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第4章 ホルムス共和国
脱走
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スリラは魔道具の催眠布巾(さいみんふきん)を使って看守を眠らせたのだった。
この様子を見ていた囚人達は唖然とした。
そして囚人達がスリラに話しかけてきた。
「お前何やってんだ?」
「僧兵同士の喧嘩か?」
するとスリラは黙って周りを見渡した。
すると地下牢の奥にある独房にレイドスが捕まっているのを見つけた。
そしてスリラは囚人達にこう尋ねた。
「俺は僧兵じゃない、脱獄の手助けをしに来た。ここから出たい奴はいるか?」
すると囚人達が一斉に叫んだ。
「出してくれ、こんな所は嫌だ!」
「俺も出してくれ!」
「俺もだ。外で自由に過ごしたいんだ!出してくれ!」
スリラが囚人達に言った。
「ここから出す代わりに守って欲しい事がある。」
スリラは続けて囚人達に言った。
「決して走らず、堂々と出口まで歩いてくれ。もし途中で僧兵に会っても逃げたりせずに道に迷ったと言うんだ。」
囚人達はスリラに尋ねた。
「何だそりゃ?そんなんで無事に外に出られるのか?」
「走って逃げた方がいいんじゃないのか?」
スリラが囚人達に言った。
「いやこの方法の方が安全に外まで出られるはずだ!どうする?守れないなら出さないぞ!」
囚人達がスリラに言った。
「分かった、その通りにするから早く出してくれ!」
「俺も守る、だからここから出してくれ!もうこんな所は嫌だ!」
全ての囚人がスリラの案を受け入れた。
スリラは順次囚人達を牢屋から出していった。
あとはレイドスを残すだけとなっていた。
するとスリラは僧兵の服装を脱いで、汚れた服に着替えた。
そして僧兵の服装を独房の奥へと隠した。
レイドスがスリラに言った。
「おい!頼む、俺も早く出してくれ!」
するとスリラが鉄格子の近くまで顔を寄せてレイドスに言った。
「俺だレイドス!助けに来た。」
レイドスはスリラに気づいたようで、こう言った。
「スリラ、助けにきてくれたのか?」
スリラがレイドスに言った。
「ああ、そうだ。」
スリラはそう言うと、独房の鍵を開けてレイドスを外に出した。
レイドスがスリラに言った。
「すまねえ、それでさっきお前が言った通りにすればいいのか?」
スリラはレイドスに言った。
「ああ、レイドスは俺の後ろについてきて調子を合わせてくれ。」
するとレイドスは疑問に感じながらも了承した。
スリラとレイドスは、地下牢の階段を登り一階に上がった。
そして急がずに歩いてアグトリア大神殿の正面入口に向かった。
すると途中で三人組の僧兵に呼び止められた。
「おい!大神殿の中で何してるんだ?」
するとスリラが僧兵に尋ねた。
「すいません、道に迷ってしまって。正面入口はどこですか?」
僧兵の一人がスリラに言った。
「なんだ、迷ったのか。この先の大きな通路を左に曲がってあとはずっと真っ直ぐに行けば正面入口だ。」
スリラが僧兵に答えた。
「ありがとうございます。」
スリラ達はなに食わぬ顔でアグトリア大神殿の正面入口の近くまでやってきた。
だがその時ソラド法王が正面入口から入ってきた。
レイドスがスリラに小さな声で言った。
「やばいぞスリラ、あれはアホ勇者だ。こっちに近づいてくるぞ。」
スリラは前を見ながらレイドスに小声で答えた。
「大丈夫、さっきと同じようにすればいい。」
レイドスは小声でスリラに答えた。
「ああ。」
ソラド法王は走ってスリラ達の所にやってきた。
そしてスリラ達を見つけて声を掛けてきた。
「あれ、君達どうしたの?」
スリラがソラド法王に答えた。
「実は道に迷ってしまいまして。」
ソラド法王がスリラに答えた。
「そうなんだ。ここ広いもんね。」
ソラド法王は二人の顔を覗き込んだ。
するとスリラがソラド法王に尋ねた。
「ところでいいんですか?何か急いでいるように見えましたが?」
ソラド法王がスリラに言った。
「あっそうだ。小麦を持っていかないと。じゃあね。」
ソラド法王はそう言うとスリラ達の横を通り抜けて走っていった。
その後でスリラ達は正面入口から外に出た。
外では相変わらず炊き出しが振る舞われており、アグトリア大神殿前の広場は凄い数の人々で埋めつくされていた。
そしてこの人混みに紛れて、脱出を成功させた。
レイドスがスリラに尋ねた。
「なんで僧兵達は俺達を怪しまなかったんだ?」
スリラがレイドスに言った。
「それはあれだけの人達がアグトリア大神殿に来てたからだ。あれだけの人が来れば迷子もたくさん出てるだろう。あの状況ならアグトリア大神殿の中をうろついてても道に迷いましたって言い訳で十分通る。」
再びレイドスがスリラに尋ねた。
「でもアホ勇者が俺たちを見逃すって何で分かったんだ?」
するとスリラがレイドスに答えた。
