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一章
オバケ解放大作戦
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夕方になった。
晴南達は封木神社の拝殿の中に集まっていた。
晴南達は拝殿の床に置かれた木製の簡素な椅子に座ってとある事を話し合っていた。
晃太がみんなに言った。
「俺は黒宮(くろみや)晃太(こうた)です。趣味に軌道計算をよくします。将来の夢はデータサイエンティストになる事です。」
冬湖が晃太に尋ねた。
「黒宮君?データサイアンティストというのはなんですか?」
晃太が冬湖に言った。
「ネット社会で蓄積されている膨大なITデータを抽出したり分析したりする人達の事だ。」
長孝が晃太に言った。
「なんかすごそうっすね。」
冬湖が晃太に言った。
「黒宮君ならきっとデータサイエンティストになれますよ。」
晃太が冬湖に言った。
「ありがとう。」
晃太が着席すると拍手が起こった。
拍手が鳴りやむと晴南がみんなに言った。
「さあ次は拓也の番よ。」
拓也が立ち上がり大きな声で言った。
「俺は松浦(まつうら)拓也(たくや)。好きなものはサッカーとバスケ!!将来の夢は警察官になる事だ。」
晴南が拓也に言った。
「勇雄(いさお)さんも警察官だもんね。」
亜美が拓也に言った。
「お兄ちゃんならきっとかっこいいお巡りさんなれるよ。」
拓也が亜美に言った。
「ああ、ありがとう。」
拓也が着席しするとまた拍手が起こった。
拍手が鳴りやんだ後で晴南がみんなに言った。
「さあ最後は私ね。」
すると麻衣子が晴南に言った。
「ねえ晴南??盛り上がってる所悪いんだけど一つ聞いていい??」
晴南が麻衣子に言った。
「何よ水臭いわねえ。私の麻衣子の仲でしょ??なんでも聞いてちょうだい!!」
麻衣子が晴南に言った。
「まさにそこなんだけど。晴南がみんなで自己紹介を始めるわって言うから私も自己紹介したけどさ。よくよく考えたら自己紹介する必要ないよね。もう私達は長い付き合いでしょう??」
晴南が麻衣子に言った。
「だってリグロさん達にまだ自己紹介してなかったでしょう?」
麻衣子が晴南に言った。
「あっ、そっか。私達ばっかりリグロさん達に質問攻めでまだちゃんと名前すら教えてなかったわね。それで自己紹介を始めるわって言いだしたのね。」
晴南が麻衣子に言った。
「そういう事。さあ最後は私ね。」
すると晴南が席から立ちあがって大きな声で言った。
「私は水内(みずうち)晴南(はるな)!!!九木礼中学を表から支配する正体不明の生徒会長よ!!!そして世界を救わない勇者様である事判明してしまったわ!!この先どうなっちゃうの分からない?私の将来は決められない!!!だから私は将来やりたい事を全部やるって決めてるから!!!あと300歳まで長生きするつもりだから。」
晃太が晴南に尋ねた。
「なあ??どうやって300歳まで長生きするつもりんだ?」
晴南が晃太に言った。
「気合よ!!気合!!」
優斗が晴南に尋ねた。
「ねえ??自分で生徒会長って名乗ってるのに正体不明ってどういう事??」
晴南が優斗に言った。
「正体不明の方がなんかおもしろそうだからに決まってるでしょ!!」
拓也が晴南に尋ねた。
「結局将来は決められないのか決めてるのかどっちなんだ??」
晴南が拓也に言った。
「未来はわかんなくていいけど、やりたい事は将来全部やってやるわっていう意思表示よ。」
晴南が黒輪とリグロに言った。
「改めてよろしくお願いします。黒輪(こくりん)さん!!リグロさん!!」
リグロが晴南に言った。
「ああ晴南殿、こちらこそよろしくお願いする。」
黒輪が晴南に言った。
「よろしく頼む。」
すると晴南が麻衣子に言った。
「さあ麻衣子、待ちに待ったこの日が来たわ!!いよいよ大作戦が始まるわよ!!!心の準備はできてる??」
麻衣子が晴南に言った。
「それ始まるって一昨日聞いたばっかりだけどね。」
晴南が麻衣子に言った。
「ちょっと麻衣子??少しツッコミがはやいわよ??もう少し間を置いてからツッコミを入れてくれないと。もっとお客さんを引き込んでからじゃないと笑いが起こらないわよ。」
