99 / 265
第4章 ホルムス共和国
避難民申請
しおりを挟む
出入国管理部が入っている大部屋の奥に、パーテンションで仕切られた相談スペースが設けられていた。
僕はその更に奥にある小部屋に案内された。
僕は小部屋に入った。
部屋は八畳くらいの大きさで、部屋の中央に会議用のテーブルと事務用の椅子が、六個ほど置かれていた。
すると中年の男性職員が僕に言った。
「どうぞお座りください。」
僕は言われるがまま席に座った。
そして後から二人の男性職員が僕の向かい側の席に座った。
そして中央の席の中年の男性職員が僕に言った。
「私はジャン・ウルエルという者です。この出入国管理部の次長を務めております。」
僕はウルエル次長に言った。
「僕はロベルト・ソルディです。」
もう偽名ばかりで疲れるが、仕方ない。
そしてウルエル次長が僕に尋ねてきた。
「ソルディさん、どこからいらっしゃったんですか?」
僕はウルエル次長に言った。
「アグトリア法国からです。」
ウルエル次長が僕に言った。
「やはりそうですか、それでは仕方ないですね。」
仕方ないというのはどういう意味なんだろうか?
僕は疑問に思いウルエル次長に尋ねた。
「すいません、先ほどからお話の意図が分からないのですが?」
ウルエル次長が僕に言った。
「やはりご存知ないんですね。ビザというのは、原則として入国前に申請するものなんです。入国した後に申請するものではないんです。」
僕はウルエル次長に答えた。
「そうなんですか?すいません知りませんでした。もしかして僕はアグトリア法国に送り返されるんですか?」
するとウルエル次長が僕に言った。
「いえ、そうではありません。アグトリア法国に関しては、通常の手続きでビザ申請などできないというのは、我々も存じています。何せアグトリア法国内があのような状況ですから。」
僕はウルエル次長に尋ねた。
「ではなぜ奥の部屋に呼ばれたんですか?話かけた職員の人が深刻な顔で奥に行ったのは?」
ウルエル次長が僕に言った。
「ああ、彼はこの部署に来たばかりで慣れてないんです。それで貴方が就労ビザの申請について尋ねたのでジール公国からやって来た人だと勘違いしたのでしょう。」
僕はウルエル次長に尋ねた。
「なぜそういう判断になるんですか?」
ウルエル次長が僕に答えてくれた。
「アグトリア法国から逃げてきた人達は、ほとんど避難民申請の方をしますから。」
なるほど僕は就労ビザの申請について彼に尋ねたから、まだこの職場に慣れていない彼が、僕をジール公国からビザも取らずに入国したと思って慌てた訳か。
ウルエル次長は続けて僕に話した。
「それにアグトリア法国からの避難民であれば、詳しく事情を聞く必要があります。ですのでこの部屋を使って次長である私がこうして事情を聞いています。」
なるほど、そういう事か。
いきなり奥の部屋に呼ばれた時は少し焦ったけど、取り越し苦労だったな。
するとウルエル次長が僕に尋ねた。
「では話を続けます。先ほども尋ねましたが、ソルディさん、どちらからいらっしゃったんですか?」
「はい、アグトリア法国のジロッピニャーノからです。」
ウルエル次長が僕に言った。
「なるほど、アグトリア法国のジロッピニャーノですか。我がホルムス共和国とアグトリア法国の唯一の国境ゲートがモンテリーノ国境ゲートです。ですがモンテリーノ国境ゲートは現在封鎖状態です。ドレビー盗賊団がアグトリア法国側の国境ゲートを占拠して以降、誰も通れなくなってしまった。どうやってこのホルムス共和国にいらっしゃったんですか?」
僕はウルエル次長に答えた。
「はい、モンテリーノ山脈を越えて来ました。 」
ウルエル次長が驚いて僕に尋ねた。
「あのモンテリーノ山脈を越えてきたんですか?」
僕はウルエル次長に答えた。
「はいそうです。」
もちろん山脈越えなんてしていない。
だけど、今はアグトリア法国からの避難民を演じなければならない。
更にその後も面談(事情聴取)は続いた。
僕はその更に奥にある小部屋に案内された。
僕は小部屋に入った。
部屋は八畳くらいの大きさで、部屋の中央に会議用のテーブルと事務用の椅子が、六個ほど置かれていた。
すると中年の男性職員が僕に言った。
「どうぞお座りください。」
僕は言われるがまま席に座った。
そして後から二人の男性職員が僕の向かい側の席に座った。
そして中央の席の中年の男性職員が僕に言った。
「私はジャン・ウルエルという者です。この出入国管理部の次長を務めております。」
僕はウルエル次長に言った。
「僕はロベルト・ソルディです。」
もう偽名ばかりで疲れるが、仕方ない。
そしてウルエル次長が僕に尋ねてきた。
「ソルディさん、どこからいらっしゃったんですか?」
僕はウルエル次長に言った。
「アグトリア法国からです。」
ウルエル次長が僕に言った。
「やはりそうですか、それでは仕方ないですね。」
仕方ないというのはどういう意味なんだろうか?
