最強勇者の物語2

しまうま弁当

文字の大きさ
上 下
194 / 265
第4章 ホルムス共和国

敵対的買収

しおりを挟む
それから数ヶ月後、照之は古森グループ会議に参加していた。

今回の会議は緊急で開かれたものであった。

古森工業の社長が他の社長に訴えた。

「わが社はクーレイアセットに敵対的買収(大株主の同意を得ずに株式を買い集め企業買収を行う事)を仕掛けられている。このままではわが社は乗っ取られてしまう。助けて欲しい!」

古森商事の社長が古森工業の社長に尋ねた。

「具体的にはどうすればいいんです?資金援助をすればいいんですか?」

だが古森工業の社長は返答に窮した。

誰もが返答に困っている所に古森通信の光太社長が言った。

「照之社長こういう場合の対応策は有りませんか?」

すると照之が古森工業の社長に尋ねた。

「すでに公開買い付け(株式を大量に買う場合に行われる手続き)は行われているんですか?」

古森工業の社長が照之に答えた。

「ああ、期限は今月末に設定されている。」

すると照之が古森工業の社長に言った。

「ではすぐに大幅な増配を行ってそれを告知してください。それで株価は急上昇して公開買い付けの阻止が出きるはずです。」

古森工業の社長が照之に答えた。

「増配か、分かった。」

照之が古森工業の社長に答えた。

「ですがクーレイアセットは大資本です。この場は凌げても、この先は我々だけでは厳しいと思います。こちらも大資本を味方につけるべきです。」

古森工業の社長が照之に言った。

「確かにそうだな。そう言えば照之君は金融機関にも顔が効いたね。そちらを任せたいのだが頼めるか?」

すると照之が古森工業の社長に答えた。

「ええお任せください。」
 
実はこれ照之が狙った通りの展開であった。

まず照之は積極的に古森グループの宣伝を行った。

古森工業や古森商事は株式市場に上場しており、とても魅力的な企業であった。

どこかのファンドが敵対的買収を仕掛けてくるのを待っていたのだ。

ローレンスさんにも協力をしてもらい、それとなく古森グループ各社が優良企業であるという噂も流してもらった。

するとすぐに大手ファンドのクーレイアセットが古森工業に敵対的買収を仕掛けてきた。

そしていきなり敵対的買収を仕掛けられて古森工業の社長は慌てて古森グループ会議を開くと読んだのだ。

そして人脈のある照之に助けを求めるだろうと考えていた。

そしてその読み通りの展開になったのである。

それから少し経った後に照之は古森グループ会議を開催した。

そして照之は他の社長にこう言った。

「知り合いのハーディーグループに相談しました。すると古森工業のMBO(株式市場への上場をやめる事)に協力しても構わないが、その場合条件として古森グループで持株会社を設立してそこに出資させて欲しいという事でした。」

社長達は押し黙った。

しばらくの沈黙の後に古森商事の社長が照之に尋ねた。

「持株会社か、まあ以前も古森産業の子会社であったから子会社になる事にはそこまで抵抗は無いが、そのハーディーグループというのは信用できるのか?持株会社を設立して乗っ取られたら目も当てられん。」

すると照之は古森商事の社長に答えた。

「この方法ならばMBOにかかる費用を抑える事ができます。もちろん出資比率は抑えて出資してもらいます。そこは絶対譲らないつもりです。それにハーディーグループのトップ、ローレンス・ハーディーは信頼できる人物です。また持株会社の取締役についてはこの古森グループ会議で決めるつもりです。」

古森商事の社長が照之に尋ねた。

「照之君、同じ事を何度も済まないが、そのローレンス・ハーディーという人物は信頼に足る人物なんだね?」

照之が古森商事の社長に答えた。

「はいあくまで私の判断ではありますが、そう考えます。」

古森商事の社長は少し考えてから言った。

「うん、分かった。では私は異存はない。他の方々はどうだろう?」

すると古森工業の社長が皆に言った。

「私も異存は無い、早くこの状況を何とかしたい。」

古森通信の光太社長が皆に言った。

「そうですね、古森工業が買収されたら意味が無くなってしまいます。」

こうして照之は古森グループ会議で了承を取り付けた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

フェンリルさんちの末っ子は人間でした ~神獣に転生した少年の雪原を駆ける狼スローライフ~

空色蜻蛉
ファンタジー
真白山脈に棲むフェンリル三兄弟、末っ子ゼフィリアは元人間である。 どうでもいいことで山が消し飛ぶ大喧嘩を始める兄二匹を「兄たん大好き!」幼児メロメロ作戦で仲裁したり、たまに襲撃してくる神獣ハンターは、人間時代につちかった得意の剣舞で撃退したり。 そう、最強は末っ子ゼフィなのであった。知らないのは本狼ばかりなり。 ブラコンの兄に溺愛され、自由気ままに雪原を駆ける日々を過ごす中、ゼフィは人間時代に負った心の傷を少しずつ癒していく。 スノードームを覗きこむような輝く氷雪の物語をお届けします。 ※今回はバトル成分やシリアスは少なめ。ほのぼの明るい話で、主人公がひたすら可愛いです!

愛しくない、あなた

野村にれ
恋愛
結婚式を八日後に控えたアイルーンは、婚約者に番が見付かり、 結婚式はおろか、婚約も白紙になった。 行き場のなくした思いを抱えたまま、 今度はアイルーンが竜帝国のディオエル皇帝の番だと言われ、 妃になって欲しいと願われることに。 周りは落ち込むアイルーンを愛してくれる人が見付かった、 これが運命だったのだと喜んでいたが、 竜帝国にアイルーンの居場所などなかった。

孤独の魔女と独りの少女

徒然ナルモ
ファンタジー
遥かな昔、凡ゆる魔術 凡ゆる法を極め抜き 老いや衰退すらも超克した最強の存在 魔女達の力で、大いなる厄災は払われ 世界は平穏を取り戻してより 、八千年 …避けられぬと思われていた滅びから世界を救った英雄 又は神として、世界は永遠を生きる七人の魔女達によって統治 管理 信仰され続けていた… そんな中 救った世界を統治せず、行方をくらませた 幻の八人目の魔女が、深い森の中で 一人の少女を弟子にとったと言う 神話を生きる伝説と 今を生きる少女の行く末は、八千年前の滅びの再演か 新たな伝説の幕開けか、そんなものは 育ててみないと分からない 【小説家になろうとカクヨムにも同時に連載しております】

【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!

つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。 他サイトにも公開中。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。

処理中です...