最強勇者の物語2

しまうま弁当

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第3章 逃亡生活

安全地帯

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僕は突然の事で何が起こったのか分からなかった。

バルガスがナイフを自分の腕に刺した?

事態をようやく理解してバルガスにかけよる。

そして僕は大声を張り上げた。

「一体何やってるんだ?バルガス!」

バルガスが僕に話しかけてきた。

「おい、おい。良く見てみろ、俺は大丈夫だぞ。」

僕が答える。

「大丈夫じゃないだろう。腕をナイフで刺したんだぞ。」

バルガスが答える。

「ほらだからよーく俺の左腕を見てみろ、血が出てないだろ。」

僕はバルガスの刺した方の左腕をじっくり見た。

確かに血が出ていない。

馬鹿な!あれだけしっかりナイフが刺さってるのに、出血しない訳がない、更によくナイフを見てみた。

次の瞬間僕は目を疑った。

ナイフが突き刺っているはずの箇所に傷が無い。

いやナイフの先端が、腕の中にめり込んでいるはずのナイフの刃先が消えているのだ。

これは一体何が起こってるんだ?

バルガスが僕に話しかけてきた。

「なっ?不思議だろ。」

バルガスが話を続けた。

「町の中では人を傷つけたり、殺す事が出来ないんだ。やろうとすると、特別な力がはたらいて阻止されるんだ。正式名称は広域結界魔法って言うらしい。」

そう言い終わるとバルガスが腕に刺さってるナイフを抜いた。

僕はそのナイフを見せてもらう。

先ほどは欠けていた先端が元に戻り、普通のナイフだった。

頭の中で納得は出来なかったが、あんなものを見せられたら信じるしかない。冷静になるために深呼吸をする。

少し間を空けてオーエンに尋ねた。

「だから、わざわざ町の外に出てったの?」

オーエンが答える。

「ああそうだ。喧嘩なんて町中じゃできないからな。」

オーエンはそう言い終わると、ナイフを右手に持ち、バルガスの左腕を刺した。

バルガスが大声をあげる。

「おいオーエン!俺に恨みでもあんのか?」

オーエンが答える。

「いや刺した方が分かりやすくていいかなって。バルガス兄貴もさっき納得してたじゃないか?」

バルガスが答える。

「馬鹿野郎、相手にナイフを突き刺していい訳無いだろう!」

オーエンが答える。

「でも怪我してないし。」

バルガスが大声で答える。

「相手にナイフを突き刺す事自体が問題なんだよ!また騎士の世話になりたいのか!」

怒り狂うバルガスを僕はなだめた。

少しするとため息まじりに落ち着いてきた。

再び僕はバルガスに尋ねた。

「その広域結界魔法は町の中ならどこでも働くの?」

バルガスが答える。

「ああ、どこでも働くぜ。」

僕は続けて尋ねた。

「その広域結界魔法が働くのはマルディーヤだけなの?」

バルガスが答える。

「いや世界中どの町でも働くはずだぜ。各国政府も確かそう発表してたはずだ。」

僕は引き続き尋ねた。

「町以外の場所は?例えば砦とか森の中とかは?」

バルガスが答える。

「広域結界魔法は町以外では働かない。森とかでは働かないぞ。砦と町が一緒になっている町があるんだが、そこでは力は働くらしい。」

なるほどね。

物質法則無視の現象だな。

まあ魔法に物理法則も無いんだろうけど。

でも変な力だけど、要は町の中は安全地帯って事だな。

そう考えるとそこまで気にする必要は無いのかもしれない。

むしろありがたいくらいか。なにせ町の中は安全なんだから。

するとバルガスが僕に尋ねてきた。

「まあまだ色々聞きたいだろうが、今日はこの辺にしとかないか?明日は朝一で出発だしな。」

そうだ、確かに今日は色々ありすぎてもうヘトヘトだ。

僕はそうだねとバルガスに答えた。

そしてオーエンとバルガスは上の階へと上がっていった。

この避難村は二階三階が個室になっており、一人一部屋を使っている状態だった。

僕は三階の一番奥が空いてると教えて貰ったので、その部屋に向かった。

部屋に入ると天井は低く部屋は狭かった。

ベッドと小さな机と椅子がちょこんと置かれていた。

僕はベッドにそのまま横になると、そのまま深いまどろみの中に落ちていった。


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