません。」

カスパーが部下に言った。

「そうか。」

それから2時間が経過して午前7時となった。

ようやくバトロア村の集会所にドロメ団長がやって来た。

一同がドロメ団長に挨拶をした。

「ドロメ様、おはようございます!」

ドロメ団長がそれに頷いた。

そしてカスパーがドロメに言った。

「ドロメ様、一つご報告がございます。」

ドロメ団長がカスパーに言った。

「何だ?」

カスパーがドロメ団長に言った。

「実は夜中の間にロイとガブロが四千五百人を率いてバトロワ村より出撃したようなのです。」

ドロメ団長が目を見開いてカスパーに怒鳴った。

「なんだと?!!それはどういう事だ!!!」

カスパーがドロメ団長に尋ねた。

「ドロメ様が極秘で指示を出されたとロイが言っていたそうなのですが?」

ドロメ団長が激怒しながらカスパーに答えた。

「そんな指示出しておらんぞ!!!ロイのやつどういうつもりだ?!!」

カスパーが少し考えた後、ドロメ団長に言った。

「となるとどうやらロイの奴、自分の策がドロメ様に採用してもらえなかったので、独断で動いたようですな。自分の策の有効性を証明するために。」

ドロメ団長が激怒しながら言った。

「おのれ!!!ロイの奴、このドロメ様が失敗を許してやったのに、命令一つ守れないのか!!」

グロッケンがドロメ団長に言った。

「ドロメ様のお怒りはご最ですな。」

ドロメ団長はしばらくの間怒り狂っていた。

そしてしばらく経ってようやく怒りがおさまった。

そしてドロメ団長がカスパーに尋ねた。

「カスパーこれからどうすれば良い?」

カスパーがドロメ団長に言った。

「敵の半数しかいないこの状態では決戦を挑んでも敗北は必須でしょう。それにすでに夜も明けており、敵にこちらの動きは筒抜けです。動いてはなりません。」

するとグロッケンがカスパーに言った。

「使者を出してロイとガブロを呼び戻したらどうだ?」

カスパーがグロッケンに言った。

「これがロイの独断ならば、呼び戻しても適当な理由をつけて無視されるだけです。戻ってきたら独断で動いた意味が無くなってしまいます。」

グロッケンがカスパーに言った。

「一昨日みたいに丘陵地帯の西側に進出するのはどうだ?」

カスパーがグロッケンに言った。

「もし敵よりも多数の戦力を持っているなら、その手は有効でしょう。ですが現状手元の戦力は敵の半数です。これでは各個撃破(相手の戦力が分散している間に戦力を集中させて攻撃する事)されるだけです。」

ドロメ団長がカスパーに怒鳴った。

「それではどうしろというのだ?!!」

カスパーがドロメ団長に言った。

「こうなってはロイの策でいくしかありません。」

ドロッケンがカスパーに言った。

「おいおい、ロイの策で上手くいくのか?奴はすでに一回失敗しているんだぞ!」

カスパーがグロッケンに言った。

「だからもう他に方法が無いんだ。」

ドロメ団長が激怒して言った。

「ロイの奴この戦いが終わったら八つ裂きにしてやるぞ!!」

カスパーがドロメ団長に言った。

「ロイの作戦通りならミルゲ砦を陥落させ次第黒煙を上げるはずです。出撃の準備だけ済ませてそれを待ちましょう。」

ドロメ盗賊軍は出撃準備を済ませて合図を待った。
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