最強勇者の物語2

第３章 逃亡生活

船積み

騎士は話を続いていた。

「よってロゼーヌへ向かっているチームに急遽このダルカスに来てもらう事になった。」

僕は騎士に尋ねた。

「すいません、そのロゼーヌの町というのはどこにある町なんですか？」

騎士が僕に答えてくれた。

「ロゼーヌというのは、レグナス王国の国境近くにある町の名前だ。そのチームとこのダルカスの町で合流して、当初の予定通りカルヤーンに向かう。」

なるほど後続のチームと合流してから、小麦を積んでカルヤーンに出発する訳か。

するとオーエンが騎士に質問をした。

「て事は、俺達は今日はここで待機かい？」

騎士がオーエンに答える。

「いやこれからお前達は町の北側に行って小麦の麻袋を船に積み込んでもらう。」

オーエンがガックリと肩を落とした。

騎士が続ける。

「そうそう。今日は町の宿屋を手配しておいた。明日も頑張って貰わなくてはならんからな。船への積み込みが終わり次第、宿屋レルガに向かうといい、明日は朝一で出発になるだろうからな。」

騎士が言い終わると、僕達は町の北側の小麦の倉庫に向かった。

倉庫前に来ると、すでに水路には船が横付けされていた。

全長が二十メートルくらいの小さな白色の船だった。

騎士に聞いてみた所これも蒸気機関で動く蒸気船らしい。

また大きな船は水路の中まで入ってこれない為、小さな船を使って運搬する予定らしい。

騎士が倉庫の鍵を開け、さっそく小麦の入った麻袋を一つ一つ担いで船へと運んでいく。

小麦が満載の麻袋はとても重かった。

船倉が一杯になる頃にはもう皆がヘトヘトになっていた。

すると小舟が岸から離れていく。

騎士が皆に声をかけた。

「いやご苦労だった、予定より早く終わりそうだ。」

オーエンが嬉しそうに答える。

「えっ？じゃあこれで終わりですかい？」

騎士が指を指しながら答える。

「ああ、そこの船で終わりだ！」

騎士が指指した先には二隻の船が待機していた。