麻衣子が晴南に言った。
「そんな事知らないわよ。」
晴南が麻衣子に言った。
「うーん??これだと私と麻衣子がチェンジした方がいいかもしれないわね??」
麻衣子が晴南に尋ねた。
「何の事??」
晴南が麻衣子に言った。
「私がボケ役だと普通じゃない??麻衣子がボケ役をやる方がお客さんに新しい笑いを作り出す事ができるんじゃないかと思うのよ。」
麻衣子が晴南に尋ねた。
「一体何の話をしてるのよ?」
晴南が麻衣子に言った。
「私と麻衣子が漫才コンビとしてデビューした時の役割分担をどうするかの話に決まってるでしょ!!」
麻衣子が晴南に言った。
「なんで突然そんな話になるわけ??」
晴南が麻衣子に言った。
「だって麻衣子って私の専属のツッコミ役じゃない?私が漫才でデビューしたら麻衣子も一緒にデビューしたいかなって思ったの?」
麻衣子が晴南に言った。
「そのネタまだ引っ張るつもりなの??そもそもさっき将来の夢は決められないって言ってたじゃないの。」
晴南が麻衣子に言った。
「だからやりたい事は全部やるって言ったでしょ。お笑い芸人もその一つに入ってるんだから!!」
麻衣子がため息をつきながら晴南に言った。
「はあーもう分かった。その時は一緒にデビューするわ。」
晴南が麻衣子に言った。
「オッケー、一緒にすごいウェーブをつくりましょう!!」
すると亜美が晴南に声を掛けた。
「あのう晴南さん??」
晴南が亜美に尋ねた。
「どうかした亜美??」
亜美が晴南に尋ねた。
「柚羽(ゆずは)さんや健太さんは呼ばなくていいんですか?」
晴南が亜美に言った。
「柚羽は健太と水入らずで過ごしたいだろうから呼んでないのよ。」
亜美が晴南に尋ねた。
「美咲さんもですか??」
晴南が亜美に言った。
「美咲も誘わない方がいいと思ったのよね。たぶん美咲は呼んでも来ないと思うし。」
亜美が晴南に言った。
「仲間外れは可哀そうじゃないですか?」
麻衣子が亜美に言った。
「三人の事を心配してくれてるのね。やっぱり亜美は優しいわね。」
晴南が亜美に言った。
「美咲がオバケ大丈夫なら呼ぶんだけどね。」
麻衣子が亜美に言った。
「うん、美咲はオバケが大嫌いだからね。無理して連れてきても美咲を傷つけるだけだと思うのよね。なにせこれからたくさんオバケさん達が出てくる訳だし。それだったら美咲を呼ばない方がいいんじゃないかと思うのよ。」
亜美が晴南と麻衣子に言った。
「そうですね。分かりました。すいません晴南さん麻衣子さん、いろいろ考えての事だったのに。」
麻衣子が亜美に言った。
「まあ私もそう思わなくもないから気にしなくていいよ。」
亜美が麻衣子に言った。
「ありがとうございます。」
すると晴南が二人に言った。
「あっ??でも連れてこれば美咲の絶叫が聞き放題よね??連れてくるのもありかな??」
麻衣子が呆れた様子で晴南に言った。
「ちょっと晴南???」
晴南が麻衣子に言った。
「冗談よ、冗談、そんな事しないわよ。私だって美咲を困らせたい訳じゃないから。」
晴南が麻衣子に言った。
「さてとそれじゃあそろそろあれをやりましょうか。」
晴南が大きな声でみんなに言った。
「今ここにオバケ解放大作戦の発動を宣言するわ!!!みんな全力を出し切るわよ!!!」
全員が大きく頷いた。
すると晃太が三緒に尋ねた。
「それで三緒さん、具体的には俺たちは何をすればいいんですか?」
すると三緒が晃太に言った。
「九木礼の町の中にはオバケが封印されている場所が結構あるんだけど、その封印状態を解除していく事になるわ。」
麻衣子が三緒に尋ねた。
「具体的にはどうやるんですか??」
三緒が麻衣子に言った。
「それぞれの場所で封印方法が同じじゃないから一概には言えないわ。」
二実が麻衣子に言った。
「私達もついていくから詳しい解除方法はその都度現地で教えるから安心して。」
麻衣子が二実に言った。
「分かりました。」
二実が黒輪に尋ねた。
「黒輪さん達も来てもらえるんですよね?」
黒輪が二実に言った。
「ああ無論そのつもりだ。」
二実がみんなに言った。
「それじゃあさっそく行きましょうか??」
晴南達は拝殿の外に出ると神社内の広場に停めてある二実と三緒の車に分乗して、二人の運転で移動を開始するのだった。
二実の車に乗っている晴南が二実に尋ねた。
「二実さん??どこに行くんですか??」
二実が運転をしながら晴南に答えた。
「晴南ちゃんもたぶん行った事はある場所よ。」
二実と三緒の運転する車は目的の場所の近くまでやってきた。
二実達は道路に車を停めて晴南達を下すとそのまま目的の場所に向けて歩き始めた。
少しして晴南達は目的地へと到着したのだった。
晴南が二実に尋ねた。
「ここって炭鉱病院ですか??」
二実が晴南に言った。
「うん、正確には九木礼炭鉱病院だった所ね。」
晴南達は炭鉱病院の跡地にやってきたのだった。
跡地と言っても空き地が広がっているのではなく、炭鉱病院として使われていた建物や駐車場が撤去される事もなく手つかずのまま残されていた。
九木礼炭鉱病院が閉鎖されてからおよそ15年以上の月日が流れており、かつては病院だった建物は不気味な様相を呈しており、不気味な廃墟という言葉がぴったりの場所だった。
しかも晴南達が九木礼炭鉱病院跡地に到着した時はすでに午後7時を回っており、薄暗くなってきたその場所はとても不気味な雰囲気が漂っていたのだった。
晴南達はかつては炭鉱病院だった古い巨大なコンクリートの建物を見つめていた。
窓ガラスはほとんどが割れており、建物の壁が崩れている箇所も何か所かあった。
優斗が二実に尋ねた。
「九木礼炭鉱病院跡地に来たって事はここが封印場所って事ですか??」
二実が優斗に言った。
「そう、ここにはあるオバケが封印されているの。ここのオバケを鎮めている霊石の封印を解除するつもりよ。」
優斗が二実に尋ねた。
「封印を解除ってどうやるんですか??」
二実が優斗に言った。
「まあ一番簡単なのは霊石を壊す事だけど。さすがにそんな罰当たりな事はできないから、霊石を動かして封印されてるオバケさんが出てきたらまた元に戻すつもりよ。」
晃太が二実に尋ねた。
「それだけだったらわざわざ暗くなってから来なくても良かったんじゃないですか??」
すると黒輪が姿を現して晃太に言った。
「むしろ暗くなってから来なくてはならないのだ。」
晃太が黒輪に聞き返した。
「どういう事ですか??」
黒輪が晃太に言った。
「昼間よりも夕暮れや夜中の方が我々オバケにとっては活動しやすいのだ。」
晃太が黒輪に言った。
「昼間封印を解除してしまうと、オバケにとっては真夜中にたたき起こされるようなものって事ですか?」
黒輪が晃太に言った。
「うむ、その通りだ。」
二実が言った。
「それにしても荒れ果ててるわね。駐車場なんて草木が生い茂ってるじゃない。」
晴南が二実に尋ねた。
「この病院の中に霊石が置いてあるんですか??」
二実が晴南に言った。
「ううん、病院の建物の中にはないわ。」
二実はそう言い終わると病院の建物とは別の方向を指さした。
「あそこに小さなお堂があるでしょう??あそこにここを鎮めている霊石が置かれているわ。まずはあのお堂に行きましょう??」
二実の指さした先には確かに古びたお堂のようなものがあった。
晴南達はすぐに古びたお堂の前までやってきた。
古びたお堂の正面側には隔てる物は何もなく中の様子がしっかりと確認できた。
そしてそのお堂の中には大きな岩が置かれておりしめ縄が数本巻かれていた。
麻衣子が二実に尋ねた。
「この岩をどうするんですか??」
だが二実から返答は返ってこなかった。
「二実さん??」
すると二実が三緒に尋ねた。
「ねえ??二実??この霊石にいつこんな大きなひびが入ったの??昔はこんなヒビ入ってなかったでしょ??」
三緒も少し驚いた様子で二実に言った。
「本当だ。いつこんなヒビが入ったんだろう??」
二実が三緒に言った。
「霊石にこんな大きなヒビが入ってたらもう封印の効力ないんじゃないかな。この下からは何の気配も感じないし。」
二実が黒輪に尋ねた。
「黒輪さん、何かの存在を感じますか??」
黒輪が二実に言った。
「いやこの岩の下には何もいないようだ。」
晃太が黒輪に尋ねた。
「どういう事ですか??」
黒輪が晃太に言った。
「これだけでは何とも判断できんな。」
晴南達は封木神社の拝殿の中に集まっていた。
晴南達は拝殿の床に置かれた木製の簡素な椅子に座ってとある事を話し合っていた。
晃太がみんなに言った。
「俺は黒宮(くろみや)晃太(こうた)です。趣味に軌道計算をよくします。将来の夢はデータサイエンティストになる事です。」
冬湖が晃太に尋ねた。
「黒宮君?データサイアンティストというのはなんですか?」
晃太が冬湖に言った。
「ネット社会で蓄積されている膨大なITデータを抽出したり分析したりする人達の事だ。」
長孝が晃太に言った。
「なんかすごそうっすね。」
冬湖が晃太に言った。
「黒宮君ならきっとデータサイエンティストになれますよ。」
晃太が冬湖に言った。
「ありがとう。」
晃太が着席すると拍手が起こった。
拍手が鳴りやむと晴南がみんなに言った。
「さあ次は拓也の番よ。」
拓也が立ち上がり大きな声で言った。
「俺は松浦(まつうら)拓也(たくや)。好きなものはサッカーとバスケ!!将来の夢は警察官になる事だ。」
晴南が拓也に言った。
「勇雄(いさお)さんも警察官だもんね。」
亜美が拓也に言った。
「お兄ちゃんならきっとかっこいいお巡りさんなれるよ。」
拓也が亜美に言った。
「ああ、ありがとう。」
拓也が着席しするとまた拍手が起こった。
拍手が鳴りやんだ後で晴南がみんなに言った。
「さあ最後は私ね。」
すると麻衣子が晴南に言った。
「ねえ晴南??盛り上がってる所悪いんだけど一つ聞いていい??」
晴南が麻衣子に言った。
「何よ水臭いわねえ。私の麻衣子の仲でしょ??なんでも聞いてちょうだい!!」
麻衣子が晴南に言った。
「まさにそこなんだけど。晴南がみんなで自己紹介を始めるわって言うから私も自己紹介したけどさ。よくよく考えたら自己紹介する必要ないよね。もう私達は長い付き合いでしょう??」
晴南が麻衣子に言った。
「だってリグロさん達にまだ自己紹介してなかったでしょう?」
麻衣子が晴南に言った。
「あっ、そっか。私達ばっかりリグロさん達に質問攻めでまだちゃんと名前すら教えてなかったわね。それで自己紹介を始めるわって言いだしたのね。」
晴南が麻衣子に言った。
「そういう事。さあ最後は私ね。」
すると晴南が席から立ちあがって大きな声で言った。
「私は水内(みずうち)晴南(はるな)!!!九木礼中学を表から支配する正体不明の生徒会長よ!!!そして世界を救わない勇者様である事判明してしまったわ!!この先どうなっちゃうの分からない?私の将来は決められない!!!だから私は将来やりたい事を全部やるって決めてるから!!!あと300歳まで長生きするつもりだから。」
晃太が晴南に尋ねた。
「なあ??どうやって300歳まで長生きするつもりんだ?」
晴南が晃太に言った。
「気合よ!!気合!!」
優斗が晴南に尋ねた。
「ねえ??自分で生徒会長って名乗ってるのに正体不明ってどういう事??」
晴南が優斗に言った。
「正体不明の方がなんかおもしろそうだからに決まってるでしょ!!」
拓也が晴南に尋ねた。
「結局将来は決められないのか決めてるのかどっちなんだ??」
晴南が拓也に言った。
「未来はわかんなくていいけど、やりたい事は将来全部やってやるわっていう意思表示よ。」
晴南が黒輪とリグロに言った。
「改めてよろしくお願いします。黒輪(こくりん)さん!!リグロさん!!」
リグロが晴南に言った。
「ああ晴南殿、こちらこそよろしくお願いする。」
黒輪が晴南に言った。
「よろしく頼む。」
すると晴南が麻衣子に言った。
「さあ麻衣子、待ちに待ったこの日が来たわ!!いよいよ大作戦が始まるわよ!!!心の準備はできてる??」
麻衣子が晴南に言った。
「それ始まるって一昨日聞いたばっかりだけどね。」
晴南が麻衣子に言った。
「ちょっと麻衣子??少しツッコミがはやいわよ??もう少し間を置いてからツッコミを入れてくれないと。もっとお客さんを引き込んでからじゃないと笑いが起こらないわよ。」
麻衣子が晴南に言った。
「そんな事知らないわよ。」
晴南が麻衣子に言った。
「うーん??これだと私と麻衣子がチェンジした方がいいかもしれないわね??」
麻衣子が晴南に尋ねた。
「何の事??」
晴南が麻衣子に言った。
「私がボケ役だと普通じゃない??麻衣子がボケ役をやる方がお客さんに新しい笑いを作り出す事ができるんじゃないかと思うのよ。」
麻衣子が晴南に尋ねた。
「一体何の話をしてるのよ?」
晴南が麻衣子に言った。
「私と麻衣子が漫才コンビとしてデビューした時の役割分担をどうするかの話に決まってるでしょ!!」
麻衣子が晴南に言った。
「なんで突然そんな話になるわけ??」
晴南が麻衣子に言った。
「だって麻衣子って私の専属のツッコミ役じゃない?私が漫才でデビューしたら麻衣子も一緒にデビューしたいかなって思ったの?」
麻衣子が晴南に言った。
「そのネタまだ引っ張るつもりなの??そもそもさっき将来の夢は決められないって言ってたじゃないの。」
晴南が麻衣子に言った。
「だからやりたい事は全部やるって言ったでしょ。お笑い芸人もその一つに入ってるんだから!!」
麻衣子がため息をつきながら晴南に言った。
「はあーもう分かった。その時は一緒にデビューするわ。」
晴南が麻衣子に言った。
「オッケー、一緒にすごいウェーブをつくりましょう!!」
すると亜美が晴南に声を掛けた。
「あのう晴南さん??」
晴南が亜美に尋ねた。
「どうかした亜美??」
亜美が晴南に尋ねた。
「柚羽(ゆずは)さんや健太さんは呼ばなくていいんですか?」
晴南が亜美に言った。
「柚羽は健太と水入らずで過ごしたいだろうから呼んでないのよ。」
亜美が晴南に尋ねた。
「美咲さんもですか??」
晴南が亜美に言った。
「美咲も誘わない方がいいと思ったのよね。たぶん美咲は呼んでも来ないと思うし。」
亜美が晴南に言った。
「仲間外れは可哀そうじゃないですか?」
麻衣子が亜美に言った。
「三人の事を心配してくれてるのね。やっぱり亜美は優しいわね。」
晴南が亜美に言った。
「美咲がオバケ大丈夫なら呼ぶんだけどね。」
麻衣子が亜美に言った。
「うん、美咲はオバケが大嫌いだからね。無理して連れてきても美咲を傷つけるだけだと思うのよね。なにせこれからたくさんオバケさん達が出てくる訳だし。それだったら美咲を呼ばない方がいいんじゃないかと思うのよ。」
亜美が晴南と麻衣子に言った。
「そうですね。分かりました。すいません晴南さん麻衣子さん、いろいろ考えての事だったのに。」
麻衣子が亜美に言った。
「まあ私もそう思わなくもないから気にしなくていいよ。」
亜美が麻衣子に言った。
「ありがとうございます。」
すると晴南が二人に言った。
「あっ??でも連れてこれば美咲の絶叫が聞き放題よね??連れてくるのもありかな??」
麻衣子が呆れた様子で晴南に言った。
「ちょっと晴南???」
晴南が麻衣子に言った。
「冗談よ、冗談、そんな事しないわよ。私だって美咲を困らせたい訳じゃないから。」
晴南が麻衣子に言った。
「さてとそれじゃあそろそろあれをやりましょうか。」
晴南が大きな声でみんなに言った。
「今ここにオバケ解放大作戦の発動を宣言するわ!!!みんな全力を出し切るわよ!!!」
全員が大きく頷いた。
すると晃太が三緒に尋ねた。
「それで三緒さん、具体的には俺たちは何をすればいいんですか?」
すると三緒が晃太に言った。
「九木礼の町の中にはオバケが封印されている場所が結構あるんだけど、その封印状態を解除していく事になるわ。」
麻衣子が三緒に尋ねた。
「具体的にはどうやるんですか??」
三緒が麻衣子に言った。
「それぞれの場所で封印方法が同じじゃないから一概には言えないわ。」
二実が麻衣子に言った。
「私達もついていくから詳しい解除方法はその都度現地で教えるから安心して。」
麻衣子が二実に言った。
「分かりました。」
二実が黒輪に尋ねた。
「黒輪さん達も来てもらえるんですよね?」
黒輪が二実に言った。
「ああ無論そのつもりだ。」
二実がみんなに言った。
「それじゃあさっそく行きましょうか??」
晴南達は拝殿の外に出ると神社内の広場に停めてある二実と三緒の車に分乗して、二人の運転で移動を開始するのだった。
二実の車に乗っている晴南が二実に尋ねた。
「二実さん??どこに行くんですか??」
二実が運転をしながら晴南に答えた。
「晴南ちゃんもたぶん行った事はある場所よ。」
二実と三緒の運転する車は目的の場所の近くまでやってきた。
二実達は道路に車を停めて晴南達を下すとそのまま目的の場所に向けて歩き始めた。
少しして晴南達は目的地へと到着したのだった。
晴南が二実に尋ねた。
「ここって炭鉱病院ですか??」
二実が晴南に言った。
「うん、正確には九木礼炭鉱病院だった所ね。」
晴南達は炭鉱病院の跡地にやってきたのだった。
跡地と言っても空き地が広がっているのではなく、炭鉱病院として使われていた建物や駐車場が撤去される事もなく手つかずのまま残されていた。
九木礼炭鉱病院が閉鎖されてからおよそ15年以上の月日が流れており、かつては病院だった建物は不気味な様相を呈しており、不気味な廃墟という言葉がぴったりの場所だった。
しかも晴南達が九木礼炭鉱病院跡地に到着した時はすでに午後7時を回っており、薄暗くなってきたその場所はとても不気味な雰囲気が漂っていたのだった。
晴南達はかつては炭鉱病院だった古い巨大なコンクリートの建物を見つめていた。
窓ガラスはほとんどが割れており、建物の壁が崩れている箇所も何か所かあった。
優斗が二実に尋ねた。
「九木礼炭鉱病院跡地に来たって事はここが封印場所って事ですか??」
二実が優斗に言った。
「そう、ここにはあるオバケが封印されているの。ここのオバケを鎮めている霊石の封印を解除するつもりよ。」
優斗が二実に尋ねた。
「封印を解除ってどうやるんですか??」
二実が優斗に言った。
「まあ一番簡単なのは霊石を壊す事だけど。さすがにそんな罰当たりな事はできないから、霊石を動かして封印されてるオバケさんが出てきたらまた元に戻すつもりよ。」
晃太が二実に尋ねた。
「それだけだったらわざわざ暗くなってから来なくても良かったんじゃないですか??」
すると黒輪が姿を現して晃太に言った。
「むしろ暗くなってから来なくてはならないのだ。」
晃太が黒輪に聞き返した。
「どういう事ですか??」
黒輪が晃太に言った。
「昼間よりも夕暮れや夜中の方が我々オバケにとっては活動しやすいのだ。」
晃太が黒輪に言った。
「昼間封印を解除してしまうと、オバケにとっては真夜中にたたき起こされるようなものって事ですか?」
黒輪が晃太に言った。
「うむ、その通りだ。」
二実が言った。
「それにしても荒れ果ててるわね。駐車場なんて草木が生い茂ってるじゃない。」
晴南が二実に尋ねた。
「この病院の中に霊石が置いてあるんですか??」
二実が晴南に言った。
「ううん、病院の建物の中にはないわ。」
二実はそう言い終わると病院の建物とは別の方向を指さした。
「あそこに小さなお堂があるでしょう??あそこにここを鎮めている霊石が置かれているわ。まずはあのお堂に行きましょう??」
二実の指さした先には確かに古びたお堂のようなものがあった。
晴南達はすぐに古びたお堂の前までやってきた。
古びたお堂の正面側には隔てる物は何もなく中の様子がしっかりと確認できた。
そしてそのお堂の中には大きな岩が置かれておりしめ縄が数本巻かれていた。
麻衣子が二実に尋ねた。
「この岩をどうするんですか??」
だが二実から返答は返ってこなかった。
「二実さん??」
すると二実が三緒に尋ねた。
「ねえ??二実??この霊石にいつこんな大きなひびが入ったの??昔はこんなヒビ入ってなかったでしょ??」
三緒も少し驚いた様子で二実に言った。
「本当だ。いつこんなヒビが入ったんだろう??」
二実が三緒に言った。
「霊石にこんな大きなヒビが入ってたらもう封印の効力ないんじゃないかな。この下からは何の気配も感じないし。」
二実が黒輪に尋ねた。
「黒輪さん、何かの存在を感じますか??」
黒輪が二実に言った。
「いやこの岩の下には何もいないようだ。」
晃太が黒輪に尋ねた。
「どういう事ですか??」
黒輪が晃太に言った。
「これだけでは何とも判断できんな。」
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得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
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