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第4章 ホルムス共和国
継承
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古森照之は今回の事件を受けて、大学卒業後すぐに父広正が経営していた古森製菓の社長に就任した。
照之は古森製菓を継承するやいなや会社の状況把握に務めた。
古森製菓の財務状態は深刻で毎年の赤字とここ数年の巨額赤字のせいで、債務超過(さいむちょうか)寸前まで行っていた。
債務超過は財務的にはとても危険な状態で、古森製菓は倒産寸前の会社であった。
当然ながらここ数年の巨額赤字は横領事件が最大の原因であった。
だが赤字の原因はそれだけでは無く、他にも原因があった。
照之はその原因もすぐに突き止めて、大鉈を振るう事にした。
会議室に製造部の樽島(たるしま)部長が呼ばれた。
照之がやって来た樽島(たるしま)部長に言った。
「樽島(たるしま)部長、もう明日から来なくていいぞ。」
これを聞いた墫島(たるしま)部長が照之に尋ねた。
「ど、どういう事です?」
照之が樽島(たるしま)部長に答えた。
「樽島お前はクビって事だ。」
樽島主任は激怒して照之に言った。
「私は長年古森製菓に勤めてきたんだぞ。古森製菓に対して多大な貢献をしてきた私をクビにするつもりか?不当だ!そんな事許されないぞ!」
照之は樽島(たるしま)部長に言った。
「樽島部長、確かにお前はこの会社に25年以上勤めている。だが多大な貢献はマイナスでという意味か?」
樽島部長が激怒して照之に大声で言った。
「こちらが真剣な話をしている時にふざけた事を言うな!」
すると照之が樽島主任に言った。
「ふざけておるのは、樽島お前だ!」
すると照之は机からテープレコーダーを取り出して、再生ボタンを押した。
その再生されたテープは古森製菓の工場棟で録音されたものだった。
テープレコーダーから音声が流れる。
「大下(おおした)、貴様どういうつもりだ?なぜ私の出勤打刻を忘れた!」
「すいません樽島部長、今日は調子が悪くて朝から病院に行っていたので、打刻が遅れてしまいました。」
「ふざけるな!私の出勤打刻は絶対だろうが!私まで遅刻したことになるだろうが!病気だろうが何だろうがちゃんと出てきて、私の出勤打刻だけは絶対にやっておけ!分かったか??」
「本当にすいません。」
「全く大下(おおした)め!使えない奴だ!」
そして少し間が空いて別の音声が流れてきた。
「寺中(てらなか)お前何やってんだ!」
「外観検査に合格したどら焼きの包装作業の準備ですが?」
「こんなものは全部不良だ!」
「ですけどこれは検査に合格した製品です。味や品質に全く問題はありません。」
「うるさい!全部不良だと言っておるだろうが!寺中ごときが製造部部長の私に歯向かう気か?」
「いえ、樽島部長申し訳ありませんでした。」
「寺中これはお前が出した不良だ。後で始末書を書いておけよ。」
「御言葉ですが、これは樽島部長の指示によって破棄する物です。」
「何だと寺中ごときがこの私に意見する気か?これは寺中お前がヘマをして出した不良だ。お前が出したんだ!分かったな寺中!」
「はい、申し訳ございませんでした。樽島部長以後気をつけます。」
「全く!寺中ごときが!」
テープレコーダーの再生が終わった。
そして照之が樽島主任に言った。
「製造部の従業員に聞き取り調査をした。すると樽島、お前が遅刻の常習犯である事が判明した。しかも部下に出勤打刻を打たせて、給料を満額もらっていた。こんなもの給料泥棒も良いところだ。」
照之は樽島部長に続けて言った。
「樽島、お前よく現場に入る時焼き工程を担当するらしいな?だがお前は焼き工程の温度管理がとても下手らしいな。それで毎度凄い数の不良を出す。製造部長であるにも関わらず、自分だけが下手で大量の不良を出している事を認めたく無かった。それで部下に出荷できる正規品まで破棄させたな。みんなが不良を出しまくってくれれば、自分の下手さが目立たないからな!樽島お前の馬鹿げた指示で不良率が3割を越えておるのだぞ。一万円儲けるのに何個売ればいいか分かっておるのか?これだけの不良を故意で出しておきながら、会社に貢献しているだ?笑わせるな!」
樽島部長が激怒して言った。
「こんな事をしていいと思っているのか?プライバシーの侵害だぞ!」
照之が樽島部長に言った。
「ここは会社だ。公共の場所だ。お前の家ではないぞ!公共の場でバレたら困る事を平然とやっておるお前が悪いのだろうが!」
樽島部長が大声で言った。
「私を解雇した事をきっと後悔するぞ。」
照之が樽島部長に言った。
「ああもうすでに後悔しておるよ。もっと早く社長になっていれば、お前をもっと早く解雇できたのにとな!」
樽島部長は激怒しながら会議室から出ていった。
