最強勇者の物語2

第４章 ホルムス共和国

先手

俺(影橋陸夜)は男爵屋敷の大広間で、メニュー画面を出したままビード男爵と睨みあっていた。

俺はビード男爵に大声で言った。

「いくぞ！」

次の瞬間俺はビード男爵目掛けて全力で駆け出した。

ビード男爵との距離を一気に縮めてまず先手をとる。

俺はそう思い、ビード男爵に至近距離まで近づいた。

そして俺はビード男爵の顔面に目掛けて右拳で殴りつけた。

ビード男爵は懐に差した剣を抜こうとしたが、間に合わず顔面に俺の拳をもろに食らった。

俺はさらに畳み掛けた。

今度は左手を繰り出し、ビード男爵の額にめがけて左拳を振り抜いた。

ビード男爵はたまらずに声をあげた。

「ぐっあ！」

ビード男爵は声をあげて、一歩後ろに後ずさった。

さらに俺はビード男爵の脇腹に右拳で殴りつけた。

ビード男爵は鎧と兜を装備しており、額を殴った時ほどの手応えはなかった。

ビード男爵は少しよろめいた後、口から床に血をペッと吐いた。

そして大声で俺に怒鳴った。

「貴様！！余に血を吐かせたな！この高貴な余に血を！！許さん、貴様は絶対八つ裂きにしてやる！！」

俺は怯まずにビード男爵に大声で言った。

「言っておくがビード男爵！俺はまだ本気を出していないぞ！本気を出す前に倒れるなよ？」

ビード男爵が激昂して俺に大声で言った。

「なめおって！勇者が！！」

そして今度はビード男爵が俺の目の前まで一気に距離を詰めて、俺の顔面めがけて拳を振り抜いた。

ビード男爵がすごい速さだったので、俺でも避けることができずに顔面に食らってしまった。

さらにビード男爵がお返しと言わんばかりに俺の脇腹を殴り返してきた。

ビード男爵は誇らしげに胸を張りながら俺に言った。

「はっはっは！どうだ？痛かろう？」

だが俺はビード男爵に答えた。

「いや全然痛くない、少し痒いだけだな。まさかこれで全力じゃないよな？」

俺はビード男爵の拳を顔面に一発、そして脇腹にも一発食らったが痛みを全然感じなかったのだ。

するとビード男爵はさらに激昂したようで遂に剣を抜いて両手で構えた。

「おのれ、この剣で貴様を叩き切ってやる！余に全力を出させた事はさすが勇者と誉めてやろう。だがなこの剣が抜かれて最後まで立っておれた者は今まで一人もいない！」

へえ、ビード男爵の本気か。

ビード男爵は剣を両手で構えて、俺を睨み付けた。

次は斬り合いって事か、これからが本番というわけだな。

俺は装備していたランルの剣を構えて、ビード男爵を睨み返した。