最強勇者の物語2

第４章 ホルムス共和国

ジューネックホテル

僕は運転手に礼を言って、蒸気バスから下車した。

そしてすぐに教えて貰ったホテルに向かった。

僕は、そのホテルを見上げる。

十二階建ての建物で、コンクリートで建てられたビルのようだった。

ビルの屋上の所にジューネックホテルという看板が掲げられており、明るい照明で照らされていた。

バスを降りた時、蒸気バスの中の時計が午後十時半を指していた。

とするとすでに午後十時半を、回っているだろう。

その為か通行人や蒸気自動車は、まばらだった。

フォルン同様に、道はコンクリートで舗装されており、道幅は広く車道と歩道に分かれていた。

街灯も一定間隔で設置されており、暗い町を明るく照らしていた。

少し先には、点灯機(信号機)が、あるのが分かった。

ジューネックホテルの周りには十階建てを越えるビルがいくつも有り、ジューネックホテルだけ特に高い建物という訳では無かった。

しかし僕が抱いていた異世界のイメージとだいぶ違う。

魔王を倒す為に来たのに、蒸気自動車とかビルとか点灯機(信号機)とか。

最も魔王はすでに倒されたみたいだけど。

まあそれは僕が勝手に抱いていたイメージだ。

ここで暮らす人達からしたら、そんな事知った事じゃないだろう。

むしろここで暮らしている人達に、失礼極まりない。

異世界に暮らす人達だって日々頑張っているのだから。

さてといつまでも突っ立てる訳には行かない。

僕はジューネックホテルの中に入ろうと思った。

僕は、ホテル一階正面にあるガラスの扉を開けようとした。

しかしその必要はなかった。

扉に近づくと自動的に、ガラスが横にスライドして開いた。

人が近づくと自動で開閉するドア。

つまりこれは自動ドアだ。

もういい、驚くのも面倒くさいや。

僕はロビーに向かった。

一階は、フロントと待合室になっていた。

床は白いタイルが敷かれており、清潔感を出していた。

壁も白いタイルで出来ていた。

また天井も白い壁紙が、貼られて部屋全体が白で統一されていた。

フロントの前にはテーブルと椅子が、沢山設置されており、待合室にもなっていた。

僕はフロントにいた、ホテルスタッフに声をかけた。

「すいません、今日泊まりたいんですが部屋は空いてますか？」

若い男性のホテルスタッフが、僕に返答をしてくれた。

「はい空いてございます。お一人様で宜しいですか？」

僕は、ホテルスタッフに言った。

「はい、一人です。」

ホテルスタッフが僕に言った。

「ではシングル部屋の507号室で宜しいでしょうか？料金は5000ルーンとなりますが？」

僕は、ホテルスタッフに言った。

「はい、そこでいいです。」

ホテルスタッフが僕に言った。

「ではこちらの用紙にご記入をお願いします。」

そしてホテルスタッフは、一枚の用紙をカウンターの上に置いた。

その用紙には、宿泊者カードと書かれていた。

僕はカウンターに置かれていたペンを使って、宿泊者カードに必要事項を記入した。

僕は念のため偽名を、クラークからトミーに変更した。

足どりがバレないように、念のためだ。

そして僕は宿泊者カードを、ホテルスタッフに渡した。

ホテルスタッフが、僕に言った。

「はい、ありがとうございます。ではこちらが507号室の鍵になります。なお支払いは後払いになりますので宜しくお願いします。」

僕はホテルスタッフから、507号室の鍵を受け取った。

そしてそのまま僕は507号室に向かった。