209 / 265
第4章 ホルムス共和国
投獄
しおりを挟む
パルゲア歴752年6月28日午後10時、ここは首都アグトリアにある果てなき絶望のアジトである。
街中を出歩く者もほとんどおらず、アジトの周囲は静寂に包まれていた。
そしてアジトの中には仕事を成功させたスリラの姿があった。
壁越しにスリラが話した。
「要望通り、アホ勇者から金を巻き上げてきた。ほら3億トリムだ。」
スリラはそう言うと、3億トリムが入った麻袋を持ち上げた。
するとガチャガチャという音の後に閉まっていた扉が空いた。
そして奥の部屋の中から声が聞こえてきた。
「どうぞ、中に入ってきて。」
スリラは扉をくぐり奥の部屋へと入った。
奥の部屋は手前の部屋よりも広く、ベッドや机なども置かれていた。
奥の部屋は魔導灯がついており、かなり明るかった。
そしてスリラは部屋に立っていた人物を見た。
長い黒髪の長身の女性だった。
年齢は25才くらいで黒い服装だった。
「私はモニカ・アンジェル、果てなき絶望のリーダーよ。」
スリラはモニカに言った。
「俺はスリラだ。」
するとモニカがスリラに言った。
「スリラよくやったわ。見事アホ勇者からお金を騙し取ったわ。」
するとスリラがモニカに言った。
「見事ね?俺の他にもたくさんアホ勇者から金を騙し取ってた奴がいたがな?あれはそんなに難しい仕事なのか?」
するとモニカがスリラに言った。
「確かにアホ勇者から金を騙し取るのは簡単よ。うその不幸話をするだけで大金をくれるからね。でも貴方は足がつかないように、すぐに着替えて巡礼用の服を処分した。そしてそのお金を入れてる麻袋もちゃんと変えてるでしょ?」
するとスリラがモニカに言った。
「確かに巡礼服は処分して、この麻袋も変えた。足がついたら困るからな。それにしても、果てなき絶望なんて大層な名前の割に詐欺なんてせこい事やってるんだな?」
モニカはスリラに言った。
「別に詐欺しかしてない訳じゃないけど。だけどスリラ、貴方は詐欺を勘違いしてるわ。盗賊なんて血生臭い事ばっかりやらなければならないのに、そこまで実入りは良くない。その点、詐欺は素晴らしいわ。弁舌だけで大金が転がり込んでくる。それに詐欺には技術もいるわ。盗賊なんかよりははるかに高尚よ。」
さらにモニカはスリラに熱弁を続けた。
「いかに楽をして大金を手に入れるか?大事なのはそこでしょう?難しい相手だからって、大金が手に入る訳じゃない。楽な相手から稼いだ方が効率がいいわ。ましてや相手はあのアホ勇者。アホ勇者から巻き上げるのは当然の流れでしょう?」
するとスリラは諦めてモニカに謝った。
「すまない、詐欺について思い違いをしていたようだ。」
モニカがスリラに言った。
「ようやく詐欺の良さを分かってくれたようね。」
スリラがモニカに尋ねた。
「ところでレイドスはどうしたんだ?外にいなかったからこの中にいると思ったんだが?レイドスも詐欺を成功させていたはずだが?」
するとモニカがスリラに答えた。
「ああ、レイドスは捕まったわよ。ドレスタル枢機卿にね。そりゃ50億トリムなんて大金担いで、酒場で豪遊してればすぐに見つかるわよ。貴方みたいに搾り取る金額は抑えないとね。騙し取られた方からすれば大金を盗んでいった奴から探すでしょうし。」
スリラがモニカに尋ねた。
「レイドスは捕まったのか?」
モニカがスリラに言った。
「ええアグトリア大神殿の地下牢に捕まってるわ。」
スリラはモニカに尋ねた。
「なぜそこまで詳しく知ってるんだ?」
モニカがスリラに言った。
「ああそれはずっと貴方達を観察していたからよ。ここを出た時からずっとね。それと拘束場所を知ってるのは僧兵修道会に協力者がいるからよ。」
モニカがスリラに続けて言った。
「それでスリラ、さっそくだけど仕事よ。レイドスを助けに行って欲しいの。」
街中を出歩く者もほとんどおらず、アジトの周囲は静寂に包まれていた。
そしてアジトの中には仕事を成功させたスリラの姿があった。
壁越しにスリラが話した。
「要望通り、アホ勇者から金を巻き上げてきた。ほら3億トリムだ。」
スリラはそう言うと、3億トリムが入った麻袋を持ち上げた。
