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第3章 逃亡生活
共和国側
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さてと何とか小麦の輸出用倉庫に潜入は出来たけど、今度は、ホルムス共和国の人達を欺かなければならない。
国境警備隊に捕まったら、強制送還(元いた国に送り返される)される事も考えられる。
何としても国境警備隊に見つからずに入国したい所だ。
さてどうしたものか?
僕は倉庫内を見渡した。
倉庫内は当然だが暗かった。
倉庫の中には先程みんなで積み込んだ小麦の麻袋が、整然と積まれていた。
倉庫内の窓は、共和国側の北側には無い。
窓があるのは、南側の高い場所に三つだけだ。
出入口は北側に大きな扉が二つと、さっき搬入に使った南側の大きな扉が二つか。
小麦の麻袋は、綺麗に段積みにされていた。
しかも綺麗に列で並べられており、一定距離ごとに移動用の何も置いていない空間があった。
そういえば、小麦の麻袋を積み上げる前に、下に何か板みたいな物を敷いてたな。
あれってもしかすると。それだったら。
一方こちらは輸出用倉庫の北側にあるホルムス共和国側の国境の町フォルン。
輸出用倉庫の北側は搬出用の広いスペースがあった。
輸出用倉庫の北側には、運送会社のグリスポート社が事務所を構えていた。
すでに搬出用に使う予定の蒸気フォークリフトや運搬用の蒸気トラックが準備されていた。
蒸気フォークリフトとは、蒸気機関で動く荷物運搬専用の車両である。
車両の先端に金属製のつめがついており、上下に動くようになっている。
それを引っかけて荷物の上げ下げや、移動を行うのである。
蒸気トラックとは、蒸気で動くトラックであった。
輸出用倉庫の少し北側に待機所があった。
グリスポート社の待機所である。
その待機所は、十畳ぐらいの広さで椅子と机が置いてあった。
簡素な平屋造りだった。
そこで小麦の麻袋の搬出を行う為に、数人が待機していた。彼らは運送会社グリスポート社の社員だった。
社員の一人が他の社員に尋ねた。
「なあ、搬出作業はまだ先なんかな?」
隣にいた社員が答える。
「いやもう少しで始まるんじゃないか?ほら倉庫の横にある掲揚台を見てみろよ。ジール公国の国旗が下りてるだろ。国旗が下りたって事は納品が完了したって事なんだよ。うちの税務官が国旗が下りてるのを確認したら、こっちの国旗を上げて搬出作業が始まると思うぜ。国境ゲートから今回の貿易書類が届き次第、税務官もここに来るさ。」
その社員が言った通り、それから少し後にブルーム税務官が数人を、引き連れ待合所にやって来た。
「みんな待たせたな。私が今回担当のブルーム税務官だ。宜しく頼む。」
数人のグリスカート社の社員が返事をする。
「宜しくお願いします。」
すると一人のグリスカート社の社員が、ブルーム税務官に尋ねた。
「あのブルーム税務官、後ろの方々は?」
するとブルーム税務官は、その社員に逆に尋ねた。
「うん、君はここは初めてか?」
その社員は、ブルーム税務官に答えた。
「はいここは今日が初勤務です。」
ブルーム税務官は、その社員に答えた。
「後ろの彼らは、フォルン駐屯の国境警備隊の方々だ。密入国する輩がいないとも限らないからな。」
ブルーム税務官の後ろには、四人の国境警備隊員が立っていた。
彼らは警備隊の制服を着ており、装備は軽装だったが、魔導銃を装備していた。
警備隊員の一人が代表で前に出て挨拶をした。
「私は共和国国境警備隊フォルン駐屯部03部隊部隊長のモントールだ。今回の作業に同行させて貰う。宜しく頼む。」
ブルーム税務官が、皆に言った。
「さあ挨拶も終わったし、早速だが国旗を掲揚しに行こうか!」
一同は待機所から出てきて、輸出用倉庫の横にある国旗掲揚台の所まで来た。
それからホルムス共和国側の国旗掲揚台に、ホルムス共和国の国旗が上げられた。
ブルーム税務官が指示を出した。
「国旗掲揚が完了した。ではこれより確認作業に入る。」
それから皆は、輸出用倉庫の北側出入口に移動した。
ブルーム税務官が輸出用倉庫の鍵を開けようとした時、倉庫の中からドスンドスンと物凄い大きな音が聞こえた。
一同に、緊張が走った。
ブルーム税務官が言った。
「まさか密入国者が中に潜んでいるのか?」
国境警備隊に捕まったら、強制送還(元いた国に送り返される)される事も考えられる。
何としても国境警備隊に見つからずに入国したい所だ。
さてどうしたものか?
