最強勇者の物語2

第４章 ホルムス共和国

首都アグトリア

今はパルゲア歴752年6月28日の正午前である。

ここはパルゲア大陸の一番東に位置するアグトリア法国の首都アグトリアである。

アグトリアは南北に長い国土の南にあり、アグトリア法国の首都である。

かつては大陸随一の規模を誇り、その壮麗な美しさから永遠の都さえ呼ばれていた。

だが現在は全くその面影は無く、アグトリアの都全体が荒れ果てていた。

都の中は荒れ果てていた。

レンガ造りの建物が多く、窓ガラスが割られて荒された家、老朽化が進み朽ち果てた建物がいたる所で見られた。

都の中はいたる所に落書きがあり、また道端にはたくさんのゴミが放置されており衛生状態は最悪だった。

表通りは仕事や家を失くした浮浪者達で溢れかえっていた。

商店は大半が閉まっており、強盗を警戒して鉄の格子が下ろされていた。

窃盗やひったくりは日常茶飯事であった。

アグトリアの中心に位置する丘にはアグトリア大神殿が建てられていた。

建物の高さは四十メートルで五階建ての建物で、大理石で造られた大神殿であった。

縦幅が三百メートルで横幅が二百メートルであった。

だがアグトリア大神殿ですらあちこちが傷んだおり、美しさは半減していた。

そして首都アグトリアから近い場所にとある一団がいた。

その中にドレスタル枢機卿の姿があった。

ドレスタル枢機卿は部下達と話し合っていた。

「枢機卿様、どうやって首都アグトリアの市街地に入りますか？住民達に見つかると不味いですよ？」

ドレスタル枢機卿が部下に答えた。

「南側のベルスタ門から入ってアグトリア大神殿に戻ろう。このまま巡礼者の服装で行けば目立だろうし。」

すると部下がドレスタル枢機卿に言った。

「ああ、そうでした。この格好で行けば確かに怪しまれずに大神殿に戻れますね。ここまでも誰にも気づかれなかったですし。」

この一団は全員が普段の正装ではなく、巡礼者用の正装をしていた。

巡礼用の正装とは白色に紺色のしま模様が入ったローブだ。

ドレスタル枢機卿が部下に言った。

「大勢で動くと目立つからここからはバラバラに動こう。」

そう部下達に伝えるとドレスタル枢機卿は少し離れた所にいた男の所に向かった。

そしてドレスタル枢機卿はその男に言った。

「法王様、ここからは分かれて行動します。法王様は私がアグトリア大神殿まで誘導しますので、ついてきてください。」

法王と呼ばれた男子は顔立ちの良く長身で17才だった。

法王と呼ばれた男子がドレスタル枢機卿に答えた。

「うん、分かった。」