最強勇者の物語2

しまうま弁当

文字の大きさ
上 下
34 / 265
第3章 逃亡生活

地下迷宮への誘い

しおりを挟む
僕らはリリィに事情を聞いていた。

リリィが語り始めた。

「私はオーエンさんに相談をしていたんです。」

バルガスがリリィに尋ねる。

「相談っていうのは?差し支えなければ教えてくれるかい?」

リリィは頷くと、バルガスに答えた。

「私はマルディーヤで言われた事を、考えていたんです。生まれ育った国を見捨てて、逃げてきたのは間違いだったのかなって。」

バルガスはリリィに答えた。

「それは仕方ない事だ。アグトリアの今の状況を考えれば当然の判断だと思う。少なくともリリィさんが気にやむ事じゃ無いさ。オーエンも俺と同じ事を言ったんじゃないか?」

リリィはバルガスに話しかけた。

「オーエンさんも、そんなの気にしなくていいって言ってくれました。それで相談に乗って貰っていた場所が、地下迷宮へと続く階段だったんです。」

僕はリリィに尋ねた。

「えっ?なんでそんな場所にいたの?」

リリィが僕に答えた。

「最初は玄関ホールに行ったんですが、他の人達が使っていたんです。次は食堂に行ったんですが、ここも他の人達が使っていて、そしたらオーエンさんが最奥の階段なら、誰もいないだろうって言ってくれて向かったんです。」

僕達は相づちをしながら、リリィの話を聞いていた。

リリィが更に話を続ける。

「それで自分の部屋に戻ろうとした時に、うっかり転んでしまいまったんです。その時に母から貰ったブレスレットを失くしてしまいまして、すぐに探したんですけど見つからなかったんです。」

リリィが話を続けた。

「それで見つけるのを諦めて、私とオーエンさんは部屋に戻って来たんです。その後少し経って部屋から外を覗いたら、バルガスさんが走っていくのが見えてこっちに来たんです。」

バルガスはリリィに話した。

「リリィさん、詳しく教えてくれて助かったよ。オーエンの事は、俺達に任せて部屋に戻った方がいい。」

リリィは少し考えてから僕達に頭を下げると、部屋へと戻って行った。

僕はバルガスに尋ねた。

「ねえ、もしかしてオーエンは?」

バルガスが答える。

「ああ、恐らくいや間違いなく、地下迷宮に降りたんだろう。オーエンの奴、あの子の事が気になってたみたいだからな。」

僕はバルガスに言った。

「やっぱり、そうだよね。でどうする?」

バルガスが僕に答えた。

「まずは騎士達に相談するべきだな。」

僕達は騎士達が使っている部屋の前まで来て、扉をノックした。

すると騎士が二人廊下に出てきて、僕達に話しかけた。

「おい、明日の朝も早い、早く寝た方がいいぞ。」

バルガスが騎士に答えた。

「そうしたい所なんですが、問題が起こっちまったんです。」

騎士が聞き返した。

「問題とは?」

バルガスが、少し間を置いた後に騎士に言った。

「オーエンの奴が地下迷宮に下りちまったんです。」

騎士達が驚きながら答えた。

「何だと?地下迷宮に降りたのか!」

バルガスがオーエンの変わりに騎士達に謝った。

「オーエンがご迷惑をかけ、申し訳ないです。」

騎士達はどうするかを話し合った。

「どうする?通常なら我々が地下迷宮に降りて捜索するべきだろうが。」

「まあ本来ならそうすべきだろうな。だが場所が不味い。我々が地下迷宮に降りれば、彼らを余計に刺激してしまうだろう。」

「では放置するか?」

「それも無理だ。我々には彼らを引率している責任があるんだ。放置など論外だ。」

騎士達の議論は行き詰まっていた。

するとバルガスが騎士に願い出た。

「俺に地下迷宮へ行かせて貰えませんか?あんな奴でも俺の大切な弟なんです。」

騎士達が再び相談を始めた。

「どうする?」

「本来なら民間人を、危険な目に合わせる訳にはいかないが、今回は仕方ないだろう。」

「そうだな、この状況では仕方ないな。」

騎士達は相談を終えると、バルガスの地下迷宮行きを認めてくれた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

[完結長編連載]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜

コマメコノカ・更新報告はXにて。
恋愛
 王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。 そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...