するとガチャガチャという音の後に閉まっていた扉が空いた。
そして奥の部屋の中から声が聞こえてきた。
「どうぞ、中に入ってきて。」
スリラは扉をくぐり奥の部屋へと入った。
奥の部屋は手前の部屋よりも広く、ベッドや机なども置かれていた。
奥の部屋は魔導灯がついており、かなり明るかった。
そしてスリラは部屋に立っていた人物を見た。
長い黒髪の長身の女性だった。
年齢は25才くらいで黒い服装だった。
「私はモニカ・アンジェル、果てなき絶望のリーダーよ。」
スリラはモニカに言った。
「俺はスリラだ。」
するとモニカがスリラに言った。
「スリラよくやったわ。見事アホ勇者からお金を騙し取ったわ。」
するとスリラがモニカに言った。
「見事ね?俺の他にもたくさんアホ勇者から金を騙し取ってた奴がいたがな?あれはそんなに難しい仕事なのか?」
するとモニカがスリラに言った。
「確かにアホ勇者から金を騙し取るのは簡単よ。うその不幸話をするだけで大金をくれるからね。でも貴方は足がつかないように、すぐに着替えて巡礼用の服を処分した。そしてそのお金を入れてる麻袋もちゃんと変えてるでしょ?」
するとスリラがモニカに言った。
「確かに巡礼服は処分して、この麻袋も変えた。足がついたら困るからな。それにしても、果てなき絶望なんて大層な名前の割に詐欺なんてせこい事やってるんだな?」
モニカはスリラに言った。
「別に詐欺しかしてない訳じゃないけど。だけどスリラ、貴方は詐欺を勘違いしてるわ。盗賊なんて血生臭い事ばっかりやらなければならないのに、そこまで実入りは良くない。その点、詐欺は素晴らしいわ。弁舌だけで大金が転がり込んでくる。それに詐欺には技術もいるわ。盗賊なんかよりははるかに高尚よ。」
さらにモニカはスリラに熱弁を続けた。
「いかに楽をして大金を手に入れるか?大事なのはそこでしょう?難しい相手だからって、大金が手に入る訳じゃない。楽な相手から稼いだ方が効率がいいわ。ましてや相手はあのアホ勇者。アホ勇者から巻き上げるのは当然の流れでしょう?」
するとスリラは諦めてモニカに謝った。
「すまない、詐欺について思い違いをしていたようだ。」
モニカがスリラに言った。
「ようやく詐欺の良さを分かってくれたようね。」
スリラがモニカに尋ねた。
「ところでレイドスはどうしたんだ?外にいなかったからこの中にいると思ったんだが?レイドスも詐欺を成功させていたはずだが?」
するとモニカがスリラに答えた。
「ああ、レイドスは捕まったわよ。ドレスタル枢機卿にね。そりゃ50億トリムなんて大金担いで、酒場で豪遊してればすぐに見つかるわよ。貴方みたいに搾り取る金額は抑えないとね。騙し取られた方からすれば大金を盗んでいった奴から探すでしょうし。」
スリラがモニカに尋ねた。
「レイドスは捕まったのか?」
モニカがスリラに言った。
「ええアグトリア大神殿の地下牢に捕まってるわ。」
スリラはモニカに尋ねた。
「なぜそこまで詳しく知ってるんだ?」
モニカがスリラに言った。
「ああそれはずっと貴方達を観察していたからよ。ここを出た時からずっとね。それと拘束場所を知ってるのは僧兵修道会に協力者がいるからよ。」
モニカがスリラに続けて言った。
「それでスリラ、さっそくだけど仕事よ。レイドスを助けに行って欲しいの。」
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
不死王はスローライフを希望します
小狐丸
ファンタジー
気がついたら、暗い森の中に居た男。
深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。
そこで俺は気がつく。
「俺って透けてないか?」
そう、男はゴーストになっていた。
最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。
その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。
設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる