あなた達を異世界の勇者として召喚してあげますよ?

しまうま弁当

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一章

見えないもの

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理沙達はハンバーガー店内で話を続けていたのだった。

すると由衣(ゆい)が理沙(りさ)に尋ねた。

「あっ??そういえば理沙??霊媒師さんに会って除霊してもらうんじゃなかったけ?もうそれは終わったの?」

理沙が由衣に言った。

「ううん、まだ。霊媒師さんが結構忙しいみたいで、なかなかスケジュールを合わせられないの。」

由衣が理沙に言った。

「ふーん、そうなんだ。」

桃子(ももこ)が由衣に言った。

「ちょっと由衣??それだけなの?」

由衣が桃子に聞き返した。

「えっ??それだけって??」

桃子が由衣に言った。

「理沙にかけてあげなきゃいけない言葉があるでしょ??」

由衣が桃子に尋ねた。

「なんて理沙に言えばいいの??」

桃子が由衣に言った。

「こうよ。あれだけのお金を払って音信不通になってるの?その霊媒師絶対に怪しいわ!!お金だけとって逃げるつもりよ。理沙はきっと騙されてるわ!!って理沙に言ってあげなきゃ。」

由衣が桃子に言った。

「えっ??その霊媒師さんが忙しいってだけだでしょ?なんでそんなひねくれた事を言わなきゃいけないの?」

すると桃子が由衣に言った。

「もう由衣も存外にお人よしね。世の中そんなに甘くないのは分かってるでしょ?お金を取るだけ取って逃げるつもりに決まってるわ。」

由衣が桃子に言った。

「考えすぎでしょ??」

桃子がみんなに言った。

「そんな事はないわ。今日はその霊媒師に文句をいうためにわざわざここまで来たんだから。」

由衣が桃子に言った。

「えっ??それじゃあ今日ここまでやってきたのはその霊媒師さんにクレームをつけにいくためなの。」

桃子が由衣に言った。

「そうよ理沙が詐欺にあってるんじゃないかって心配になっちゃうでしょ?」

楓(かえで)が桃子に言った。

「そんなの桃子が勘ぐりすぎてるだけじゃない?全然行く必要ないと思うけど。」

由衣が桃子に言った。

「うん、そういう事を面白半分でするのは止めた方がいいわよ。」

桃子が由衣に言った。

「面白半分じゃないわよ?理沙が詐欺にあってるのよ。」

由衣が桃子に言った。

「理沙のいう通り、ただその霊媒師さんの予定が立て込んでるだけだと思うけど?」

楓が理沙に尋ねた。

「その霊媒師さんとは連絡は取れてるの?」

理沙が楓に言った。

「うん、とれてるよ。」

由衣が桃子に言った。

「ほらやっぱり桃子の考えすぎだって。」

桃子が由衣に言った。

「全然分かってないわね。あれこれ理由をつけて予定を先延ばしにするのは詐欺の常とう手段よ。きっと明日には連絡が取れなくなるわよ。」

桃子がみんなに言った。

「そうなる前にその霊媒師の所に行って問い詰めてやらないと。理沙が泣き寝入りする事になってしまうわ。」

由衣が桃子に言った。

「それってつまり桃子の憶測でしかないわけでしょ?」

桃子が由衣に言った。

「まあそうだけど。」

由衣が桃子に言った。

「その霊媒師さんに文句言いに行きたいのなら桃子一人で行ってきて。私はここで待機してるから。」

楓が桃子に言った。

「私もここで待ってる。」

桃子が二人に言った。

「ちょっと二人とも来ないつもり?」

由衣が桃子に言った。

「そんな事をしにいくんだったらここでゲームしてる方がマシ。」

楓が桃子に言った。

「桃子、理沙の言う通り止めといた方がいいんじゃないかな?私も由衣と同じでただその霊媒師さんが忙しいだけだと思う。」

桃子が二人に反論した。

「なんでよ??もし本当に詐欺にあってたら理沙が大変でしょ?詐欺師が逃げる前に問い詰めないと!!」

楓が桃子に言った。

「もし仮に桃子のいう通りだとしても、やっぱり止めといた方がいいと思う。その霊媒師さんが詐欺師だというのなら、私たちが文句を言いに行った所でどうにかできるとは思えない。むしろ私たちの方が危害を加えられる可能性すらある。どちらにしても理沙や楓のいう通り止めといた方がいいと思うよ。」

桃子が由衣に言った。

「もういい分かったわ。それじゃあ二人はここで待っててちょうだい。」

桃子はそう言うとハンバーガー店を後にしたのだった。

楓が大きな声で言った。

「ちょっと、桃子!!」

すると理沙が由衣と楓に言った。

「心配だから追いかけるね。」

すると理沙も桃子の後を追ってハンバーガー店の外に出たのだった。

困惑した様子で楓が由衣に尋ねた。

「どうする由衣?私たちも桃子を追いかける?」

由衣が楓に言った。

「まあ理沙が桃子を連れ戻してくれるでしょう。それとこういうバラバラになった時は下手に動かない方がいいもんだよ。」

楓が少し考えた後で由衣に言った。

「そうだね。」

由衣が楓に言った。

「それなら二人が戻ってくるまで少し遊んでよっかな。」

由衣が楓に言った。

「なんで遊ぶの?」

由衣が楓に言った。

「音ゲーのプリジェクトセカイよ。理沙達が戻ってくるまでにハッピーウェルカムのFC(エフシー)を取っておきたいわね。」

楓が由衣に尋ねた。

「FC(エフシー)って何?」

由衣が楓に言った。

「フルコンボの略よ。楽曲をノーミスでクリアするのをフルコンボ略してFC(エフシー)って言うの。」

楓が由衣に言った。

「ああそういう意味か。そういえば由衣はプリジェクトセカイにハマってるもんね。でもいいの?勉強に差し支えない?」

由衣が楓に言った。

「別にいいでしょ。ちゃんと節度を持って遊んでるんだから。ちゃんと勉強の時間はしっかり取ってるんだから、息抜きに少し遊ぶくらいはいいでしょ。」

そういうと由衣はカバンからタブレット端末を取り出した。

そしてテーブルに設置されている電源にタブレット端末のケーブルを差し込んだ。

由衣が楓に言った。

「楓集中したいから少し黙ってて。」

「了解。」

由衣はそう言うとタブレット端末を使って音ゲーで遊び始めたのだった。

楓はそれをじっと見守っていた。

ただ実はこの由衣と楓がくつろいでいたマッテリアのハンバーガー店内には異常な光景が広がっていたのだ。

マッテリアの店内には何十人もの首吊り死体で溢れかえっていたのだ。

レジの前の所で店員らしいマッテリアの制服を着た5人の人間が首を吊って死んでいた。

そして他の席ではお客と思われる25人の人々がそれぞれの席の所で天井から吊るされたロープで首を吊って死んでいるのだった。

首吊り死体にはハエやうじ虫が大量に発生して店内を縦横無尽に飛び回っており、店内の光景はまさに地獄絵図だった。

マッテリアの店内には死臭が充満しており異臭がすさまじかった。

だが楓も由衣も全く気にする様子はなく、由衣はゲームに興じて楓もそれを見つめていた。

二人は首吊り死体が溢れている店内を何食わぬ顔で過ごすのだった。
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