すると今度は富城課長が会議室に呼ばれた。
会議室に入ってきた富城課長が照之に尋ねた。
「お呼びですか?照之社長?」
照之が富城課長に言った。
「富城課長、忙しいところすまない。ついさっき樽島部長をクビにした。」
富城課長が照之に答えた。
「えっ?樽島部長をクビに?」
照之が富城課長に言った。
「ああ、故意で製品を破棄してわが社に損害を与えていたからな。それで富城課長、製造部部長として再び製造部に戻って欲しいんだ?」
富城課長が照之に答えた。
「私で宜しいんですか?こんな老いぼれで。」
照之が富城課長に言った。
「管理職についていた者で、ちゃんと仕事をしていたのは富城課長、貴方だけです。貴方は元々製造部の部長をしていて管理能力もあり、製造現場も知り尽くしている。他の人間では無理です。」
すると富城課長が照之に言った。
「分かりました。お引き受けします物流課と兼任で宜しければ。」
照之は富城課長に答えた。
「ああそれで構わない、管理部門からもできる限り物流課に応援を出すようにする。」
すると富城課長が照之に言った。
「では早速ですが照之社長一つお願いがあります。」
照之が富城課長に答えた。
「工場棟の生産設備の一新したいのだな?」
富城課長が照之に言った。
「はい、工場棟の建物と生産設備の老朽化が進んでいます。今まで最低限の改修で済ませてきましたが、もう限界まできています。そして設備の更新と一緒に、自動生産ラインを導入すべきです。現状小さい生産ラインを10本動かして、製造品目に合わせて製造を行っています。しかし主力商品のクリーミーどら焼きが売上の8割を占めています。それであればクリーミーどら焼き専用の自動生産ラインを2本作るべきです。自動生産ラインを導入すれば生産能力の向上に加えて修繕費用の軽減も期待できます。」
照之が富城課長に尋ねた。
「そして少量生産の製品はこれまで通りに小さい生産ラインで対応する訳か。それで具体的にはどのくらいの生産能力になりそうだ?」
富城課長が照之に答えた。
「現在年間800万個の生産能力ですが、年間3000万個まで高められるかと。」
照之が富城課長に答えた。
「ほうそれならやる価値はあるな。ただそうすると新しく販路を開拓する必要が出てくる。まあネット販売を始めるなり、焼き菓子展に出展するなりやりようはいくらでもある。よし自動生産ラインを導入だ!老朽化している設備も順次更新していこう!では富城課長、詳細を詰めておいてくれ。」
富城課長が照之に言った。
「はい分かりました。」
富城課長はそう言うと会議室より出ていった。
照之は古森製菓を継承するやいなや会社の状況把握に務めた。
古森製菓の財務状態は深刻で毎年の赤字とここ数年の巨額赤字のせいで、債務超過(さいむちょうか)寸前まで行っていた。
債務超過は財務的にはとても危険な状態で、古森製菓は倒産寸前の会社であった。
当然ながらここ数年の巨額赤字は横領事件が最大の原因であった。
だが赤字の原因はそれだけでは無く、他にも原因があった。
照之はその原因もすぐに突き止めて、大鉈を振るう事にした。
会議室に製造部の樽島(たるしま)部長が呼ばれた。
照之がやって来た樽島(たるしま)部長に言った。
「樽島(たるしま)部長、もう明日から来なくていいぞ。」
これを聞いた墫島(たるしま)部長が照之に尋ねた。
「ど、どういう事です?」
照之が樽島(たるしま)部長に答えた。
「樽島お前はクビって事だ。」
樽島主任は激怒して照之に言った。
「私は長年古森製菓に勤めてきたんだぞ。古森製菓に対して多大な貢献をしてきた私をクビにするつもりか?不当だ!そんな事許されないぞ!」
照之は樽島(たるしま)部長に言った。
「樽島部長、確かにお前はこの会社に25年以上勤めている。だが多大な貢献はマイナスでという意味か?」
樽島部長が激怒して照之に大声で言った。
「こちらが真剣な話をしている時にふざけた事を言うな!」
すると照之が樽島主任に言った。
「ふざけておるのは、樽島お前だ!」
すると照之は机からテープレコーダーを取り出して、再生ボタンを押した。
その再生されたテープは古森製菓の工場棟で録音されたものだった。
テープレコーダーから音声が流れる。
「大下(おおした)、貴様どういうつもりだ?なぜ私の出勤打刻を忘れた!」
「すいません樽島部長、今日は調子が悪くて朝から病院に行っていたので、打刻が遅れてしまいました。」
「ふざけるな!私の出勤打刻は絶対だろうが!私まで遅刻したことになるだろうが!病気だろうが何だろうがちゃんと出てきて、私の出勤打刻だけは絶対にやっておけ!分かったか??」
「本当にすいません。」
「全く大下(おおした)め!使えない奴だ!」
そして少し間が空いて別の音声が流れてきた。
「寺中(てらなか)お前何やってんだ!」
「外観検査に合格したどら焼きの包装作業の準備ですが?」
「こんなものは全部不良だ!」
「ですけどこれは検査に合格した製品です。味や品質に全く問題はありません。」
「うるさい!全部不良だと言っておるだろうが!寺中ごときが製造部部長の私に歯向かう気か?」
「いえ、樽島部長申し訳ありませんでした。」
「寺中これはお前が出した不良だ。後で始末書を書いておけよ。」
「御言葉ですが、これは樽島部長の指示によって破棄する物です。」
「何だと寺中ごときがこの私に意見する気か?これは寺中お前がヘマをして出した不良だ。お前が出したんだ!分かったな寺中!」
「はい、申し訳ございませんでした。樽島部長以後気をつけます。」
「全く!寺中ごときが!」
テープレコーダーの再生が終わった。
そして照之が樽島主任に言った。
「製造部の従業員に聞き取り調査をした。すると樽島、お前が遅刻の常習犯である事が判明した。しかも部下に出勤打刻を打たせて、給料を満額もらっていた。こんなもの給料泥棒も良いところだ。」
照之は樽島部長に続けて言った。
「樽島、お前よく現場に入る時焼き工程を担当するらしいな?だがお前は焼き工程の温度管理がとても下手らしいな。それで毎度凄い数の不良を出す。製造部長であるにも関わらず、自分だけが下手で大量の不良を出している事を認めたく無かった。それで部下に出荷できる正規品まで破棄させたな。みんなが不良を出しまくってくれれば、自分の下手さが目立たないからな!樽島お前の馬鹿げた指示で不良率が3割を越えておるのだぞ。一万円儲けるのに何個売ればいいか分かっておるのか?これだけの不良を故意で出しておきながら、会社に貢献しているだ?笑わせるな!」
樽島部長が激怒して言った。
「こんな事をしていいと思っているのか?プライバシーの侵害だぞ!」
照之が樽島部長に言った。
「ここは会社だ。公共の場所だ。お前の家ではないぞ!公共の場でバレたら困る事を平然とやっておるお前が悪いのだろうが!」
樽島部長が大声で言った。
「私を解雇した事をきっと後悔するぞ。」
照之が樽島部長に言った。
「ああもうすでに後悔しておるよ。もっと早く社長になっていれば、お前をもっと早く解雇できたのにとな!」
樽島部長は激怒しながら会議室から出ていった。
すると今度は富城課長が会議室に呼ばれた。
会議室に入ってきた富城課長が照之に尋ねた。
「お呼びですか?照之社長?」
照之が富城課長に言った。
「富城課長、忙しいところすまない。ついさっき樽島部長をクビにした。」
富城課長が照之に答えた。
「えっ?樽島部長をクビに?」
照之が富城課長に言った。
「ああ、故意で製品を破棄してわが社に損害を与えていたからな。それで富城課長、製造部部長として再び製造部に戻って欲しいんだ?」
富城課長が照之に答えた。
「私で宜しいんですか?こんな老いぼれで。」
照之が富城課長に言った。
「管理職についていた者で、ちゃんと仕事をしていたのは富城課長、貴方だけです。貴方は元々製造部の部長をしていて管理能力もあり、製造現場も知り尽くしている。他の人間では無理です。」
すると富城課長が照之に言った。
「分かりました。お引き受けします物流課と兼任で宜しければ。」
照之は富城課長に答えた。
「ああそれで構わない、管理部門からもできる限り物流課に応援を出すようにする。」
すると富城課長が照之に言った。
「では早速ですが照之社長一つお願いがあります。」
照之が富城課長に答えた。
「工場棟の生産設備の一新したいのだな?」
富城課長が照之に言った。
「はい、工場棟の建物と生産設備の老朽化が進んでいます。今まで最低限の改修で済ませてきましたが、もう限界まできています。そして設備の更新と一緒に、自動生産ラインを導入すべきです。現状小さい生産ラインを10本動かして、製造品目に合わせて製造を行っています。しかし主力商品のクリーミーどら焼きが売上の8割を占めています。それであればクリーミーどら焼き専用の自動生産ラインを2本作るべきです。自動生産ラインを導入すれば生産能力の向上に加えて修繕費用の軽減も期待できます。」
照之が富城課長に尋ねた。
「そして少量生産の製品はこれまで通りに小さい生産ラインで対応する訳か。それで具体的にはどのくらいの生産能力になりそうだ?」
富城課長が照之に答えた。
「現在年間800万個の生産能力ですが、年間3000万個まで高められるかと。」
照之が富城課長に答えた。
「ほうそれならやる価値はあるな。ただそうすると新しく販路を開拓する必要が出てくる。まあネット販売を始めるなり、焼き菓子展に出展するなりやりようはいくらでもある。よし自動生産ラインを導入だ!老朽化している設備も順次更新していこう!では富城課長、詳細を詰めておいてくれ。」
富城課長が照之に言った。
「はい分かりました。」
富城課長はそう言うと会議室より出ていった。
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