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第4章 ホルムス共和国
民主制
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勇者達が異世界より召喚されるより遥か前の出来事ある。
パルゲア歴701年7月4日、この日パルゲア大陸のホルムス王国の王城では大規模な式典が行われる予定であった。
新しい国王の戴冠式が予定されていたのだ。
エルスタ宮殿ではその準備がすでに整っており、人々が宮殿の外に大挙して集まっていた。
エルスタ宮殿は縦八十メートル横二百メートルだった。
三階建ての茶色のレンガ造りの建物で、建物の中央部のみ五階建てになっており、他の部分より少し高くなっていて屋上部分があった。
エルスタ宮殿の中の大広間でホルムス王国の国王とニコラス王子が話していた。
国王がニコラス王子に言った。
「本当に良いのか?あれはワシの夢であってお前にまで強制するつもりはない。今ならまだ取り止める事もできるぞ。」
ニコラス王子が国王に答えた。
「私の答えは変わりません。きっとこれが最善であると信じています。」
国王がニコラス王子に言った。
「そうか、それならいい。お前が私の後継者なのだ。お前の好きな様にするといい。」
すると国王が涙を流しながらニコラス王子に言った。
「私の思いを継いでくれて本当にありがとう。お前は自慢の息子だ。」
するとニコラス王子が国王に言った。
「父上ありがとうは全てが終わってからにしてください。」
国王は涙をぬぐってニコラス王子に言った。
「そうだな、まだまだこれからだな。」
そして戴冠式を前にしてニコラス王子が、宮殿の屋上からエルスタ宮殿前に集まった人々に大声で演説を始めた。
「沢山の方々、私の戴冠式の為にご足労頂きありがとうございます。ですが本日私は一つ伝えなくてはならない事があります。私はホルムス王国の国王になる事を辞退させて頂きます。」
エルスタ宮殿前に集まった人達はどよめいた。
そして人々は口々に言った。
「それは何故ですか?」
「俺は王子の戴冠式を楽しみにしてたのに!」
だが王子は続けて話し続けた。
「このホルムス王国を共和国に変えたいと思っております。王政から民主制へと移行です。民主制とは一人一人が各々で考えて話し合いを行い全ての事を決めていくのです。これが国王を辞退する理由です。皆様如何でしょうか?」
人々はニコラス王子の演説を聞き戸惑っていた。
どう反応していいか分からないようだった。
再びニコラス王子の演説が始まり、人々は黙って演説を聞いた。
「もちろん簡単な事ではありません。憲法の制定、議会制度や選挙制度の整備など、しなければならない事はたくさん有り、様々な困難に直面すると思います。ですが私はホルムス共和国の国民達ならそれを乗り越えられると信じてこの決断を致しました。皆さんホルムス共和国の未来を皆で切り開いていきましょう!」
この演説を聞いた人々は静まりかえっていた。
だがしばらくして大歓声が起こった。
「うおお!!俺たちが主役なんだ!」
「もちろんです王子、全力で応援しますよ。」
「すごい事になったな。これ歴史的瞬間を見たんじゃない。」
「共和国万歳!!」
こうしてホルムス共和国が産声をあげた。
パルゲア歴701年7月4日、この日パルゲア大陸のホルムス王国の王城では大規模な式典が行われる予定であった。
新しい国王の戴冠式が予定されていたのだ。
エルスタ宮殿ではその準備がすでに整っており、人々が宮殿の外に大挙して集まっていた。
エルスタ宮殿は縦八十メートル横二百メートルだった。
三階建ての茶色のレンガ造りの建物で、建物の中央部のみ五階建てになっており、他の部分より少し高くなっていて屋上部分があった。
エルスタ宮殿の中の大広間でホルムス王国の国王とニコラス王子が話していた。
国王がニコラス王子に言った。
「本当に良いのか?あれはワシの夢であってお前にまで強制するつもりはない。今ならまだ取り止める事もできるぞ。」
ニコラス王子が国王に答えた。
「私の答えは変わりません。きっとこれが最善であると信じています。」
国王がニコラス王子に言った。
「そうか、それならいい。お前が私の後継者なのだ。お前の好きな様にするといい。」
すると国王が涙を流しながらニコラス王子に言った。
「私の思いを継いでくれて本当にありがとう。お前は自慢の息子だ。」
するとニコラス王子が国王に言った。
「父上ありがとうは全てが終わってからにしてください。」
国王は涙をぬぐってニコラス王子に言った。
「そうだな、まだまだこれからだな。」
そして戴冠式を前にしてニコラス王子が、宮殿の屋上からエルスタ宮殿前に集まった人々に大声で演説を始めた。
「沢山の方々、私の戴冠式の為にご足労頂きありがとうございます。ですが本日私は一つ伝えなくてはならない事があります。私はホルムス王国の国王になる事を辞退させて頂きます。」
エルスタ宮殿前に集まった人達はどよめいた。
そして人々は口々に言った。
「それは何故ですか?」
「俺は王子の戴冠式を楽しみにしてたのに!」
だが王子は続けて話し続けた。
「このホルムス王国を共和国に変えたいと思っております。王政から民主制へと移行です。民主制とは一人一人が各々で考えて話し合いを行い全ての事を決めていくのです。これが国王を辞退する理由です。皆様如何でしょうか?」
人々はニコラス王子の演説を聞き戸惑っていた。
どう反応していいか分からないようだった。
再びニコラス王子の演説が始まり、人々は黙って演説を聞いた。
「もちろん簡単な事ではありません。憲法の制定、議会制度や選挙制度の整備など、しなければならない事はたくさん有り、様々な困難に直面すると思います。ですが私はホルムス共和国の国民達ならそれを乗り越えられると信じてこの決断を致しました。皆さんホルムス共和国の未来を皆で切り開いていきましょう!」
この演説を聞いた人々は静まりかえっていた。
だがしばらくして大歓声が起こった。
「うおお!!俺たちが主役なんだ!」
「もちろんです王子、全力で応援しますよ。」
「すごい事になったな。これ歴史的瞬間を見たんじゃない。」
「共和国万歳!!」
こうしてホルムス共和国が産声をあげた。
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