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しまうま弁当

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一章

ライバル店

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午後三時過ぎ晴南達は美咲のいうライバル店の調査に向かったのだった。

その場所に到着した晴南が美咲に言ったのだった。

「最大のライバルってグルグルマートの事だったのね??」

美咲が晴南に言った。

「ええ、このグルグルマートがベリエの最大のライバルといっても差し支えないでしょ。グルグルマートのスイーツって安くて美味しいからみんなグルグルマートに買い物に来てるでしょ。」

麻衣子が美咲に言った。

「まあ確かにグルグルマートのスイーツは安くて美味しいけど。みんながグルグルマートに来るのは九木礼町内で買い物できる場所がグルグルマートだけだからでしょ。」

美咲が麻衣子に言った。

「そうかもしれないけど、グルグルマートはおこずかいがピンチな時も安くスイーツが買えるから助かるでしょ?」

麻衣子が美咲に言った。

「そこはホントに助かってるけど。」

晴南が麻衣子に言った。

「グルグルマートの値段に慣れてるから、初めて他のコンビニに行った時は高くてビックリしちゃたわ。」

麻衣子が晴南に言った。

「ああ私もビックリしたわ。だってペットボトルの紅茶が倍近くの値段で売ってたんだもん。あんな値段で買ってく人いるのかな?」

晴南が麻衣子に言った。

「さあ??」

すると美咲が晴南に言った。

「そんな事よりも早く入りましょう。今日は大事な用事があるんだから。」

美咲に促されて晴南達はすぐにグルグルマートの店内に入っていったのだった。

グルグルマートの店内は広さ的には普通のコンビニと変わらなかったが、商品棚やショーケースには所狭しにたくさん種類の商品が並べられていた。

しかも価格設定は総菜やスイーツや日用品に至るまで安く設定されていた。

晴南達が入店したことで店内にピコンピコンと入店音が響いたのだった。

レジのカウンターの中には店長らしき男性がおり晴南達の姿を見つけるとすぐに近くにやって来たのだった。

そして由香に話しかけたのだった。

「麗しの由香ちゃんお帰りなさいませ!!じゃなくていらっしゃいませ!!それに晴南ちゃん達もいらっしゃいませ!!」

晴南が店長らしき男に言った。

「悟(さとる)さん、こんにちは。」

この店長らしき男の名前は新内(しんうち)悟(さとる)と言ってグルグルマート九木礼町店を任されている店長であり、由香の父親でもあった。

晴南が悟に尋ねた。

「千沙(ちさ)さんは今日はいないんですか?」

悟が晴南に言った。

「ああ愛しのハニー、あいや、千沙(ちさ)は今日は休みなんだ。今日は家にいるよ。」

すると由香が悟に言った。

「ねえパパ??」

悟が由香に尋ねた。

「どうしたんだい??麗しの由香ちゃん??」

由香が力いっぱいに悟に言った。

「お願いだからその呼び方は止めてください。恥ずかしいんです。」

悟が由香に言った。

「由香ちゃんごめん。つい口に出しちゃうんだよね。パパ反省します!!」

悟はそう言うと後ろを向いて壁に左手を当てて反省してるポーズを取った。

美咲が由香に言った。

「由香のお父さんってすごく個性的よね。」

麻衣子が美咲に言った。

「個性的でユニークな感じだよね。千沙さんも優しくていい人だしね。」

すると晴南が麻衣子に言った。

「悟(さとる)さんよりもうちのお父さんの方が変人よ。とっても変わってるんだから。」

麻衣子が晴南に言った。

「うん確かに礼二(れいじ)さんもユニークで面白い人だとは思うけど。」

晴南が麻衣子に言った。

「そうでしょうそうでしょう、うちのお父さんは変人でとってもどうかしちゃってるのよ。」

麻衣子が晴南に言った。

「あのさ晴南??変人って言葉で張り合っても意味ないと思うんだけど?」

晴南が麻衣子に言った。

「なんで??うちのお父さんの変人としての地位が脅かされているのよ??絶対に負けられないでしょ??」

麻衣子が晴南に言った。

「だって変人って言葉で張り合う意味がそもそもないでしょ。変人なんて言われても嬉しくもなんともないでしょ??」

晴南が麻衣子に言った。

「いい!!変人っていうのは私にとっては褒め言葉なの。平凡ですねなんて言われるより変人ですねって言われる方が何倍も嬉しいわ。」

麻衣子が晴南に言った。

「はあー真面目に反応した私がバカだったわ。」

すると悟が晴南に尋ねた。

「それで晴南ちゃん達?今日は買い物に来てくれたのかな?」

晴南が悟に言った。

「あっいえそうじゃなくて今日は調べたい事があってきました。」

悟が晴南に尋ねた。

「調べたい事??」

美咲が悟に尋ねた。

「悟さん??スイーツ愛好家の未来ために和菓子の売れ筋を教えてほしいんですけど??」

悟は訳が分からない様子で言った。

「えっ??どういう事??」

晴南達は悟に事情を説明したのだった。

説明を聞き終えた悟は納得した様子で言った。

「なるほどベリエの新メニューを決めるのを手伝ってるんだね。」

美咲が悟に言った。

「はい、それでライバル店の視察をしに来たんです。」

悟が美咲に言った。

「うちがベリエのライバルか、確かに和菓子も含めてデザートを買っていくお客さんは多いね。」

悟は少し考えた後で美咲に言った。

「分かった。売れ筋を教えてあげるよ。」

美咲が悟に言った。

「ありがとうございます。」

麻衣子が悟に尋ねた。

「教えてもらっていいんですか?会社の機密とかになるんじゃないですか?」

悟が麻衣子に言った。

「うん、確かに具体的な数字を教えてしまうとまずいんだけど、どの商品が売れてるぐらいなら問題ないと思うよ。それに時江さんには頑張ってもらいたいと思ってるからね。昔はこの通りも賑やかなもんだったけど、今残っているお店はウチと時江さんのベリエぐらいだもんね。他はみんな廃業してしまったからね。」

美咲が悟に尋ねた。

「一番売れている和菓子は何ですか?」

悟が美咲に言った。

「一番売れてるのはたい焼きかな。カスタードクリームが入ったクリームたい焼きは入荷してもすぐに無くなっちゃうね。次に売れてるのはみたらし団子かな。」

麻衣子が悟に言った。

「あっ、お母さんもよく買ってます。4本入ってるから結構お得なんですよね。」

悟が美咲に言った。

「あとその次に売れるのは栗饅頭で四番目が大福かな。この店でよく売れるのはその四つだね。」

美咲が悟に尋ねた。

「かき氷の種類を増やす予定はありますか?」

悟が美咲に言った。

「冷凍ケースにはもうすでにギッシリとアイスやかき氷を並べてるからね。これ以上増やす予定はないよ。」

美咲が悟に尋ねた。

「クリーム入りのどら焼きとかわらび餅を取り扱う予定はありますか?」

悟が美咲に言った。

「クリーム入りのどら焼きやわらび餅も取り扱いはしたいんだけど、冷凍ケースと同様に冷蔵ケースにもギッシリ商品を並べてるからね。この上さらに商品を追加するのはさすがに無理だね。それに洋菓子の売り上げの方が比率的には和菓子よりはるかに大きいからあまり和菓子にスペースは取れないっていうのもあるんだよね。栗饅頭や大福みたいに常温で保管できれば取り扱うんだけどね。」

美咲が悟に言った。

「どうもありがとうございました。とても参考になる情報が聞けました。」

麻衣子が晴南に尋ねた。

「とりあえずこれでグルグルマートの和菓子の売れ筋は分かったわけだけど、どうする晴南??このまま帰る??」

晴南が麻衣子に言った。

「ねえせっかくグルグルマートに来たんだから、ついでに買い物していきましょうよ??お父さんからハンドソープを買ってくるように頼まれてるの。」

麻衣子が晴南に言った。

「そうだね、私もカマゾンの残高が無くなってるからギフトカード買ってかないと。」

由香が麻衣子に言った。

「のどが渇いたからミルクティを買っていきたいです。」

美咲がみんなに言った。

「ちょっとグルグルマートでソフトクリームを買っていかないでどうするのよ??いい!!!グルグルマートのソフトクリームは絶品なのよ。とてもコンビニのクオリティとは信じられないほどなのよ。」

麻衣子が美咲に言った。

「美咲??ここのアイスクリームが絶品なのは私達も知ってるから。」

晴南が美咲に言った。

「そうよ、グルグルマートに来る度に熱弁をふるわなくても大丈夫よ。」

それから晴南達はグルグルマートでの買い物をしていくのだった。

しばらくグルグルマートの店内にあるイートインスペースで買った飲み物やデザートを食べながら雑談に花を咲かせるのだった。

楽しい時間はあっという間に過ぎていき午後6時を過ぎたのだった。

晴南が店内の時計を確認しながらみんなに言った。

「もう午後6時か。スイーツの食べ歩きをしてたらアッっという間に時間が過ぎちゃったわね。」

麻衣子が晴南に言った。

「ベリエとグルグルマートに来ただけだけど食べ歩きって言うのかな?」

美咲が麻衣子に言った。

「スイーツを食べる為に歩き回ってるんだから食べ歩きでいいでしょ。それよりも今日はとても充実した1日だったわ。悟さんから聞いた話を踏まえればベリエの和菓子メニューが完成するわ。」

麻衣子が美咲に言った。

「そうだね。帰って時江さんに報告しないとね。」

そしてすぐに晴南達は喫茶店ベリエへと移動してベリエの店主である時江に報告するのだった。

「というわけでメニューとしてはたい焼きやみたらしそれに大福はグルグルマートの人気商品とかぶってしまうから避けた方がいいと思います。」

美咲が時江に代表して報告を始めていた。

時江はメモを取りながら美咲に尋ねた。

「そうかい。晴南ちゃんが推してくれてる抹茶クリームどら焼きはどうだい??」

美咲が時江に言った。

「グルグルマートではクリーム入りのどら焼きの取り扱いはしてませんでした。たぶんメニューに入れてもかぶらないので大丈夫だと思います。」

時江が美咲に言った。

「なるほどね。」

美咲が時江に言った。

「さっき言ったメニューに加えて追加するべきだと思うメニューは二つです。まず一つ目は北海道産の練乳ミルクをふんだんに使ったかき氷です。練乳ミルクの取り扱いはなかったのでメニューに加えて大丈夫だと思います。」

時江が美咲に言った。

「ミルクかき氷かい。なるほどね。」

美咲が時江に言った。

「二つ目がわらび餅です。」

時江が美咲に聞き返した。

「わらび餅かい?私的には地味だから選ばれないだろうなって思ってたんだけどね。」

美咲が時江に言った。

「ぞうり庵でもグルグルマートでもわらび餅ってなかったので逆にみんな食べたがっているんじゃないかなって思いました。」

時江が美咲に言った。

「なるほどね、ありがとう美咲ちゃん。とっても参考になったよ。」

時江が晴南達に言った。

「みんなも今日は本当にありがとうね。これで新しい和菓子メニューが作れるよ。」

美咲が時江に言った。

「ベリエを守る為に当然の事をしただけです。」

そして晴南達はベリエの外に出たのだった。

そしてそのまま帰路についたのだった。

美咲が鼻高々にみんなに言った。

「みんな、これでベリエの未来は守られたわ。これからも安心してスイーツが食べられるわよ。」

晴南が美咲に言った。

「ベリエで抹茶ぜんざいが食べられるのは嬉しいわね。」

美咲が晴南に言った。

「そうでしょ。これからはいつでもベリエで和菓子が食べられるんだから。」

由香が美咲に言った。

「これも美咲さんが試食を提案してくれたおかげです。」

美咲が由香に言った。

「まあ私は当然の事をしたまでだけどね。」

すると晴南が美咲に尋ねた。

「ていうかさ美咲??別に今日私達を呼ぶ必要はなかったんじゃないの?」

麻衣子が晴南に尋ねた。

「えっ??呼ぶ必要がなかったってどういう事??」

晴南が麻衣子に言った。

「だって試食するだけだったら肥えた舌を持ってる美咲一人いれば十分じゃない?それに美咲だったらグルグルマートのデザートの売れ筋ぐらい把握してると思うのよね??」

麻衣子が晴南に言った。

「ああ確かにね。」

晴南が麻衣子に言った。

「だから美咲が今日私達を呼んだのは私達とスイーツの食べ歩きがしたかったからだと思うのよね。」

美咲が晴南に言った。

「もう晴南っていつも変な事ばっかりやってるくせに、時々鋭い指摘をしてくるわよね。」

晴南が美咲に言った。

「美咲はぐらかさないで答えてよ。そうじゃないの?」

美咲が少し恥ずかしそうにしながら晴南に言った。

「ええそうよ、せっかくの土曜日なんだからみんなと一緒におなか一杯スイーツを食べながらおしゃべりしたかの。最近みんなそっけなかったし。」

麻衣子が美咲に言った。

「それはごめん。最近本当に忙しかったからね。」

晴南が美咲に言った。

「美咲ごめんね、やっぱり寂しかったのね??毎日寂しくて自分の部屋で一晩中泣いてたのね??」

麻衣子が美咲に言った。

「そうなの?美咲あんまり構ってあげられなくて本当にごめんね。」

由香が申し訳なさそうに頭を下げながら美咲に言った。

「美咲さんとお話しする事ができずにすいませんでした。」

美咲が由香に言った。

「由香、そこまで真剣に謝らなくていいから。晴南が話を大げさに言ってるだけだから。」

「とにかく今日はありがとう。おかげで楽しかったわ。それじゃあね。」

美咲は照れくさそうな顔で晴南達にそう言うと足早に帰っていくのだった。

そして由香とも別れて晴南と麻衣子は自分の家に向かうのだった。

すると晴南が前方を指さしながら麻衣子に言った。

「ねえ??あれって拓也じゃない??」

麻衣子も前方を確認すると確かに拓也が晴南達のいる場所に向かって走って来ていた。

「あっ!!本当だ。」

少し経つと拓也が晴南達の前に現れたのだった。

晴南が汗だくの拓也に尋ねた。

「ねえ??拓也どうかしたの??」

汗だくの拓也が晴南に言った。

「問題が起こってるんだ。」

晴南が拓也に聞き返した。

「問題??」

拓也が晴南に言った。

「実はさっき九木礼警察署にいる親父に弁当を持っていったんだが。九木礼警察署に町の人達が詰めかけて大騒ぎになってるんだ。」

晴南が拓也に尋ねた。

「えっ??どういう事??」

麻衣子が晴南に言った。

「勇雄さん達が町のみんなに町の外に出るなって呼びかけて回ってたからじゃない?それでみんな不満が貯まって押しかけたんじゃないかな?いきなり女神だの異世界だのなんて言われても普通信じられないでしょ。」

晴南が麻衣子に言った。

「ああ、なるほどね。」

拓也が晴南に言った。

「違う、そうじゃない。みんな明井田に救助隊を出してくれって言ってるんだ。」

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