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一章
経由地
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晴南が二実に言った。
「二実さん、車が止まっちゃってますよ?はやく健太と柚羽を助けに行きましょう?」
すると晃太が首を横に振りながら晴南に言った。
「晴南??残念だけどタイムオーバーだ。午前2時を過ぎた。さっきのアラームはタイムリミットの午前2時に設定しておいたんだ。」
晴南が晃太に言った。
「何を言ってるの晃太?健太にはやく追いつかないと??」
晴南の問いかけに対してみんなは押し黙っていた。
少しの間沈黙が続いたが晃太が晴南に切り出したのだった。
「晴南すまないがここまでだ。俺達はここで引き返さなければいけない。」
晴南が晃太に言った。
「なんでよ??」
晃太が晴南に言った。
「夜が明ける前に九木礼に戻らなければならない。九木礼に戻る時間を考慮するとこれ以上進む事はできない。」
晴南が晃太に尋ねた。
「健太と柚羽を見捨てろって言うの?」
晃太が晴南に言った。
「晴南気持ちはよく分かる。だがここで戻らないと今度は俺達まで九木礼に戻れなくなる。」
晴南が晃太に言った。
「晃太??健太も柚羽もまだ連れてきてないのよ!!置いてけぼりになんてできないでしょ!!」
晴南が二実に言った。
「二実さん??」
二実が晴南に言った。
「ごめんね晴南ちゃん?すまないけどここで引き返すわ。みんなまで死なせてしまう事は私にはできないから。」
晴南が優斗に言った。
「ねえ優斗??優斗も晃太や二実さんに言ってよ。はやく前に進んでって!!」
すると優斗が晴南に言った。
「ごめん、晴南ちょっと待ってくれる?」
優斗はスマホ画面をのぞき込んでいた。
「ちょっと優斗??こんな時にスマホなんかいじってる場合じゃないでしょ??」
優斗が晴南にスマホの画面を凝視しながら答えた。
「ごめん、でも大事な事なんだよ。」
優斗はスマホ画面を凝視しながら呟ていた。
「どこに行こうとしてるんだろう??この先は??そうか!!」
すると優斗はスマホを凝視するのをやめて二実に言った。
「二実さん、前に進みましょう!!そして健太達と合流しましょう?」
すると晃太が優斗に言った。
「優斗、いいたい事は分かる。俺だって健太を助けたいと思ってるし、引き返すのは嫌だ。でもこのまま九木礼に戻らずに明井田に留まれば意識を奪われていずれ首吊り自殺によって殺される可能性が極めて高い。そんな事は二実さん達も麻衣子達も望まないはずだ。」
優斗が晃太に言った。
「まさにそこなんだけど、僕たちは一つ大きな点を見落としをしていたみたいなんです。」
優斗が晃太に言った。
「昼間の明井田市内が危険だという事は間違いないと思うんですけど、明井田市内には安全な場所が一つもないと考えるのは早計だったみたい。」
二実が優斗に尋ねた。
「優斗君?どういう事?」
優斗が二実に言った。
「健太の移動先をずっと確認しているですけど、どうも1時間くらい前から健太は自分の家がある美並里(みなり)地区とは別の方向に向かっているみたいなんです。」
晃太が優斗に言った。
「まさか健太はもう操られてしまっているという事か?」
優斗が晃太に言った。
「たぶん大丈夫だと思う。神社を回避しながら進んでるみたいだから。」
晃太が優斗に尋ねた。
「なら健太はなんで自分の家に向かっていないんだ?」
優斗が二実に言った。
「健太は経由地で一泊して昼間をやり過ごそうとしたうえで自宅に帰ろうとしているように見えるんです。」
三緒が優斗に聞き返した。
「でも優斗君?そんな事は明井田市内では無理なんじゃないかな??明井田市内は三象(さんしょう)が制御している地域で全域が危険地帯になってるはずだよ?」
優斗が三緒に言った。
「確かにその点は僕も間違いないと思うんですけど、ただ僕たちは大事な事を考慮するのを忘れてたんです。」
三緒が優斗に聞き返した。
「大事な事を考慮するのを忘れていた?」
優斗が三緒に言った。
「フウキ様が僕たちを助けてくれている事に。」
二実が大きな声で言った。
「そうか九前坂(くぜんざか)神社か?フウキ様を祭る九前坂神社なら安全に昼間を過ごせるんじゃないかって事ね。」
二実が大きな声で言った。
