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第3章 逃亡生活
ダリオ・ドレスタル枢機卿
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四ヵ国協議の開始時間の午後二時から、およそ三十分が経過した。
しかし依然アグトリア法国の使節団は、会場に姿を現さなかった。
ジール大公が、グラント大統領とクロエに尋ねた。
「どうされる魔女殿?大統領殿?アグトリア法国からの一行が未だに来ない。三国だけで始めてもこちらは構わんが?」
クロエは、ジール大公に答えた。
「いえ、大丈夫です、ジール大公様。もうしばらく待ちましょう。我が国は急ぎません。」
グラント大統領は、ジール大公に答えた。
「お気遣い感謝しますジール大公殿。ですが我が国も、もう少し待とうと思います。」
ジール大公が、パストーレ伯爵に尋ねた。
「アグトリア法国の者達は、なぜ来ぬのだ?」
パストーレ伯爵が、ジール大公に答えた。
「ジール大公様が、あのような当てつけを、なさるからではありませんか?」
するとジール大公がパストーレ伯爵に答えた。
「御披露目上映にしても晩餐会にしても、多忙だから出席できないと断ってきたのはアグトリア法国の側だぞ。だが四ヵ国協議には出席すると伝えてきていた。なのになぜ来んのだ?!パストーレ、すぐに調べろ!」
パストーレ伯爵は、ジール大公に答えた。
「はっ!了解致しました!ジール大公様!」
実はこの前日にアグトリア法国の使節団一行は問題に直面しており、予定通り四ヵ国協議に到着するのは難しくなっていた。
アグトリア法国外交部を通じて、御披露目上映会や晩餐会に出席できない事は、各国に伝えてられていた。だがアグトリア法国の使節団が、四ヵ国協議にも遅刻するという連絡は、ジール大公のもとには入っていなかった。
アグトリア法国外交部が四ヵ国協議にも遅刻する事は、ホルムス共和国にしか通達されなかったのである。
これは深い理由があった訳ではなく、単純なアグトリア法国外交部の初歩的なミスであった。
パストーレ伯爵は、すぐに関係各所に連絡を取った。
「アグトリア方面の国境警備隊に問い合わせた所、今日の正午頃にアグトリア法国からの使節団が、ジール公国に入ったとの事でした。」
ジール大公が、パストーレ伯爵に答えた。
「そうなるとあと数十分ぐらいはかかるな。」
それから更に三十分が経過し、午後三時になった。
ようやくアグトリア法国の使節団が到着した。
そして一人の男性が、開闢の間にやって来た。
彼の名はダリオ・ドレスタル枢機卿(すうききょう)である。
年齢は20代後半で、小柄でスマートな体格だった。
彼はアグトリア法国の、ナンバー2である。
ドレスタル枢機卿が、大きな声で言った。
「この度はお招き頂いたにも関わらず、遅刻してしまい大変申し訳ありませんでした。法皇様に成り代わりお詫び致します。」
だがジール大公が、ドレスタル枢機卿に問い詰めた。
「枢機卿殿!一体どいうおつもりか?遅れるのならば、こちらに連絡があって然るべきであろう。貴殿は余の顔に泥を塗ったのだぞ!」
しかし依然アグトリア法国の使節団は、会場に姿を現さなかった。
ジール大公が、グラント大統領とクロエに尋ねた。
「どうされる魔女殿?大統領殿?アグトリア法国からの一行が未だに来ない。三国だけで始めてもこちらは構わんが?」
クロエは、ジール大公に答えた。
「いえ、大丈夫です、ジール大公様。もうしばらく待ちましょう。我が国は急ぎません。」
グラント大統領は、ジール大公に答えた。
「お気遣い感謝しますジール大公殿。ですが我が国も、もう少し待とうと思います。」
ジール大公が、パストーレ伯爵に尋ねた。
「アグトリア法国の者達は、なぜ来ぬのだ?」
パストーレ伯爵が、ジール大公に答えた。
「ジール大公様が、あのような当てつけを、なさるからではありませんか?」
するとジール大公がパストーレ伯爵に答えた。
「御披露目上映にしても晩餐会にしても、多忙だから出席できないと断ってきたのはアグトリア法国の側だぞ。だが四ヵ国協議には出席すると伝えてきていた。なのになぜ来んのだ?!パストーレ、すぐに調べろ!」
パストーレ伯爵は、ジール大公に答えた。
「はっ!了解致しました!ジール大公様!」
実はこの前日にアグトリア法国の使節団一行は問題に直面しており、予定通り四ヵ国協議に到着するのは難しくなっていた。
アグトリア法国外交部を通じて、御披露目上映会や晩餐会に出席できない事は、各国に伝えてられていた。だがアグトリア法国の使節団が、四ヵ国協議にも遅刻するという連絡は、ジール大公のもとには入っていなかった。
アグトリア法国外交部が四ヵ国協議にも遅刻する事は、ホルムス共和国にしか通達されなかったのである。
これは深い理由があった訳ではなく、単純なアグトリア法国外交部の初歩的なミスであった。
パストーレ伯爵は、すぐに関係各所に連絡を取った。
「アグトリア方面の国境警備隊に問い合わせた所、今日の正午頃にアグトリア法国からの使節団が、ジール公国に入ったとの事でした。」
ジール大公が、パストーレ伯爵に答えた。
「そうなるとあと数十分ぐらいはかかるな。」
それから更に三十分が経過し、午後三時になった。
ようやくアグトリア法国の使節団が到着した。
そして一人の男性が、開闢の間にやって来た。
彼の名はダリオ・ドレスタル枢機卿(すうききょう)である。
年齢は20代後半で、小柄でスマートな体格だった。
彼はアグトリア法国の、ナンバー2である。
ドレスタル枢機卿が、大きな声で言った。
「この度はお招き頂いたにも関わらず、遅刻してしまい大変申し訳ありませんでした。法皇様に成り代わりお詫び致します。」
だがジール大公が、ドレスタル枢機卿に問い詰めた。
「枢機卿殿!一体どいうおつもりか?遅れるのならば、こちらに連絡があって然るべきであろう。貴殿は余の顔に泥を塗ったのだぞ!」
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