最強勇者の物語2

第４章 ホルムス共和国

逃げ隠れ

僕達は赤い車に乗っているのは危険と判断して、赤い車を乗り捨てて町外れにあるひとけの無い古い倉庫に隠れていた。

倉庫内は縦横三十メートルの長さだった。

倉庫内はほとんど何もなく薄暗かった。

どうしよう大変な事になったな。

まあすでに勇者狩りにあってはいるけどこれからどうしたものか？

このどさくさに紛れて逃げてしまおうか？

ただな僕はそう考えながらサランジ社長を見つめた。

この人が今こういう状況になっているのは、僕が勇者狩りから逃げたせいだ。

僕が勇者狩りから逃走してなければ、勇者を捜索しようという事にはなっていない。

つまり今サランジ社長がこういう事態に陥っているのは、僕のせいでもあるのだ。

このままいけば多分この人は捕まって犯罪者になってしまうだろう。

全く無関係の人を巻き込んだうえに、この人の人生を狂わせてしまった。

何とかできるならしてあげたい。

でも僕ではどうする事もできない。

そんな事を考えていると、サランジ社長が僕に言った。

「ソルディさん本当にすまんのう、こんな事に巻き込んでしもうて。」

サランジ社長が申し訳なさそうに謝った。

僕はサランジ社長に言った。

「それよりもサランジ社長、今からでも警察に出頭した方がいいと思います。僕も警察に言って事情を話ますから。きっと分かってくれます。」

するとサランジ社長が僕に言った。

「すまんのう、ソルディさん。だがもう遅いんじゃ。さっき車で逃げている時に、交差点で蒸気トラックをかわしたじゃろ。あの時に警察車両が横転しておった。恐らく死傷者が出ているはずじゃ。わしは凶悪な逃亡犯になってしまったんじゃ。ああこんな事になるならあの時ちゃんと車から降りておけばよかった。」


僕には返す言葉が無かった。

パトカーが横転したのは僕も気づいていた。

だがあえて言わないようにしていた。

言ってしまえば、サランジ社長を追い詰めてしまうかもしれないと思ったからだ。

するとサランジ社長が僕に言った。

「ソルディさん、あんたは一人で逃げてくれ。わしと共犯で捕まるのは嫌じゃろ？」

サランジ社長を見捨てて逃げるなんてやはりできない。

警察にいくよう説得すべきだろう。

僕はサランジ社長に言った。

「サランジ社長気持ちはありがたいんですが、やはり警察に言って正直に話しましょう。今はもうそれしかないと思います。」

すると倉庫の外側からガサゴソと音が聞こえた。

その後すぐに倉庫の金属製の扉が開く音がした。

倉庫の入口から誰かが入ってきて大きな声で言った。

「全く手間かけさせやがって。」

倉庫に入ってきたのは、キングスレー巡査部長だった。