205 / 265
第4章 ホルムス共和国
盗賊団
しおりを挟む
今はパルゲア歴752年6月28日午前11時過ぎ。
首都アグトリアにある寂れた民家の中で二人の男が話し合っていた。
体格のいい若い男が隣の男に尋ねた。
「なあスリラ、ここでいいんだよな?」
スリラと呼ばれた細身の若い男が答えた。
「ああ、たぶんここでいいはずだ。」
すると壁から誰とも分からぬ声が聞こえてきた。
「盗人共、早く出ていけ!」
二人はびっくりしてこの部屋の壁を見回した。
すると隣の部屋へ通じる扉の斜め上の壁の所に、大きな穴が空いているのを見つけた。
どうやら隣の部屋から誰かが話しかけたようだった。
すぐに二人は扉を開けようとしたが、鍵がかかっており開けられなかった。
再び隣の部屋から大きな声が響いた。
「おい盗人共!この家にはもう金目の物も食料も無いぞ!」
するとスリラが壁越しに答えた。
「勘違いしないでくれ!俺らは盗人じゃない。」
隣の部屋から誰とも分からぬ声が響いた。
「はあ?なら何だ?私はお前らなんか知らない。言っとくがその扉を開けようとしても無駄だ。何重にも鍵をかけてあるからな!」
壁越しに体格のいい若い男が言った。
「信じてくれ!俺らは盗人じゃない。俺はレイドスっていう。」
すると隣の部屋から大声が響いた。
「それがどうした?名前なんて名乗らなくていいから、はやく外に出てけ!」
だがレイドスは構わずに大声で言った。
「ここに果てなき絶望の関係者がいるって聞いてやってきたんだ!俺は果てなき絶望に入りたいんだ!」
すると壁の向こうの人物は沈黙した。
沈黙の後再び隣の部屋から声が響いた。
「誰から果てなき絶望の事を聞いた?風の噂で聞いたなんて言うなよ!一般人が知ってるような事ではないんだ!」
するとレイドスが大きな声で言った。
「ジフロル盗賊団のボスから聞いたのさ。俺は顔は広いからな!」
隣の部屋から声が響く。
「ほうエアルドから聞いたのか?」
レイドスが自信満々に言った。
「ああそうだ、エアルドから聞いたんだ。犯罪組織果てなき絶望の事をな。」
ジフロル盗賊団はアグトリア法国でも有数の盗賊団で、大勢力を誇っていた。
隣の部屋から声が響いた。
「なるほどな。それでそっちの奴は?レイドスお前の連れか?」
レイドスが大声で言った。
「いや、スリラは連れじゃない。俺が来るより前にここにいたんだ。で話を聞いたらスリラも果てなき絶望に入りたいって言うじゃないか。それで一緒に待ってた訳よ!」
すると今度はスリラが大声で言った。
「俺はスリラという。ニーノ・グリセンから話を聞いた。荒稼ぎをしている犯罪組織があると。」
再び隣の部屋から声が聞こえてきた。
「なるほど、お前はニーノの紹介か。」
ニーノ・グリセンはグリセン盗賊団の首領であった。
そしてグリセン盗賊団もまたアグトリア法国内では有数の盗賊団であった。
少しの沈黙の後で再び隣の部屋から声が響いた。
「いいだろう、じゃあまず今から一つ仕事をしてもらう。」
レイドスが大声で尋ねた。
「どういう事だ?」
隣の部屋から声が響いた。
「仕事を見事に達成できたら、この部屋の中に入れてやろう。そして果てなき絶望にも入れてやる。」
レイドスが大声で言った。
「それ本当だな?」
隣の部屋から声が響いた。
「ああ、本当だ。それで今回の獲物だが、このアグトリア法国で最高位のソラド法王だ。」
するとスリラが大きな声で尋ねた。
「ソラド法王って確か?」
隣の部屋から声が響いた。
「確かにソラド法王なんて言うよりもこう言った方がわかりやすかったか。」
隣の部屋から大声が響いた。
「異世界よりやって来たアホ勇者!」
首都アグトリアにある寂れた民家の中で二人の男が話し合っていた。
体格のいい若い男が隣の男に尋ねた。
「なあスリラ、ここでいいんだよな?」
スリラと呼ばれた細身の若い男が答えた。
「ああ、たぶんここでいいはずだ。」
すると壁から誰とも分からぬ声が聞こえてきた。
「盗人共、早く出ていけ!」
二人はびっくりしてこの部屋の壁を見回した。
すると隣の部屋へ通じる扉の斜め上の壁の所に、大きな穴が空いているのを見つけた。
どうやら隣の部屋から誰かが話しかけたようだった。
すぐに二人は扉を開けようとしたが、鍵がかかっており開けられなかった。
再び隣の部屋から大きな声が響いた。
「おい盗人共!この家にはもう金目の物も食料も無いぞ!」
するとスリラが壁越しに答えた。
「勘違いしないでくれ!俺らは盗人じゃない。」
隣の部屋から誰とも分からぬ声が響いた。
「はあ?なら何だ?私はお前らなんか知らない。言っとくがその扉を開けようとしても無駄だ。何重にも鍵をかけてあるからな!」
壁越しに体格のいい若い男が言った。
「信じてくれ!俺らは盗人じゃない。俺はレイドスっていう。」
