最強勇者の物語2

しまうま弁当

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第4章 ホルムス共和国

下手な演技

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今日はパルゲア歴752年6月13日である。

ソルト村の村人達の避難が完了して、ジール公国正騎士団によってカルヤーン街道が封鎖された。

すでにソルト村周辺には、勇者に備えて数千人の騎士が配置されていた。

またソルト村の中では勇者に備えて急ピッチで撤去工事が始まっていた。

すでにソルト村にはアミラやセッジ男爵やタキール子爵達も到着していた。

ジール大公が騎士達に指示を飛ばす。

「近代的な景観は駄目だ。村の中央にある街灯は全て撤去しろ。そして村の入口にある看板も撤去しろ。」

「村全体が汚く見えるように各建物に塗料を塗っおけ。」 

同時平行で芝居の稽古が進んでいた。

勇者を騙す為に演じられる芝居の稽古だった。

芝居に参加する者達が、セリフの読み合わせをしていた。

その中にアミラとターキル子爵がいた。

アミラがタキール子爵に大きな声で言った。

「お父様!!セリフに全然気持ちが入ってません。もっち気持ちを込めてセリフを言ってください。」

タキール子爵が大急ぎで用意された台本を見ながらセリフを棒読みした。

「おお、あなた様が勇者か?よく娘を救ってくれました。感謝します。」

アミラがタキール子爵に大きな声で言った。

「お父様!セリフ棒読みじゃないですか?それにさっきよりひどくなってますよ!」

タキール子爵が再度台本を見ながらセリフを抑揚をつけて言った。

「おお!!あなたが勇者様か!!!よく娘を救ってくれました!!感謝します!」

アミラがまたタキール子爵に言った。

「お父様、変な抑揚をつけないでください!余計に嘘っぽいですよ!」

アミラはため息をしながら、タキール子爵に言った。

「はあー、お父様がここまで演技が下手だとは思いませんでした。」

タキール子爵はアミラに答えた。

「アミラ本当にすまない。武芸や事務仕事なら自信があるんだが。」

そこにジール大公がやって来た。

アミラとターキル子爵はジール大公に一礼をした。

ジール大公がアミラに言った。

「アミラ少しよいか?」

アミラがジール大公に言った。

「はい大公様、何でございましょうか?」

ジール大公がアミラに言った。

「アミラ・ターキルお主を現時刻をもって男爵に叙する。」

アミラがジール大公に尋ねた。

「大公様、いきなりどういう事でございますか?」

ジール大公がアミラに言った。

「勇者狩りというのは、やり方が決まっておってな。光の鍵盤でレベル確認を行う際に、執行部隊責任者複数名で確認する事と決まっておるのだ。今回一番レベル確認をしやすいのはアミラお主だ。」

するとアミラがジール大公に答えた。

「なるほどつまり私が一時的に爵位をもらい、部隊責任者になって勇者のレベル確認せよという事ですね。確かに私が一番に勇者に接する機会が多いですし。」

ジール大公がアミラに言った。

「そうだ。勇者狩りに成功したら暁には正式に爵位を授けよう。要らぬなら断ってくれ。」

アミラは納得した様子でジール大公に答えた。

「承知しました。では謹んで拝命致します。」

ジール大公がアミラに尋ねた。

「してこちらの状況どうだ?」

するとアミラがジール大公に言った。

「ここにいる全員がセリフは覚えています。ですが一つ問題があります。お父様の演技が下手すぎます。」

ジール大公はふむと考えてタキール子爵に尋ねた。

「どうする、タキール子爵?別の者に父親役を代わってもらうか?」

タキール子爵はジール大公に答えた。

「いえ、是非このタキールめにやらせて頂きたい。」

ジール大公はタキール子爵に答えた。

「そうか、では励むしかないな。」

するとアミラがジール大公に言った。

「大公様、父親は体調が悪いという設定にするのはどうでしょう?」

ジール大公がアミラに言った。

「なるほど、それならターキル子爵がセリフを間違えてもアミラがカバーしやすいな。」

アミラがジール大公に言った。

「では大公様、セリフを少し変えても宜しいですか?あとは私がお父様を上手くカバーします。」

ジール大公がアミラに言った。

「ああ、もちろん構わん。ではアミラこちらは任せても良いか?」

アミラがジール大公に答えた。

「はい大公様、お任せください。」

こうしてソルト村では着々と勇者への備えが進んでいった。
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