最強勇者の物語2

第３章 逃亡生活

パジャル川

翌日僕は日が昇る前に起きて、宿屋ミルガをチェックアウトを済ました。

そして集合場所の騎士団の詰所前に行った。

そこにはすでに何人かが集まっていた。

その中には見ない顔も混じっていた。

たぶん騎士が言っていたロゼーヌに向かっていた人達だろう。

そうこうしているうちに、バルガスやオーエンもやって来た。

騎士達も詰所から出てきて、点呼を始めた。

全員集合を確認した後、僕達は北側の小麦倉庫に向かい、馬達と荷車が用意した。

僕達は荷車に小麦入った麻袋を積み込んで、カルヤーンに向けて出発した。

僕達はカルヤーン街道を通って一路北に進んでいく。

辺りは見渡す限り黄金色に染まった小麦畑が広がっている。

ひたすら北に向かって進む、恐らくかなり進んだと思う。

空を見上げると太陽が真上に上っていた。

僕達は街道沿いで昼休憩を取った。

僕は地面に腰を下ろした。

すると騎士達の会話が聞こえてきた。

「降りてしまって大丈夫だろうか？」

「そういえば、今日午後は確か雨の予報だったな。」

「ああ、だがここで更に時間を費やすのは避けたいな。」

「そうだな、現状ですら遅延気味だしな、降りて進むとするか。」

何の話だろうか？

天気を気にしていたみたいだけど？

昼休憩が終わり、僕達は再び北へ進み始めた。

しばらく進んでからと騎士が僕達に大声で伝えた。

「これより少し進む速度を早くする。皆ちゃんと着いて来い。」

その言葉の通りスピードが早まった。

少し進むとかなり高い土手のような物が見えてきた。

僕達は道なりにその土手を登っていく。

土手の上まで登ると大きな川が目の前に現れた。

ロダウ川と同じかそれ以上の大きさだった。

対岸まで七百メートル以上はあるだろう。

しかもかなりの水量があるのが一目で分かった。

そして騎士が大声をはりあげた。

「これよりパジャル川を横断する！気を抜くなよ！」