「しまった。完全に見落としてたわ。うちの神社なら確かに安全にやり過ごせるかもしれないわ。」
晴南が優斗に尋ねた。
「それじゃあ健太の向かっている場所は?」
優斗が晴南に言った。
「たぶん九前坂神社に向かってるんだと思う。」
晃太が優斗に尋ねた。
「それじゃあ健太と柚羽は最初から九前坂神社で一泊して自分の家に戻るつもりだったって事か?」
優斗が晃太に言った。
「うん、恐らくね。」
二実が優斗に言った。
「うーん、身近な場所すぎて完全に見落としてたわね。」
拓也が優斗に尋ねた。
「だが優斗?九前坂(くぜんざか)神社が安全だという確証はないんだろう?」
すると二実が拓也に言った。
「たぶん優斗君の言う通りだと思うわ。この前九前坂神社に戻った時も神社の周囲では首吊り自殺が多発してたけど、九前坂神社の中にいたお父さん達は大丈夫だった。きっとフウキ様が守ってくれたんだと思う。」
拓也が二実に言った。
「そうでしたね。」
晃太が優斗に言った。
「そうなると俺達も九前坂神社を目指した方がいいな。健太達が九前坂神社に向かっているのなら九前坂神社で合流できるはずだ。」
優斗が晃太に言った。
「うん今いる場所が牧之原(まきのはら)地区だから九前坂(くぜんざか)神社のある九前坂(くぜんざか)地区はかなり近いしね。たぶん日の出までには余裕で到着できると思うよ。」
晴南が優斗に尋ねた。
「それじゃあ柚羽は最初から九前坂(くぜんざか)神社が安全だって気がついてたって事?」
優斗が晴南に言った。
「たぶんそうだと思うよ。」
二実がみんなに言った。
「それじゃあすぐに九前坂神社に向かいましょうか。」
それから二実は再び車を発進させて九前坂神社へと向かうのだった。
他の神社に近づかないように慎重にルートを選びながら進んでいき九前坂神社へと近づいていったのだった。
そして午前3時過ぎに晴南達は夜明け前になんとか九前坂神社への駐車場へと到着する事ができた。
駐車場に車を止めた晴南はすぐに車の外に降りたのだった。
他のメンバーもすぐに車を降りたのだった。
まだ夜明け前であり神社の境内はかなり暗く所処に設置されていた街灯だけが境内を照らしていた。
車を降りた晴南がキョロキョロと見渡しながら健太達を探したのだった。
「健太と柚羽どこにいるのかしら?」
優斗が晴南に言った。
「たぶんここにいるはずだよ。健太の現在位置は九前坂神社になってるから。」
晃太が晴南に言った。
「さすがに神社の駐車場にはいないだろう。いるとしたら雨露をしのげる社務所の中とかじゃないか?」
すると晴南は社務所のある方角へと走っていった。
晴南は社務所の前までやってくると社務所の扉を開けて晴南が中に向かって大きな声で言った。
「ねえいるの?健太??柚羽??」
少しして健太と幽霊の柚羽が姿を現したのだった。
「水元先輩??」
「晴南??」
晴南が二人に言った。
「もう健太?柚羽??みんな心配してたのよ?」
健太が晴南に謝った。
「すいません、父さんと母さんにも避難して欲しくって。」
すると柚羽が二実に言った。
「晴南?勝手に動いたのは謝るわ。ただあまり健太を責めないであげて?健太もお父さんとお母さんが心配だっただけなの。」
晴南が健太と柚羽に言った。
「もう水臭いわよ。なんで私に相談してくれないの?」
柚羽が晴南に言った。
「ごめんね晴南。みんなにこれ以上迷惑はかけられないと思ったから。」
晴南が柚羽に言った。
「そんな事気にしなくていいわよ。私は迷惑だなんて少しも思わないから。」
すると優斗の声が聞こえてきたのだった。
「でも柚羽、晴南なら追いかけてきてくれるかもって思ってたんじゃない?」
晴南が後ろを振り返ると二実や優斗達も社務所の中へと入ってきたのだった。
「健太のスマホの電源をつけっぱなしにしてよね。スマホの電源を切られたら追いかけようがなかったからね。」
柚羽が優斗に言った。
「うん確信があったわけじゃないけど、晴南に追いかけて来てほしいなって期待はしてたよ。だから健太にスマホの電源は切らないようにしてもらってたの。」
柚羽がみんなに言った。
「みんなごめんね。迷惑かけちゃって。私も健太もお父さんとお母さんを助けたかったんだ。」
健太が二実に言った。
「二実さん、勝手に社務所の中に上がり込んでしまってすいません。」
二実が健太に言った。
「健太君そんな事は別に構わないんだけど、もうこんな無茶はしないでね。」
健太が二実に言った。
「はい、すいません。」
拓也が柚羽に尋ねた。
「でも柚羽?どうして親父達に救助を頼まなかったんだ?そうすればこんな事をせずに済んだだろう?」
すると優斗が拓也に言った。
「健太の家は美並里(みなり)地区で明井田の西側になるから、現状では九木礼から救助隊を出すのは距離的にかなり難しいんだよ。柚羽達は断れれるのが分かっていたから自分達で説得に行ったんだと思うよ。」
柚羽が拓也に言った。
「優斗君の言う通り救助隊を出してもらうのは厳しいって分かってたから自分達で行く事にしたの。ごめんね拓也君。」
すると二実がみんなに尋ねた。
「紆余曲折あったけど、健太君と柚羽ちゃんと無事に合流できてよかったわ。」
すると二実がみんなに尋ねた。
「さてとそれでなんだけどみんなこの後はどうする?」
優斗が晴南に言った。
「僕たちがここに来た目的は健太と柚羽を九木礼に連れ戻すのが目的でしたけど??」
晃太が優斗に言った。
「ただ九木礼を出た時は明井田市内では昼を越せないって前提で動いていたからな。だけどこの九前坂神社の中なら昼間も安全にやり過ごせるならその前提も変わってくる。この九前坂神社を経由すれば九木礼から離れた地域も日またぎで救助ができるようになるからな。」
すると晴南が晃太に言った。
「それなら健太のご両親を説得に行けばいいでしょう??」
すると三緒がみんなに言った。
「でも三象による明井田での殺戮は今も続いてるはずだよ?明井田市内を動き回る事じたいが危険なのは全然変わってないよ?健太君と柚羽ちゃんと一緒に九木礼に戻った方が無難なはずだよ。」
晃太が三緒に言った。
「確かにその通りですね。」
すると晴南が健太と柚羽に尋ねた。
「健太、柚羽?ご両親の説得に行きたいわよね?」
健太が大きく頷いた。
「はい。」
柚羽も大きく頷いた。
「うん。」
晴南が二実に言った。
「二実さん、健太の家に行きましょう!!」
優斗が三緒に言った。
「三緒さん、僕も晴南に賛成です。ここまで来てしまったらもう健太のご両親を説得にいった方がいいと思います。」
すると二実が三緒に言った。
「三緒??私も健太君の家に行くのに賛成よ。」
三緒が二実に言った。
「もう二実まで?明井田市内を動き回るのがどれほど危険か二実だって分かってるでしょ?」
二実が三緒に言った。
「もうここまで来たら健太君のご両親を説得に行った方がいいでしょ?ここから美並里(みなり)地区だったら日帰りで帰ってこれるだろうしね。」
すると三緒がみんなに言った。
「分かったわ。二実。」
二実が健太と柚羽に言った。
「でも健太君それに柚羽ちゃん?あくまで二人のご両親を説得しに行くだけだから。それ以外の事はやれる余裕はないと思うわ?そこはいいかな?」
健太が二実に言った。
「もちろんです。」
柚羽も二実に言った。
「ありがとうございます。」
二実がみんなに言った。
「分かった。それじゃあ明日の日没と共にここをたって健太君の家に向かいましょう。」
拓也が健太に尋ねた。
「ところで肝心のご両親は家にいるのか?行き違いになったら目も当てられないぞ?」
健太が拓也に言った。
「ゼルリーで父さんと母さんの現在地を調べてるんですけど、夜は家に戻ってるみたいです。」
拓也が健太に言った。
「なら大丈夫そうだな。」
すると二実がみんなに言った。
「日中はほぼ動けなくなっちゃうわ。夜が明けるまえに車から荷物を運んでおきましょうか?」
そして二実が三緒に言った。
「そうだ三緒?簡単なものでいいから何か作ってくれない?キッチンを自由に使っていいからさ。みんなおなかが空いてるだろうから。」
三緒が二実に言った。
「別にいいけど、ここを離れたのは2週間前でしょう?使える材料が残ってないんじゃない?コンビニやスーパーに今から行くのは時間的に無理だろうし。」
二実が三緒に言った。
「玄関の前にある部屋に備蓄用の食料が置いてあるわ。それを使ってくれてかまわないから。」
三緒が二実に言った。
「分かった。」
そして二実達は再び駐車場に向かうのだった。
「二実さん、車が止まっちゃってますよ?はやく健太と柚羽を助けに行きましょう?」
すると晃太が首を横に振りながら晴南に言った。
「晴南??残念だけどタイムオーバーだ。午前2時を過ぎた。さっきのアラームはタイムリミットの午前2時に設定しておいたんだ。」
