最強勇者の物語2

第３章 逃亡生活

アホ勇者7

ルンパイヤと前騎士団長ゴルドーは、すぐにグルエル王城へ向かった。

グルエル王城は、バングル王宮よりも大きかった。

グルエル王国のダーグ国王と大広間で謁見した。

ルンパイヤとゴルドーは事情をダーグ国王に説明し、助勢を頼んだ。

ダーグ国王が、ルンパイヤに話した。

「そうかバングル王国に来た勇者は、そこまでアホだったか。事情は理解した、ルンパイヤ殿。ただ簡単に決めれる問題では無いゆえ、部下達の意見も聞きたい。少し待ってもらえるか？」

ルンパイヤは宜しくお願い致しますと、言って大広間を出て行った。

ダーグ国王は側近達を、集めて意見を聞いた。

「ルンパイヤがアホ勇者討伐の為に、加勢を依頼してきたが、お前達はどう思う？皆意見を言ってくれ。」

側近達がそれぞれ意見を述べた。

「ルンパイヤ殿に加勢するべきかと。ここでルンパイヤ殿に恩を売っておき、ルンパイヤ殿が、国王になられれば大恩あるダーグ国王様を、無下には出来なくなります。バングルとグルエル両国の絆は固いものとなるでしょう。」

「私もルンパイヤ殿に加勢するべきかと、今ならばアホ勇者に、先制攻撃を加えられるかと。」

「私はアホ勇者を、過小評価しすぎかと考えます。」

「勇者がアホなのは、すでに証明されているだろう！」

「そうではありません。私が申しておりますのは、勇者の戦闘力についてです。勇者はとてつもない強さなのです。例え我がグルエルの精鋭といえど、かなり損害を覚悟しておかねばならないかと。」

「グルエル騎士団の損失が多くなるから、手を貸すなと言われのか？」

「そうです。バングル王国の者達にはすまぬが、我がグルエル王国の者達が血を流さねばならぬ理由はない。隣国とは言え、他国の話だ。」

「あのアホ勇者が、グルエル王国に対して理性ある対応をすると思うか？一万倍大きい城を造る為に、我がグルエル王国にも無理難題を、押し付けてくるに決まっている！」


「その通り！そうなれば我らは、グルエル王国の民達を守りながらの戦いとなり、今回より遥かに厳しい戦いを強いられる。それならば、今回ルンパイア殿に加勢をした方が、得策でしょう。」


「指揮官の問題も考慮した方が宜しいかと。恐れながら指揮官がルンパイヤ殿では、我が国の騎士達が、納得しないでしょう。ルンパイヤ殿は軍事的才能が乏しい。ですが我らが表に出過ぎると、今度はバングル王国の者達から反感を、買ってしまう。それでは加勢する意味が、ありますまい。」


ダーグ国王は側近達の意見を一通り聞いた後、しばらく思考を巡らした。そして決断した。

ダーグ国王が、大きな声で皆に伝えた。

「よし決めたぞ！ルンパイヤに加勢しよう。但し指揮官は、前騎士団長のゴルドーとするよう条件を付ける。ゴルドーの武勇は私も良く知っている。そして頭も切れる男だ。充分指揮官の職責を果たせるだろう！」

側近達がはっ！と敬礼をする。

すぐにルンパイアと前騎士団長ゴルドーが、大広間へと呼ばれた。

先程の条件が提示され、ルンパイアが承諾したため、バングル王国への加勢が決まった。

ルンパイアが、ダーグ国王に感謝を述べた。

「ダーグ国王様、この度ご加勢本当にありがとうございます。」

ダーグ国王が、ルンパイアとゴルドーに言った。

「うむ、ルンパイア殿、必ずアホ勇者を討ち果たしてくれ！ゴルドーも頼むぞ！」

ルンパイアは、ゴルドーは必ずと答えた。

そしてすぐに、グルエルの騎士達が集められた。

ダーグ国王が、騎士達に伝える。

「お前たちは、これよりゴルドーと共にバングル王国へ赴け。そしてアホ勇者を討伐せよ！」

騎士達もはっ！と敬礼をする。

ダーグ国王が、更に続けた。

「よいか！決して他国の事として侮るな！これは我がグルエルの危機でもあるのだ！」

騎士達がはっ！と敬礼すると、大広間から出ていって出発の準備を始めた。

しばらくして出発の準備が完了した。

ルンパイヤと前騎士団長ゴルドー、そしてグルエル王国の援軍が国境へと向かった。