すると隣の部屋から大声が響いた。
「それがどうした?名前なんて名乗らなくていいから、はやく外に出てけ!」
だがレイドスは構わずに大声で言った。
「ここに果てなき絶望の関係者がいるって聞いてやってきたんだ!俺は果てなき絶望に入りたいんだ!」
すると壁の向こうの人物は沈黙した。
沈黙の後再び隣の部屋から声が響いた。
「誰から果てなき絶望の事を聞いた?風の噂で聞いたなんて言うなよ!一般人が知ってるような事ではないんだ!」
するとレイドスが大きな声で言った。
「ジフロル盗賊団のボスから聞いたのさ。俺は顔は広いからな!」
隣の部屋から声が響く。
「ほうエアルドから聞いたのか?」
レイドスが自信満々に言った。
「ああそうだ、エアルドから聞いたんだ。犯罪組織果てなき絶望の事をな。」
ジフロル盗賊団はアグトリア法国でも有数の盗賊団で、大勢力を誇っていた。
隣の部屋から声が響いた。
「なるほどな。それでそっちの奴は?レイドスお前の連れか?」
レイドスが大声で言った。
「いや、スリラは連れじゃない。俺が来るより前にここにいたんだ。で話を聞いたらスリラも果てなき絶望に入りたいって言うじゃないか。それで一緒に待ってた訳よ!」
すると今度はスリラが大声で言った。
「俺はスリラという。ニーノ・グリセンから話を聞いた。荒稼ぎをしている犯罪組織があると。」
再び隣の部屋から声が聞こえてきた。
「なるほど、お前はニーノの紹介か。」
ニーノ・グリセンはグリセン盗賊団の首領であった。
そしてグリセン盗賊団もまたアグトリア法国内では有数の盗賊団であった。
少しの沈黙の後で再び隣の部屋から声が響いた。
「いいだろう、じゃあまず今から一つ仕事をしてもらう。」
レイドスが大声で尋ねた。
「どういう事だ?」
隣の部屋から声が響いた。
「仕事を見事に達成できたら、この部屋の中に入れてやろう。そして果てなき絶望にも入れてやる。」
レイドスが大声で言った。
「それ本当だな?」
隣の部屋から声が響いた。
「ああ、本当だ。それで今回の獲物だが、このアグトリア法国で最高位のソラド法王だ。」
するとスリラが大きな声で尋ねた。
「ソラド法王って確か?」
隣の部屋から声が響いた。
「確かにソラド法王なんて言うよりもこう言った方がわかりやすかったか。」
隣の部屋から大声が響いた。
「異世界よりやって来たアホ勇者!」
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
転移先は薬師が少ない世界でした
饕餮
ファンタジー
★この作品は書籍化及びコミカライズしています。
神様のせいでこの世界に落ちてきてしまった私は、いろいろと話し合ったりしてこの世界に馴染むような格好と知識を授かり、危ないからと神様が目的地の手前まで送ってくれた。
職業は【薬師】。私がハーブなどの知識が多少あったことと、その世界と地球の名前が一緒だったこと、もともと数が少ないことから、職業は【薬師】にしてくれたらしい。
神様にもらったものを握り締め、ドキドキしながらも国境を無事に越え、街でひと悶着あったから買い物だけしてその街を出た。
街道を歩いている途中で、魔神族が治める国の王都に帰るという魔神族の騎士と出会い、それが縁で、王都に住むようになる。
薬を作ったり、ダンジョンに潜ったり、トラブルに巻き込まれたり、冒険者と仲良くなったりしながら、秘密があってそれを話せないヒロインと、ヒロインに一目惚れした騎士の恋愛話がたまーに入る、転移(転生)したヒロインのお話。

春のうらら
高殿アカリ
ファンタジー
一人の少年が、この辺り一帯を統べる領主の館に続く広大な丘を歩いていた。
彼の名前はシノニム。
モラカルトという村の平凡な少年である。
「シノー!」
少女の声が緑豊かな大地の向こう側からシノニムの耳に届いた。
彼は祖母の菜園から持ってきた薬草の束を手に振り返る。
金色の髪を一つに結び、愛らしくも上質な素材で作られた白のワンピースの裾を揺らしながら、駆け寄ってくる春野麗の姿が見えた。
負けヒロインに花束を!
遊馬友仁
キャラ文芸
クラス内で空気的存在を自負する立花宗重(たちばなむねしげ)は、行きつけの喫茶店で、クラス委員の上坂部葉月(かみさかべはづき)が、同じくクラス委員ので彼女の幼なじみでもある久々知大成(くくちたいせい)にフラれている場面を目撃する。
葉月の打ち明け話を聞いた宗重は、後日、彼女と大成、その交際相手である名和立夏(めいわりっか)とのカラオケに参加することになってしまう。
その場で、立夏の思惑を知ってしまった宗重は、葉月に彼女の想いを諦めるな、と助言して、大成との仲を取りもとうと行動しはじめるが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる