最強勇者の物語2

第４章 ホルムス共和国

原因

ライツ補佐官とブロスロイ秘書官は変装の為の付けていた変装道具を脱いでいた。

多和田がライツ補佐官に尋ねた。

「ライツ補佐官、色々と尋ねたい事があるんですが宜しいですか？」

ライツ補佐官が多和田に答えた。

「はい何でしょうか？」

多和田がライツ補佐官に尋ねた。

「サランジ社長を王子様と呼んでいたのはどういう事なんですか？」

ライツ補佐官が多和田に答えた。

「ああそれはですね。このホルムス共和国は昔から共和国だった訳ではありません。今から50年前まではホルムス王国という王政の国でした。サランジ社長はホルムス王家の人間だったんです。だから王子様なんです。」

するとサランジ社長が多和田に言った。

「今はただのジジイじゃよ。変な気遣いは無用じゃと言っとるんじゃが。」

そして多和田は再びライツ補佐官に尋ねた。

「今まで何回も勇者狩りが行われているんですよね？彼らを助ける事はできなかったんですか？」

ライツ補佐官が多和田に答えた。

「多和田さん、勇者はまずレグナス王国の領土であるグリース荒野にやって来ます。勇者狩りは基本的に勇者がやって来た所の国が担当します。ですが我がホルムス共和国はグリース荒野からかなり離れていて、勇者狩りを我が国が担当した事は一度も無いんです。そして勇者が我が国にやって来るのも今回が初めてなんです。」

多和田がライツ補佐官に尋ねた。

「つまり勇者がホルムス共和国まで逃げてこないと助けようがないって事ですか？」

ライツ補佐官が多和田に答えた。

「ええ、それと先ほども申しましたが現状、勇者は大変嫌われています。国内は勇者狩りを支持する人達の方が多いく、他の国に至っては勇者狩りを支持する人がほとんどの状況です。そんな状況では四ヵ国協議で勇者狩りの中止を主張する訳にもいきません。」

多和田がライツ補佐官に尋ねた。

「勇者狩りの中止を主張すると、国内からは猛反発されて、外交的にも孤立してしまうという事ですか？」

ライツ補佐官が多和田に答えた。

「その通りです。」

多和田はライツ補佐官に尋ねた。

「そもそもなぜ勇者はこの世界の人達にここまで嫌われているんですか？」

するとブロスロイ秘書官が多和田に答えた。

「ああそれは私が説明しましょう。」

ブロスロイ秘書官が多和田に尋ねた。

「多和田さんはどこまでご存じなんですか？」

多和田がブロスロイ秘書官に答えた。

「レグナス王国の王様から簡単に聞いただけです。勇者によって混乱して大陸各地で火の手が上がったと。」

ブロスロイ秘書官が多和田に言った。

「なるほどそうですか。実は異世界よりやって来た勇者同士で争いがあったんです。」

多和田がブロスロイ秘書官に尋ねた。

「勇者同士でケンカになったって事ですか？」

ブロスロイ秘書官が多和田に答えた。

「はいそうです。ささいな事が原因で言い争いになったんです。」

多和田がブロスロイ秘書官に尋ねた。

「えっと？それが勇者の評判が地に落ちた原因ですか？」

ブロスロイ秘書官が多和田に答えた。

「はいそれが最大の要因です。」

多和田がブロスロイ秘書官に尋ねた。

「まあ確かに勇者同士でケンカをすれば評判は落ちるでしょうけど？それだけで信用が失墜までしますか？」

するとブロスロイ秘書官が多和田に言った。

「あのですね多和田さん、勇者は皆とても強いんです。勇者同士でケンカになったら、一体誰が勇者同士のケンカを止めれるというんですか？」

多和田が気づいたようにブロスロイ秘書官に答えた。

「た、確かに。」

ブロスロイ秘書官は多和田に言った。

「しかもその時ケンカをした勇者は部下も巻き込んだんですよ。両方の勇者には沢山の部下達がいました。軍隊同士が激しく戦ったといった方がいいでしょうね。」

多和田がブロスロイ秘書官に言った。

「軍隊同士って、そんなのもう戦争じゃないですか？」

ブロスロイ秘書官が多和田に答えた。

「ええ、本当に戦争です。ですからこの勇者達が引き起こした戦争を我々は勇者戦争と呼んでいます。」

多和田がブロスロイ秘書官に言った。

「勇者戦争？？僕の前にやって来た勇者はそんな事をやったんですか？」

ブロスロイ秘書官が多和田に言った。

「はい、そうです。」

多和田は少し黙っていた。

そして沈黙の後大きなため息をついた。

そして多和田はブロスロイ秘書官に尋ねた。

「そう言えば、言い争いの原因は何だったんですか？」

ブロスロイ秘書官はなぜか言うのを躊躇しているようだった。

そして意を決して多和田に言った。

「勇者の汚物についてです。」