僕は倉庫内を見渡した。
倉庫内は当然だが暗かった。
倉庫の中には先程みんなで積み込んだ小麦の麻袋が、整然と積まれていた。
倉庫内の窓は、共和国側の北側には無い。
窓があるのは、南側の高い場所に三つだけだ。
出入口は北側に大きな扉が二つと、さっき搬入に使った南側の大きな扉が二つか。
小麦の麻袋は、綺麗に段積みにされていた。
しかも綺麗に列で並べられており、一定距離ごとに移動用の何も置いていない空間があった。
そういえば、小麦の麻袋を積み上げる前に、下に何か板みたいな物を敷いてたな。
あれってもしかすると。それだったら。
一方こちらは輸出用倉庫の北側にあるホルムス共和国側の国境の町フォルン。
輸出用倉庫の北側は搬出用の広いスペースがあった。
輸出用倉庫の北側には、運送会社のグリスポート社が事務所を構えていた。
すでに搬出用に使う予定の蒸気フォークリフトや運搬用の蒸気トラックが準備されていた。
蒸気フォークリフトとは、蒸気機関で動く荷物運搬専用の車両である。
車両の先端に金属製のつめがついており、上下に動くようになっている。
それを引っかけて荷物の上げ下げや、移動を行うのである。
蒸気トラックとは、蒸気で動くトラックであった。
輸出用倉庫の少し北側に待機所があった。
グリスポート社の待機所である。
その待機所は、十畳ぐらいの広さで椅子と机が置いてあった。
簡素な平屋造りだった。
そこで小麦の麻袋の搬出を行う為に、数人が待機していた。彼らは運送会社グリスポート社の社員だった。
社員の一人が他の社員に尋ねた。
「なあ、搬出作業はまだ先なんかな?」
隣にいた社員が答える。
「いやもう少しで始まるんじゃないか?ほら倉庫の横にある掲揚台を見てみろよ。ジール公国の国旗が下りてるだろ。国旗が下りたって事は納品が完了したって事なんだよ。うちの税務官が国旗が下りてるのを確認したら、こっちの国旗を上げて搬出作業が始まると思うぜ。国境ゲートから今回の貿易書類が届き次第、税務官もここに来るさ。」
その社員が言った通り、それから少し後にブルーム税務官が数人を、引き連れ待合所にやって来た。
「みんな待たせたな。私が今回担当のブルーム税務官だ。宜しく頼む。」
数人のグリスカート社の社員が返事をする。
「宜しくお願いします。」
すると一人のグリスカート社の社員が、ブルーム税務官に尋ねた。
「あのブルーム税務官、後ろの方々は?」
するとブルーム税務官は、その社員に逆に尋ねた。
「うん、君はここは初めてか?」
その社員は、ブルーム税務官に答えた。
「はいここは今日が初勤務です。」
ブルーム税務官は、その社員に答えた。
「後ろの彼らは、フォルン駐屯の国境警備隊の方々だ。密入国する輩がいないとも限らないからな。」
ブルーム税務官の後ろには、四人の国境警備隊員が立っていた。
彼らは警備隊の制服を着ており、装備は軽装だったが、魔導銃を装備していた。
警備隊員の一人が代表で前に出て挨拶をした。
「私は共和国国境警備隊フォルン駐屯部03部隊部隊長のモントールだ。今回の作業に同行させて貰う。宜しく頼む。」
ブルーム税務官が、皆に言った。
「さあ挨拶も終わったし、早速だが国旗を掲揚しに行こうか!」
一同は待機所から出てきて、輸出用倉庫の横にある国旗掲揚台の所まで来た。
それからホルムス共和国側の国旗掲揚台に、ホルムス共和国の国旗が上げられた。
ブルーム税務官が指示を出した。
「国旗掲揚が完了した。ではこれより確認作業に入る。」
それから皆は、輸出用倉庫の北側出入口に移動した。
ブルーム税務官が輸出用倉庫の鍵を開けようとした時、倉庫の中からドスンドスンと物凄い大きな音が聞こえた。
一同に、緊張が走った。
ブルーム税務官が言った。
「まさか密入国者が中に潜んでいるのか?」
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