最強勇者の物語2

しまうま弁当

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第4章 ホルムス共和国

試験マニュアル

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僕はサランジ社長の蒸気自動車に乗せてもらって、建設技能研修所に向かっていた。

蒸気自動車というのは、かなり静かな乗り物のようで乗っていても音はあまり気にならなかった。

サランジ社長が運転する蒸気自動車は細い山道を進んで行った。

しかし行けども行けどもあるのは崖や坂や森ばかりだった。

しばらく山あいの道路を進んでいくと、大きな看板が見えてきた。

行き先の案内標識のようで、リュッセオとヨックモードへの行き方が矢印で表示されていた。

ヨックモードは確か港町だったはずだ。

リュッセオというのはどういう所なのだろうか?

するとサランジ社長が僕に言った。

「このリュッセオという村に建設技能研修所がある。まあリュッセオの村自体はそんなに大きくないがのう。リュッセオの村は静かでいい所じゃぞ。」

へえそうなのか。山あいの村といった感じだろうか?

続けてサランジ社長が僕に言った。

「この先にちょっとした休憩所と駐車場があっての。そこで一旦車を止めて休憩するつもりじゃ。」

ずっと山あいの道路を進んできたが、ようやく少し開けた場所が見えてきた。

その開けた場所にはレンガ造りの民家なども散見できた。

更に進むとサランジ社長の言うとおり駐車場が見えてきた。

かなり広い駐車場のようで、蒸気トラックや蒸気自動車も何台か止まっていた。

その駐車場の中央にはコンクリート造りの平屋の建物が建っていた。

あれがお手洗いだろう。

サランジ社長は蒸気自動車をその休憩所の駐車場に止めた。

僕はお手洗いに行くため車から降りた。

サランジ社長も車から降りて車の鍵をかけた。

すぐにお手洗いを済ませると、僕は蒸気自動車の前に戻った。

サランジ社長はすでに車に戻ってきており、運転席に座っていた。

僕もすぐに助手席に乗り込んだ。

そしてサランジ社長が僕に言った。

「では出発しようかの。」

僕はサランジ社長に答えた。

「はい、お願いします。」

サランジ社長が車を動かそうとした。

するとサランジ社長は何かを思い出したように言った。

「ああそうじゃった!」

そしてサランジ社長が僕に尋ねた。

「技能試験の受け方は教えたかの?」

僕はサランジ社長に尋ねた。

「技能試験の受け方は建設技能研修所の方で教えてもらうんじゃないんですか?」

サランジ社長が僕に答えた。

「いや実はそうではないんじゃ。近頃は技能試験の受験者が増えててのう。効率化の為に受験方法は建設技能研修所に来る前に教えておくのが、暗黙のルールになっておるんじゃ。すまんの、すっかり忘れておった。」

サランジ社長はそう言うと、技能試験の受験方法が書かれた試験マニュアルを僕に渡してくれた。

そして僕に言った。

「試験会場に入ったらすぐに試験が始まるからの。基本的な試験の流れは頭に入れとくんじゃ。ここからじゃと建設技能研修所まではそんなにかからんからの。」

ええー。

いきなり本番なの?それじゃ今すぐ覚えないと!

僕はサランジ社長から技能試験のマニュアルを受けとると一心不乱に読み始めた。
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