最強勇者の物語2

第３章 逃亡生活

指名手配

勇者への今後の対策が、引き続き協議されていた。

クロエが、先程の発言に対して共和国側に謝罪していた。

「先程は申し訳ありませんでした。つい我が国の価値観で、発言をしてしまいました。是非今度とも貴国(ホルムス共和国)との協力関係を、継続していきたいと考えております。宜しいですか？」

グラント大統領が、クロエに答えた。

「はい、ホルムス共和国としても各国との協調の重要性は、理解をしております。勇者狩りを含めた可能な限りのご協力は、当然させて頂きたいと考えております。」

ライツ補佐官が各国に謝罪した。

「先程は、各国の皆様に不快な発言をしてしまい申し訳ありません。以後は気をつけて参ります。」

ホルムス共和国は四ヵ国の中で、唯一勇者狩りに対して疑念を持っていた。

だがホルムス共和国内の勇者への反感の声も決して小さくなかった。

また勇者との融和を強く訴えると、外交的に孤立してしまう恐れもあった。

現状では国際協調を、優先せざるおえなかったのである。

そこにジール大公が、各国に意見を述べた。

「さて今後の勇者への対策であるが、二つの対策が必要であると考えている。一つは逃げた勇者の指名手配、そしてもう一つは魔領を治める統括者への連絡。この二つを各国で行って頂きたい。」

ジール大公は、魔物達が暮らす地域である魔領に、勇者が入り込みトラブルになる事を、恐れたのである。

そこにティアが、ジール大公に尋ねた。

「ジール大公様、統括者への連絡だけど、各国領土内は各政府がやるとして、グレイド諸島の統括者への連絡はどうするんですか？」

ジール大公が、ティアに言った。

「それは公爵家が受け持とう。ただ外洋に出るには大型船が必要だな。現在公爵家所有の船は改修中でな。」

ジール大公は、ライツ補佐官に尋ねた。

「是非ホルムス共和国から大型船をお借りしたいのだが？お願いできるか？」

ライツ補佐官が言った。

「ジール大公様、大型船をお貸しするのは問題ございません。喜んでお貸し致します。」

ジール大公が各国に尋ねた。

「先ほどの提案いかがであろうか？各国の返答をお願いしたい。」

するとクロエが、ジール大公に答えた。

「ジール大公様、レグナス王国は、勇者の指名手配と統括者への連絡の件了承致します。」

続いてグラント大統領が、ジール大公に答えた。

「ジール大公殿、ホルムス共和国も、勇者の指名手配と統括者への連絡の件了承致します。」

続いてドレスタル枢機卿が、ジール大公に答えた。

「アグトリア法国は、法皇様にお話を通してからになります。ですが恐らく了承して頂けるかと。」

しかしジール大公は、ドレスタル枢機卿に言った。

「枢機卿殿、国内事情があるのも存じてはいるが、この場で決めて頂けないだろうか？各国の協調が遅れれば、それは結果として逃げている勇者を利する事となる。」

ドレスタル枢機卿は、少し間を取り考えてた。

そしてドレスタル枢機卿は、ジール大公に言った。

「分かりました。ジール大公様、勇者の指名手配と統括者への連絡の件、アグトリア法国は了承致しました。」

ジール大公は、大きな声で各国に言った。

「各国の皆様ご協力感謝する。では四ヵ国共同で勇者を指名手配を行う事とする。」

そしてジール大公は、クロエに尋ねた。

「魔女殿、逃げた勇者の特徴を教えて頂きたい。」

そしてクロエは、ジール大公に勇者の特徴と似顔絵を書いた用紙を渡した。

ジール大公はすぐにこれを元に手配書を作成した。

ジール大公の指示で、数万枚の手配書が印刷された。

そこにパストーレ伯爵が、ジール大公に進言した。

「ジール大公様、一つ提案がございます。」