100 / 265
第4章 ホルムス共和国
嘘八百
しおりを挟む
小部屋での面談(事情聴取)は更に続いた。
ウルエル次長が僕に尋ねた。
「なぜホルムス共和国に来ようと思ったんですか?動機を聞かせてもらえますか?」
僕はウルエル次長に言った。
「僕はアグトリア法国のジロッピニャーノに、妻と息子夫婦と一緒に暮らしていました。ある時盗賊団同士の縄張り争いが起こって、妻がそれに巻き込まれて殺されました。その後息子夫婦と相談して、アグトリア法国を脱出しようという事になりまして、息子夫婦がドレビー盗賊団にお金を渡して、国境ゲートを通してもらえるように交渉にいきました。」
僕は、引き続きウルエル次長に話した。
「ですが息子夫婦は、行ったきり帰ってこなかった。数日後道端で息子夫婦の遺体が見つかりました。どうやら盗賊達に金だけ奪われたようでした。僕は泣いて途方に暮れました。ですがその少し後に決意しました。モンテリーノ山脈を越えてこの国を脱出しようと。そして山越えで死ぬような思いをしつつも何とか山脈を越えて、このホルムス共和国にやって来ました。」
ウルエル次長が僕に言った。
「そうですか、大変なご苦労をなされたんですね。そのお歳では山越えもさぞ大変だったでしょう。辛い記憶を思い出させてしまってすいません。これも決まりでして。事情は了解致しました。」
僕はウルエル次長に、向かって頭を下げた。
しかし我ながら、よくここまで嘘ばかり言えるもんだ。
嘘に嘘を並べて、嘘八百だな全く。
次から次へと口から出てくる嘘に我ながら感心した。
ウルエル次長の隣に座っていた、男性職員が僕に言った。
「ではこちらの避難民認定申告書へのご記入をお願いします。」
男性職員はそう言うと、テーブルの上に避難民認定申請書とペンを置いた。
僕は、避難民認定申請書に必要事項を記入していった。
おやこの日時の記入欄は何と書けばいいのかな?
僕はウルエル次長の横に、座っていた男性職員に尋ねた。
「すいません、この日時の所には、何と書けばいいんですか?」
僕の問いに男性職員は、答えてくれた。
「ああ、それでしたら、パルゲア歴で構いませんよ。ですから今日はパルゲア歴752年5月19日ですね。時間は午前11時35分です。」
僕は、男性職員に答えた。
「ありがとうございます。」
僕は日時の欄に、男性職員から聞いた時間を記入した。
そして続いて名前と年齢の欄を記入した。
名前『ロベルト・ソルディ』
年齢 『54歳』
とそれから僕は必要事項を記入をひたすら続けた。
ようやく僕は必要事項の記入を終えて、ウルエル次長に避難民認定申請書を渡した。
そしてウルエル次長は僕に言った。
「ありがとうございます。ではこれで面談を終わりますので、外でお待ちください。」
僕はウルエル次長に言った。
「分かりました。」
僕はウルエル次長に頭を下げた後で、小部屋から出ていった。
ウルエル次長が僕に尋ねた。
「なぜホルムス共和国に来ようと思ったんですか?動機を聞かせてもらえますか?」
僕はウルエル次長に言った。
「僕はアグトリア法国のジロッピニャーノに、妻と息子夫婦と一緒に暮らしていました。ある時盗賊団同士の縄張り争いが起こって、妻がそれに巻き込まれて殺されました。その後息子夫婦と相談して、アグトリア法国を脱出しようという事になりまして、息子夫婦がドレビー盗賊団にお金を渡して、国境ゲートを通してもらえるように交渉にいきました。」
僕は、引き続きウルエル次長に話した。
「ですが息子夫婦は、行ったきり帰ってこなかった。数日後道端で息子夫婦の遺体が見つかりました。どうやら盗賊達に金だけ奪われたようでした。僕は泣いて途方に暮れました。ですがその少し後に決意しました。モンテリーノ山脈を越えてこの国を脱出しようと。そして山越えで死ぬような思いをしつつも何とか山脈を越えて、このホルムス共和国にやって来ました。」
ウルエル次長が僕に言った。
「そうですか、大変なご苦労をなされたんですね。そのお歳では山越えもさぞ大変だったでしょう。辛い記憶を思い出させてしまってすいません。これも決まりでして。事情は了解致しました。」
僕はウルエル次長に、向かって頭を下げた。
しかし我ながら、よくここまで嘘ばかり言えるもんだ。
嘘に嘘を並べて、嘘八百だな全く。
次から次へと口から出てくる嘘に我ながら感心した。
ウルエル次長の隣に座っていた、男性職員が僕に言った。
「ではこちらの避難民認定申告書へのご記入をお願いします。」
男性職員はそう言うと、テーブルの上に避難民認定申請書とペンを置いた。
僕は、避難民認定申請書に必要事項を記入していった。
おやこの日時の記入欄は何と書けばいいのかな?
僕はウルエル次長の横に、座っていた男性職員に尋ねた。
「すいません、この日時の所には、何と書けばいいんですか?」
僕の問いに男性職員は、答えてくれた。
「ああ、それでしたら、パルゲア歴で構いませんよ。ですから今日はパルゲア歴752年5月19日ですね。時間は午前11時35分です。」
僕は、男性職員に答えた。
「ありがとうございます。」
僕は日時の欄に、男性職員から聞いた時間を記入した。
そして続いて名前と年齢の欄を記入した。
名前『ロベルト・ソルディ』
年齢 『54歳』
とそれから僕は必要事項を記入をひたすら続けた。
ようやく僕は必要事項の記入を終えて、ウルエル次長に避難民認定申請書を渡した。
そしてウルエル次長は僕に言った。
「ありがとうございます。ではこれで面談を終わりますので、外でお待ちください。」
僕はウルエル次長に言った。
「分かりました。」
僕はウルエル次長に頭を下げた後で、小部屋から出ていった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】
雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。
そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!
気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?
するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。
だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──
でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる