あなた達を異世界の勇者として召喚してあげますよ?

しまうま弁当

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一章

校舎の中にいた誰か

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7月17日の午後1時頃に明井田高校の敷地内に理沙(りさ)達の姿があった。

桃子(ももこ)が嫌そうな顔で楓に行った。

「日曜日に学校に来るとか勘弁してよ。」

楓(かえで)が桃子に言った。

「仕方ないでしょう??高校の図書館の自習室が一番空いてるんだから。」

由衣(ゆい)が桃子に言った。

「勉強する場所を確保するって結構大変なんだよ。市営の図書館の自習室は土日はすごい競争になるからね。ここならうちの学校の生徒しか使えないし自習室もかなり広いから席取りを心配する必要がないんだよね。」

桃子が不満そうに由衣に言った。

「そりゃ日曜日に好き好んで学校に来る人間なんて少ないわよ。」

楓が少しイラっとした顔で桃子に言った。

「もう桃子??文句を言うならついてこなければ良かったでしょ??」

桃子が楓に言った。

「だって私だけ仲間外れにされるみたいで嫌だったんだもん。」

楓が桃子に言った。

「だったら文句言わないでよ。」

桃子が楓に言った。

「嫌なものは嫌なんだから仕方ないでしょう。」

楓が桃子に言った。

「もう??桃子ったら。」

すると由衣が尋ねた。

「理沙はこの後で九木礼の封木(ふうき)神社に行くんだよね?」

桃子が由衣に言った。

「そう、わがままな霊媒師に九木礼(くきれい)に来いって命令されたからね。」

楓が桃子に言った。

「桃子??そういう言い方はやめなさいよ。」

桃子が楓に言った。

「実際に九木礼に来いって言われたのは事実なんだから別にいいでしょ。」

楓が桃子に言った。

「はあ、まあいいんだけどさ。」

楓が理沙に言った。

「それじゃあ帰りましょうか?ねえ理沙??」

理沙に話かけた楓だったが理沙から返事がなかなか返ってこなかったので、楓は理沙の方を振り向いたのだった。

すると理沙は明井田高校の建物である北館の校舎の方をじーっと眺めているのだった。

再び楓は理沙に呼びかけたのだった。

「理沙??どうかしたの?」

すると理沙は楓の方に振り向くと楓にこう尋ねたのだった。

「ねえ??今日って校舎は開いてないよね??」

楓が理沙に言った。

「えっ??うん。確か開いてなかったはずだよ。今日は日曜日だし開いてるのは図書館だけのはず。それに今日はどこの部活動も活動がなかったはずだし。」

由衣が理沙に尋ねた。

「理沙?なんでそんな事を楓に聞くの?」

理沙が由衣に言った。

「さっき校舎の中に誰かいたような気がしたんだけど?」

由衣が理沙に言った。

「見間違いじゃない?楓が言った通り校舎は閉まってるはずだから誰もいないはずだよ。」

由衣はそう言って校舎の方を眺めたのだった。

すると由衣はかなり驚いた様子で言った。

「あれっ??」

楓が由衣に尋ねた。

「由衣までどうしたの?」

由衣が楓に言った。

「誰か校舎の三階の所に立ってない?」

理沙が由衣に言った。

「やっぱり校舎の中に誰かいるよね?」

由衣も頷きながら理沙に言った。

「うん誰か校舎の中にいるね。」

すると桃子が面白そうな様子で理沙に言った。

「えっ??もしかして噂になってる男の子の幽霊かしら??」

楓が桃子に言った。

「そんなわけないでしょう。」

桃子が楓に言った。

「そうだ今から校舎に確認に行かない?おもしろそうだから。」

楓が桃子に言った。

「ダメに決まってるでしょ?理沙はこの後予定があるんだよ。」

桃子が楓に言った。

「いいじゃない、見たらすぐに戻ってくるから。ねっ??」

楓が桃子に言った。

「分かった、なら確認したらすぐに帰るわよ。」

桃子が楓に言った。

「それでいいわ。」

そういうと桃子は校舎へと走り出したのだった。

その様子をみて楓が言った。

「もう桃子ったら?勉強もそれぐらいやる気出してやりなさいよ、まったく。」

すると校舎に先に走っていった桃子が理沙達の所に戻ってきた。

そしてにはしゃぎながら理沙達に言った。

「ねえ?校舎の扉が開いてるわよ。」

理沙達も校舎の扉の所までやってきてそれを確認するのだった。

理沙が桃子に言った。

「本当だ、扉が開いてるね。」

楓が理沙に言った。

「でもなんで校舎の扉が開いてるんだろう??」

桃子が楓に言った。

「男の子の幽霊が開けたんじゃない?」

楓が桃子に言った。

「幽霊が扉を開ける事なんてできるわけないでしょ。」

すると由衣が桃子に言った。

「でも電子ゲートは反応してないよ。」

校舎に入ってすぐの場所には電子ゲートが設置されており、学生証をかざして電子ゲートをくぐらないと校舎の中に入れないつくりになっていた。

由衣は電子ゲートの機械に何度も学生証をかざしたが、電子ゲートは何の反応もしなかったのだった。

すると電子ゲートの先から声が響いてきた。

「青木か??そこで何をしているんだ??」

理沙が電子ゲートの奥の方を見るとスーツ姿の男が一人立っていたのだった。

「あっ??武藤先生??」

電子ゲートの先には武藤先生がいたのだった。

武藤先生が不思議な様子で理沙に尋ねた。

「一体どうしたんだ??青木それに吉田(よしだ)達も??今日は日曜日だぞ??」

理沙が武藤先生に言った。

「実は図書館の自習室に勉強しに来て帰ろうと思ってたんですけど、校舎の中に人影が見えたんで気になって見に来たんです。」

桃子が残念そうに言った。

「なんだ、男の子の幽霊じゃなかったのか。」

楓が桃子に言った。

「ほらなんでもなかったでしょ。武藤先生が校舎の見回りをしてただけだって。」

すると武藤先生が困った顔で楓に言った。

「いや向井(むかい)??たぶん青木が見たのは俺じゃない。」

由衣が武藤先生に尋ねた。

「武藤先生??それはどういう事ですか?」

武藤先生が由衣に言った。

「うーん??口で説明するのは難しいな。」

武藤先生は少し考えた後で電子ゲートの機械の操作を始めたのだった。

すると電子ゲートの電源が入いり平日のように電子ゲートが稼働を始めたのだった。

武藤先生が理沙達に言った。

「たぶん直接見た方がはやい、青木それに吉田達も一緒に来てくれないか?あいつらを説得をしてほしい。」

理沙が武藤先生に答えた。

「分かりました、いいですよ。」

そして理沙達は一人づつ学生証をかざして電子ゲートをくぐって校舎の中へと入っていった。

武藤先生が先頭を歩いて理沙達が後をついていった。

理沙が武藤先生に尋ねた。

「武藤先生?どこに行くんですか??」

武藤先生が理沙に言った。

「3階の第二情報処理室だ。」

由衣が武藤先生に言った。

「えっ??3階に行くんですか?」

由衣と楓の足が止まったのだった。

そしてその場で由衣と楓は顔を見合わせたのだった。

桃子がそれに気がついて足を止めると由衣に尋ねたのだった。

「ちょっと由衣どうしたのよ?」

武藤先生も足を止めて由衣に尋ねたのだった。

「松川は三階は行きたくないのか?」

由衣が武藤先生に言った。

「私は三階の廊下にはできれば行きたくないんです。それにたぶん楓も嫌だと思ってると思います。」

楓が武藤先生に言った。

「実は私この前三階の廊下で男の子の幽霊を見ちゃったんですよ。」

武藤先生が楓に言った。

「学校で噂になっているあれか。北館の三階の廊下に男の子の幽霊が出るって話だな。そうか向井は目撃した事があるのか。」

楓が武藤先生に言った。

「はい、それで三階には行きたくないなって思って。」

桃子が不満そうに楓に言った。

「ちょっと楓??せっかく面白くなってきたのに、水を差すような事を言わないでよ。」

武藤先生が楓と由衣に言った。

「向井??それに松川?無理なら外で待っていても構わないぞ?」

楓が武藤先生に言った。

「えっ??いいんですか??」

武藤先生が楓に言った。

「もちろんだ、無理強いはできないからな。」

楓が由衣に言った。

「それじゃあそうさせてもらおうかな。」

すると戻りたがっている楓と由衣に理沙が強い口調でこう言ったのだった。

「楓それに由衣も一緒に三階に行きましょう!!」

桃子も理沙に同調して二人に言った。

「そうよ楓??ここで戻ったらつまらないでしょ?ここまで来たんだから一緒に行きましょう。」

明らかに由衣と楓は気が進まないようだった。

「うーん??でもね??」

「三階は遠慮したいかな。」

だが理沙はかなり強引に由衣と楓に頼み込むのだった。

「お願い楓??由衣??一緒に来て!!二人には絶対に一緒に来てほしいの!!この通り。」

理沙の必死の懇願によって楓と由衣は渋々ではあったが3階の第二情報処理室に向かうことを了承したのだった。

そして階段を上って3階へとやってきた。

楓が心配そうにキョロキョロしながらみんなに尋ねた。

「ねえ??大丈夫??男の子の幽霊はいない??」

桃子が楓に言った。

「大丈夫よ、廊下には誰もいないわ。」

それを聞いた楓が安心した様子で桃子に言った。

「そう、ならいいんだけど。」

そして理沙達は三階の廊下を進んで第二報処理室の前までやってきた。

すると由衣が武藤先生に尋ねたのだった。

「そう言えば武藤先生??あいつらを説得をしてほしいってどういう事ですか?」

楓が由衣に言った。

「ああさっき確かにそう言ってたね。」

すると武藤先生は第二情報処理室の扉のドアノブを持ちながら由衣に言った。

「それはな、こういう事なんだ。」

武藤先生はそう言いながらが第二情報処理室の扉を開けたのだった。

そこには不思議な光景が広がっていた。

その光景を見た理沙が不思議そうな顔で言った。

「久保(くぼ)君??牧田(まきた)君??」

第二情報処理室の中には理沙達のクラスメイトの久保(くぼ)と牧田(まきた)の二人がいたのだった。

理沙達はすぐに第二情報処理室の中に入っていった。

情報処理室だけあって部屋の中にはたくさんの机とパソコンが並んでいた。

すると桃子が大きな声で言った。

「ちょっと悟(さとる)??裕也(ゆうや)??あなた達なにやってるのよ??」

第二情報処理室の中には理沙のクラスメイトである久保(くぼ)悟(さとる)と牧田(まきた)裕也(ゆうや)の二人がいたのだった。

理沙も久保と牧田の二人に声をかけた。

「久保(くぼ)君?牧田(まきた)君??何してるの??」

だが久保も牧田も二人の問いかけには何も答えないのだった。

久保は窓近くの壁に何かを書いていたのだった。

牧田も椅子に座って白い机の上で何かを書いていたのだった。

桃子が久保に言った。

「ちょっと悟(さとる)??私が話してるのになんで無視するわけ!!」

桃子はそう言うと久保の体をゆすったのだった。

だがそれでも久保は何の反応も桃子に返さなかったのだった。

理沙が困惑した様子で武藤先生に尋ねた。

「武藤先生??なんで久保君と牧田君がここにいるんですか?」

武藤先生が理沙に言った。

「俺もさっぱり分からないんだ。今日は当番だったから学校に来ていたんだが、校舎の中を見回っていたらこの第二情報処理室になぜか久保と牧田の二人がいてな。それでどういう事かと二人に事情を尋ねたんだが、一切返事をしてくれなくてな。どうしたもんかと困っていた所なんだ。」

楓が武藤先生に言った。

「説得してほしいっていうのは久保君と牧田君の事だったんですね。」

武藤先生が楓に言った。

「ああ俺が何を言っても完全にスルーされてしまってな。お前たちなら返答してくれるかもと思ったんだ。」

由衣が武藤先生に尋ねた。

「あのう武藤先生?先生が久保君達を見つけたのって何時頃なんですか?」

武藤先生が由衣に言った。

「午前11時くらいだな。」

由衣が武藤先生に聞き返した。

「それじゃあ2時間もずっとこの状態なんですか?」

武藤先生が由衣に言った。

「どうだろうな?俺が見つけた時はすでに床や壁が真っ黒になっていたからな。もっと前からだと思うぞ。」

理沙は武藤先生の真っ黒という言葉で再び久保と牧田の二人を見たのだった。

確かに久保のいる辺りの壁や牧田の座っている机の上は真っ黒になっていた。

理沙が武藤先生に尋ねた。

「久保君と牧田君は何を書いてるんですか?」

武藤先生が理沙に言った。

「日時を書いてるみたいだ。今日の日時をひたすら書き続けている。」

すると由衣が武藤先生に尋ねた。

「武藤先生??武藤先生が来た時って校舎の出入口の扉は開いてたんですか?」

武藤先生が由衣に言った。

「いや校舎の出入口の扉を開けたのは俺だ。俺が来た時は出入口の扉は閉まっていた。」

由衣が武藤先生に尋ねた。

「武藤先生?久保君と牧田君の登下校時間の記録を調べてもらえませんか?」

武藤先生が由衣に言った。

「いや実は俺も気になってさっき二人の登下校時間の記録を調べたんだ。そしたら」

武藤先生は言葉に詰まってしまったようだった。

由衣が武藤先生に尋ねた。

「どうだったんですか?」

武藤先生が由衣に言った。

「うーん、それがな。久保も牧田も金曜日の登校した時間の記録はあったんだが下校した記録はなかったんだ。」

由衣が武藤先生に聞き返した。

「下校した記録がなかったっていうのは?」

武藤先生が由衣に言った。

「金曜日の朝に久保と牧田が登校した記録はあったんだ。久保は7月15日の午前7時57分に登校した記録が、牧田は7月15日の午前8時6分に登校した記録が残ってる。だが久保も牧田も金曜日に下校した記録が残ってないんだ。」

由衣が武藤先生に言った。

「それはおかしいですね。」

桃子が武藤先生に尋ねた。

「先生??どういう事ですか??」

武藤先生が桃子に言った。

「この校舎の窓は開けられない構造になってるんだ。そしてセキュリティのために校舎の中への出入りできる場所は電子ゲートのあるあそこの出入口1か所だけだ。つまり登下校する際は必ず電子ゲートを通らなければならない。にも関わらず久保も牧田も金曜日の夕方に下校した記録が残っていない、という事はつまり。」

由衣が桃子に言った。

「久保君と牧田君は家にも帰らずに金曜日の夕方からずーっと校舎の中にいたんじゃないかって事。」

楓が由衣に尋ねた。

「そんなのありえないでしょ?久保君達は金曜の朝からずっと家にも帰らずに校舎の中に残り続けて一体何をしてたっていうの??」

武藤先生が楓に言った。

「全くもって向井の言う通りなんだが、それ以外に下校の記録がない事の説明がつかないんだ。」

桃子が楓に言った。

「電子ゲートが壊れてるだけなんじゃ?」

武藤先生はスマホを取り出すと何かの操作を始めた。

何かの情報を確認しているようだった。

確認を終えるとそのスマホの画面を理沙達に見せたのだった。

「どうやらそれはなさそうだ。ほら青木達がさっき電子ゲートをくぐって入ってきただろう。その時刻がちゃんと登校時間が記録されている。」

理沙達が見せられたのは電子ゲートの管理画面で、確かに武藤先生の言う通り、自分たちが入ってきた時間がちゃんと記録されていた。

理沙が言った。

「本当だ。」

すると桃子が武藤先生に言った。

「だったら窓を割って入ってきたんじゃない?」

由衣が桃子に言った。

「なんでわざわざそんなめんどくさい事をしなきゃいけないの?」

桃子が由衣に言った。

「そんなの分かるわけないでしょ。」

武藤先生が桃子に言った。

「それもないな。この校舎に使われている窓ガラスはすごく割りにくい作りになっているし、さっき異常がないか確認してきた時には割られた窓ガラスなんてどこにもなかった。」

由衣が言った。

「そうなるとやっぱり。久保君と牧田君は金曜日からずっと校舎の中に残っていたとしか思えないね。」

理沙が武藤先生に尋ねた。

「先生?久保君と牧田君の家の方には連絡したんですか?」

武藤先生が理沙に言った。

「いや連絡をしようとはしたんだが、二人のご家族になかなか繋がらなくてね。それで警備の三谷(みたに)さんを呼びに行こうと思ってた所に、青木達がやってきたというわけだ。」

理沙が武藤先生に言った。

「そうだったんですね。」

その後理沙達は久保と牧田の呼びかけを何度も行ったが、久保と牧田は理沙達の呼びかけに一切反応しなかった。

それで理沙達はとりあえず明井田高校の入り口の所にある守衛室まで行って、警備員の三谷(みたに)主任を呼びに行ったのだった。

守衛室の中に入った理沙達が事情を警備員の三谷(みたに)主任に話したのだった。

三谷は驚いた様子で理沙に聞き返したのだった。

「ええ??校舎の中に生徒が勝手に入り込んでるだって??」

理沙が三谷に言った。

「はいそれで三谷さんを呼びにきました。」

三谷が武藤先生に尋ねた。

「分かった、すぐに行くよ。それでどこの教室だい?」

武藤先生が三谷に言った。

「北館3階の第二情報処理室です。」

三谷が武藤先生に言った。

「第二情報処理室だね。分かった。」

そして理沙達は三谷主任を連れて第二情報処理室へと戻っていったのだった。

だが第二情報処理室へと戻った理沙達はさらなる恐怖に見舞われる事になるのだった。
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