最強勇者の物語2

第３章 逃亡生活

蒸気機関

僕はバルガスと同じく配達人の仕事に応募した。

心の葛藤が少なからずあった。

何せ僕を殺そうとした奴に誓いを立てなければならないのだ。

僕は仕方がないと自分に言い聞かせた。

そして宣誓を済ませて前金を騎士から貰った。

騎士にその配達人の具体的な仕事内容を聞いてみた。

するとおよそ数日で終わる仕事で、終わり次第現地で解散らしい。

なるほどだから臨時か。

そして明日の朝一でここに集合との事だった。

するとバルガスが僕に話しかけてきた。

「さてもうすぐ夕暮れだし、良かったらこの後晩飯食いに行かねえか？美味しいバングルの店を見つけたんだ。」

バングルって何だ？うーん、まあ行けば分かるか。

僕はバルガスに答えた。

「分かった、一緒に行くよ。」

それから外に出てバングルの店に向かい始めた。

外は日がだいぶ傾いていて、夜が近づいていた。

僕は歩きながらバルガスに尋ねる。

「そのバングルのお店は町のどの辺にあるの？」

バルガスが答える。

「町の中央から、西側の通りに入るとすぐにミレナルっていう喫茶店がある。大きな看板もあるから、すぐに分かると思うぜ。」

「ミレナルだね、分かった。」

聞き終わり、ミレナルへ向かって歩いていると、後ろからベルのようなリンリンリンという音が聞こえてきた。

バルガスが僕に端に寄った方がいいぞと言ってきた。

僕はバルガスの言うとおりに端に寄る。

するとリンリンリンという大きめの音を出しながら、大型車両が三台、蒸気をあげながら僕の横を走っていった。

え？え？今のって？

走りすぎて行った大型車両はダンプカーにとても良く似ていた。

僕はバルガスに尋ねる。

「ね！ねえ？今ここを走っていったのって何？」

バルガスが答えた。

「ああ、ありゃ確か蒸気ダンプカーだったかな。なんでも蒸気の力で動く乗り物で、ホルムス共和国で作られたらしいぜ。」

蒸気ダンプカー？蒸気機関がこの世界にあるのか！

僕は再びバルガスに尋ねる。

「ホルムス共和国には蒸気で動く乗り物が他にもあるの？」

バルガスが答えた。

「ああ俺も直接見た事は無いんだか、蒸気自動車や蒸気トラックってのが、ホルムス共和国ではたくさん走ってるらしいぜ。」