晴南が晃太に言った。
「何を言ってるの晃太?健太にはやく追いつかないと??」
晴南の問いかけに対してみんなは押し黙っていた。
少しの間沈黙が続いたが晃太が晴南に切り出したのだった。
「晴南すまないがここまでだ。俺達はここで引き返さなければいけない。」
晴南が晃太に言った。
「なんでよ??」
晃太が晴南に言った。
「夜が明ける前に九木礼に戻らなければならない。九木礼に戻る時間を考慮するとこれ以上進む事はできない。」
晴南が晃太に尋ねた。
「健太と柚羽を見捨てろって言うの?」
晃太が晴南に言った。
「晴南気持ちはよく分かる。だがここで戻らないと今度は俺達まで九木礼に戻れなくなる。」
晴南が晃太に言った。
「晃太??健太も柚羽もまだ連れてきてないのよ!!置いてけぼりになんてできないでしょ!!」
晴南が二実に言った。
「二実さん??」
二実が晴南に言った。
「ごめんね晴南ちゃん?すまないけどここで引き返すわ。みんなまで死なせてしまう事は私にはできないから。」
晴南が優斗に言った。
「ねえ優斗??優斗も晃太や二実さんに言ってよ。はやく前に進んでって!!」
すると優斗が晴南に言った。
「ごめん、晴南ちょっと待ってくれる?」
優斗はスマホ画面をのぞき込んでいた。
「ちょっと優斗??こんな時にスマホなんかいじってる場合じゃないでしょ??」
優斗が晴南にスマホの画面を凝視しながら答えた。
「ごめん、でも大事な事なんだよ。」
優斗はスマホ画面を凝視しながら呟ていた。
「どこに行こうとしてるんだろう??この先は??そうか!!」
すると優斗はスマホを凝視するのをやめて二実に言った。
「二実さん、前に進みましょう!!そして健太達と合流しましょう?」
すると晃太が優斗に言った。
「優斗、いいたい事は分かる。俺だって健太を助けたいと思ってるし、引き返すのは嫌だ。でもこのまま九木礼に戻らずに明井田に留まれば意識を奪われていずれ首吊り自殺によって殺される可能性が極めて高い。そんな事は二実さん達も麻衣子達も望まないはずだ。」
優斗が晃太に言った。
「まさにそこなんだけど、僕たちは一つ大きな点を見落としをしていたみたいなんです。」
優斗が晃太に言った。
「昼間の明井田市内が危険だという事は間違いないと思うんですけど、明井田市内には安全な場所が一つもないと考えるのは早計だったみたい。」
二実が優斗に尋ねた。
「優斗君?どういう事?」
優斗が二実に言った。
「健太の移動先をずっと確認しているですけど、どうも1時間くらい前から健太は自分の家がある美並里(みなり)地区とは別の方向に向かっているみたいなんです。」
晃太が優斗に言った。
「まさか健太はもう操られてしまっているという事か?」
優斗が晃太に言った。
「たぶん大丈夫だと思う。神社を回避しながら進んでるみたいだから。」
晃太が優斗に尋ねた。
「なら健太はなんで自分の家に向かっていないんだ?」
優斗が二実に言った。
「健太は経由地で一泊して昼間をやり過ごそうとしたうえで自宅に帰ろうとしているように見えるんです。」
三緒が優斗に聞き返した。
「でも優斗君?そんな事は明井田市内では無理なんじゃないかな??明井田市内は三象(さんしょう)が制御している地域で全域が危険地帯になってるはずだよ?」
優斗が三緒に言った。
「確かにその点は僕も間違いないと思うんですけど、ただ僕たちは大事な事を考慮するのを忘れてたんです。」
三緒が優斗に聞き返した。
「大事な事を考慮するのを忘れていた?」
優斗が三緒に言った。
「フウキ様が僕たちを助けてくれている事に。」
二実が大きな声で言った。
「そうか九前坂(くぜんざか)神社か?フウキ様を祭る九前坂神社なら安全に昼間を過ごせるんじゃないかって事ね。」
二実が大きな声で言った。
「しまった。完全に見落としてたわ。うちの神社なら確かに安全にやり過ごせるかもしれないわ。」
晴南が優斗に尋ねた。
「それじゃあ健太の向かっている場所は?」
優斗が晴南に言った。
「たぶん九前坂神社に向かってるんだと思う。」
晃太が優斗に尋ねた。
「それじゃあ健太と柚羽は最初から九前坂神社で一泊して自分の家に戻るつもりだったって事か?」
優斗が晃太に言った。
「うん、恐らくね。」
二実が優斗に言った。
「うーん、身近な場所すぎて完全に見落としてたわね。」
拓也が優斗に尋ねた。
「だが優斗?九前坂(くぜんざか)神社が安全だという確証はないんだろう?」
すると二実が拓也に言った。
「たぶん優斗君の言う通りだと思うわ。この前九前坂神社に戻った時も神社の周囲では首吊り自殺が多発してたけど、九前坂神社の中にいたお父さん達は大丈夫だった。きっとフウキ様が守ってくれたんだと思う。」
拓也が二実に言った。
「そうでしたね。」
晃太が優斗に言った。
「そうなると俺達も九前坂神社を目指した方がいいな。健太達が九前坂神社に向かっているのなら九前坂神社で合流できるはずだ。」
優斗が晃太に言った。
「うん今いる場所が牧之原(まきのはら)地区だから九前坂(くぜんざか)神社のある九前坂(くぜんざか)地区はかなり近いしね。たぶん日の出までには余裕で到着できると思うよ。」
晴南が優斗に尋ねた。
「それじゃあ柚羽は最初から九前坂(くぜんざか)神社が安全だって気がついてたって事?」
優斗が晴南に言った。
「たぶんそうだと思うよ。」
二実がみんなに言った。
「それじゃあすぐに九前坂神社に向かいましょうか。」
それから二実は再び車を発進させて九前坂神社へと向かうのだった。
他の神社に近づかないように慎重にルートを選びながら進んでいき九前坂神社へと近づいていったのだった。
そして午前3時過ぎに晴南達は夜明け前になんとか九前坂神社への駐車場へと到着する事ができた。
駐車場に車を止めた晴南はすぐに車の外に降りたのだった。
他のメンバーもすぐに車を降りたのだった。
まだ夜明け前であり神社の境内はかなり暗く所処に設置されていた街灯だけが境内を照らしていた。
車を降りた晴南がキョロキョロと見渡しながら健太達を探したのだった。
「健太と柚羽どこにいるのかしら?」
優斗が晴南に言った。
「たぶんここにいるはずだよ。健太の現在位置は九前坂神社になってるから。」
晃太が晴南に言った。
「さすがに神社の駐車場にはいないだろう。いるとしたら雨露をしのげる社務所の中とかじゃないか?」
すると晴南は社務所のある方角へと走っていった。
晴南は社務所の前までやってくると社務所の扉を開けて晴南が中に向かって大きな声で言った。
「ねえいるの?健太??柚羽??」
少しして健太と幽霊の柚羽が姿を現したのだった。
「水元先輩??」
「晴南??」
晴南が二人に言った。
「もう健太?柚羽??みんな心配してたのよ?」
健太が晴南に謝った。
「すいません、父さんと母さんにも避難して欲しくって。」
すると柚羽が二実に言った。
「晴南?勝手に動いたのは謝るわ。ただあまり健太を責めないであげて?健太もお父さんとお母さんが心配だっただけなの。」
晴南が健太と柚羽に言った。
「もう水臭いわよ。なんで私に相談してくれないの?」
柚羽が晴南に言った。
「ごめんね晴南。みんなにこれ以上迷惑はかけられないと思ったから。」
晴南が柚羽に言った。
「そんな事気にしなくていいわよ。私は迷惑だなんて少しも思わないから。」
すると優斗の声が聞こえてきたのだった。
「でも柚羽、晴南なら追いかけてきてくれるかもって思ってたんじゃない?」
晴南が後ろを振り返ると二実や優斗達も社務所の中へと入ってきたのだった。
「健太のスマホの電源をつけっぱなしにしてよね。スマホの電源を切られたら追いかけようがなかったからね。」
柚羽が優斗に言った。
「うん確信があったわけじゃないけど、晴南に追いかけて来てほしいなって期待はしてたよ。だから健太にスマホの電源は切らないようにしてもらってたの。」
柚羽がみんなに言った。
「みんなごめんね。迷惑かけちゃって。私も健太もお父さんとお母さんを助けたかったんだ。」
健太が二実に言った。
「二実さん、勝手に社務所の中に上がり込んでしまってすいません。」
二実が健太に言った。
「健太君そんな事は別に構わないんだけど、もうこんな無茶はしないでね。」
健太が二実に言った。
「はい、すいません。」
拓也が柚羽に尋ねた。
「でも柚羽?どうして親父達に救助を頼まなかったんだ?そうすればこんな事をせずに済んだだろう?」
すると優斗が拓也に言った。
「健太の家は美並里(みなり)地区で明井田の西側になるから、現状では九木礼から救助隊を出すのは距離的にかなり難しいんだよ。柚羽達は断れれるのが分かっていたから自分達で説得に行ったんだと思うよ。」
柚羽が拓也に言った。
「優斗君の言う通り救助隊を出してもらうのは厳しいって分かってたから自分達で行く事にしたの。ごめんね拓也君。」
すると二実がみんなに尋ねた。
「紆余曲折あったけど、健太君と柚羽ちゃんと無事に合流できてよかったわ。」
すると二実がみんなに尋ねた。
「さてとそれでなんだけどみんなこの後はどうする?」
優斗が晴南に言った。
「僕たちがここに来た目的は健太と柚羽を九木礼に連れ戻すのが目的でしたけど??」
晃太が優斗に言った。
「ただ九木礼を出た時は明井田市内では昼を越せないって前提で動いていたからな。だけどこの九前坂神社の中なら昼間も安全にやり過ごせるならその前提も変わってくる。この九前坂神社を経由すれば九木礼から離れた地域も日またぎで救助ができるようになるからな。」
すると晴南が晃太に言った。
「それなら健太のご両親を説得に行けばいいでしょう??」
すると三緒がみんなに言った。
「でも三象による明井田での殺戮は今も続いてるはずだよ?明井田市内を動き回る事じたいが危険なのは全然変わってないよ?健太君と柚羽ちゃんと一緒に九木礼に戻った方が無難なはずだよ。」
晃太が三緒に言った。
「確かにその通りですね。」
すると晴南が健太と柚羽に尋ねた。
「健太、柚羽?ご両親の説得に行きたいわよね?」
健太が大きく頷いた。
「はい。」
柚羽も大きく頷いた。
「うん。」
晴南が二実に言った。
「二実さん、健太の家に行きましょう!!」
優斗が三緒に言った。
「三緒さん、僕も晴南に賛成です。ここまで来てしまったらもう健太のご両親を説得にいった方がいいと思います。」
すると二実が三緒に言った。
「三緒??私も健太君の家に行くのに賛成よ。」
三緒が二実に言った。
「もう二実まで?明井田市内を動き回るのがどれほど危険か二実だって分かってるでしょ?」
二実が三緒に言った。
「もうここまで来たら健太君のご両親を説得に行った方がいいでしょ?ここから美並里(みなり)地区だったら日帰りで帰ってこれるだろうしね。」
すると三緒がみんなに言った。
「分かったわ。二実。」
二実が健太と柚羽に言った。
「でも健太君それに柚羽ちゃん?あくまで二人のご両親を説得しに行くだけだから。それ以外の事はやれる余裕はないと思うわ?そこはいいかな?」
健太が二実に言った。
「もちろんです。」
柚羽も二実に言った。
「ありがとうございます。」
二実がみんなに言った。
「分かった。それじゃあ明日の日没と共にここをたって健太君の家に向かいましょう。」
拓也が健太に尋ねた。
「ところで肝心のご両親は家にいるのか?行き違いになったら目も当てられないぞ?」
健太が拓也に言った。
「ゼルリーで父さんと母さんの現在地を調べてるんですけど、夜は家に戻ってるみたいです。」
拓也が健太に言った。
「なら大丈夫そうだな。」
すると二実がみんなに言った。
「日中はほぼ動けなくなっちゃうわ。夜が明けるまえに車から荷物を運んでおきましょうか?」
そして二実が三緒に言った。
「そうだ三緒?簡単なものでいいから何か作ってくれない?キッチンを自由に使っていいからさ。みんなおなかが空いてるだろうから。」
三緒が二実に言った。
「別にいいけど、ここを離れたのは2週間前でしょう?使える材料が残ってないんじゃない?コンビニやスーパーに今から行くのは時間的に無理だろうし。」
二実が三緒に言った。
「玄関の前にある部屋に備蓄用の食料が置いてあるわ。それを使ってくれてかまわないから。」
三緒が二実に言った。
「分かった。」
そして二実達は再び駐車場に向かうのだった。
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若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。
いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。
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カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。

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