「違うレイドスそうじゃない。アホ勇者は俺たちを見逃したんじゃない。昨日会った俺たちの顔をもう忘れてるんだよ!」
この様子を見ていた囚人達は唖然とした。
そして囚人達がスリラに話しかけてきた。
「お前何やってんだ?」
「僧兵同士の喧嘩か?」
するとスリラは黙って周りを見渡した。
すると地下牢の奥にある独房にレイドスが捕まっているのを見つけた。
そしてスリラは囚人達にこう尋ねた。
「俺は僧兵じゃない、脱獄の手助けをしに来た。ここから出たい奴はいるか?」
すると囚人達が一斉に叫んだ。
「出してくれ、こんな所は嫌だ!」
「俺も出してくれ!」
「俺もだ。外で自由に過ごしたいんだ!出してくれ!」
スリラが囚人達に言った。
「ここから出す代わりに守って欲しい事がある。」
スリラは続けて囚人達に言った。
「決して走らず、堂々と出口まで歩いてくれ。もし途中で僧兵に会っても逃げたりせずに道に迷ったと言うんだ。」
囚人達はスリラに尋ねた。
「何だそりゃ?そんなんで無事に外に出られるのか?」
「走って逃げた方がいいんじゃないのか?」
スリラが囚人達に言った。
「いやこの方法の方が安全に外まで出られるはずだ!どうする?守れないなら出さないぞ!」
囚人達がスリラに言った。
「分かった、その通りにするから早く出してくれ!」
「俺も守る、だからここから出してくれ!もうこんな所は嫌だ!」
全ての囚人がスリラの案を受け入れた。
スリラは順次囚人達を牢屋から出していった。
あとはレイドスを残すだけとなっていた。
するとスリラは僧兵の服装を脱いで、汚れた服に着替えた。
そして僧兵の服装を独房の奥へと隠した。
レイドスがスリラに言った。
「おい!頼む、俺も早く出してくれ!」
するとスリラが鉄格子の近くまで顔を寄せてレイドスに言った。
「俺だレイドス!助けに来た。」
レイドスはスリラに気づいたようで、こう言った。
「スリラ、助けにきてくれたのか?」
スリラがレイドスに言った。
「ああ、そうだ。」
スリラはそう言うと、独房の鍵を開けてレイドスを外に出した。
レイドスがスリラに言った。
「すまねえ、それでさっきお前が言った通りにすればいいのか?」
スリラはレイドスに言った。
「ああ、レイドスは俺の後ろについてきて調子を合わせてくれ。」
するとレイドスは疑問に感じながらも了承した。
スリラとレイドスは、地下牢の階段を登り一階に上がった。
そして急がずに歩いてアグトリア大神殿の正面入口に向かった。
すると途中で三人組の僧兵に呼び止められた。
「おい!大神殿の中で何してるんだ?」
するとスリラが僧兵に尋ねた。
「すいません、道に迷ってしまって。正面入口はどこですか?」
僧兵の一人がスリラに言った。
「なんだ、迷ったのか。この先の大きな通路を左に曲がってあとはずっと真っ直ぐに行けば正面入口だ。」
スリラが僧兵に答えた。
「ありがとうございます。」
スリラ達はなに食わぬ顔でアグトリア大神殿の正面入口の近くまでやってきた。
だがその時ソラド法王が正面入口から入ってきた。
レイドスがスリラに小さな声で言った。
「やばいぞスリラ、あれはアホ勇者だ。こっちに近づいてくるぞ。」
スリラは前を見ながらレイドスに小声で答えた。
「大丈夫、さっきと同じようにすればいい。」
レイドスは小声でスリラに答えた。
「ああ。」
ソラド法王は走ってスリラ達の所にやってきた。
そしてスリラ達を見つけて声を掛けてきた。
「あれ、君達どうしたの?」
スリラがソラド法王に答えた。
「実は道に迷ってしまいまして。」
ソラド法王がスリラに答えた。
「そうなんだ。ここ広いもんね。」
ソラド法王は二人の顔を覗き込んだ。
するとスリラがソラド法王に尋ねた。
「ところでいいんですか?何か急いでいるように見えましたが?」
ソラド法王がスリラに言った。
「あっそうだ。小麦を持っていかないと。じゃあね。」
ソラド法王はそう言うとスリラ達の横を通り抜けて走っていった。
その後でスリラ達は正面入口から外に出た。
外では相変わらず炊き出しが振る舞われており、アグトリア大神殿前の広場は凄い数の人々で埋めつくされていた。
そしてこの人混みに紛れて、脱出を成功させた。
レイドスがスリラに尋ねた。
「なんで僧兵達は俺達を怪しまなかったんだ?」
スリラがレイドスに言った。
「それはあれだけの人達がアグトリア大神殿に来てたからだ。あれだけの人が来れば迷子もたくさん出てるだろう。あの状況ならアグトリア大神殿の中をうろついてても道に迷いましたって言い訳で十分通る。」
再びレイドスがスリラに尋ねた。
「でもアホ勇者が俺たちを見逃すって何で分かったんだ?」
するとスリラがレイドスに答えた。
「違うレイドスそうじゃない。アホ勇者は俺たちを見逃したんじゃない。昨日会った俺たちの顔をもう忘れてるんだよ!」
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