僕は疑問に思いウルエル次長に尋ねた。
「すいません、先ほどからお話の意図が分からないのですが?」
ウルエル次長が僕に言った。
「やはりご存知ないんですね。ビザというのは、原則として入国前に申請するものなんです。入国した後に申請するものではないんです。」
僕はウルエル次長に答えた。
「そうなんですか?すいません知りませんでした。もしかして僕はアグトリア法国に送り返されるんですか?」
するとウルエル次長が僕に言った。
「いえ、そうではありません。アグトリア法国に関しては、通常の手続きでビザ申請などできないというのは、我々も存じています。何せアグトリア法国内があのような状況ですから。」
僕はウルエル次長に尋ねた。
「ではなぜ奥の部屋に呼ばれたんですか?話かけた職員の人が深刻な顔で奥に行ったのは?」
ウルエル次長が僕に言った。
「ああ、彼はこの部署に来たばかりで慣れてないんです。それで貴方が就労ビザの申請について尋ねたのでジール公国からやって来た人だと勘違いしたのでしょう。」
僕はウルエル次長に尋ねた。
「なぜそういう判断になるんですか?」
ウルエル次長が僕に答えてくれた。
「アグトリア法国から逃げてきた人達は、ほとんど避難民申請の方をしますから。」
なるほど僕は就労ビザの申請について彼に尋ねたから、まだこの職場に慣れていない彼が、僕をジール公国からビザも取らずに入国したと思って慌てた訳か。
ウルエル次長は続けて僕に話した。
「それにアグトリア法国からの避難民であれば、詳しく事情を聞く必要があります。ですのでこの部屋を使って次長である私がこうして事情を聞いています。」
なるほど、そういう事か。
いきなり奥の部屋に呼ばれた時は少し焦ったけど、取り越し苦労だったな。
するとウルエル次長が僕に尋ねた。
「では話を続けます。先ほども尋ねましたが、ソルディさん、どちらからいらっしゃったんですか?」
「はい、アグトリア法国のジロッピニャーノからです。」
ウルエル次長が僕に言った。
「なるほど、アグトリア法国のジロッピニャーノですか。我がホルムス共和国とアグトリア法国の唯一の国境ゲートがモンテリーノ国境ゲートです。ですがモンテリーノ国境ゲートは現在封鎖状態です。ドレビー盗賊団がアグトリア法国側の国境ゲートを占拠して以降、誰も通れなくなってしまった。どうやってこのホルムス共和国にいらっしゃったんですか?」
僕はウルエル次長に答えた。
「はい、モンテリーノ山脈を越えて来ました。 」
ウルエル次長が驚いて僕に尋ねた。
「あのモンテリーノ山脈を越えてきたんですか?」
僕はウルエル次長に答えた。
「はいそうです。」
もちろん山脈越えなんてしていない。
だけど、今はアグトリア法国からの避難民を演じなければならない。
更にその後も面談(事情聴取)は続いた。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
元勇者の俺と元魔王のカノジョがダンジョンでカップル配信をしてみた結果。
九条蓮@㊗再重版㊗書籍発売中
ファンタジー
異世界から帰還した元勇者・冴木蒼真(さえきそうま)は、刺激欲しさにダンジョン配信を始める。
異世界での無敵スキル〈破壊不可(アンブレイカブル)〉を元の世界に引き継いでいた蒼真だったが、ただノーダメなだけで見栄えが悪く、配信者としての知名度はゼロ。
人気のある配信者達は実力ではなく派手な技や外見だけでファンを獲得しており、蒼真はそんな〝偽者〟ばかりが評価される世界に虚しさを募らせていた。
もうダンジョン配信なんて辞めてしまおう──そう思っていた矢先、蒼真のクラスにひとりの美少女転校生が現れる。
「わたくし、魔王ですのよ」
そう自己紹介したこの玲瓏妖艶な美少女こそ、まさしく蒼真が異世界で倒した元魔王。
元魔王の彼女は風祭果凛(かざまつりかりん)と名乗り、どういうわけか蒼真の家に居候し始める。そして、とあるカップルのダンジョン配信を見て、こう言った。
「蒼真様とカップル配信がしてみたいですわ!」
果凛のこの一言で生まれた元勇者と元魔王によるダンジョン配信チャンネル『そまりんカップル』。
無敵×最強カップルによる〝本物〟の配信はネット内でたちまち大バズりし、徐々にその存在を世界へと知らしめていく。
これは、元勇者と元魔王がカップル配信者となってダンジョンを攻略していく成り上がりラブコメ配信譚──二人の未来を知るのは、視聴者(読者)のみ。
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる