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一章
明井田侵入
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7月12日午後9時過ぎ九木礼町から明井田に向かって数台の大型バスが向かっていた。
そのバスの中には明井田市民を救出するために集まった人々が乗っていた。
その中には晴南達の姿もあった。
晴南達は大型バスの後方の座席に座っていた。
その晴南に近くに座っていた優斗が話しかけた。
「ねえ晴南?わざわざ一緒に行かなくても良かったんじゃない?」
晴南が優斗に言った。
「みんなが助けに行くのに町で待機するだけなんてできるわけないでしょ??」
晃太が晴南に言った。
「いや優斗のいう通りだ、もうちょっと慎重に行動しないとダメだぞ。命を狙われてる身なんだぞ?」
優斗が晴南に言った。
「フウキ様やリグロさん達がやっとの思いで僕たちを助けてくれたのに、わざわざ自分から危険に飛び込んでどうするのさ?」
晴南が優斗に言った。
「そんな事言ったって私達だけ何もしない訳にはいかないでしょ?私たちは自転車なんだから。自転車として参加しなくちゃならないでしょ?」
優斗が晴南に聞き返した。
「ねえ晴南?私たちは自転車ってどういう事?」
晃太が晴南に言った。
「もしかして当事者って言いたいのか?」
晴南が晃太に言った。
「そうそれよそれ。とーじしゃなんだから逃げてる訳にはいかないでしょ。」
すると晴南の一つ前の席に座っていた二実が話に加わってきた。
「大丈夫よ晴南ちゃん達は私が守るから。」
晴南が晃太に言った。
「ほら二実さん達もいるし大丈夫よ。」
すると三緒が二実に言った。
「うーん。二実が来てからみんなを危険な目にしかあわせてないと思うんだけど?」
二実が三緒に言った。
「そんな事ないわよって言い返したいけど、実際その通りだから反論できないわ。」
するとバスの中に男性の声が響き渡った。
「みなさん、危険を顧みずこの救出作戦にご協力くださりありがとうございます。この浜本(はまもと)和彦(かずひこ)明井田市民を代表してお礼申し上げます。」
浜本警視正が同じバスに乗っておりバスに乗っている人々に向けて話を始めたのだった。
「さてここで皆様にお話ししておきたい事が二つございます。まず一つ目は明井田市内で夜明けを迎えては絶対にいけないという事です。夜明けを迎えるのは必ず九木礼町の中でなければなりません。明井田市内が比較的安全であると確認されたのは夜間だけです。昼間は意識を奪われる可能性が高く大変危険です。くれぐれも明井田で夜明けを迎えればいいなどとは考えないでください。」
今度は笹岡刑事の声がバスの中に響き渡った。
「ですのでここにいる全員が夜明けまでには九木礼に引き上げていなければなりません。今回の救助プランもその前提の元に立てられています。明日7月13日の明井田の日の出時刻が午前3時58分です。そして夜明け時刻はその30分前になりますので午前3時28分までに九木礼町内に戻らなければなりません。九木礼町内に戻る時間も考慮すれば午前3時までには救助を完了させなければなりません。ですので説得できなかった場合は午前2時40分までに戻ってきてください。何度も言って申し訳ないですが、明井田市内に残るのは大変危険です。」
浜本警視正の声がバスの中に響いた。
「そして二つ目の注意点ですが、下瀬の西にある巻札神社(まきふだじんじゃ)には絶対に近寄らないでください。神聖度の高い巻札神社(まきふだじんじゃ)に近づけば夜間でも意識を奪われたり、最悪首吊り自殺にて殺される可能性も十分にありえます。下瀬の町の中を移動する場合は必ず巻札神社(まきふだじんじゃ)には近づかずに迂回して向かうようにしてください!!以上の2点です。」
そして晴南達を乗せたバスは九木礼第二トンネルを抜けて明井田市との境目に近づきつつあった。
浜本警視正の声がバスの中に響いた。
「それではまもなく明井田市内に入ります。」
そして晴南達を乗せたバスは境界を越えて明井田市内へと入ったのだった。
浜本警視正の声がバスの中に響き渡ったのだった。
「みなさん??近くにいる方とお互いに確認をお願いします。」
晴南がとなりに座っている晃太に尋ねた。
「6月11日に何があったか覚えてる?」
晃太が晴南に言った。
「もちろん覚えてる。明井田大規模火災だ。」
晃太が晴南に尋ねた。
「それじゃあ晴南??今度は俺から質問だ。洋菓子専門店ベルガで大きな事件があったのを覚えているか?」
晴南が晃太に言った。
「もちろん覚えてるわ。なんとベリエで夏限定のチーズケーキが売り出されたんでしょ?限定商品だから朝早くに行かないと買えないのよね??」
「晴南ちゃん??」
三緒が驚いて晴南を覗き込んできた。
「晴南、悪ふざけはやめてくれ。ちゃんと答えてくれ。もっと大きな事件があっただろう?」
晃太が晴南に言った。
「もうつまんないわね。首吊り事件でしょ。ベルガでたくさんの人が首を吊って死んでいたわよね。」
三緒が安堵した様子で晴南に言った。
「ビックリした。晴南ちゃんの意識が奪われたのかと思っちゃった。」
晴南がむくれた様子で晃太に言った。
「もう全然騙されてくれないんだから。」
晃太が晴南に言った。
「最初に晴南の方から6月11日に何があったか聞いてるからな。もし晴南の意識が奪われたのなら明井田大規模火災が起こった6月11日の日時がそもそも出てこないはずだ。」
すると二実が優斗に言った。
「どうやらみんなの仮説通りにみたいね。」
優斗が二実に言った。
「はい、やっぱり夜なら大丈夫みたいですね。」
二実が優斗に言った。
「あと刑事さんが言ってたように巻札神社の敷地には近づかないようにしないとね。」
優斗が二実に言った。
「そうですね。」
すると浜本警視正の声がバスの中に響いた。
「みなさんお互い確認は終わりましたか??確認が終わった方は手を上げてください。」
すると全員が手を上げたのだった。
笹岡刑事がバスの中を見渡して確認した後で言った。
「どうやら大丈夫のようですね。」
浜本警視正の声がバスの中に響いた。
「それではこれより下瀬の警察署に向かいます。みなさん手はず通りにお願いします。」
晴南達を乗せたバスは下瀬の警察署のすぐ近くにこっそりとやってきたのだった。
そして浜本警視正と他の刑事や警察官達がバスから降りて警察署に向かっていった。
一方の下瀬の警察署では夜勤担当の明井田警察署に所属する警官達が詰めていた。
中に入った浜本警視正が少しして建物の外に出てきた。
そしてその後から慌てた様子の警官達がわらわらと出てきたのだった。
大柄で筋肉隆々の美樹本刑事が浜本警視正に尋ねた。
「浜本警視正、ガス漏れ事故って本当なんですか?」
浜本警視正が美樹本刑事に言った。
「ああ本当だ、下瀬に住んでいる人から直接ガス臭いと通報を受けた。」
笹岡刑事が美樹本刑事に言った。
「この数時間でこの下瀬周辺からのガス臭いとの緊急通報が20件以上入っています。」
美樹本刑事が笹岡刑事に言った。
「一大事じゃないですか??」
浜本警視正が美樹本刑事に言った。
「その通りだ。すぐに下瀬の住民達を避難させなければならない。」
美樹本刑事が浜本警視正に尋ねた。
「避難ってどこにです?」
浜本警視正が美樹本刑事に言った。
「避難先は九木礼町だ。九木礼警察にも了解を取ってある。さあ事は一刻を争う。美樹本、お前もすぐに下瀬の住民達の避難誘導に入れ。」
美樹本刑事が浜本警視正に言った。
「分かりました。」
下瀬の警察署にいた警官達は大慌てで避難誘導の準備を始めたのだった。
下瀬の警察署にいた警察官達が慌わただしく動き始めた。
しばらくして下瀬の警察署からパトカーや輸送車が多数出発するのだった。
そしてバスに乗っていた晴南達が降りてきて浜本警視正達の前にやってきたのだった。
晴南が笹岡刑事に尋ねた。
「うまくいったんですか?」
笹岡刑事が晴南に言った。
「第一段階はうまくいったかな。」
浜本警視正が笹岡刑事に言った。
「ああ、だが本番はここからだ。」
そういうと浜本警視正と笹岡刑事はパトカーに乗って避難誘導に向かうのだった。
晴南が勇雄に言った。
「さあ勇雄さん、私達も行きましょう。」
勇雄が頷くと晴南達もパトカーへと向かったのだった。
晴南達は勇雄と吉崎警部補のパトカーに乗ってとある目的地に向かった。
すこしして晴南達を乗せたパトカーは目的地へと到着した。
パトカーから降りた勇雄はすぐに警察官達に指示を出すのだった。
晴南達は一足先に目的の家へと向かったのだった。
晴南が言った。
「へえ??ここが鳥岩先生の家なのね?」
晴南達はレンガ造りの洋風な佇まいの店の前にやってきた。
そのお店はガラス工芸品を扱うお店で店先には色とりどりのガラス細工が並んでいた。
優斗が晴南に言った。
「来るのは初めてだからね。」
すると店の中から鳥岩先生が姿を現したのだった。
晴南達の姿を見つけるやすぐに声を掛けてきた。
「あなたたちどうしたの?」
晴南が鳥岩先生に言った。
「鳥岩先生の実家ってコップ屋さんなんですね?」
鳥岩先生が晴南に言った。
「ええ父が始めた店よ。明井田ではそこそこ有名なガラス工芸の店なんだけど。」
鳥岩先生が晴南に尋ねた。
「それよりも水元さん??あなた達がなんでこんな時間にこんな場所にいるの?」
晴南が返答に困った様子で言った。
「えーと??それは??」
すると優斗が鳥岩先生に言った。
「実は晴南が鳥岩先生の家に突撃訪問しようって言いだしてこんな時間に明井田まで連れてこられたんです。」
鳥岩先生があきれた様子で晴南に言った。
「もう水内さんまた変な事をやろうとしてたのね。」
優斗が鳥岩先生に言った。
「ただこの近くまでやってきた所でガス漏れ事故に遭遇してしまって今から避難するところなんです。」
鳥岩先生が優斗に聞き返した。
「坂倉君?ガス漏れ事故ってどういう事?」
すると晴南達に少し遅れて勇雄が鳥岩先生の前に姿を現した。
そして鳥岩先生に言った。
「それは私から説明しましょう。実はこの下瀬周辺でガス漏れが疑われる緊急通報がこの数時間で20件以上に及んでおり、住民の皆さんには安全な場所への避難をお願いしている所です。私も明井田警察の協力要請を受けて避難誘導を手伝っている所なんです。」
鳥岩先生が勇雄に聞き返した。
「そうなんですか??」
勇雄が鳥岩先生に言った。
「はい。避難をお願いできますでしょうか?」
優斗が鳥岩先生に言った。
「鳥岩先生すぐに避難しましょう。」
鳥岩先生が勇雄に言った。
「分かりました。すぐに家族にこの話して連れてきます。」
鳥岩先生は慌てて家の中に入っていった。
すると晴南が優斗に言った。
「ちょっと優斗??私がいつそんな事を言ったのよ??」
優斗が晴南に言った。
「ごめん晴南??ああでも言わないと鳥岩先生に疑問を持たれるところだったから、仕方なかったんだよ。」
晃太が晴南に言った。
「晴南の言いたい事も分かるが、おかげで鳥岩先生を納得させられた。」
優斗が晴南に言った。
「うんそうそう。晴南の普段の行動のおかげで説得がうまくいったんだよ。」
晴南が優斗に言った。
「つまり私の普段のヘンテコな行動のおかげでうまくいったって事ね。それなら全然いいわ。」
そして晴南は機嫌を直したのだった。
晃太が勇雄に言った。
「でもこれはなかなかいい手ですね。知人や親戚が警察の人と一緒に避難しようと説得すれば、かなり高い割合で一緒に避難してくれる。」
勇雄が晃太に言った。
「明井田の人々を騙すのは心苦しい面はあるが、確かに避難を促すという面だけを見ればかなりいい手ではあるね。」
晃太が勇雄に言った。
「実際に明井田の状況はかなり悪いですから、避難してもらうのは正解だと思います。」
晴南が優斗に尋ねた。
「そういえば二実さん達は??」
優斗が晴南に言った。
「吉崎警部補と一緒に下瀬2丁目に住んでる二実さんの同僚の彩乃さんの説得に行ってるよ。彩乃さんもここの通りに住んでるらしいから。」
勇雄が晴南に言った。
「彩乃君は吉崎警部補とは面識があるからね。一緒に行った方が避難の説得しやすいだろう。」
すると二実と三緒と吉崎警部補の3人が晴南達の所にやってきた。
そして二実がみんなに言った。
「彩乃さんの説得うまくいきました。彩乃さんのご家族と一緒に車で九木礼に避難してくれるそうです。」
吉崎警部補が勇雄に言った。
「こちらの避難の説得は終わりました。下瀬2丁目の住民達は全て避難してくれるようです。そちらはどうですか?」
勇雄が吉崎警部補に言った。
「下瀬1丁目の住民への説明は済んだ所だ。こちらもみな了承してくれたよ。」
吉崎警部補が勇雄に尋ねた。
「ではこのまま避難を開始して問題ないですか?」
勇雄が吉崎警部補に言った。
「ああ、準備ができ次第順次出発してくれ。」
吉崎警部補が勇雄に言った。
「了解しました。」
そのバスの中には明井田市民を救出するために集まった人々が乗っていた。
その中には晴南達の姿もあった。
晴南達は大型バスの後方の座席に座っていた。
その晴南に近くに座っていた優斗が話しかけた。
「ねえ晴南?わざわざ一緒に行かなくても良かったんじゃない?」
晴南が優斗に言った。
「みんなが助けに行くのに町で待機するだけなんてできるわけないでしょ??」
晃太が晴南に言った。
「いや優斗のいう通りだ、もうちょっと慎重に行動しないとダメだぞ。命を狙われてる身なんだぞ?」
優斗が晴南に言った。
「フウキ様やリグロさん達がやっとの思いで僕たちを助けてくれたのに、わざわざ自分から危険に飛び込んでどうするのさ?」
晴南が優斗に言った。
「そんな事言ったって私達だけ何もしない訳にはいかないでしょ?私たちは自転車なんだから。自転車として参加しなくちゃならないでしょ?」
優斗が晴南に聞き返した。
「ねえ晴南?私たちは自転車ってどういう事?」
晃太が晴南に言った。
「もしかして当事者って言いたいのか?」
晴南が晃太に言った。
「そうそれよそれ。とーじしゃなんだから逃げてる訳にはいかないでしょ。」
すると晴南の一つ前の席に座っていた二実が話に加わってきた。
「大丈夫よ晴南ちゃん達は私が守るから。」
晴南が晃太に言った。
「ほら二実さん達もいるし大丈夫よ。」
すると三緒が二実に言った。
「うーん。二実が来てからみんなを危険な目にしかあわせてないと思うんだけど?」
二実が三緒に言った。
「そんな事ないわよって言い返したいけど、実際その通りだから反論できないわ。」
するとバスの中に男性の声が響き渡った。
「みなさん、危険を顧みずこの救出作戦にご協力くださりありがとうございます。この浜本(はまもと)和彦(かずひこ)明井田市民を代表してお礼申し上げます。」
浜本警視正が同じバスに乗っておりバスに乗っている人々に向けて話を始めたのだった。
「さてここで皆様にお話ししておきたい事が二つございます。まず一つ目は明井田市内で夜明けを迎えては絶対にいけないという事です。夜明けを迎えるのは必ず九木礼町の中でなければなりません。明井田市内が比較的安全であると確認されたのは夜間だけです。昼間は意識を奪われる可能性が高く大変危険です。くれぐれも明井田で夜明けを迎えればいいなどとは考えないでください。」
今度は笹岡刑事の声がバスの中に響き渡った。
「ですのでここにいる全員が夜明けまでには九木礼に引き上げていなければなりません。今回の救助プランもその前提の元に立てられています。明日7月13日の明井田の日の出時刻が午前3時58分です。そして夜明け時刻はその30分前になりますので午前3時28分までに九木礼町内に戻らなければなりません。九木礼町内に戻る時間も考慮すれば午前3時までには救助を完了させなければなりません。ですので説得できなかった場合は午前2時40分までに戻ってきてください。何度も言って申し訳ないですが、明井田市内に残るのは大変危険です。」
浜本警視正の声がバスの中に響いた。
「そして二つ目の注意点ですが、下瀬の西にある巻札神社(まきふだじんじゃ)には絶対に近寄らないでください。神聖度の高い巻札神社(まきふだじんじゃ)に近づけば夜間でも意識を奪われたり、最悪首吊り自殺にて殺される可能性も十分にありえます。下瀬の町の中を移動する場合は必ず巻札神社(まきふだじんじゃ)には近づかずに迂回して向かうようにしてください!!以上の2点です。」
そして晴南達を乗せたバスは九木礼第二トンネルを抜けて明井田市との境目に近づきつつあった。
浜本警視正の声がバスの中に響いた。
「それではまもなく明井田市内に入ります。」
そして晴南達を乗せたバスは境界を越えて明井田市内へと入ったのだった。
浜本警視正の声がバスの中に響き渡ったのだった。
「みなさん??近くにいる方とお互いに確認をお願いします。」
晴南がとなりに座っている晃太に尋ねた。
「6月11日に何があったか覚えてる?」
晃太が晴南に言った。
「もちろん覚えてる。明井田大規模火災だ。」
晃太が晴南に尋ねた。
「それじゃあ晴南??今度は俺から質問だ。洋菓子専門店ベルガで大きな事件があったのを覚えているか?」
晴南が晃太に言った。
「もちろん覚えてるわ。なんとベリエで夏限定のチーズケーキが売り出されたんでしょ?限定商品だから朝早くに行かないと買えないのよね??」
「晴南ちゃん??」
三緒が驚いて晴南を覗き込んできた。
「晴南、悪ふざけはやめてくれ。ちゃんと答えてくれ。もっと大きな事件があっただろう?」
晃太が晴南に言った。
「もうつまんないわね。首吊り事件でしょ。ベルガでたくさんの人が首を吊って死んでいたわよね。」
三緒が安堵した様子で晴南に言った。
「ビックリした。晴南ちゃんの意識が奪われたのかと思っちゃった。」
晴南がむくれた様子で晃太に言った。
「もう全然騙されてくれないんだから。」
晃太が晴南に言った。
「最初に晴南の方から6月11日に何があったか聞いてるからな。もし晴南の意識が奪われたのなら明井田大規模火災が起こった6月11日の日時がそもそも出てこないはずだ。」
すると二実が優斗に言った。
「どうやらみんなの仮説通りにみたいね。」
優斗が二実に言った。
「はい、やっぱり夜なら大丈夫みたいですね。」
二実が優斗に言った。
「あと刑事さんが言ってたように巻札神社の敷地には近づかないようにしないとね。」
優斗が二実に言った。
「そうですね。」
すると浜本警視正の声がバスの中に響いた。
「みなさんお互い確認は終わりましたか??確認が終わった方は手を上げてください。」
すると全員が手を上げたのだった。
笹岡刑事がバスの中を見渡して確認した後で言った。
「どうやら大丈夫のようですね。」
浜本警視正の声がバスの中に響いた。
「それではこれより下瀬の警察署に向かいます。みなさん手はず通りにお願いします。」
晴南達を乗せたバスは下瀬の警察署のすぐ近くにこっそりとやってきたのだった。
そして浜本警視正と他の刑事や警察官達がバスから降りて警察署に向かっていった。
一方の下瀬の警察署では夜勤担当の明井田警察署に所属する警官達が詰めていた。
中に入った浜本警視正が少しして建物の外に出てきた。
そしてその後から慌てた様子の警官達がわらわらと出てきたのだった。
大柄で筋肉隆々の美樹本刑事が浜本警視正に尋ねた。
「浜本警視正、ガス漏れ事故って本当なんですか?」
浜本警視正が美樹本刑事に言った。
「ああ本当だ、下瀬に住んでいる人から直接ガス臭いと通報を受けた。」
笹岡刑事が美樹本刑事に言った。
「この数時間でこの下瀬周辺からのガス臭いとの緊急通報が20件以上入っています。」
美樹本刑事が笹岡刑事に言った。
「一大事じゃないですか??」
浜本警視正が美樹本刑事に言った。
「その通りだ。すぐに下瀬の住民達を避難させなければならない。」
美樹本刑事が浜本警視正に尋ねた。
「避難ってどこにです?」
浜本警視正が美樹本刑事に言った。
「避難先は九木礼町だ。九木礼警察にも了解を取ってある。さあ事は一刻を争う。美樹本、お前もすぐに下瀬の住民達の避難誘導に入れ。」
美樹本刑事が浜本警視正に言った。
「分かりました。」
下瀬の警察署にいた警官達は大慌てで避難誘導の準備を始めたのだった。
下瀬の警察署にいた警察官達が慌わただしく動き始めた。
しばらくして下瀬の警察署からパトカーや輸送車が多数出発するのだった。
そしてバスに乗っていた晴南達が降りてきて浜本警視正達の前にやってきたのだった。
晴南が笹岡刑事に尋ねた。
「うまくいったんですか?」
笹岡刑事が晴南に言った。
「第一段階はうまくいったかな。」
浜本警視正が笹岡刑事に言った。
「ああ、だが本番はここからだ。」
そういうと浜本警視正と笹岡刑事はパトカーに乗って避難誘導に向かうのだった。
晴南が勇雄に言った。
「さあ勇雄さん、私達も行きましょう。」
勇雄が頷くと晴南達もパトカーへと向かったのだった。
晴南達は勇雄と吉崎警部補のパトカーに乗ってとある目的地に向かった。
すこしして晴南達を乗せたパトカーは目的地へと到着した。
パトカーから降りた勇雄はすぐに警察官達に指示を出すのだった。
晴南達は一足先に目的の家へと向かったのだった。
晴南が言った。
「へえ??ここが鳥岩先生の家なのね?」
晴南達はレンガ造りの洋風な佇まいの店の前にやってきた。
そのお店はガラス工芸品を扱うお店で店先には色とりどりのガラス細工が並んでいた。
優斗が晴南に言った。
「来るのは初めてだからね。」
すると店の中から鳥岩先生が姿を現したのだった。
晴南達の姿を見つけるやすぐに声を掛けてきた。
「あなたたちどうしたの?」
晴南が鳥岩先生に言った。
「鳥岩先生の実家ってコップ屋さんなんですね?」
鳥岩先生が晴南に言った。
「ええ父が始めた店よ。明井田ではそこそこ有名なガラス工芸の店なんだけど。」
鳥岩先生が晴南に尋ねた。
「それよりも水元さん??あなた達がなんでこんな時間にこんな場所にいるの?」
晴南が返答に困った様子で言った。
「えーと??それは??」
すると優斗が鳥岩先生に言った。
「実は晴南が鳥岩先生の家に突撃訪問しようって言いだしてこんな時間に明井田まで連れてこられたんです。」
鳥岩先生があきれた様子で晴南に言った。
「もう水内さんまた変な事をやろうとしてたのね。」
優斗が鳥岩先生に言った。
「ただこの近くまでやってきた所でガス漏れ事故に遭遇してしまって今から避難するところなんです。」
鳥岩先生が優斗に聞き返した。
「坂倉君?ガス漏れ事故ってどういう事?」
すると晴南達に少し遅れて勇雄が鳥岩先生の前に姿を現した。
そして鳥岩先生に言った。
「それは私から説明しましょう。実はこの下瀬周辺でガス漏れが疑われる緊急通報がこの数時間で20件以上に及んでおり、住民の皆さんには安全な場所への避難をお願いしている所です。私も明井田警察の協力要請を受けて避難誘導を手伝っている所なんです。」
鳥岩先生が勇雄に聞き返した。
「そうなんですか??」
勇雄が鳥岩先生に言った。
「はい。避難をお願いできますでしょうか?」
優斗が鳥岩先生に言った。
「鳥岩先生すぐに避難しましょう。」
鳥岩先生が勇雄に言った。
「分かりました。すぐに家族にこの話して連れてきます。」
鳥岩先生は慌てて家の中に入っていった。
すると晴南が優斗に言った。
「ちょっと優斗??私がいつそんな事を言ったのよ??」
優斗が晴南に言った。
「ごめん晴南??ああでも言わないと鳥岩先生に疑問を持たれるところだったから、仕方なかったんだよ。」
晃太が晴南に言った。
「晴南の言いたい事も分かるが、おかげで鳥岩先生を納得させられた。」
優斗が晴南に言った。
「うんそうそう。晴南の普段の行動のおかげで説得がうまくいったんだよ。」
晴南が優斗に言った。
「つまり私の普段のヘンテコな行動のおかげでうまくいったって事ね。それなら全然いいわ。」
そして晴南は機嫌を直したのだった。
晃太が勇雄に言った。
「でもこれはなかなかいい手ですね。知人や親戚が警察の人と一緒に避難しようと説得すれば、かなり高い割合で一緒に避難してくれる。」
勇雄が晃太に言った。
「明井田の人々を騙すのは心苦しい面はあるが、確かに避難を促すという面だけを見ればかなりいい手ではあるね。」
晃太が勇雄に言った。
「実際に明井田の状況はかなり悪いですから、避難してもらうのは正解だと思います。」
晴南が優斗に尋ねた。
「そういえば二実さん達は??」
優斗が晴南に言った。
「吉崎警部補と一緒に下瀬2丁目に住んでる二実さんの同僚の彩乃さんの説得に行ってるよ。彩乃さんもここの通りに住んでるらしいから。」
勇雄が晴南に言った。
「彩乃君は吉崎警部補とは面識があるからね。一緒に行った方が避難の説得しやすいだろう。」
すると二実と三緒と吉崎警部補の3人が晴南達の所にやってきた。
そして二実がみんなに言った。
「彩乃さんの説得うまくいきました。彩乃さんのご家族と一緒に車で九木礼に避難してくれるそうです。」
吉崎警部補が勇雄に言った。
「こちらの避難の説得は終わりました。下瀬2丁目の住民達は全て避難してくれるようです。そちらはどうですか?」
勇雄が吉崎警部補に言った。
「下瀬1丁目の住民への説明は済んだ所だ。こちらもみな了承してくれたよ。」
吉崎警部補が勇雄に尋ねた。
「ではこのまま避難を開始して問題ないですか?」
勇雄が吉崎警部補に言った。
「ああ、準備ができ次第順次出発してくれ。」
吉崎警部補が勇雄に言った。
「了解しました。」
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霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
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傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
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ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
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