最強勇者の物語2

第４章 ホルムス共和国

ブルーム鉄道

僕を乗せた蒸気機関車は、ボオーという音をたて煙突から白い煙をあげて進んでいった。

僕は、客車の座席に座っていた。

客車の座席は二人掛けの座席が左右に一列づつ設けられており、中央が通路となっていた。

そして二人掛けの座席が、客車前方まで続いていた。

座席の色は紫色で、座席と座席との間隔はかなり空いており、ゆったりと座る事ができた。

まだそんなに乗客がいなかったので、僕は座席に座る事ができた。

指定席という表示は客車の中には見当たらなかったので、恐らくこの車両は自由席なのだろう。


さてとエルスタには何時に到着するのだろう？

さっきレイン駅で駅員に聞いておけば良かったな。

そんな事を考えていると、僕の乗っている車両に、車掌が入ってきた。

車掌が、少し大きな声で乗客に言った。

「これより切符を拝見させて頂きます。ご協力お願いします。」

そう言うと、車掌は座っている乗客の切符を一人づつ確認していった。

少し経って僕の所に、車掌がやって来て僕に言った。

「切符を拝見させて頂きます。」

僕は袋から切符を取り出して、車掌に見せた。

車掌は、切符を確認して僕に言った。

「確認しました、ありがとうございます。」

せっかくだから、車掌さんにエルスタまでどのくらいかかるか聞いておくか。

僕は車掌に尋ねた。

「すいません、エルスタには何時に到着の予定ですか？」

車掌が僕に答えてくれた。

「エルスタには午前九時に到着予定です。」

午前九時か、とすると二時間強で着くんだな。

僕は車掌に礼を言った。

車掌は他の乗客の所に切符の確認に行った。

僕は切符を再び袋の中に入れた。

そして車窓から外の景色を眺めてみた。


車窓からは北レインの工業団地と、レイン湖が見えた。

工業団地とレイン湖が、どんどん小さくなっていった。

すでにこの列車はかなりの速さで走っているようだった。

そしてすぐに車窓からは、木が生い茂る森の風景に変わった。

しかしそれもすぐに見えなくなり、やがて暗闇しか見えなくなった。

どうやらトンネルに入ったようだった。

しかしこのブルーム鉄道といい蒸気バスといい、ホルムス共和国は交通インフラが整備されてて助かる。

ジール公国は町から町まで移動するのに半日ぐらいかかっていたのに、ホルムス共和国内なら数時間あれば着いてしまうんだから。

さて首都エルスタ到着までは少し時間があるし、ゆっくりしよう。

そして椅子に深く腰掛けた。

僕は少しうとうとしていた。

僕を乗せた列車は首都エルスタへ向けて走っていった。