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第4章 ホルムス共和国
高みに立つ者
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古森製菓の社長になった照之は、かつての古森グループを再結集させたいと考えていた。
照之は不祥事企業を見事立て直した若手社長として、経済界で注目されてるようになった。
照之自身も人脈を作る為に、積極的に経済界のプレイヤー達と交流を重ねた。
今日も照之はその一環でハーディーグループというファンドを訪れていた。
照之は大きなビルの最上階へとやって来た。
窓ガラスは全面がガラス張りとなっており、都心の絶景を楽しむ事ができた。
白を基調とした清潔感のあるオフィスとなっていた。
照之は会議室へと通されて、ファンドマネージャーが来るのを待っていた。
会議室は壁一面がガラス張りになっていた。
およそ15畳くらいの広さで、黒い大きな机と椅子が置かれていた。
しばらくすると会議室に一人の男性がやって来た。
五十才くらいの大柄で茶髪の男性だった。
そしてその男性が変な日本語で照之に言った。
「おう、古森殿これはこれは遠路はるばるかたじけない!」
すると照之が男性に言った。
「お久しぶりです。ローレンス・ハーディー。」
するとローレンスさんが照之に言った。
「こちらこそ、古森殿!よく参られた!」
照之はローレンスさんに言った。
「いえ、本日はお時間を作って頂きありがとうございます。」
そしてローレンスさんは変な日本語で照之に言った。
「苦しゅうない!苦しゅうない!お座りください!」
照之は椅子に腰をかけた。
そして照之がローレンスに言った。
「そういえば、ハーディーグループがファンドオブベストの最優秀賞を受賞したそうですね。おめでとうございます。」
ローレンスさんは感激して変な日本語で照之に言った。
「古森殿!恐悦至極に存じます!」
実は照之はすでにこのファンド、ハーディーグループを何度も訪れていた。
照之が最初に訪問した時もローレンスさんが変な日本語で応対したので、最初は戸惑った。
おそらくローレンスさんは言葉使いが下手なだけだろうと考えていた。
そして照之はとある考えからローレンスさんに会っていたのだ。
表面上は古森製菓への出資をお願いする為であった。
その為に何度も古森製菓の事業説明をしに来ていたのだ。
だが照之の狙いは別の所にあった。
狙いとは古森グループの再結集である。
実は照之はその為にハーディーグループにやって来たのだ。
するとローレンスさんが照之に変な日本語で尋ねた。
「実は古森殿、本日は貴殿一つご提案したい事がありそうろう。宜しいか?」
照之がローレンスさんに答えた。
「はい、もちろんです。何でしょうか?」
だが急にローレンスさんが冷静な話し方で照之に言った。
「古森殿、我々は敵としてではなく、ホワイトナイトとして共に仕事をしていきたいと考えています。貴方が望んでいる古森グループの再結集を我々はお手伝いできると考えています。」
照之はこれを聞いて驚いた。
そして照之はローレンスさんに尋ねた。
「なぜ私がそれを望んでいると思うのですか?」
ローレンスさんが照之に冷静な口調で答えた。
「まず古森殿、貴方は前回お会いした時に、古森製菓以外の古森商事や古森通信をさりげなくアピールしていたからです。貴方は古森製菓の社長です。他の古森の会社をアピールする必要はありません。」
照之がローレンスさんに尋ねた。
「それだけでは判断できないのでは?」
ローレンスさんが照之に答えた。
「仰せの通り。ですが古森グループの中核であった古森産業が数十年前に倒産しており、現在は子会社だけが残っている特殊な状況です。この点を考慮すれば充分結論を出せます。」
ローレンスさんは言い終わると、一つの計画書を照之に渡した。
照之は訝しげにローレンスさんに尋ねた。
「これは?」
ローレンスさんが冷静な口調で照之に言った。
「我々が貴方にご提案したい計画書です。ご覧下さい。」
照之はローレンスさんからそれを受け取り、すぐにその計画書の中身を見た。
そして照之は愕然とした。
その計画書には照之が再結集の為に練っていたのと全く同じプランが事細かく書かれていたのだ。
照之は冷静さを装っていたが、心の中ではとても驚いていた。
照之は頭の回転が早く洞察力も優れていたため、他人の思考を読んだりすると事は得意であった。
逆に照之は自分の思考を読まれた事など一度もなかった。
それ故に自分の思考が見透かされていた事、また自分と同じ事を考えていたローレンスさんに激しく動揺したのだ。
そしてこう考えた、ローレンスさんは自分より頭の回転が早く能力の高い人間なのではないか?と。
その後照之は、ローレンスさんの仕事ぶりを直接見せて貰う事にした。
そしてローレンスさんと数日過ごした後に照之は確信した。
ローレンスさんが自分よりも高みに立っている事を。
照之は不祥事企業を見事立て直した若手社長として、経済界で注目されてるようになった。
照之自身も人脈を作る為に、積極的に経済界のプレイヤー達と交流を重ねた。
今日も照之はその一環でハーディーグループというファンドを訪れていた。
照之は大きなビルの最上階へとやって来た。
窓ガラスは全面がガラス張りとなっており、都心の絶景を楽しむ事ができた。
白を基調とした清潔感のあるオフィスとなっていた。
照之は会議室へと通されて、ファンドマネージャーが来るのを待っていた。
会議室は壁一面がガラス張りになっていた。
およそ15畳くらいの広さで、黒い大きな机と椅子が置かれていた。
しばらくすると会議室に一人の男性がやって来た。
五十才くらいの大柄で茶髪の男性だった。
そしてその男性が変な日本語で照之に言った。
「おう、古森殿これはこれは遠路はるばるかたじけない!」
すると照之が男性に言った。
「お久しぶりです。ローレンス・ハーディー。」
するとローレンスさんが照之に言った。
「こちらこそ、古森殿!よく参られた!」
照之はローレンスさんに言った。
「いえ、本日はお時間を作って頂きありがとうございます。」
そしてローレンスさんは変な日本語で照之に言った。
「苦しゅうない!苦しゅうない!お座りください!」
照之は椅子に腰をかけた。
そして照之がローレンスに言った。
「そういえば、ハーディーグループがファンドオブベストの最優秀賞を受賞したそうですね。おめでとうございます。」
ローレンスさんは感激して変な日本語で照之に言った。
「古森殿!恐悦至極に存じます!」
実は照之はすでにこのファンド、ハーディーグループを何度も訪れていた。
照之が最初に訪問した時もローレンスさんが変な日本語で応対したので、最初は戸惑った。
おそらくローレンスさんは言葉使いが下手なだけだろうと考えていた。
そして照之はとある考えからローレンスさんに会っていたのだ。
表面上は古森製菓への出資をお願いする為であった。
その為に何度も古森製菓の事業説明をしに来ていたのだ。
だが照之の狙いは別の所にあった。
狙いとは古森グループの再結集である。
実は照之はその為にハーディーグループにやって来たのだ。
するとローレンスさんが照之に変な日本語で尋ねた。
「実は古森殿、本日は貴殿一つご提案したい事がありそうろう。宜しいか?」
照之がローレンスさんに答えた。
「はい、もちろんです。何でしょうか?」
だが急にローレンスさんが冷静な話し方で照之に言った。
「古森殿、我々は敵としてではなく、ホワイトナイトとして共に仕事をしていきたいと考えています。貴方が望んでいる古森グループの再結集を我々はお手伝いできると考えています。」
照之はこれを聞いて驚いた。
そして照之はローレンスさんに尋ねた。
「なぜ私がそれを望んでいると思うのですか?」
ローレンスさんが照之に冷静な口調で答えた。
「まず古森殿、貴方は前回お会いした時に、古森製菓以外の古森商事や古森通信をさりげなくアピールしていたからです。貴方は古森製菓の社長です。他の古森の会社をアピールする必要はありません。」
照之がローレンスさんに尋ねた。
「それだけでは判断できないのでは?」
ローレンスさんが照之に答えた。
「仰せの通り。ですが古森グループの中核であった古森産業が数十年前に倒産しており、現在は子会社だけが残っている特殊な状況です。この点を考慮すれば充分結論を出せます。」
ローレンスさんは言い終わると、一つの計画書を照之に渡した。
照之は訝しげにローレンスさんに尋ねた。
「これは?」
ローレンスさんが冷静な口調で照之に言った。
「我々が貴方にご提案したい計画書です。ご覧下さい。」
照之はローレンスさんからそれを受け取り、すぐにその計画書の中身を見た。
そして照之は愕然とした。
その計画書には照之が再結集の為に練っていたのと全く同じプランが事細かく書かれていたのだ。
照之は冷静さを装っていたが、心の中ではとても驚いていた。
照之は頭の回転が早く洞察力も優れていたため、他人の思考を読んだりすると事は得意であった。
逆に照之は自分の思考を読まれた事など一度もなかった。
それ故に自分の思考が見透かされていた事、また自分と同じ事を考えていたローレンスさんに激しく動揺したのだ。
そしてこう考えた、ローレンスさんは自分より頭の回転が早く能力の高い人間なのではないか?と。
その後照之は、ローレンスさんの仕事ぶりを直接見せて貰う事にした。
そしてローレンスさんと数日過ごした後に照之は確信した。
ローレンスさんが自分よりも高みに立っている事を。
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